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最終更新日:2026/7/27

青色申告とは?やり方やメリット・デメリットを税理士がわかりやすく解説

森 健太郎
この記事の執筆者 税理士 森健太郎

ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
近畿税理士会 北支部所属(登録番号:121535)
1977年生まれ、奈良県奈良市出身。
【公式】ベンチャーサポートグループチャンネルを運営。

PROFILE:https://vs-group.jp/startup/profile_writing/#p-mori
YouTube:【公式】ベンチャーサポートグループチャンネル
書籍:プロが教える! 失敗しない起業・会社設立のすべて (COSMIC MOOK) ムック

青色申告とは?やり方やメリット・デメリットを税理士がわかりやすく解説

確定申告には「青色申告」と「白色申告」の2つの方法があり、どちらを選ぶかによって受けられる控除や必要な手続きが大きく変わります。
開業したばかりの方や、これから開業届を出す方にとって、「青色申告は難しそうだけど、どれくらい得になるのか」「自分の収入で青色申告を選ぶ意味はあるのか」は気になるポイントではないでしょうか。

この記事では、個人事業主・フリーランスの方に向けて、所得税における青色申告のしくみやメリット・デメリットに加え、収入の目安をもとにした判断基準までを解説します。

なお、青色申告は法人税にも同様の制度がありますが、申請期限や控除の内容が異なります。
法人を設立した方・設立予定の方はこちらの記事をご確認ください。

個人事業と法人の違い、会社設立の流れ、必要書類、費用など会社設立の全体像をわかりやすく解説!

目次

そもそも青色申告とは何か

青色申告とは、日々の取引を帳簿に記録し、その記録にもとづいて正確な申告を行うことで、さまざまな税制上の優遇措置を受けられる制度です。

青色申告の最大の特徴は、「帳簿をきちんとつける代わりに、節税につながる特典を受けられる」という点にあります。

一方、白色申告には事前の届出が不要で手続きが簡素というメリットがありますが、青色申告特別控除のような節税につながる制度の多くが用意されていません。

両者の違いは後述の比較表で一覧にしていますが、まずは「誰が青色申告を使えるのか」から確認しましょう。

青色申告の対象となる所得の種類

青色申告を利用できるのは、次の3種類のいずれかの所得がある人に限られます。

青色申告の対象となる人

  • 事業所得:個人事業主やフリーランスが事業から得る所得
  • 不動産所得:アパートや駐車場などの賃貸から得る所得
  • 山林所得:山林の伐採・譲渡から得る所得

個人事業主として起業する場合、その儲けは「事業所得」として扱われるため、青色申告が可能になります。

ただし、サラリーマンの副業など、本業以外にも収入源がある場合は注意が必要です。
その所得が「事業所得」に該当すれば青色申告を選択できますが、「雑所得」に分類されると青色申告は選択できません。

収入に関する帳簿書類を作成・保存している場合、一般的にその収入は事業所得と判断されやすくなります。
ただし、帳簿書類を保存していても、次のいずれかに該当する場合は雑所得と判断される可能性があります。

雑所得と判断され得る条件

  • 収入金額が例年(おおむね3年程度)300万円以下で、かつ主たる収入に対する割合が10%未満の場合
  • その活動が例年赤字で、赤字を解消するための取り組みを行っていない場合

参考:所得税通達の改正について|国税庁(PDF)

青色申告のメリット

青色申告のメリット

  1. 青色申告特別控除:所得から一定額を差し引ける
  2. 少額減価償却資産の特例:40万円未満の設備や備品を一括で経費にできる
  3. 青色事業専従者給与:家族への給与を経費にできる
  4. 純損失の繰越控除:赤字を翌年以降3年間繰り越せる
  5. 貸倒引当金繰入:貸倒引当金を経費として計上できる

青色申告を選ぶと、所得から一定額を差し引ける控除や、経費として認められる範囲の拡大など、複数の税制優遇を受けることができます。

所得税における青色申告の特典を順に解説します。

青色申告特別控除:所得を最大65万円(2027年からは最大75万円)減らせる

青色申告特別控除:所得を最大65万円(2027年からは最大75万円)減らせる

青色申告特別控除とは、所得金額から一定額を差し引ける制度です。
控除できる額は、記帳方法や申告方法に応じて3段階に分かれています。

控除額 主な要件
65万円 複式簿記で記帳し、貸借対照表・損益計算書を添付して期限内に申告。さらにe-Taxで申告するか、電子帳簿保存を行っていること
55万円 複式簿記で記帳し、貸借対照表・損益計算書を添付して期限内に申告(e-Taxなどの要件を満たさない場合)
10万円 上記の要件を満たさない青色申告者(簡易簿記での記帳など)

青色申告特別控除は、所得税に与える影響も大きく、ぜひ活用したい特典の1つです。

65万円と55万円の差は、e-Taxでの電子申告または電子帳簿保存を行っているかどうかです。
e-Taxは無料で利用でき、マイナンバーカードがあれば自宅から申告できるため、これから青色申告を始める方はe-Taxでの申告を前提にしておくとよいでしょう。

なお、65万円・55万円の控除は期限内申告が要件です。申告期限に1日でも遅れると、その年は10万円控除しか受けられません(詳細は後述のFAQで解説します)。
また、不動産所得のみで65万円・55万円控除を受けるには、原則として事業的規模(おおむね5棟10室以上)で貸付を行っていることが必要です。

2027年以降の青色申告特別控除の変更点

2026年3月に成立した令和8年度税制改正により、2027年分(令和9年分)の所得税から控除体系が見直されます。
改正後の控除額と要件は以下のとおりです。

控除額 要件
75万円(新設) 複式簿記+e-Taxでの期限内申告+優良な電子帳簿保存(訂正・削除の履歴が残る会計ソフトなどの利用)または請求書等の電子取引データを会計システムと自動連携して保存
65万円 複式簿記+e-Taxでの期限内申告
10万円 簡易簿記など(ただし前々年の収入金額が1,000万円超の場合は対象外)

主な変更点は3つあります。

1つ目は、75万円控除の新設です。
現行の65万円控除の要件に加え、「優良な電子帳簿」での記帳・保存が求められます。
対応する会計ソフトを使用することで負担を大きく軽減できますが、利用しているソフトの機能、保存設定、電子取引データとの連携状況などは事前に確認しておきましょう。

なお、現在の優良な電子帳簿に関する特例では、税務署へ所定の届出書を提出する必要があります。
75万円控除でも同様の届出が求められる可能性があるので、適用前に国税庁の最新の案内を確認してください。

参考:優良な電子帳簿の要件|国税庁
参考:A1-15、H4-9 国税関係帳簿の電磁的記録等による保存等に係る65万円の青色申告特別控除・過少申告加算税の特例の適用を受ける旨の届出手続|国税庁

2つ目は、現行の55万円控除の廃止です。
これまでは複式簿記で記帳していれば、紙で申告しても55万円の控除を受けられました。
改正後は紙での申告では10万円控除に縮小されます。

3つ目は、簡易簿記の10万円控除への制限です。
前々年分の事業所得に係る収入金額が1,000万円を超える人は、簡易簿記のままでは10万円控除を受けられなくなります。

これから開業届を出す方は、最初からe-Taxでの申告環境を整えておくことをおすすめします。

少額減価償却資産の特例:40万円未満の設備や備品を一括で経費にできる

少額減価償却資産の特例:40万円未満の設備や備品を一括で経費にできる

通常、パソコンや事務機器などの10万円以上の資産を購入した場合は、耐用年数に応じて数年に分けて経費計上する「減価償却」を行う必要があります。
しかし、青色申告者であれば「少額減価償却資産の特例」を利用することで、取得価額が40万円未満の資産を購入した年に全額経費として計上できます。

年間合計300万円という上限はありますが、開業時にパソコンや周辺機器、事務用品などをまとめて購入する場合に大きな節税効果があります。

この特例は期限付きの措置で、現在の適用期限は2029年3月31日までとされています。
もっとも、これまでも少額減価償却資産の特例は期限を迎える前に延長が繰り返されており、今後も延長される見込みは高いと考えられています。

税理士 森健太郎

代表税理士
森 健太郎

なお、10万〜20万の減価償却資産は「一括償却資産」として3年間で均等に経費計上することもできます。

この2つは実務では償却資産の免税点などをふまえて組み合わせることで、より効率的な節税も可能です。

40万未満の資産購入が多い方は、ぜひ税理士にご相談ください。

参考:〔少額の減価償却資産及び一括償却資産(令第138条及び第139条関係)〕|国税庁

青色事業専従者給与:家族への給与を経費にできる

青色事業専従者給与:家族への給与を経費にできる

個人事業では、配偶者や親族に支払った給与は原則として経費に算入できません。
しかし青色申告者は、一定の要件を満たす家族従業員(青色事業専従者)への給与を、全額必要経費として計上できます。
これは労務の対価として適正な金額であれば、上限はありません。

適用を受けるには、事前に「青色事業専従者給与に関する届出書」を税務署に提出する必要があります。

また、専従者給与の支払いを受ける家族は、配偶者控除・配偶者特別控除・扶養控除の対象から外れます。
給与額が小さい場合は、専従者給与よりも配偶者控除等を使ったほうが有利になるケースもあるため、金額設定は慎重に検討しましょう。

参考:A1-10 青色事業専従者給与に関する届出手続

白色申告にも「事業専従者控除」という制度がありますが、こちらは控除額に、配偶者は最大86万円、その他の親族は1人につき最大50万円という上限が設けられています。

たとえば、配偶者に月20万円(年間240万円)の給与を支払っている場合、青色申告であれば240万円全額を経費にできますが、白色申告では86万円までしか控除できません。

純損失の繰越控除:赤字を翌年以降3年間繰り越せる

純損失の繰越控除:赤字を翌年以降3年間繰り越せる

事業が赤字になった年に、その損失を翌年以降3年間にわたって繰り越し、黒字の所得と相殺できる制度です。

たとえば、開業1年目に100万円の赤字が出て、2年目に150万円の黒字が出た場合、2年目の事業所得は150万円から1年目の100万円を差し引いた、50万円として計算できます。

開業初期は設備投資や準備費用がかさみ赤字になりやすいため、この制度の恩恵を受けやすいタイミングといえます。
また、前年も青色申告をしていた場合は、赤字を前年の所得に繰り戻して、すでに納めた所得税の還付を受けることもできます。

ただし、繰越控除を利用するには、赤字の年にも確定申告書を期限内に提出しておく必要があります。
「赤字だから申告しなくてよい」と判断して申告を行わなかった場合、その年の損失を翌年以降に繰り越すことはできません。

白色申告では、災害などの特殊な場合を除き、こうした赤字の繰越や繰戻はできません。

貸倒引当金繰入:貸倒引当金を経費として計上できる

貸倒引当金繰入:貸倒引当金を経費として計上できる

売掛金や貸付金などの債権を持っている青色申告者は、年末時点の債権残高の5.5%(金融業は3.3%)を「貸倒引当金繰入」として経費に計上できます。
これは、取引先の倒産などで売掛金が回収できなくなるリスクに備えた制度です。

ただし、計上した引当金は翌年に全額を収入として戻し入れる必要があります。
また翌年は、その年の残高に応じて計上できます。

白色申告では、取引先の倒産など具体的な事由がある場合の個別評価のみが認められており、一括評価による計上はできません。

青色申告のデメリットと注意点

青色申告には税制上のメリットがある一方、白色申告にはない手続きや記帳上の負担も発生します。

最大額の控除を受けるには複式簿記での記帳が必要になる

65万円(改正後は75万円)の控除を受けるには、複式簿記で日々の取引を記帳する必要があります。

複式簿記とは、1つの取引を「原因」と「結果」の両面から記録する方式です。帳簿の左側(借方)に「お金の使い道」、右側(貸方)に「お金の出どころ」を記録します。

たとえば、事務用品を1万円の現金で購入した場合、次のように記帳します。

借方 金額 貸方 金額
消耗品費 10,000円 現金 10,000円

白色申告で使われる単式簿記(簡易簿記)は「消耗品費10,000円」と記録するだけで済みますが、複式簿記ではお金の出入りを必ず2つの側面から記録します。

この形式で記帳することで、損益計算書(1年間の売上・経費・利益をまとめたもの)と貸借対照表(年末時点の資産・負債の状態を示したもの)を作成でき、これが65万円控除の要件となる青色申告決算書のベースになります。

近年は簿記に関する知識が薄くても、マネーフォワードなどの会計ソフトを活用することで、複式簿記の作成ハードルを大きく下げることができます。

参考:個人事業主向けサービス紹介 マネーフォワードクラウド|株式会社マネーフォワード

税理士 森健太郎

代表税理士
森 健太郎

「複式簿記で帳簿をつけてみたけれど、ミスがあった」といった場合も、それだけで青色申告の承認取り消しや、65万円控除が受けられなくなったりすることは通常ありません。

誤りに気づいた場合は修正申告で訂正できますので、「間違えたらどうしよう」と心配しすぎず、まずは会計ソフトで帳簿をつけ始めてみましょう。

ただし、税務調査を受けたあとの修正申告には過少申告加算税や重加算税が発生します。

実際の現場ではソフトの初期設定の時点でミスをしているケースもあるので、導入時や記帳の際に不安があれば、税務署や税理士などへの相談をおすすめします。

参考:【申告が間違っていた場合】|国税庁

事前に承認申請書の提出が必要

青色申告を始めるには、事前に「所得税の青色申告承認申請書」を税務署に提出し、承認を受ける必要があります。

提出期限は以下のとおりです。

状況 提出期限
・1月16日以後に開業した場合 開業日から2カ月以内
・1月1日から1月15日までに開業した場合
・すでに事業を行っており、その年分から青色申告を始める場合
その年の3月15日まで

たとえば、すでに事業を行っている人が2027年分から青色申告を始めたい場合は、2027年3月15日までに申請書を提出する必要があります。
一方、2027年5月に新たに開業した場合は、開業日から2カ月以内に提出すれば、2027年分から青色申告を選択できます。

期限を1日でも過ぎると、その年分は白色申告になります。具体的な提出の手順は、後述の「青色申告を始めるまでの流れ」で解説します。

青色申告と白色申告の違い【比較表】

ここまでに解説した青色申告のメリット・デメリットを踏まえ、白色申告との違いを一覧で整理します。

項目 青色申告 白色申告
事前の届出 申請書の提出が必要 不要
記帳の方式 複式簿記(最大控除の場合) 単式簿記
提出する決算書類 青色申告決算書(損益計算書+貸借対照表) 収支内訳表
特別控除 最大65万円(2027年からは最大75万円) なし
少額減価償却資産の特例 40万円未満の資産を全額その年の経費にできる(年間300万円まで) なし
赤字の繰越し 3年間繰り越して翌年以降の黒字と相殺できる 原則不可
家族への給与の経費算入 青色事業専従者給与として全額経費にできる(届出が必要) 事業専従者控除として配偶者は最大86万円、その他の親族は1人につき最大50万円まで
貸倒引当金 年末の債権残高の5.5%を一括評価で経費計上できる(金融業は3.3%) 一括評価は不可(一定の事由がある場合は個別評価による計上が認められることがある)

青色申告をおすすめする理由

比較表のとおり、青色申告のほうが税制上のメリットが大きい一方、複式簿記や事前の届出といった負担があります。
「手間が増えるなら白色申告のほうが楽なのでは」と感じる方もいるかもしれません。

しかし、以前は白色申告者のうち記帳・帳簿等の保存義務の対象となる人が限られていたのに対し、2014年1月からは、事業所得・不動産所得・山林所得を生ずべき業務を行うすべての白色申告者に、記帳と帳簿等の保存が義務づけられています。

どちらの方法でも記帳が必要であるなら、特別控除や赤字の繰越控除が使える青色申告を選んだほうが、手間に対する見返りが大きいと言えるでしょう。

また、どうしても複式簿記を行えない場合、たとえ青色申告であっても単式簿記での提出は認められているため、あえて白色申告のままにする意味は薄いです。

65万円控除による節税シミュレーション【所得別の目安】

65万円控除が適用された場合の節税額の目安を、課税所得の水準別に整理します。

課税所得の目安 所得税率 節税額の目安(所得税+住民税10%)
195万円以下 5% 約10万円
195万円超330万円以下 10% 約13万円
330万円超695万円以下 20% 約20万円

※復興特別所得税を含まない概算です。国民健康保険に加入している場合は、保険料の算定基礎となる所得も下がるため、実際の負担軽減額はさらに大きくなります。

所得が増えるほど節税効果は大きくなりますが、所得が少ない段階でも年間10万円前後の差が生まれるため、開業初年度から青色申告を選ぶ価値は十分にあります。

白色申告と青色申告のどちらを選ぶべきか

次のいずれかに当てはまる人は、青色申告を選ぶことをおすすめします。

青色申告をおすすめする人の例

  • 開業届を出して、本業として事業を行う(または行う予定がある)
  • 継続的に利益が出る見込みがある
  • 開業初年度に赤字になる可能性がある(繰越控除で翌年以降に取り返せるため)
  • 家族に給与を支払う予定がある
  • 会計ソフトを使って記帳するつもりがある

一方、次に当てはまる人は、そもそも青色申告を選択できない、または急いで選択する必要性が低い可能性があります。

青色申告を選択できない、または急いで選択する必要性が低い

  • 副業の収入が例年300万円以下で、本業の収入の10%未満(雑所得と判断され、青色申告を選択できない可能性があります)
  • 単発・一時的な収入しかなく、継続的な事業とはいえない

税理士 森健太郎

代表税理士
森 健太郎

それまで個人事業主として青色申告の承認を受けていても、法人を設立した場合は、改めて法人として青色申告の承認申請が必要です。

第1期から法人として青色申告を行うには、原則として設立日以後3カ月を経過した日と第1期の事業年度終了日のうち、いずれか早い日の前日までに申請する必要があります。

提出漏れを防ぐため、法人設立届出書とあわせて準備しておきましょう。

青色申告を始めるまでの流れ

青色申告を始めるまでの流れ

青色申告を始めるために必要な手続きと準備を、時系列で整理します。

Step1:開業届と青色申告承認申請書を税務署に提出する

個人事業を始めたら、「個人事業の開業・廃業等届出書」と「所得税の青色申告承認申請書」を納税地の所轄税務署に提出します。
どちらも国税庁のWebサイトからダウンロードできるほか、e-Taxでオンライン提出も可能です。

参考:A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続|国税庁
参考:A1-8 所得税の青色申告承認申請手続

開業届と青色申告承認申請書は、それぞれ提出期限が異なります。

開業届の提出期限は、2026年1月1日以後に開業した場合、その年の確定申告期限(翌年の3月15日)までです。

一方で青色申告承認申請書は、開業の時期や状況に応じて提出期限が異なります。

状況 提出期限 具体例
1月1日〜1月15日に新規開業した場合 その年の3月15日まで 2027年1月10日に開業→2027年3月15日まで
1月16日以降に新規開業した場合 開業日から2カ月以内 2027年5月1日に開業→2027年7月1日まで
すでに白色申告で事業を行っており、青色申告に切り替えたい場合 青色申告を始めたい年の3月15日まで 2028年分から青色にしたい→2028年3月15日まで

開業届は提出期限に余裕がありますが、青色申告承認申請書は期限を過ぎるとその年分の青色申告ができなくなります。
実務的には、開業届と青色申告承認申請書を同じタイミングで提出してしまうのがもっとも確実です。

承認申請書には、簿記方式と備え付ける帳簿名を記入する欄があります。
65万円控除を受ける場合は、簿記方式で「複式簿記」を選択し、帳簿名として「仕訳帳」「総勘定元帳」にチェックを入れましょう。

開業届や青色申告承認申請書の書き方などについては、以下の記事で詳しく解説しています。

Step2:帳簿の準備・記帳・書類の保存を行う

届出が済んだら、複式簿記に対応した記帳環境を整え、日々の取引を記録していきます。
主な方法としては、会計ソフトを導入する方法と、表計算ソフトで自作の帳簿を管理する方法があります。
会計ソフトは取引を入力するだけで仕訳が自動作成され、確定申告書や決算書の出力まで対応しているものが多いため、簿記に慣れていない方にはもっとも手軽な選択肢です。

2027年分から始まる75万円控除をねらう場合は、「優良な電子帳簿」に対応したソフトを選び、訂正・削除の履歴を残す設定を有効にしておきましょう。

記帳をためこんで確定申告の直前にまとめて処理しようとすると、領収書の紛失や記憶違いによるミスが起きやすくなります。
月に1度など、自分のペースでこまめに記帳する習慣をつけておきましょう。

なお、帳簿と決算関係書類は原則として7年間、領収書や請求書などのその他の書類は原則として5年間の保存が必要です。

Step3:確定申告書と青色申告決算書を提出する

原則として2月16日から3月15日の期間に、確定申告書と青色申告決算書を税務署に提出します。

青色申告決算書は、1年間の売上・経費・利益をまとめた損益計算書と、年末時点の資産・負債の状態を示す貸借対照表で構成されています。
65万円控除を受けるにはe-Taxでの電子申告(または優良な電子帳簿保存)が必要なため、事前にマイナンバーカードの取得とe-Taxの利用登録を済ませておきましょう。

税理士 森健太郎

代表税理士
森 健太郎

優良な電子帳簿保存とは、訂正・削除履歴が残る、帳簿同士の関連性を確認できる、取引年月日・金額・取引先で検索できるなど、電子帳簿保存法上の一定要件を満たして帳簿を電子データのまま保存する方法です。

ただし、優良な電子帳簿保存には対応ソフトの利用や保存設定、届出などが必要になるため、起業直後の方は、まずは会計ソフトで複式簿記に対応し、e-Taxで期限内申告する方法を基本に考えるとよいでしょう。

確定申告の流れについては、以下の記事でより詳しく解説しています。

具体的なe-Taxでの確定申告のやり方については、国税庁のWebページをご確認ください。

参考:個人でご利用の方【e-Tax】国税電子申告・納税システム(イータックス)|国税庁

青色申告に関するよくある質問

青色申告を始めるにあたって、手続きや申告の実務で疑問に感じやすいポイントをまとめました。

その1:青色申告は開業届を出さないとできませんか?

青色申告承認申請書と開業届は、それぞれ別の届出です。

青色申告承認申請書の提出要件に「開業届が提出済みであること」は法律上定められていないため、開業届を出していない状態でも承認申請書を提出することは可能です。

ただし、開業届は所得税法により提出が義務づけられています。
実務上も、開業届と青色申告承認申請書を同時に提出するのがもっとも確実な方法です。
開業届を出していない方は、青色申告承認申請書と合わせて速やかに提出しましょう。

その2:申請後、税務署から承認の連絡は来ますか?

原則として、承認の通知は届きません。
その年の12月31日(その年の11月1日以後に開業した場合は翌年2月15日)までに税務署から承認または却下の通知がなければ、承認されたものとみなされます(みなし承認)。

「何も連絡が来ないが大丈夫か」と不安になる必要はありません。
提出した申請書の控え(またはe-Taxの受信通知)を保管しておきましょう。

その3:青色申告承認申請書を出し忘れた場合はどうなりますか?

提出期限を過ぎた場合、その年分は白色申告で確定申告を行うことになります。
翌年分から青色申告に切り替えたい場合は、その年の3月15日までに承認申請書を提出すれば、翌年分から青色申告が適用されます。

たとえば2027年に開業し、開業日から2カ月以内という提出期限を過ぎてしまった場合、2027年分は白色申告になります。
2028年分から青色申告に切り替えるには、2028年3月15日までに承認申請書を提出する必要があります。

その4:赤字でも青色申告をした方がよいですか?

赤字の場合、所得がゼロ以下になるため、青色申告特別控除による節税効果は実質的にありません。
しかしその赤字(純損失)を翌年以降3年間にわたって繰り越し、黒字の年の所得と相殺できる「純損失の繰越控除」など、ほかの特典を活用するためにも、青色申告は行うべきです。

赤字になる可能性がある年も含めて、継続的に青色申告を選択しておくことが節税の面では有利です。

その5:確定申告の期限を過ぎて提出した場合、控除はどうなりますか?

65万円(および55万円)の青色申告特別控除は、確定申告書をその年の申告期限(翌年3月15日)までに提出することが適用要件のひとつです。
1日でも期限を過ぎると、その年の控除額は自動的に10万円に減額されます。

複式簿記で正確に記帳し、貸借対照表や損益計算書を作成していたとしても、提出が遅れればそれだけで多額の控除を失うことになります。
さらに、期限後申告には延滞税や無申告加算税が課される可能性もあります。

青色申告のメリットを最大限に活かすためにも、確定申告書の提出は期限内に確実に済ませましょう。

その6:年の途中で開業した場合、いつからの収入が確定申告の対象になりますか?

個人の所得税は、毎年1月1日から12月31日までの暦年で計算します。
年の途中で開業した場合、確定申告の対象となるのは開業日から12月31日までに発生した事業所得です。

なお、事務所の契約料や備品の購入費、市場調査費といった開業前にかかった準備費用は、「開業費」として繰延資産に計上できます。
開業費は、60カ月で均等に償却する方法と、好きなタイミングで好きな金額を経費にできる任意償却のどちらかを選べます。

開業初年度は赤字になることも多いため、あえて初年度は開業費を償却せず、黒字が見込まれる年にまとめて経費化するという方法も有効です。

この記事のまとめ

青色申告は、正確な帳簿づけと引き換えに、最大65万円の特別控除や赤字の繰越控除といった税制上の優遇を受けられる制度です。

2027年分からは税制改正により控除体系が見直され、65万円以上の青色申告特別控除を受けるには、e-Taxでの電子申告が重要になります。

これから開業届を出す方は、青色申告承認申請書の提出とあわせて、e-Taxの利用環境も早めに整えておきましょう。

青色申告の手続きや届出について不安がある方は、お気軽にベンチャーサポート税理士法人の無料相談をご利用ください。

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