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最終更新日:2026/7/29

相続人代表者指定届とは?届け出をする理由や手続きの流れ等を詳しく解説

本間 剛 (行政書士)
この記事の執筆者 行政書士 本間剛

VSG行政書士法人 代表行政書士。山形県出身。

はじめて相続を経験する方にとって、相続手続きはとても難しく煩雑です。多くの書類を作成し、色々な役所や金融機関などを回らなければなりません。専門家としてご家族皆様の負担と不安をなくし、幸せで安心した相続になるお手伝いを致します。

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相続人代表者指定届とは?届け出をする理由や手続きの流れ等を詳しく解説

記事の要約

  • 「相続人代表者指定届」とは、地方税の納税義務者が亡くなった際に相続人が複数人いる場合、納税通知書等を受け取る代表者を指定するための届出書
  • 相続人の代表者になったという事実だけで、「単独で納税義務を負う」ような不利益を被ることはない
  • 相続人代表者指定届を提出しても、不動産等の名義が変わるわけではない点に注意する

不動産を所有していた人が亡くなり、その不動産を相続等で相続人が取得する場合、「相続人代表者指定届」を提出することがあります。

「相続人代表者指定届」は、地方税の納税義務者が亡くなったとき、複数の相続人がいる場合であれば、納税通知書を受け取る代表者を指定するために使用されます。

この記事では、相続人代表者指定届の概要から、相続人代表者指定届の書き方や手続きの流れ等を詳しく解説します。

相続人代表者指定届とは

被相続人が亡くなって相続が発生したとき、相続人の一人に「相続人代表者指定届の提出について」という通知や、相続人代表者指定届そのものが届くことがあります。

「相続人代表者指定届」とは、地方税の納税義務者が亡くなった際に相続人が2人以上いる場合、税金の納税通知書等を受け取る代表者を指定するための届出書です。

亡くなった納税義務者の相続人のうち一人を代表者として選んだうえで、「相続人代表者指定届」に必要事項を記載し、自治体が指定する添付書類がある場合はあわせて提出します。

ここからは、相続人代表者指定届の概要について、以下の順で詳しく解説していきます。

相続人代表者指定届の概要

  • なぜ「相続人代表者指定届」が届くのか
  • 提出しないとどうなるのか
  • 代表者になる法的なデメリットはあるのか
  • 提出で不動産等の名義が変わるわけではない

なぜ「相続人代表者指定届」が送付されるのか

相続人代表者指定届(もしくは案内)の送付先は自治体ごとに異なりますが、「被相続人が所有していた不動産に住んでいる相続人」、「被相続人と同じ市区町村内に住んでいる相続人」「死亡届を提出した相続人」などが挙げられます。

届くタイミングは自治体によって差がある

相続人代表者指定届(もしくは案内)が届くタイミングは自治体によって異なります。

また、その時々の事務処理の混雑状況にも左右されるため、相続開始から半年以上経ってから届く場合もあります。

「相続人代表者指定届」が送付される理由は、納税義務者が亡くなった際に複数の相続人がいる場合、市区町村が納税通知書などの送付先を明確にするためです。

市区町村から届く納税通知書の種類

  • 固定資産税、都市計画税
  • 住民税(市民税・県民税)
  • 軽自動車税

たとえば、固定資産税は毎年1月1日時点の不動産所有者に課されますが、その年の途中で所有者が亡くなった場合、納税義務は相続人に引き継がれます。

主な地方税の課税基準日
税目 課税の基準日
固定資産税・都市計画税 1月1日
住民税(市民税・県民税) 1月1日
軽自動車税 4月1日

そのため、納税義務者が亡くなった際に相続人が複数いる場合には、相続人の中から代表者を立て、納税通知書等の送付先を明確にする必要があるのです。

提出しないとどうなるのか

相続人代表者指定届は、市税に関する書類の送付先を指定するためのものであり、提出しなくても法的なペナルティがあるわけではありません

自治体ごとに提出期限が設けられているケースに注意する

相続人代表者指定届には、法的な提出期限が定められているわけではありません。

しかし、自治体ごとに提出期限が設けられている場合があるため、注意が必要です。

しかしながら、「通知書の存在を把握できずに納付期限を過ぎてしまう」など、提出しないことで実務上の不利益が発生してしまう可能性があります。

相続人から相続人代表者指定届の提出がない場合、自治体は独自の判断で相続人の中から代表者を指定し、納税通知書を送付することがあります。

たとえば、自治体に指定された相続人が他の相続人と疎遠な関係にある場合、納税通知書が届いた事実が共有されず、税金の納付が期限までに間に合わなくなるかもしれません。

税金を滞納してしまった場合、納期限の翌日から完納の日までの日数に応じて計算された延滞金を、本税に加算する形で納付しなければなりません

こうしたリスクを避けるためにも、自治体から届出書(または案内)が送付されてきた場合は、速やかに記入と返送を行いましょう。

「固定資産現所有者申告書」が一体の場合は注意

自治体によっては、相続人代表者指定届が「固定資産現所有者申告書」と一体の様式になっている場合があります。

「固定資産現所有者申告書」は、その不動産が所在する自治体へ提出するという点では相続人代表者指定届と同じです。

ただし、こちらは期限内に正当な理由なく申告しなかった場合、自治体の条例に基づき10万円以下の過料が科される可能性があります。

なお、固定資産現所有者申告書を提出したとしても、不動産登記簿の名義が変更されることはありません。法務局での「相続登記」が別途必要です。

代表者になる法的なデメリットはあるのか

相続人代表者になったという事実だけで、「単独で納税義務を負う」ような不利益を被ることはありません

指定届の提出によって相続人代表者に指定されたとしても、あくまで納税通知書等を受け取る「手続き上の代表者」に過ぎません。

地方税の納税義務そのものは、地方税法の規定により「相続人が2人以上いる場合は、その法定相続分に応じてあん分した額を納付する義務を負う」と定められています。

したがって、代表者が一人で全額を負担するわけではありません。

代表者が一時的に固定資産税などを立て替えた場合

代表者が一時的に固定資産税などを立て替えて支払った場合、その代表者は他の相続人に対して、「相続人それぞれの負担割合に応じた金額を請求する権利(求償権)」を持ちます。

各相続人に直接請求したり、遺産分割協議の際に他の遺産とまとめて清算したりすることで、立替分の清算を行いましょう。

なお、相続人代表者指定届を提出した後に他の相続人へ変更することも可能です。

多くの自治体では「相続人代表者指定(変更)届」として、変更用の書式が用意されてます。

提出後に代表者を変更したい場合は、各自治体の担当窓口(資産税課など)に相談しましょう。

地方税法 | e-Gov 法令検索より引用。

提出で不動産等の名義が変わるわけではない

相続人代表者指定届は、あくまで登記が完了するまでの間、納税通知書等の書類の送付先を一時的に指定するものです。

被相続人の不動産を取得していた場合は、法務局での「相続登記」が別途必要です。

相続開始年の年末までに相続登記が完了した場合は提出不要

相続が開始した年の12月31日までに相続登記が完了した場合、翌年以降の固定資産税の納税通知書は、登記によって名義を取得した相続人宛に送付されます。

この場合、相続人代表者指定届の提出は不要となるか、すでに提出されていても、相続登記時の内容が優先されます。

遺産分割協議などで不動産を取得する人を決めたうえで、その不動産の名義を亡くなった被相続人から実際に相続した人に変更する手続きを行わなければなりません。

2024年4月1日から相続登記は義務化されており、「不動産を相続したことを知った日から3年以内」に登記を申請しなければ、10万円以下の過料が科される可能性があります。

相続人代表者指定届を提出したら、遺言書がない場合は速やかに遺産分割協議を進め、相続登記の手続きに着手しましょう

軽自動車を取得していた場合も名義変更が必要

被相続人名義の軽自動車を取得していた場合も、所有者の名義を変更しなければなりません。

取得した相続人が、使用の本拠の位置を管轄する軽自動車検査協会の事務所・支所・分室で「変更があった日から15日以内」に行います。

相続人代表者指定届の書き方と手続きの流れ

相続人代表者指定届は、市区町村によって書式や提出方法が異なりますが、基本的な書き方や手続きの流れは共通しています。

ここでは、実際に届出書を手元に準備するところから、記入、そして提出までの一連の流れを、3つのステップで解説します。

相続人代表者指定届に関する手続きの流れ

  • STEP1:相続人代表者指定届を入手する
  • STEP2:相続人代表者指定届の各項目を記載する
  • STEP3:必要書類とともに提出する

STEP1:相続人代表者指定届を入手する

届出書の様式を入手する方法は、主に以下の2つがあります。

届出書の様式を入手する方法

市区町村の窓口で受領
市区町村役場の資産税課、または関連部署の窓口で直接受け取ることができます。
市区町村の公式ウェブサイトからダウンロード
市区町村の公式ウェブサイトの多くで、PDF形式の様式や記載例をダウンロードできます。

ただし、汎用テンプレートの様式が古い可能性があるため、必ず対象となる市区町村が提供する最新の公式様式を使用してください。

なお、「相続人代表者届出書」のように自治体によって届出書の名称が異なる場合や「相続人代表者指定届(兼固定資産現所有者申告書)」として、「固定資産現所有者申告書」と一体の様式になっているケースもあります。

STEP2:相続人代表者指定届の各項目を記載する

相続人代表者指定届兼固定資産現所有者申告書

相続人代表者指定届兼固定資産現所有者申告書

引用元 韮崎市

相続人代表者指定届の具体的な書式は各市区町村によって多少異なりますが、一般的に以下の情報が記載項目として求められます。

相続人代表者指定届の記載項目

1. 被相続人(亡くなった方)の情報
亡くなった方の氏名、死亡時の住所、死亡年月日を、戸籍謄本や住民票の除票などで確認しながら正確に記入します。
2. 届出人(相続人代表者)の情報
代表者となる方の氏名、住所、被相続人との続柄、日中に連絡の取れる電話番号などを記入します。

押印の要否は自治体や様式によって異なるため、届出書の注意書きを確認しましょう。
3. 他の共同相続人の情報
代表者以外の相続人や現所有者について、氏名、住所、被相続人との続柄などを記入します。

遺言などにより固定資産を取得する人が決まっている場合と、法定相続人全員を記入する場合とで、記載対象が異なることがあります。

なお、連署形式が求められる場合など、市区町村によって記載ルールが異なるケースもあります

二度手間を防ぐためにも、提出先の役所のウェブサイトを一度確認するか、資産税課に電話で問い合わせるなど、提出前に自治体のルールを確認しておくと安心です。

STEP3:必要書類とともに提出する

相続人代表者指定届の作成後は必要書類とともに、該当する税目を担当する市区町村の窓口へ提出します。

たとえば、被相続人が不動産を所有していた場合は、固定資産税・都市計画税の対象となる不動産が所在する市区町村の「固定資産税担当部署」へ提出します。

相続人代表者指定届の提出時の主な必要書類
必要書類の例 備考
相続人代表者指定届 記入済みの相続人代表者指定届を提出します。なお、押印の要否は自治体の様式に従います。
代表者の本人確認書類 運転免許証、マイナンバーカード、資格確認書などの本人確認書類を準備します。

※郵送時は写しを添付します。
相続関係を証明する書類 戸籍謄本、法定相続情報一覧図、遺産分割協議書、遺言書など

※自治体によって要否が異なるため、事前にウェブサイトで確認するか、電話で問い合わせると良いでしょう。

このとき、被相続人が異なる自治体にそれぞれ不動産等を所有していた場合、その自治体ごとに届出を提出する必要がありますのでご注意ください。

相続人代表者指定届の申請方法は、主に以下の3通りです。

相続人代表者指定届の主な申請方法

窓口で申請する
市区町村役場の開庁時間内に、資産税課などの担当窓口に届出書を持参して提出します。
郵送で申請する
記入済みの届出書を、指定された市区町村の担当部署宛に郵送します。
電子申請(オンライン申請)
一部の市区町村では、オンラインでの電子申請に対応しています。

この場合、マイナンバーカードを用いた本人認証が求められるケースもあるなど、対応状況は各市区町村によって異なるため、事前にウェブサイトで確認が必要です。

相続人代表者指定届に関するよくある質問

相続登記に関する疑問は相続専門の司法書士に相談しよう

この記事では、相続人代表者指定届の役割から具体的な書き方、そしてその後の手続きまで解説しました。

相続人代表者指定届を提出しなくても法的なペナルティがあるわけではありませんが、届出書が「固定資産現所有者申告書」と一体化している場合などは提出義務が生じるため、注意が必要です。

相続人代表者指定届の疑問をはじめ、相続登記に関する悩みが生じた場合は、相続専門の司法書士などへ相談することをおすすめします。

無料相談の場を設けているケースもあるため、ぜひご検討ください。

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