最終更新日:2026/1/22
起業する目的とは?起業家になる5つの理由や言語化するコツを解説!

ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
近畿税理士会 北支部所属(登録番号:121535)
1977年生まれ、奈良県奈良市出身。
起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネルを運営。
PROFILE:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_writing/#p-mori
YouTube:会社設立サポートチャンネル【税理士 森健太郎】
書籍:プロが教える! 失敗しない起業・会社設立のすべて (COSMIC MOOK) ムック

この記事でわかること
- 代表的な起業の目的
- 事業計画書における目的の書き方
- 起業の大まかな流れや費用
起業には「なぜ起業するのか」という目的が付き物です。明確な目的がある人もいれば、何となく起業してみたいという人もいます。
起業の目的を整理することは、モチベーション維持のためだけでなく銀行融資の審査や補助金申請での説得力を高められるポイントにもなります。
特に融資では、創業の動機・目的を説明できることが求められるため、目的がうまく言語化できているほど、事業の説明に一貫性が出て評価されやすくなります。
この記事では、よくある起業の目的、融資審査で評価される事業計画書の書き方、起業の流れや費用などを専門家の視点でわかりやすく解説します。


目次
起業する目的は?
起業する目的は人によってさまざまです。
起業前から明確なビジネスのアイデアがある人もいれば、「もっと自由に働きたい」「収入を増やしたい」という気持ちから始める人もいます。
どのような目的であれ、起業の動機がしっかりしている人ほど、事業は継続しやすいです。
よくある起業の目的5選
起業の目的は十人十色ですが、よくある「起業したいと思うきっかけ」があります。ここでは、起業の目的としてよくある例を5つ解説します。
1.自由に仕事がしたい
多くの人が起業を考えるきっかけとして「自由な働き方」があげられます。
会社員や公務員として働いていると、出社時間や残業、業務内容、上司や取引先の指示といった制約の中で動く必要があります。起業して自分でビジネスをすれば、働く時間や場所、仕事内容については自分で決められます。
職種によってはライフスタイルに合わせて柔軟に働けるため、家庭や学業との両立もしやすいです。また、重要なことを自分で決められるため、意思決定の自由度が上がります。
このような「自分の裁量で働ける」という自由度の高さは、起業を決意する大きな理由の1つです。
2.収入を増やしたい
起業をする目的の1つに「収入」もあります。
収入面で上限がある会社員と異なり、起業すれば自身の努力や戦略によって収益を桁違いに伸ばせる可能性があります。1人で起業した場合、経費などを除いた報酬はすべて自分のものです。
給与所得では昇給やボーナスにも限界がありますが、自分で起業すれば、努力や成果がそのまま収入に反映されます。もちろん不安定な部分はありますが、高収入を目指すことも夢ではありません。
提供する商品やサービスの質・しくみを自分で改善することで、利益率を高めることもできるでしょう。成功すれば従業員を雇用し、事業を拡大してより大きな収益構造を築くといった希望もあります。

3.経験と資格を活かしたい
税理士や社労士、司法書士といった士業の専門家、デザイナー、エンジニアなどが特定のスキルや資格を活かして起業するケースは非常に多いです。
自らの資格を活かした起業や、会社員時代に培った知識や経験をそのまま事業の強みに変えるような起業は、創業初期から信頼性と専門性をアピールできます。
特に会社員からの起業では人脈が豊富なことも多く、実績と人脈の両面から安定的な顧客基盤を持てる可能性もあります。
経験や資格は、起業における大きな資産なのです。
4.自分のアイデアなどを試したい
自分のアイデアやビジネスで起業したいというケースもあります。
「新しいサービスを生み出したい」「自分の発想を形にしたい」という決意が、起業家の大きな原動力となるのです。
組織の一員である会社員では実現しにくい独自のアイデアやビジネスモデルも、起業すれば自由に事業にできます。
既存の市場にないサービスを提供すれば、社会に新しい価値を生み出すことも可能です。小規模のスタートアップ企業でも、市場の反応によっては大きな成長を期待できます。

5.趣味や特技を活かしたい
趣味や特技を仕事にする起業スタイルも注目を集めています。
語学や楽器の教室、ハンドメイド作品の販売、動画・音声コンテンツの配信など、個人のスキルを活かして収入を得ている人は多くいます。
好きなことを仕事にしているため長く続きやすく、高いモチベーションを維持しやすいのが特徴です。また、オンラインツールやSNSの活用によって低コストで広範囲に発信できる点も強みだといえます。
得意なことをそのまま事業にするのも、立派な起業です。
銀行融資や計画書に記載する起業の目的とは
銀行融資などの際に記載する起業の目的は、資金調達において非常に重要な要素です。
特に金融機関は、単なる夢や理想ではなく、事業としての実現可能性や社会的意義を重視します。「なぜこの事業を始めるのか」をきちんと整理し、客観的な根拠をもとに説明できることが必要です。
ここでは、銀行融資や補助金申請における起業の目的の書き方を解説します。
起業目的のテンプレート
起業の目的を事業計画書に記載する際には、単なる夢や希望、心意気ではなく、社会的な意義と客観的な根拠を組み合わせることが大切です。
前述した「よくある起業の目的5選」の1~4の組み合わせが、事業目的の骨子となります。
さらに以下の3つの要素を加えることで、説得力のある文章が作れます。
- 社会的なニーズ
- ビジネスの将来性
- その事業が地域社会にもたらす効果
たとえば「1.自由に仕事がしたい」「3.経験と資格を活かしたい」を組み合わせると以下のような起業目的になります。
- これまでの職務経験および保有資格を活かし、時間や働き方にとらわれない柔軟なワークスタイルで事業を展開したいと考えています。将来的には、従来の雇用形態にとらわれない多様なニーズに応えるため、オンラインと対面を組み合わせた形でサービスを提供し、より多くの顧客に価値を届けることを目的としています。
- また、自分自身のスキルや資格を最大限に活用し、専門性の高いサービスを提供することで他社との差別化を図ります。今後は、地域密着型の顧客基盤の構築と、オンライン展開による事業の拡大を目指します。
- 起業を通じて、柔軟な働き方を実現すると同時に、社会や地域に貢献できる持続可能な事業モデルを構築していくことを目的としています。
上記をベースにして「2.収入を増やしたい」「4.自分のアイデアなどを試したい」を加味することもできます。
- 私は、これまでに培ってきた資格やスキルを活かし、自分自身のアイデアを実践することで収入の拡大と事業の成長を目指しています。市場のニーズに合わせた柔軟なサービス提供を行い、持続的な収益を得られる事業基盤を築きたいと考えています。
- 特に、自分のアイデアを形にすることで、他にはない独自性のあるサービスを生み出し、顧客満足度の高い事業を展開します。初期段階では個人事業として小規模からスタートし、将来的には事業拡大を視野に入れた経営を行っていきます。
- 起業を通じて、安定的な収入基盤を確立すると同時に、地域や社会に貢献できる実践的なビジネスモデルを構築することを目的としています。
このようにできるだけ「個人の利益のため」ではなく「社会全体への貢献」を前面に出すことで、融資担当者や審査機関の共感を得やすくなるのもポイントです。
起業目的を書くときのポイント
銀行や行政機関は、将来的に継続できる事業かどうかと社会性を重視します。そのため、個人的な理想を並べるのではなく、具体的かつ実現可能性のある計画を書くことが重要です。
起業目的の書き方で意識したいのは、以下の5点です。
- 誰に何を提供するのか
- どのような価値を生むのか
- 社会的意義
- 地域や業界との関わり
- 収益化の見通しと継続性
これらを押さえることで、単なる個人の夢から一歩進んだ「ビジネスとしての説得力」を持つ計画書を作成できます。
地域経済の活性化
地域の課題を踏まえた事業目的は、金融機関からの評価が高い傾向にあります。
たとえば、「過疎地域で雇用を生み出す」「地元の特産品を加工・販売してブランド化する」「観光客の増加につなげる」といった内容は、融資審査の際にも好印象を与えやすい要素です。
また、地域経済を活性化する事業は、自治体の支援や補助金制度の対象になる可能性もあります。実体験や地域とのつながりを具体的に書くことで、事業の信頼性と地域貢献性を示すことができます。
特に一次産業や観光業などでは「自分がなぜその地域で起業するのか」を明確に示すことが、説得力のある起業目的につながります。
社会的な使命
高齢化や人手不足、環境問題といった社会課題を踏まえた起業目的は、社会的意義を強く打ち出せるため金融機関からの評価も高まりやすくなります。
たとえば「高齢化社会に対応した訪問サービスを展開して高齢者の生活を支える」といった目的は、社会課題の解決と事業性を両立できる例です。
「社会的な使命」を掲げると、融資担当者にとっても長期的な成長が期待できる事業として映ります。また、このような目的は助成金・補助金の対象になりやすい点も大きなメリットです。

現実的には、ビジネスが軌道に乗れば自然と社会の役に立つことになります。社会的な使命は、あとから付いてくるものでもあるのです。
起業のメリットとデメリット
起業には大きな可能性がありますが、同時にリスクも存在します。両面を理解したうえで判断することが重要です。
メリット
起業の最大のメリットは、自分の裁量と判断で事業を進められることです。
勤務時間や働き方、業務の方針などについて、既存のルールに縛られず自分で決められます。また、事業が成功すれば収入を大きく伸ばすことも可能です。
起業によって社会的なつながりが広がることも多く、仕事を通してプライベートまで充実するケースもあります。
デメリット
一方、起業には、安定した収入が得られないリスクがあります。
特に開業初期は売上が安定せず、資金繰りに苦労することがほとんどです。また、経理や法務、営業など、すべての業務を自分で担う必要があるため負担も大きいです。
起業は、リスクとリターンのバランスを考慮したうえで、計画的に進めることが重要です。
起業したいけどアイデアがない場合
「起業したいけど何をすればいいかわからない」という人も多いです。
起業は、革新的なビジネスモデルが絶対に必要というものではありません。
自分の趣味や専門性を整理する
起業のアイデアが浮かばないときは、身の回りにある「好きなこと」「得意なこと」に目を向けるという手があります。
趣味や専門性を軸にして起業するケースは多く、自分の強みを活かしたビジネスとなるため他社との差別化もしやすい傾向があります。
たとえば、カメラが趣味なら撮影サービスや写真販売、語学が得意ならオンラインレッスン、ハンドメイドが好きならネットショップといった具合です。
最初は小さな一歩でも、ニーズがあれば着実に成長できます。無理に「まったく新しいビジネス」を生み出す必要はなく、自分の持っているリソースの整理から始めるのがポイントです。
フランチャイズとして起業する
ゼロからビジネスモデルを作るのが難しいという人には、フランチャイズという方法もあります。
フランチャイズでは、すでに確立された企業のブランド力と販売ノウハウ、商品を活用できます。未経験者でも始めやすいのが大きなメリットです。
研修やマニュアル、仕入れルートの共有など、事業運営に必要なしくみも整っているため、スタート時点での失敗のリスクを抑えられます。コンビニや飲食店のみならず、教育、介護など幅広い業界で展開されています。
目的があいまいでも起業できる
起業を考えるときに「明確なアイデアがないと起業できない」と考える人は少なくありません。
しかし実際には、まずはスタートして、事業を進めながら方向性を見つけていく起業家も存在します。
小規模の店舗やサービスから始めて、実際の市場の反応を見ながら改善していくことで、より現実的なビジネスモデルを築けます。
はじめから完璧な構想を描く必要はなく、行動しながら軌道修正していくのです。

目的がなくても起業はできますが、ある程度のビジョンはあったほうがよいです。
そもそも起業とは?
起業とは、新しく事業を始め、収益を得ることです。起業の形態には、法人を設立するケースと個人事業主として活動するケースの2種類があります。
会社を設立して事業をする
多くの人がイメージする起業はおそらく「会社を設立してビジネスを始めること」でしょう。
会社という法人を設立することで、信頼性が高まり、資金調達の幅も広がります。ただし、設立には登記などの手続きが必要で、費用と時間がかかります。
個人事業主として活動する
会社設立をせずに個人でビジネスを始めるという起業の形もあります。
個人事業主は手続きが簡単で、初期費用もほとんどかかりません。事業が軌道に乗ってから法人化するケースも多いです。
会社の事業目的とは
起業の目的と似ている言葉に、会社の「事業目的」があります。
事業目的は、起業する目的とは別物で、会社の活動内容を意味する言葉です。会社を設立する際に作る「定款(ていかん)」に必ず記載しなければならない重要事項になります。
事業目的は定款の記載事項
定款は、会社の基本ルールを定める文書です。事業目的をはじめ、商号(会社名)、本店所在地、出資額などを記載します。
株式会社の場合、公証役場で定款認証を行い、法務局で登記申請を行うことで会社設立が完了します。
事業目的は、絶対的記載事項(書かなければ定款自体が無効になる項目)であるため、定款に必ず記載しなければなりません。
会社設立の5ステップ
会社設立は、いくつかのステップを踏んで進めます。
- 事業目的や商号の決定
- 会社の印鑑の作成
- 定款の作成と認証
- 資本金の払込み
- 登記申請
法的な手続きが必要なステップもあるため、事前準備と正確な対応が必要です。
起業にはどれくらい費用がかかるのか
起業に必要な費用は、法人か個人かによって大きく異なります。あらかじめ予算を把握しておくことで、開業後の資金繰りを安定させやすくなります。
会社設立にかかる費用
会社設立では、主に以下の出費があります。
- 定款の印紙代:4万円(紙の定款の場合)
※電子定款の場合は0円 - 定款の認証手数料:3万~5万円(資本金額などによる)
※一定要件を満たすと1万5,000円になる制度あり - 登録免許税:資本金×0.7%(株式会社は最低15万円、合同会社は最低6万円)
上記以外にも、設備資金や物件取得費なども必要です。また、手続きを司法書士などの専門家に依頼する場合は、その手数料もかかります。
会社を設立するには、費用の全体像を把握したうえで手続きをすることが大切です。
会社の規模によっても費用は大きく異なりますが、目安として、株式会社を設立する場合は約24万円、合同会社の場合は約11万円ほどかかると考えておくとよいです。
個人事業主の場合
個人事業主として開業する場合、税務署へ開業届を提出するのが基本です(提出自体に手数料は通常かかりません)。
ただし、青色申告の適用を受ける場合や、従業員に給与を支払う場合、消費税(インボイス)対応が必要な場合などは、追加の届出が必要になることがあります。
必要に応じて事業用の設備やシステムを整えるコストは発生しますが、法人に比べると初期費用は大幅に抑えられます。
起業の目的=なぜ起業するのか
起業を成功させるには、まず「なぜ起業するのか」という目的を明確にすることが欠かせません。起業の目的は人それぞれですが、収入アップや自由な働き方、スキルの活用などが特に多いです。
そのうえで明確な目的があれば、銀行融資や補助金申請、事業計画書の作成でも説得力を高められます。
さらに起業目的を社会的な視点で捉えることで、地域貢献や社会課題の解決といったプラスの価値を示すことも可能です。

















