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最終更新日:2025/12/17

海外の起業アイデアを日本でもビジネスにできる?税理士が注意点なども解説

森 健太郎
この記事の執筆者 税理士 森健太郎

ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
近畿税理士会 北支部所属(登録番号:121535)
1977年生まれ、奈良県奈良市出身。
起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネルを運営。

PROFILE:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_writing/#p-mori
YouTube:会社設立サポートチャンネル【税理士 森健太郎】
書籍:プロが教える! 失敗しない起業・会社設立のすべて (COSMIC MOOK) ムック

海外の起業アイデアを日本でもビジネスにできる?税理士が注意点なども解説

海外市場で成功を収めたビジネスモデルを日本国内で展開し、事業化を検討する起業家が増えています。

本記事では、単に海外のトレンドを紹介するだけではなく、それらのアイデアを日本市場で確実に実現させるための実務的なプロセスに焦点を当てます。

有望なアイデア5選から、日本特有の法律・文化の壁を越えるためのローカライズ戦略、事業性を検証する「MVP」の手法、そして事業形態(個人事業主・法人)の最適な選択基準まで、起業のプロセスを体系的に解説します。

この記事を通じて、以下の3点が明確になります。

  • 日本市場で特に有望なビジネスアイデア5選
  • アイデアを「小さく試す」ための具体的な検証(MVP)手順
  • 事業化する際に必須となる「個人事業主」と「会社設立」の判断基準

海外のビジネスアイデアや、日本国内での企業に興味のある方は、ぜひこの記事を起業の参考にしてみてください。

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日本市場で有望な「海外起業アイデア」5選

海外市場では常に新しいビジネスが生まれては消え、その中から選ばれたいくつかのモデルが爆発的な成長を遂げています。

ここでは、日本市場との親和性が高く、事業化の成功確率が高いと考えられる5つのビジネスモデルを厳選して5つ紹介します。

5つのビジネスモデル

  1. AI活用(業務効率化)
  2. シニア向け(アクティブ・ウェルネス)
  3. ニッチ特化型ECサイト(サステナブル・エシカル)
  4. ゴーストキッチン(ブランドライセンス型)
  5. フェムテック ・メンズ美容(悩み特化型)

それぞれのモデルの概要や、日本との相性、注意点などについて詳しく解説します。

その1:AI活用(業務効率化)

汎用的なAIサービスではなく、特定の業界が抱える独自の課題を解決する「Vertical SaaS」と呼ばれる領域が、世界的に注目されています。

アメリカでは、建設現場での資材発注をAIが自動化するツールや、法律事務所における過去の判例検索・要約を数秒で完了させるAIアシスタントが普及しつつあります。
これらは、業界特有の複雑なワークフローを学習させることで、汎用AIでは実現できない精度で業務を効率化しています。

日本は2021年の時点で中小企業が全企業の99.7%を占め、その多くが慢性的な人手不足です。

参考:中小企業・小規模事業者の数(2021年6月時点)の集計結果を公表します|中小企業庁

「2024年問題」に代表される労働規制の強化もあり、AIを活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)による業務効率化は、今後大きな需要が見込まれるジャンルと言えます。

ただし、海外のツールをそのまま導入しても、日本の商習慣に合わずに定着しないケースも多々あります。
日本の現場に寄り添い、適切な機能を備えたAIの開発ができれば、その事業が成功する確率は高いです。

その2:シニア向け(アクティブ・ウェルネス)

「人生100年時代」において、健康寿命を延ばし、生きがいを提供するサービスは世界的な成長産業です。
欧米では、単なる介護予防にとどまらず、シニアの知的好奇心や社会参加意欲を満たすサービスが人気を集めています。
同世代限定のオンラインフィットネスコミュニティや、孫世代と交流するためのeスポーツ大会、自身の経験を若者に伝えるメンターシッププラットフォームなどが特に活況です。

そうしたなかで、日本は高齢化率が29%を超える世界トップクラスの超高齢社会です。

参考:高齢化の状況|内閣府(PDF)

定年退職後も健康で意欲的な「アクティブシニア」層は増加の一途をたどっており、彼らは自身の健康維持や趣味、そして社会とのつながりに対して、時間と資金を投資する傾向にあります。
そうした点から、今後シニア世代を対象としたビジネスには大きなチャンスがあるでしょう。

欧米と比較すると、日本のシニア層はオンラインの交流よりも、リアルの場でのつながりを重視する傾向があります。
地域の公民館やカルチャースクール、シニア向けマンションなどと提携し、オンラインとオフラインを組み合わせたコミュニティを土台としたビジネスを構築することができれば、継続率の高い魅力的なビジネスとなり得ます。

その3:ニッチ特化型ECサイト(サステナブル・エシカル)

大量生産・大量消費へのアンチテーゼとして、環境や社会に配慮した商品を選ぶ「エシカル消費」が、特に若年層を中心に世界的な潮流となっています。

欧米では、D2C(Direct to Consumer)ブランドが牽引役となり、独自のストーリーを持った商品が高い支持を得ています。
例としては、廃棄されるはずだったリンゴの皮から作られたヴィーガンレザーのバッグや、海洋プラスチックをリサイクルしたスニーカーなどが、一般的な製品よりも高価格帯でありながら熱狂的なファンを獲得しています。

日本には古来より「もったいない」の精神が根付いており、エシカル消費との親和性は非常に高いといえます。
また、消費者の環境意識の高まりを受け、大手百貨店やセレクトショップもエシカル商品の取り扱いを強化しており、販路拡大のチャンスが広がっています。

こうしたビジネスを考えるうえでは、単に「環境にいい」だけでなく、日本独自の地域課題や伝統文化と結びつけることで、より強い共感を呼ぶことができます。
国内の規格外野菜を活用した加工食品や、伝統工芸品の製作過程で出る端材を再利用したアクセサリーなど、日本ならではのストーリーを付加することが差別化につながります。

その4:ゴーストキッチン(ブランドライセンス型)

実店舗を持たず、デリバリー専門で料理を提供する「ゴーストキッチン」は、コロナ禍を経て新たなフェーズに入っています。

自社でメニュー開発から調理まで行う従来の型に加え、人気飲食店のブランドとレシピを借り受け、調理と配達のみを代行する「ブランドライセンス型」が急成長しています。
これにより、有名店はリスクなく商圏を拡大でき、実働部隊となるキッチン側は集客力のあるメニューを即座に導入できます。

日本の飲食業界は競争が激しく、小規模店舗の多くが売上確保に苦心しています。
既存の厨房設備とスタッフを活用し、客足の少ない時間帯に人気デリバリーブランドのメニューを提供できれば、新たな収益源として大きな期待が見込めます。

また、日本では「専門店の味」に対する信頼が厚いため、何でも扱う総合キッチンよりも、唐揚げやカレー、韓国料理など特定のジャンルに特化したブランド展開が有効でしょう。
地方都市においては、都心の有名店の味を自宅で楽しめるという体験自体も高い付加価値となります。

その5:フェムテック ・メンズ美容(悩み特化型)

人には相談しづらい身体の悩みをテクノロジーで解決するサービスは、個人のプライバシー意識が高い現代において急速に需要が拡大しています。

女性特有の健康課題(生理、妊娠・不妊、更年期など)に対応する「フェムテック」市場は、2025年には世界で5兆円規模に達すると予測されています。

参考:経済産業省のフェムテック推進について|経済産業省(PDF)

また、男性向けのスキンケアやAGA(男性型脱毛症)治療といったメンズ美容市場も、身だしなみ意識の向上とともに成長を続けています。

日本はデリケートな悩みを対面で相談することに抵抗を感じる人が少なくありません。
そのため、オンライン診療やチャット相談、自宅で完結する検査キットといった非対面サービスの受容性が非常に高く、潜在的なニーズは巨大です。

日本でのローカライズ戦略においては、ターゲットの悩みを極限まで細分化し、専門性を高めることが重要です。
漠然とした「女性の健康相談」ではなく「更年期障害に悩む管理職女性のためのオンライン漢方相談」、単なる「メンズコスメ」ではなく「30代営業職男性のためのニキビあとケア専門サービス」のように、具体的なペルソナを設定することで、ユーザーに強く刺さるサービスとなります。

海外アイデアが日本で失敗する理由|「ローカライズ」の3つの壁

「海外で大流行しているから、日本でも絶対に流行るはずだ」と信じて持ち込まれるビジネスは数多くありますが、実際にはその多くが途中で事業を取りやめています。

海外のアイデアが日本で失敗する最大の原因は、日本の市場環境に合わせてビジネスモデルを最適化する「ローカライズ」が出来ていない点にあります。

日本でローカライズを行う際には、主に以下の3つの「壁」があります。

3つの「壁」

  1. 文化・習慣の壁(顧客ニーズのズレ)
  2. 法律・規制の壁(許認可の問題)
  3. コスト構造の壁(利益が出ない)

ここでは、海外アイデアを日本で実現する際に直面する「3つの壁」の詳しい内容と、その乗り越え方を解説します。

その1:文化・習慣の壁(顧客ニーズのズレ)

海外では合理的なサービスとして定着していても、日本の独自の文化や心理的ハードルによって、アイデア自体が受け入れられないことがあります。

たとえば、海外では「ベビーシッター」や「家事代行」などのマッチングサービスが一般にも浸透しています。
欧米では「時間を買う」合理的な手段ですが、日本では「家事は家族がすべき」という古くからの価値観や「見知らぬ他人をプライベートな空間に入れる」ことへの強い心理的抵抗が存在します。
この文化的な壁を見誤ると、どれだけ便利なアプリやサービスを作っても、需要が拡大しないという事態に陥ります。

ビジネスのローカライズを考えるときには、「便利さ」だけを訴求するのではなく、その国の文化的な不安や、ときには罪悪感を解消するアプローチが必要です。
家事代行であれば「プロに頼む=贅沢・手抜き」ではなく、「プロの技術で家族の時間を守る=賢い選択」というように、サービスが持つ意味を日本向けに再定義する工夫が求められます。

その2:法律・規制の壁(許認可の問題)

海外では自由に展開できるビジネスモデルが、日本では厳格な法律や規制によって実行不可能、または大幅な変更が必要となるケースは非常に多いです。

たとえば、米国などで普及しているライドシェアは、一般のドライバーが自身の自家用車(白ナンバー)を使い、プラットフォームを通じて有償で乗客を送迎するモデルが主流です。
こうしたサービスは世界各国で急速な広がりを見せていますが、日本ではこの行為は「白タク行為」として道路運送法により原則禁止されています。

2024年4月、日本でも「日本版ライドシェア」が解禁されたものの、これはあくまで既存のタクシー会社が運行管理主体となることが前提となっています。
ライドシェアの内容としても、タクシーが不足する地域・時間帯にのみ送迎が許可されており、自家用車での有償送迎を原則禁止する道路運送法の大枠は変わっていません。

参考:日本版ライドシェア(自家用車活用事業)関係情報|国土交通省

このように、海外での成功体験だけを頼りに事業計画を立てると、日本市場に参入する段階で「法律の壁」に阻まれ、事業モデルの根本的な変更を余儀なくされるケースがあります。

こうした事態を防止するためには、事前に弁護士や行政書士など、法務・許認可の専門家によるリーガルチェックを受けることが不可欠です。

その3:コスト構造の壁(利益が出ない)

海外の成功モデルをそのまま日本に持ち込んだ際、特に陥りやすい罠が「コスト計算」の見誤りです。

新興国などの一部のビジネスは、日本と比較して極端に安い人件費や低い広告単価、あるいは広大な土地を前提とした安価な家賃によって成り立っています。
こうしたサービスを日本でそのまま提供しようとすると、必要な経費が本来のモデルの数倍となり、いくら売上があっても利益が残らない構造に陥ってしまいます。

ローカライズの際には、海外の収支モデルを鵜呑みにせず、日本の市場価格に基づいた精緻な収支シミュレーションを作成することが絶対条件です。
特に人件費は、単なる時給だけでなく、社会保険料(会社負担分として給与の約15%が上乗せされる)も忘れずに計算に入れましょう。

アイデアを「日本で小さく試す」90日間MVP検証ステップ

ローカライズの3つの壁の存在を認識したうえで、次に行うべきは「検証」です。
海外のアイデアを日本で事業化する際、いきなり多額の初期投資を投じてしまうと、いざ失敗してしまった場合に、数百万円単位の損失を抱えて撤退することになりかねません。

そこで、そのアイデアが日本市場で本当に通用するのかを、最小限のコストと時間で検証する「MVP(Minimum Viable Product)」を行います。
ここでは、約90日間でMVPを行うための「仮説・検証・判定」の3ステップを解説します。

ステップ1:仮説(1〜30日目)

最初の30日間は、アイデアを実行に移す前の「設計図」を作成する期間です。
この段階で立てる仮説の精度が、残り60日間の検証の質を大きく左右します。

30日間で行うアウトプット 具体的な定義内容 なぜ必要か
ペルソナ(顧客像)の設定 誰の、どんな課題を解決するかを定義する ペルソナの定義が曖昧だと、後の集客(広告)コストが膨大になるため
競合の絞り込みと弱点の把握 ペルソナが現在利用している日本国内のサービスを把握し、それらがカバーしきれていない弱点を見つける 競合の「不満点」こそが、新規参入の最大の突破口となるため
セールスポイントの選定 自分のサービスの具体的なセールスポイントを定める 最も重要な部分を認識し、的確に検証を行うため
主要KPI(重要業績評価指標)の設定 なにをもって成功とするかの数値目標を立てる 競合の不満点を解決したとして、本当にユーザーからの評価につながるのかを確認し、最終的な事業の成功確率を判定するため

この段階で重要なのは、「誰の、どんな課題を解決するのか」を日本市場に合わせて明確にすることです。
たとえば、海外で「20代全般」に人気のサービスであっても、日本展開を考える際には、「東京都心在住・共働き・世帯年収800万円以上の30代夫婦」といったレベルまで、ペルソナ(顧客像)を具体化します。

次に、そのペルソナが現在どのように課題を解決しているのか、すなわち「日本国内の競合」や「代替サービス」を徹底的に分析します。
たとえばゴーストキッチンを開業する場合、競合にはほかのデリバリーサービス、近隣のコンビニ、惣菜店などが含まれます。

これらの分析に基づき、

  • 検証すべき最小限の価値(セールスポイント)
  • 成功の定義(KPI)

を明確に数値で定めます。

ここでいう成功の定義とは、「何を達成できたらこのテストは成功といえるのか」を示す具体的な目標値のことです。

たとえばテスト用のWebサイトを作った場合、ユーザーが「購入ボタンを押す」「予約する」「資料を請求する」といった行動を取れば、そのアイデアには一定の魅力があると判断できます。
そして、「Webサイトを訪れた人のうち、何%がその行動を取ったか(=転換率)」を、成功の目標として設定するのが一般的です。

このステップは、感覚ではなくデータに基づいて見込みを立てる、事業計画の基礎工事といえる部分です。

ステップ2:検証(31〜60日目)

ステップ1で立てた仮説に基づき、日本市場に「お試しサービス(MVP)」を投入するフェーズです。

ここで重要なのは、完璧な製品や店舗をいきなり作ることではありません。最小限のコストで顧客の反応を得ることに集中します。

「自分が想定したペルソナや競合の弱みを補うサービスに対し、本当にユーザーが反応してくれるのか?」を確かめるのが、このステップでの目的です。

たとえば、ニッチ特化型EC(エシカル)であれば、在庫リスクを抱えて商品を仕入れる必要はありません。
簡易なECプラットフォームを使い、予約販売やクラウドファンディングの形式で出品します。
これにより、顧客には納期を明示したうえで注文を受け付け、「そのコンセプト(ストーリー)にお金を払う顧客が日本に実在するか」を、仕入れコストゼロで検証できます。

このような方法で得られた実際の顧客の声や広告の反応率は、事業計画を補強する強力な「一次データ」となります。

ステップ3:判定(61〜90日目)

検証フェーズで得られた「一次データ」を、ステップ1で設定した「主要KPI(成功の定義)」と照らし合わせ、冷静に判定を下すフェーズです。

ここで見るべきは「短期的に儲かったか」ではなく、「仮説が正しかったか」です。

もし設定したKPIを達成、またはそれに近い数字が出て、顧客からのフィードバックも良好だった場合、仮説は正しかったと判断できます。
この段階で初めて、本格的な会社設立やシステム開発を検討しましょう。

KPIは未達だったが、想定していなかった特定の顧客層からは非常に高い反応が得られることもあります。
これは「アイデアはいいが、ターゲットがズレていた」可能性を示します。
この場合は、ターゲットや訴求方法を修正し、再度ステップ1に戻って仮説を練り直します。

KPIを大幅に下回り、顧客からの反応も皆無だった場合は、そのアイデアが日本市場の「3つの壁」を越えられなかったことを示しています。
多額の投資をする前に撤退を判断することも、損失を最小限に抑えるための重要な経営判断です。

「個人事業主」と「会社設立」どちらを選ぶ?最適な形態と判断のタイミング

MVP検証の段階をクリアし、いよいよ事業をスタートさせる際に「個人事業主」として始めるか、それとも「法人(会社)」を設立するかは、最初の大きな分岐点です。

どちらを選ぶかによって必要な資金額や将来的な税負担、社会的信用の大きさなどが変わってきます。

ここでは両方の形態を詳しく比較・解説し、起業家それぞれの事業にとって最適な選択はどちらか、判断するための材料を提供します。

なお、より詳しく個人事業主と会社設立の違いについて知りたいという方は、以下の記事をご確認ください。

「個人事業主」でスタートするメリットと注意点

まずは副業として、あるいは小規模で事業を開始する場合、個人事業主は最も合理的で迅速な選択肢です。
会社設立と比較して、個人事業主には開業の手軽さやコスト面で大きなメリットがあります。
一方で、事業規模が大きくなるにつれて、税負担や社会的信用、事業リスクの面で、法人とは異なる注意点も存在します。

メリット 詳細と専門家の視点
開業の手軽さ 会社設立が約20万円の実費(株式会社の場合)を要するのに対し、個人事業主は税務署に「開業届」を提出するだけで起業が可能
会計処理の簡便さ 法人税の申告は非常に複雑で、税理士の介入がほぼ必須
一方で個人事業主の確定申告は、会計ソフトを利用すれば、自身での対応も可能
青色申告特別控除 「青色申告承認申請書」を提出し、複式簿記で記帳すれば、最大65万円の「青色申告特別控除」を受けられる
(課税対象額を圧縮できる個人事業主特有の制度)
利益処分(資金)の自由度 個人事業主の場合、事業で得た利益は、そのまま事業主個人の生活費として自由に使用できる
法人のように「役員報酬」として設定したり、「株主総会」を開いて配当する必要はない

一方で、個人事業主には、事業規模が大きくなるにつれて無視できないデメリットも存在します。

注意点(デメリット) 詳細と専門家の視点
高所得時の税負担 個人事業主の所得税は「累進課税」を採用しており、所得が増えるほど税率が上がる(最大45%)
法人税は税率が一定(約23%前後)。
社会的信用の低さ 海外アイデアのローカライズには、国内の有力な仕入先や開発会社が必要な場合がある
取引先によっては「法人格」がなければ契約を結べないケースもある
また、金融機関からの融資においても、一般的に法人の方が高い評価を受けやすい
無限責任 株式会社や合同会社の社員が「有限責任」(出資額の範囲内での責任)であるのに対し、個人事業主は「無限責任」となる
事業が失敗して多額の負債を抱えた場合、個人事業主は事業資金だけでなく、自宅や預貯金などの個人財産をもって返済する義務を負う

「会社設立」を選ぶメリットと注意点

会社設立には、社会的信用の獲得や将来的な税負担の軽減など、個人事業主にはない多くのメリットがあります。
その一方で、設立コストや維持義務といった注意点も存在するため、双方を正確に比較検討することが重要です。

メリット 詳細と専門家の視点
高所得時の税負担軽減 個人の所得税は所得が上がるほど税率も上昇する(住民税と合わせ最大55%)
一方、法人税率はほぼ一定(実効税率 約23%〜34%)。
一般的に、課税所得が年間500万円を超えると、法人を設立したほうが、トータルの税負担を低く抑えられる可能性が高くなる
社会的信用の獲得 法人格は、取引先や金融機関に対する強力な信用になる
融資などを受ける際には、個人事業主よりも審査がスムーズに進む傾向がある
大手企業との取引では「法人でなければ契約不可」という与信基準が設けられていることも少なくない
有限責任 個人事業主とは異なり、株式会社や合同会社の社員(出資者)は「有限責任」となる
事業が失敗し負債を抱えた場合でも、出資者の責任は原則として「出資した金額の範囲内」に限定される
個人の財産を失うリスクを回避できるため、積極的な事業展開や融資が可能になる
経費計上範囲の拡大 会社(法人)として契約することで、個人事業主では認められにくい支出を経費として計上できる幅が広がる
自宅兼事務所の家賃や出張時の日当などを、税法上の要件を満たすことで経費として処理し、会社の利益を圧縮することが可能になる
注意点(デメリット) 詳細と専門家の視点
設立と維持のコスト 株式会社の設立には、定款認証や登記免許税などで約20万円の実費が必要
また、事業が赤字であっても毎年発生する「法人住民税の均等割(年間約7万円)」の納付義務がある
会計・法務の複雑さ 法人税の申告書作成は極めて複雑であり、税理士への依頼がほぼ必須
また、役員変更や本店移転の際には、法務局への「変更登記」が義務付けられており、法的な手続きが常に伴う
資金の制約 個人事業主のように「会社の利益=自分の生活費」として自由に資金を引き出すことはできない
会社のお金と個人のお金は厳密に区別され、経営者は「役員報酬」として給与を受け取る必要がある
社会保険の加入義務 従業員を雇用しなくても、代表1名の法人であれば、原則として健康保険・厚生年金保険(社会保険)への加入が義務付けられる
保険料は会社と個人で折半して負担するため、個人事業主の国民健康保険・国民年金と比較して、コストは増加する

判断に迷ったら:税理士に相談するタイミング

個人事業主と会社設立のどちらでスタートすべきかは、事業の今後を左右する重要な経営判断です。

以下の項目に1つでも当てはまる場合は、自己判断で進める前に、一度は税理士の無料相談の利用をおすすめします。

  • 日本政策金融公庫などから融資を受けたい
  • 年間の課税所得が500万円を超える見込みが立った
  • 取引先や提携先から「会社でなければ契約できない」と打診された
  • 人を雇用して給与を支払う必要が出てきた

また、起業に関する相談は、国や自治体などが運営する起業家支援機関でも受けられます。

詳しい相談内容や相談先の選び方については、以下の記事をご確認ください。

アイデア実現のためにも「士業グループ」に相談しよう

有望な海外のアイデアを発見し、それを日本向けにローカライズする見通しが立ったとしても、実際に起業するためにはいくつもの壁があります。

そのビジネスモデルが日本の法律上で問題なく実行できるのか、あるいは何らかの許認可が必要なのかについては、弁護士や行政書士のチェックが必要です。
また、人を雇うのであれば労働契約や社会保険の手続きについて、社会保険労務士の助けが必要になります。
さらに、事業を本格化させるための会社設立(法人登記)は司法書士の領域であり、資金調達(融資)や日々の税務は税理士の専門分野です。

海外アイデアのローカライズは、このように複数の士業の専門領域が複雑に絡み合います。
これに対応するため、専門家を個別に探していると、膨大な時間と労力がかかってしまいます。

もし海外のアイデアをもとにした起業を考えているのであれば、すべての専門家がワンストップで連携している「士業グループ」への相談をおすすめします。

ベンチャーサポート税理士法人では、個人事業主の方へ向けた税務や確定申告、会社の設立・運営に関する無料相談を実施しています。

税理士だけでなく行政書士や司法書士、社労士、弁護士などさまざまな士業が在籍しているため、複雑な内容の案件にもワンストップで対応が可能です。
契約を結ぶかはお任せしており、実際にご相談いただいた方のうち4割ほどは、無料相談だけの利用となっております。

レスポンスの速さにも定評があるため、初めての方もお気軽にご相談ください。

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会社設立の手続き

会社設立の手続きは、設立内容の決定から始まり、事業目的のチェック、定款認証、出資金の払い込み、法務局への登記申請を行います。株式会社の設立、合同会社の設立立手続きの基本的な流れを知り、スームーズに手続を行えるにしましょう。

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会社設立内容の決定

会社設立で決めるべき項目について見ていきます。ここで決める内容は定款を作成する際に必要な事柄です。それぞれの項目についての留意点を確認して、会社設立後に問題の起きない内容にしておきましょう。

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会社設立の費用

会社設立にかかる費用は株式会社か合同会社かといった会社の種類によって変わってきます。会社設立にかかる実費と専門家に依頼した場合の費用(報酬)について見ていきます。

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会社設立全知識

起業

起業する人たちの多くは、自分の起業に関して試行錯誤した上で、会社設立のスタート地点まで辿り着いています。起業するに際しての心構え、注意すべき点を確認していきます。

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会社設立全知識

会社設立時には設立後の資金調達や税金・会計のこと、許可申請や今後の事業展開を想定した対応も求められてきます。会社設立時には色々なことを検討していかなければなりませんが、事業展望を明確にしていくよい機会となります。確認すべき事項をみていきましょう。

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節税、確定申告、税務調査

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