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最終更新日:2025/5/16

特別受益とは?生前贈与の持ち戻しをする際の遺産相続の計算方法などを解説!

田中 千尋 (司法書士)
この記事の執筆者 司法書士 田中千尋

ベンチャーサポート司法書士法人 司法書士 昭和62年生まれ、香川県出身。

相続登記や民事信託、成年後見人、遺言の業務に従事。相続の相談の中にはどこに何を相談していいかわからないといった方も多く、ご相談者様に親身になって相談をお受けさせていただいております。

PROFILE:https://vs-group.jp/sozokuzei/profiletakana/

この記事でわかること

  • 特別受益とは、亡くなった方の「生前贈与」や「遺言」で相続人が受け取った財産のこと
  • 特別受益があるときは、公平に遺産分割をするために工夫が必要になる
  • 特別受益をめぐるトラブルを回避するには、「遺言書」の作成が有効

「姉だけ、親の生前に多額の援助を受けていたらしい……」

このように、相続人が生前贈与などで故人から受け取った財産のことを「特別受益」といい、相続トラブルの種となることが多いです。

本記事では、まず「どのようなものが特別受益にあたるのか」を確認したうえで、相続への影響やトラブルを防ぐための対処法をお伝えします。

なお、ベンチャーサポート相続税理士法人では、特別受益に関するご相談を無料で承っております。お困りのことがあれば、下記からお気軽にご連絡ください。

▼特別受益については、下記の動画でもお伝えしています。

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特別受益(とくべつじゅえき)とは?

「特別受益」とは、亡くなった方(被相続人)による「生前贈与」や「遺贈」によって、相続人が受け取った財産のことを指します。

ポイント 概要
対象者 ・原則として「相続人」のみ
・相続人以外への贈与は、基本的に対象外
対象となる行為 ・遺贈(遺言による贈与)
・一定の生前贈与(婚姻・養子縁組のためや、生計の資本として渡されたもの)

たとえば、「父親の生前、姉だけが結婚資金として多額のお金を受け取っていた」ようなケースが、特別受益に該当します。

父親から結婚資金を受け取る姉のイメージ

相続人に特別受益を受けた人がいる場合は、その財産を相続財産に持ち戻して、公平な分割を目指します。

相続財産に特別受益を持ち戻すイメージ

まずは、具体的にどのようなケースが特別受益にあたるのか、詳しく見ていきましょう。

【一覧表】特別受益にあたるケース・あたらないケース

「何が特別受益にあたるか?」については明確な線引きが難しく、下記の要素から総合的に判断されることになります。

特別受益の判断要素

  • 贈与の目的
  • 贈与した金額
  • 被相続人の資産状況
  • ほかの相続人とのバランス など

下表では、よくあるケースについて、特別受益に該当する可能性の「一般的な目安」をまとめました。

ケース 該当の
可能性
概要
遺贈 相続人への遺贈は、原則として特別受益になる※1
住宅の購入資金・不動産の贈与 生活の基盤となる「住居」に関する援助は該当しやすい※1
事業の開業資金・運転資金 相続人の独立した生計の基盤を作るための援助は該当しやすい
婚姻・養子縁組の持参金・支度金 通常の結納金や挙式費用は特別受益にあたらないが、それを超える多額の援助は該当しやすい
大学などの高等教育の学費 被相続人の資産や社会的地位などを考慮して個別に判断される
生命保険金・死亡退職金 原則として受取人固有の財産とされ、特別受益にはあたらない※2
扶養義務の範囲内での生活費の援助 親族間の通常の扶養として行われる援助(一般的な生活費、お小遣い程度)は該当しない
※1
婚姻期間20年以上の配偶者への居住用の不動産の贈与は、「持ち戻し免除の意思表示」があったものと推定される
※2
保険金額が遺産総額に対して著しく多いなど、相続人のなかで極端な不公平が生じる場合は、例外的に特別受益だと認められる可能性がある

ただし、上記の表は一般的な傾向を示したものにすぎません。

ご自身のケースが特別受益に該当するかどうかの最終的な判断は、個別の事情によって結果が大きく異なります。

実際の相続で特別受益が問題になったときには、相続専門の弁護士に相談することをおすすめします。

特別受益があるときの遺産分割の方法

相続人のなかに特別受益を受けた人(特別受益者)がいる場合、法定相続分に従った遺産分割をするためには、次の3ステップを踏みます。

遺産分割の流れ

  1. 遺産に特別受益を「持ち戻す」
  2. 遺産+特別受益を「法定相続分」で分ける
  3. 特別受益者の取り分から該当額を「差し引く」

ここでは、以下のケースを想定して、具体的な遺産分割の流れを見ていきましょう。

事例

  • 被相続人:父親
  • 相続人:長男と長女の2名(母親はすでに他界)
  • 相続開始時の遺産:預貯金 5,000万円
  • 長男が受けた援助:父親の生前に、マイホーム購入資金として1,000万円の贈与(特別受益)を受けていた
  • 長女が受けた援助:父親の生前に特別な援助は受けていない

遺産分割の事例の家族構成図

ステップ1. 遺産に特別受益を「持ち戻す」

まずは、相続開始時の遺産の価額に、特別受益として認められる「生前贈与」や「遺贈」の価額を加えます。

このときに加算する特別受益の価額は、原則として「相続開始時」の価額で評価します。

遺産に特別受益を持ち戻す計算式のイメージ

ステップ2. 遺産+特別受益を「法定相続分」で分ける

次に、ステップ1で足し合わせた財産の総額を、各相続人の法定相続分で分割します。

これにより、各相続人が本来受け取るべきだった相続分の価額が算出されます。

法定相続分で分割するイメージ

ステップ3. 特別受益者の取り分から該当額を「差し引く」

最後に、特別受益を受けていた相続人については、ステップ2で算出した取得額から、その人が受けた特別受益の価額を差し引きます。

なお、特別受益を受けていない相続人は、ステップ2で算出した金額をそのまま取得します。

特別受益者の取り分から差し引く計算式のイメージ

特別受益のトラブルを回避するには「遺言書」が有効

特別受益に関する相続トラブルを防ぐための最も効果的な対策は、被相続人が生前に「遺言書」を作成しておくことです。

遺言書のイメージ

下記のポイントを押さえて遺言書を作成することで、各相続人は遺産分割の方法に納得しやすくなります。

ポイント 概要
財産の分割方法とその理由を記す ・誰にどの財産を相続させるかを具体的に指定する
・「なぜそのような分割方法にしたのか」という理由を付言事項として書き添えることも可能
・理由を伝えることで、相続人の納得感を得やすくなり、感情的な対立を和らげられる
持ち戻し免除の意思表示をする ・特定の相続人への生前贈与や遺贈について、「これは特別受益として遺産に持ち戻さなくてよい」という意思を明確に記載するのもおすすめ
・これにより、遺産分割に特別受益を考慮する必要がなくなる
・なお、婚姻期間20年以上の夫婦間で、居住用不動産の遺贈や贈与があった場合は、特別な意思表示がなくても「持ち戻し免除の意思表示があったもの」と推定される
遺留分に配慮する ・遺言書の内容が、相続人の遺留分を侵害していないか必ず確認する
・遺留分の侵害があると、後に遺留分侵害額請求をされて、かえって大きなトラブルになる
・なお、遺留分侵害額を計算する際に考慮される生前贈与は、「相続人に対するもの」は原則として相続開始前10年間のものに限定される

遺言書については、下記の記事で詳しくお伝えしています。

特別受益に関するよくある質問

最後に、特別受益に関してよくある質問にお答えします。

Q1. 相続財産への持ち戻しに「時効」はある?

時効はありません

何年前の贈与であっても、特別受益と認められるものがあれば、相続財産に持ち戻して遺産分割をしなければなりません。

ただし、古い贈与ほど「証拠の確保」や「価額の評価」が難しくなるという現実的な問題があります。

なお、「相続を開始してから10年経過後」に遺産分割をする場合は、基本的に特別受益を主張できなくなります。

Q2. 特別受益を主張するには、どのような証拠が必要?

特別受益があったことを主張する側は、証拠を提出して証明する責任を負います。

その証拠となり得るものの例は、下記のとおりです。

証拠の具体例

  • 贈与契約書
  • 預金通帳のコピー
  • 銀行の取引明細書
  • 登記事項証明書(登記簿謄本)
  • 固定資産税納税通知書 など

Q3. 特別受益をめぐるトラブルが発生した際の解決方法は?

特別受益をめぐって相続人同士で意見が対立し、遺産分割協議がまとまらないのであれば、家庭裁判所への調停の申立てを検討しましょう。

調停では、中立な立場の調停委員が間に入り、話し合いによる合意を目指していきます。

調停でも合意できない場合には「審判」の手続きに移り、裁判官の判断で分割方法を決められます。

Q4. 特別受益と「寄与分」の違いは?

寄与分とは、被相続人の財産の維持・増加に貢献した相続人の取り分を増やすことです。

特別受益と寄与分は、両方とも「遺産の取得分を調整する」ものですが、下記のような違いがあります。

特別受益 寄与分
生前贈与や遺贈など、相続人が「多めにもらった分」を減額調整する 介護などをした相続人の貢献を評価して、「上乗せすべき分」を増額調整する

Q5. 特別受益は「相続税」にも影響がある?

特別受益を受けた相続人がいると、相続税には下記のような影響があります。

影響 概要
税額が増える ・特別受益とされる生前贈与は、相続税を計算するうえで「遺産総額」に加算される可能性がある
・遺産総額が増えると、基本的に相続税も増額となる
各相続人の取得財産が変動する ・特別受益を遺産に持ち戻して分割した結果、相続人の取得割合が変わり、各人が負担する相続税額も変動する

Q6. 相続放棄したら特別受益はどうなる?

相続放棄をした人は、「はじめから相続人でなかった」とみなされます。

このため、特別受益を受けていたとしても、その財産は遺産分割の対象から外れます

ただし、相続放棄をしても、受けた贈与自体が無効になるわけではありません。

ほかの相続人の遺留分を侵害している場合、遺留分侵害額請求を受ける可能性は残ります。

特別受益で困ったら、すぐに専門家へ相談!

この記事では、特別受益の基本的な考え方や遺産分割の方法などを紹介しました。

特別受益を受けた相続人がいると、相続トラブルにつながりやすいです。そのため、特別受益に関連したお悩みや疑問があれば、なるべく早めに専門家に相談しましょう。

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