Skype、Dropboxの創業者に見る起業家精神とビジネス成功の秘訣
ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
近畿税理士会 北支部所属(登録番号:121535)
1977年生まれ、奈良県奈良市出身。
起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネルを運営。
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書籍:プロが教える! 失敗しない起業・会社設立のすべて (COSMIC MOOK) ムック
Google、Facebook、Twitterなど、創業後、急速に業績を伸ばす企業の多いIT業界では今も多くのベンチャー企業が誕生し、大きな成功を収めた創業者はつねに注目の的となっています。
今やビジネスシーンで欠かせないツールとなった「Skype」や「Dropbox」の創業者たちも、それは同様です。彼らは一体どんな経験や考えを持っているのでしょうか。その起業家精神と、ビジネス成功の秘訣をのぞいてみましょう。
「何でこんなやり方をしているの?別のやり方はないの?」がすべての始まり
「Skype」の創業者と「Dropbox」の創業者。二人は、「現状に疑問を持つこと」が成功への第一歩だったと言います。
「Skype」ができる前、多くの人たちは高いお金をかけて通信を行っていました。一人の若者がそのことに疑問を持ちます。「Skype」の創業者のニクラス・ゼンストローム氏は「電話会社や通信会社は1分いくらという単位で、ずいぶんと高いお金を取っているな」と思ったそうです。「人とコミュニケーションをとりたいと思っている人は多いのに、通信費が高い……。通信費を限りなく安くできないだろうか? 無料にすることはできないだろうか?」。そう考えたことが起業のきっかけでした。
一方、「Dropbox」の創業者ドリュー・ヒューストン氏は、ある日バス停でノートパソコンを使って大事な作業を始めようとしたところ、重要なUSBメモリを家に忘れてきたことに気づき青ざめました。その経験が、どこにいてもデータにアクセスできるクラウドストレージ「Dropbox」が生まれるきっかけになったと言います。。
2人とも「人々が不便に感じていること」に対して「別のやり方はないのか?」と代替案を考え、結果的にそれが大成功を収めるビジネスへと発展していきました。多くの人の悩みや心配を解消することは、ビジネスのうえで大きな需要を生み出します。
しかし、「現状に疑問を持つ」という起業家精神があるだけでは、二人は成功しなかったはず。では、どのような経歴やビジネスマインドが彼らを大きな成功へと導いたのでしょうか?
Skype創業者 ニクラス・ゼンストローム氏のビジネスマインド
Skype創業者のニクラス・ゼンストローム氏は、2001年にP2Pファイル共有ソフトの「Kazaa」を開発し、Kazaa 社のCEOに就任。翌2002年には、同じくP2Pの技術を応用したインターネットのIP電話サービス「Skype」を開発し、大成功を収めます。
2007年には、デンマークの起業家ヤヌス・フリス氏とともにインターネットテレビ配信システムの「Joost」を立ち上げ、共同会長に就任しました。最近では投資会社の「ATOMICO」を経営し、「Last.fm」など大成功を収めている新興の企業15社以上に投資しています。また、ビジネス以外でも「Zennstrom Philanthropies」という組織を創設、社会起業家精神などへ対する慈善援助活動にも取り組んでいます。
現在「Skype」は世界最大の国際電話サービスとなり、国際電話8本に1本が「Skype」経由で利用されています。
順風満帆に見えるゼンストローム氏ですが、最初からすべてがうまくいったわけではありません。ときには失敗もありましたが、それを乗り越えて今日の栄光を手にするに至ったのです。
それらの紆余曲折の中で、ゼンストローム氏はどのようなビジネスマインドを持つようになったのでしょうか。
失敗から多くのことを学んだ
ゼンストローム氏が講演などで強調しているのは、「失敗から学んだ」ということです。
最初はkazaa社を立ち上げて音楽ファイルの共有ソフトを設計しましたが、失敗、世界中の音楽業界や映画業界を相手に5年間も裁判で争うことに……。しかし、係争中に下記のようなことを学び取り、それがのちの「Skype」で活きることになります。
・大きな資金がなくても世界規模のサービスを提供できる
・形に捉われない発想をすれば周囲に大きな影響を与えることができる
失敗から得た経験を活かした彼は、まさに「転んでもただでは起きない」ということわざを実践したわけです。
「リスクを取る」ことが大事
ゼンストローム氏はある講演で「リスクを取ってもいいという気持ちが、唯一、世界経済を苦境から救えるものかもしれない」と述べています。
起業家の革新的なアイデアが大きなビジネスに発展すると、やがて世界経済に影響を与えるようになりますが、革新的な発想をビジネスに転換するには「リスク」を取ってでも事業を進める決断がともないます。ゼンストローム氏はリスクを恐れず、巨大な電話会社が築いた既存システムとの競合に参戦しました。
ゼンストローム氏は、アメリカはリスクを取ることに対して有利な国だと考えています。アメリカの風土は、失敗やリスクを容認する傾向にあるからです。そういう風土のアメリカだからこそ、世界を変えるようなテクノロジーを持つ会社が数多く立ち上がり成功しているのかもしれないと、彼は思っています。
また、ゼンストローム氏は「日本には素晴らしいテクノロジー開発の歴史がある半面、失敗に対してネガティブな反応をしてしまう」と言っています。そのような日本でリスクを取り成功を目指すのであれば、そういった風土に打ち勝つ勇気が必要であるとも述べました。
革新的なアイデアの原点はオープンマインド
ゼンストローム氏は、ビジネスで成功するには「革新性」が大事だと考えています。他社を追随するだけのビジネスでは、なかなか大成功を収めるのは難しいというわけです。
「Skype」もまた前人未到のイノベーションを成し遂げましたが、ゼンストローム氏はこういった革新的なアイデアを思いつくためには「オープンマインド」--つまり発想を柔軟に持つことが大切だと言います。
また、いいアイデアを生むには熱意だけでなく、思いついたアイデアを冷静に分析することも重要だそうです。そうでなければ、実際にビジネスを軌道に乗せることはできないのでしょう。
1人では成功できない
ビジネスを飛躍的な発展へと導いたゼンストローム氏ですが、彼はそれを自分ひとりの才能や幸運によるものだとは見なしていません。
素晴らしい企業を興すためには、思いついたアイデアを実現しようとする熱意を持つ人たちを集めることが大切だと述べています。さらに、周りの人の協力がなければ成功することはもちろん、イノベーションを生むことも難しいとのことです。
ゼンストローム氏の考え方は決して複雑ではなく、多くの起業家がすぐに参考にできるシンプルなものです。
では、「Dropbox」の創業者ドリュー・ヒューストン氏のビジネスマインドはどうでしょうか?
Dropbox創業者 ドリュー・ヒューストン氏のビジネスマインド
Dropbox創業者ドリュー・ヒューストン氏は2007年、USBメモリを家に忘れ不便さを感じたことから起業を思い立ちます。MITを卒業していた彼は、その場ですぐに「Dropbox」の元となるオリジナルコードを書き始めたそうです。
その後、共同創業者のアラシュ・フェルドシー氏とともに「Dropbox」を設立。今では2億人ものユーザーが10億以上のファイルを同社のクラウドストレージに保存しています。会社を急成長させたヒューストン氏は、ビジネスに対して以下のような考え方を持っているそうです。
先駆けとなることを誇りに
ヒューストン氏は、誰もまだ成し遂げてないことへのチャレンジが大切だと考えています。Google、Facebook、Appleといった大企業はみな未知の領域に踏み込んだビジネスを展開して成功させましたが、「Dropbox」もそのような会社へ発展させたいとのことです。
そのために他社に追随したビジネスではなく、革新をもたらす企業を興すべきという考えは、ゼンストローム氏の考えと共通しています。
夢は大きく!冒険に満ちた人生を
ヒューストン氏はMITの卒業スピーチで、「成功の秘訣」について「完璧主義で生きようと思うことをやめ、自分の人生を面白くすることに決めた」と述べました。さらに「僕は自分の『物語』を大冒険にしたかった」とも。
Apple社のスティーブ・ジョブ氏から「Dropbox」バイアウトの話があっても断ったというヒューストン氏。小さな成功に満足せず、大きな夢を持って冒険に満ちた人生を送ろうとしたことが、彼の大成功の原因です。
まとめ
ゼンストローム氏とヒューストン氏の成功の秘訣として、みんなが不便に思っていることを解決しただけでなく「誰もやっていないことをやってみよう」というチャレンジ精神に溢れていたことが挙げられます。そして、事業を立ち上げた当初から「世界規模」でビジネスを考えていたことが大きな飛躍につながったのではないでしょうか。
参照元:
・Skype創業者が語る「起業家精神とビジネスの秘訣」
http://kakiokosi.com/2011/01/skype%E5%89%B5%E6%A5%AD%E8%80%85%E3%81%8C%E8%AA%9E%E3%82%8B%E3%80%8C%E8%B5%B7%E6%A5%AD%E5%AE%B6%E7%B2%BE%E7%A5%9E%E3%81%A8%E3%83%93%E3%82%B8%E3%83%8D%E3%82%B9%E3%81%AE%E7%A7%98%E8%A8%A3%E3%80%8Dpart1/
・Dropbox CEO: How to Succeed as a First-Time Founder:Inc.
http://www.inc.com/will-yakowicz/drew-houston-how-to-succeed-first-time-founder.html
・Drew Houston's Commencement address:MIT news
http://web.mit.edu/newsoffice/2013/commencement-address-houston-0607.html
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