最終更新日:2026/1/26
企業と起業の違いを解説!フリーランスや経営、事業との区別とは?

ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
近畿税理士会 北支部所属(登録番号:121535)
1977年生まれ、奈良県奈良市出身。
起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネルを運営。
PROFILE:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_writing/#p-mori
YouTube:会社設立サポートチャンネル【税理士 森健太郎】
書籍:プロが教える! 失敗しない起業・会社設立のすべて (COSMIC MOOK) ムック

この記事でわかること
- 「企業」と「起業」の違い
- フリーランスや創業、開業などの似た言葉との違い
- 起業家に向いている人の特徴と必要な準備
「企業」と「起業」は発音が同じで混同されやすい言葉ですが、その意味は大きく異なります。企業は組織そのものを指し、起業はビジネスを始める行為のことです。
また、起業家とフリーランスの違いや、起業と創業、開業の違いも紛らわしいです。これからビジネスを始めたい人は、これらの違いを理解しておくと何から準備すればよいかが明確になります。
この記事では、それぞれの違いや特徴を専門家の視点からわかりやすく解説します。


目次
企業と起業はどう違うのか
「企業」と「起業」は発音が同じで、どちらもビジネスに関係する言葉です。しかし、その意味は大きく異なります。
多くの場合、企業は会社や法人といった組織そのものを指します。一方、起業は、事業を立ち上げる行為を指します。
以下、両者の違いを正しく理解できるように解説します。
企業は一般にビジネスを行う組織のこと
「企業」とは、ビジネスを行うために組織化された団体のことです。株式会社や合同会社、医療法人、学校法人などが該当します。
一般には会社(法人)を指して「企業」と呼ぶことが多い一方、文脈によっては個人事業を含めた事業体として「企業」と呼ぶ場合もあります。
企業は人や資金、設備を活用して、継続的に利益を生み出すことを目的とします。経済活動を支える役割が強く、小さな会社から大企業まで規模はさまざまです。
起業は事業を立ち上げること
一方で「起業」は、まだ事業が存在しない状態からビジネスを立ち上げる行為です。起業は「行為」であり「組織」ではありません。
起業したばかりの会社は、最初は小規模であっても、後に大きく成長する可能性があります。起業とは、ビジネスをスタートさせる行為なのです。
法人化しなくても起業
起業と聞くと「会社の設立」をイメージするかもしれません。もちろん、会社設立も起業の1つです。
しかし、会社設立をしなくても起業はできます。たとえば、個人でデザイン業を始めたり、ライターとして案件受注を始めたりするのも立派な起業です。
起業とは、会社を作ることだけでなく、広くビジネスのスタートを意味しています。
フランチャイズも起業の1つ
コンビニや飲食店の経営でよく利用されるフランチャイズへの加盟も、起業の1つです。
自分でゼロからビジネスモデルを構築しなくても、既存のしくみを活用して事業を始めることも起業に含まれます。
フランチャイズでの起業は、安定した収益が期待できる一方、契約やロイヤリティーの管理など、企業としての責任も伴います。

企業家と起業家の違いとは?
「企業家」と「起業家」も混同されやすい言葉です。どちらもビジネスを推進する立場であるものの、担うフェーズや目的が異なります。
ここでは、企業家と起業家、さらに経営者との違いを整理します。
企業家と起業家の違い
「企業家」とは、企業を経営し、企業を成長させる役割を担う人を指します。一方で「起業家」は、ゼロから新しい事業を立ち上げる人です。
- 企業家:現在進行形で経営を行い、企業を動かす人
- 起業家:ゼロから事業を立ち上げる人
企業家は起業された会社で利益を生みながら安定的に運営していく立場です。起業家は新しい市場を開拓していくのが大きな役割だといえます。
補足:「企業家」と「起業家」は文脈によって同義的に使われることもあります。この記事では、立ち上げ局面を「起業家」、運営・成長局面を「企業家」として整理しています。
経営者と起業家の違い
経営者は、すでに存在する事業や組織を管理・運営する人です。
会社の規模や機関設計にもよりますが、基本的に株式会社では(代表)取締役が業務執行を担います。一般に「経営者」は、会社の経営方針に責任を持つ立場(代表者や業務執行者など)を指すことが多いです。
起業家がビジネスの最初の一歩を踏み出す「創設者」だとすれば、経営者はそのビジネスを継続させる「運営者」といえます。
実際のビジネスでは、起業した人が経営を行い、両者の役割を一人で兼ねているケースも多いです。
起業と似ている言葉との違い
起業とよく混同される言葉として「創業」や「開業」などがあります。これらの意味を明確に区別できるように解説します。
起業と創業の違い
「起業」と「創業」はどちらも新しくビジネスを始めるときに使われます。どちらも厳密な法律用語ではないため、記事や制度ごとに意味があいまいになりやすい言葉です。
イメージを整理すると、次のようになります。
- 起業:新しい事業を始めるための「意思決定と準備」を含む行為(事業計画の作成、資金調達、商品・サービス設計、開業や会社設立の手続きなど)
- 創業:事業が実際に動き始めた「事業開始のタイミング」(開店、サービス提供開始、初回の受注、取引開始などがなされた時期)
先述のとおり、起業は「事業を立ち上げる行為」です。
一方、創業のイメージは「事業開始のタイミング」としましたが、その瞬間だけでなく「創業して間もない期間」を指すこともあります。
創業直後は、資金繰り、集客、提供体制の整備などの実務が一気に増えるため、優先順位を決めて準備することが重要です。飲食店であれば、メニュー開発、仕入れ、スタッフ教育、集客施策などを同時並行で進めることになります。
起業と開業の違い
「開業」は、実際に営業を開始することを指します。飲食店を例にすると、開業日はお店をオープンする日です。
開業はビジネスのスタートを具体的に示すものであり、起業のプロセスの一部といえます。
フリーランスと起業家はどう違う?
「フリーランス」と「起業家」も混同されやすい言葉です。両者の違いを理解しておきましょう。
フリーランスは個人で仕事をする
フリーランスは、スキルや経験を活かして仕事を請け負う働き方の呼称で、事業者区分としては「個人事業主」「法人」のどちらにもなり得ます。個人事業主として独立する場合、広い意味では起業(開業)と捉えられることもあります。
近年では、インターネット上で仕事を受注できるクラウドソーシングサイトを利用して、フリーランスとして活動する人も増えています。デザイナーやライター、エンジニアなどが、フリーランスで活躍しやすい代表的な職種です。
起業家は新しくビジネスを立ち上げる人
起業家とは、自らのアイデアやビジョンをもとにビジネスを立ち上げる人のことです。一般には、法人(会社)を設立して事業を展開する人を指すことが多いです。
法人化すると、信用力の向上や資金調達の幅の広がりなど、フリーランスにはないメリットが得られます。
副業であっても起業
会社員などが本業とは別に副業として事業を始める場合も、起業に該当します。
たとえば、ネットショップを開く、講座を開く、コンサルティングを行う、イラスト作成を行うなど、継続的に収益を得ていればどれも起業といえます。
スタートアップとは
「スタートアップ」という言葉は、起業に関連する用語として頻繁に使われます。起業とスタートアップはよく似ていますが、まったく同じではありません。
短期間で成長させる戦略の起業
「スタートアップ」や「スタートアップ起業」は、どちらも新しいビジネスを始める「起業」に含まれる言葉といえます。
ただし、スタートアップは、これまでにない新しい分野で短期間で急成長を目指すときによく使われる言葉です。
新しい技術やビジネスモデルを活用し、短期間で市場に大きなインパクトを与えることを目的としています。特に、ITやテクノロジーの分野でよく使用されます。
起業とスタートアップの違い
起業とは、ビジネスをスタートすることです。個人事業主であっても会社設立をする場合であっても起業に該当しますし、新しいアイデアや革新的なビジネスでなくても起業です。
一方でスタートアップは、起業の中でも新しいアイデアを活かして短期間で急成長を目指している場合を意味します。
もちろん、どちらも法律上の専門用語ではないため、厳格な定義はありません。
シリアルアントレプレナーとは?
あまり聞き慣れない言葉ですが、起業に関連する用語に「シリアルアントレプレナー」があります。
シリアルアントレプレナーとは、複数の事業を連続して立ち上げる起業家のことです。
このような人物が起業する場合、すでに過去に事業を成功させた経験があるため、次のビジネスでも成功する確率が高いといえます。起業家としての経験を活かし、複数のビジネスを展開するケースは多いです。
どんな人が起業に向いているのか
「起業」は夢のある行為ですが、人によって向き不向きがあります。
特別な才能だけでなく、日々の思考や行動の積み重ねが成功を左右します。ここでは、起業に向いている人の特徴を見ていきます。
ビジネスに必要な行動力と決断力
起業してビジネスを成功させるには、スピーディーな判断と行動力が求められます。的確に状況を見極め、リスクを恐れずに挑戦できる人が起業に向いています。
慎重さが必要な場面もありますが、すべての準備が整っていなくても決断しなければならないこともあります。実際に動きながら状況に合わせて修正する柔軟さも重要です。
将来性のある事業計画
起業家として成功するためには、明確な事業計画と将来の成長戦略が欠かせません。
何となく会社を作って成功したという事例もないわけではありませんが、それは極めて稀なケースです。
成功するためには、市場の需要やトレンド、競合他社などを徹底的に調査し、現実的で拡張性のあるビジネスモデルを構築する必要があります。
リーダーシップ
起業してビジネスを成長させるには、明確な目標とビジョンを示し、仲間を引っ張るリーダーシップが必要です。特に創業初期は、代表者の判断と行動力が企業の成長を左右します。
起業する分野での経験や資格
起業そのものに必須の資格がないケースは多い一方、業種によっては営業許可・登録・届出(許認可)や有資格者の配置が必要です。始めたい事業が許認可の対象かどうかは、事前に必ず確認しましょう。
専門知識や資格があると、起業の成功率は格段に上がります。たとえば医療、士業、ITなど、専門性が求められる分野では資格が強力な武器になります。
また、士業のように資格がなければできない専門分野もあります。
個人事業主やフリーランスから会社設立するケースもある
いきなりゼロから会社設立をするのではなく、個人事業主やフリーランスとして活動し、ビジネスが軌道に乗ってから会社設立するケースも多くあります。
段階的に事業を成長させるという起業の方法は、リスクを抑えつつ起業を進めたい人にとって有効な手段です。
起業するときには何をすればいいのか
起業してビジネスを成功させるためには、正しいステップで手続きを進めることが大切です。まずは、起業の流れを明確に理解し、必要な準備を整えることが大切です。
起業するためのフローチャート
起業するためには、事業アイデアの整理、事業計画の策定、資金調達、登記・開業届の提出などを順を追って進めることが重要です。
以下のフローチャートで、起業の全体像を把握しましょう。
起業の流れ
- STEP1アイデアの整理
- STEP2事業計画の策定
- STEP3資金調達方法の検討
- STEP4法人設立/個人事業の選択
- STEP5登記/開業届の提出
- STEP6営業開始(創業)
※法人の場合、登記に加えて税務署などへの届出も必要
起業は、このフローチャートに示した一般的な流れを参考に、段階的に進めることが大切です。手当たり次第に準備すると失敗のリスクが大きくなります。
上記の各段階で課題を整理し、必要に応じて専門家の支援を受けるのも有効です。
資金調達と補助金・助成金について
起業の初期段階では、資金調達の方法をしっかり検討して準備する必要があります。
自己資金だけでなく、金融機関からの融資や補助金・助成金の活用も可能です。起業支援制度をうまく活用することで、資金面の不安を軽減できます。
ただし、補助金や助成金は、実際にお金をもらうまでに時間がかかります。一般に後払い(精算払い)が多く、入金までの立替資金が必要です。制度によっては中間払・概算払がある場合もあるため、公募要領で支払条件を必ず確認しましょう。
補助金・助成金は、起業当初の施策ではなく中長期的な資金調達手段であることは覚えておいてください。
会社の種類と起業について
会社設立の方法には、主に株式会社と合同会社の選択肢があります。
法人化する場合は、株式会社か合同会社が選択されるケースが多いですが、両者には会社設立のプロセスや設立後の資金調達の選択肢に大きな違いがあります。
自分のビジネスモデルや規模に応じて、最適な形態を選ぶことが大切です。設立手続きや必要書類、税制上の違いも理解しておきましょう。
企業と起業は違う言葉!意味の違いを理解しておきましょう
「企業」と「起業」は、ビジネスの世界では明確に区別される言葉です。企業は組織そのものを指し、起業はビジネスを立ち上げる行為を指します。
また、「企業家」と「起業家」も異なる概念であり、それぞれ担う役割が異なります。起業家は新しいビジネスを生み出す存在であり、企業家はそれを経営・発展させる存在です。
この違いを理解しておくことで、今後のキャリアや事業展開の方向性が明確になります。
言葉の意味の違いを理解し、正しい知識を持って計画的に起業を進めましょう。会社設立時の登記や税務、労務管理といった専門分野に関しては、必要に応じて行政書士や税理士などの専門家に相談するのも有効です。

















