記事の要約
- 骨董品・美術品も相続税の課税対象で、1点の価額が5万円を超えるものは個別に評価が必要
- 評価方法に明確な決まりはなく、「同等品の相場・買取業者の査定額・専門家の鑑定額」などを参考にする
- 相続税の申告は、「価値の見当をつける→評価額を決める→分け方を決める→申告する」の流れで進める
骨董品や美術品は、相続税の課税対象になります。
申告をする際、骨董品・美術品の金額は、下記のような方法で評価することが一般的です。
- 同等品の販売価格を調べる
- 買取業者の査定額を参考にする
- 鑑定士・美術商に鑑定してもらう
また、骨董品・美術品を相続するときは、下記のような流れで手続きを進めます。
- 価値の見当をつける
- 骨董品・美術品の評価額を決める
- 遺産分割協議で分け方を決める
- 相続税を申告する
- 手放す方法を検討する
この記事では、骨董品・美術品の相続について、はじめての方にもわかりやすくお伝えしていきます。
なお、私たちVSG相続税理士法人では、相続に関するお悩みに無料でお答えしています。何かお困りのことがあれば、下記からお気軽にご連絡ください。
目次
骨董品・美術品も相続税の課税対象になる

故人が残した「骨董品」や「美術品」は、預貯金・不動産などと同じように相続税の課税対象になります。
具体的には、次のようなものが課税の対象です。
- 掛け軸
- 壺・陶磁器
- 茶道具
- 絵画
- 刀剣
- 古銭・切手のコレクション など
ちなみに、宝石や貴金属も同じように課税対象です。宝石・貴金属と相続税の関係については、下記の記事をご参照ください。
骨董品・美術品は、「評価額」によって相続税を申告するうえでの取り扱いが次のように異なります。
| 評価額 | 取り扱い |
|---|---|
| 5万円以下 | ほかの家具や家電とまとめて、「家財一式 50万円」など一括で評価額を計上できる |
| 5万円を超える | 1点ずつ個別に評価しなければならない |
つまり、明らかに価値が低い骨董品・美術品は、個別に評価する必要はなく、「家財一式」としてまとめて申告できます。
「家財一式」として評価するときの詳細は、下記の記事でお伝えしています。
一方、「5万円を超えるかもしれない品」があるときは、個別にどれほどの価値があるのか自分で調べなければなりません。
そこで以下では、骨董品・美術品を個別に評価する方法を見ていきます。
骨董品・美術品はどうやって評価する?

骨董品・美術品は、「相続開始時点(被相続人が亡くなった日)の時価」で評価します。
この「時価」について、国税庁のルールでは「実際の取引価格や、専門家の意見に基づく価格を参考にする」と定められているのみです。
つまり、「必ずこの方法で評価しなければならない」という明確な決まりはありません。
そこで、実務の現場では、次のような方法で評価することが一般的です。
| 方法 | 概要 |
|---|---|
| ① 同等品の販売価格を調べる | 作家名や品名で検索し、オークションサイトや販売業者のWebサイトで類似品の価格を調べる |
| ② 買取業者の査定額を参考にする | 骨董品・美術品専門の買取業者の査定を利用する |
| ③ 鑑定士・美術商に鑑定してもらう | 鑑定士や美術商に鑑定を依頼する |
上記のうち、価値が高そうな品物ほど「③鑑定士・美術商による鑑定」を選ぶことをおすすめします。
これは、数百万円クラスの品になると、後で税務署から「評価額が低すぎる」と判断されたときに、ペナルティとして課される税負担が重くなるからです。
このため、はじめから信用性の高い「鑑定士・美術商の鑑定額」で申告したほうが安全です。
骨董品・美術品を相続するときの流れ

ここからは、実際に骨董品・美術品を相続するときの流れを、次の5ステップでお伝えします。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ステップ1:価値の見当をつける

まずは、故人が残した骨董品・美術品らしきものについて、「鑑定に出すべき品なのか、家財一式に含めてよい品なのか」の見当をつけましょう。
「素人には価値なんてわからない」と思われるかもしれませんが、次のような手がかりをチェックすれば、ある程度の見当をつけられます。
| 手がかり | ポイント |
|---|---|
| 購入時の記録 | ■ 購入したときの領収書などが残っていないか確認する ■ 「父が数十万円で買ったと言っていた」などの家族の記憶も手がかりになる |
| 付属品 | ■ 箱や鑑定書があるか確認する ■ 価値のある品には付いていることが多い |
| 作家名 | ■ 銘や署名があれば、作家名で検索して市場価格が出てくるかを確認する |
| 同等品の相場 | ■ ネットオークションや買取業者のWebサイトで、類似品がいくらで取引されているかを調べる |
これらの手がかりを確認して、明らかに「5万円以下」と見込まれる品であれば、家財一式に含めて構いません。
一方、「5万円を超えるかもしれない」という品があったら、次のステップに進みましょう。
ステップ2:骨董品・美術品の評価額を決める

価値の見当をつけた結果、「5万円を超えそうだ」というものが残ったら、次はその品の評価額を決めます。
見当をつける段階で、同等品の相場を確認できた品であれば、その価格を評価額の根拠にすることもできます。
その場合は、検索結果を印刷するなどして、記録を残しておきましょう。
一方、相場が数百万円だったときや、自分では調べ切れなかったときは、専門の買取業者や美術商に査定を依頼することになります。
査定を依頼する業者を探すときは、「地名 + 品物の種類 + 査定」でWeb検索するのが手軽です。
たとえば、「横浜 掛け軸 査定」のように検索すると、その地域で対応してくれる業者が見つかります。
付属品について
付属品の有無によって、同じ品でも価格に差が出ることがあります。
査定が終わったら、評価額を必ず「書面」でもらってください。
ここで受け取った査定書は、後で相続税の申告をするときなどの根拠資料となります。
ステップ3:遺産分割協議で分け方を決める

骨董品・美術品の評価額がわかったら、相続人全員で「誰が引き継ぐのか」を話し合う、「遺産分割協議」を行います。
ここでは、査定でわかった評価額を基準に、ほかの財産とのバランスを取りながら、遺産の分け方を決めることになります。
たとえば、「長女が300万円の掛け軸を引き継ぐ代わりに、預貯金の取り分を減らす」といった調整が必要です。

また、欲しい人が誰もいないときは、売却して代金を分ける「換価分割」という方法もあります。

遺産分割協議の進め方は、下記の記事で詳しくお伝えしています。
ステップ4:相続税を申告する

故人が持っていた財産の総額によっては、相続税の申告が必要になります。
相続税申告が必要かどうかの判断方法は、下記の記事でお伝えしているので、併せてご覧ください。
相続税の計算をするうえで、骨董品・美術品の取り扱いは、次のとおり「品物の評価額」によって変わります。
| 評価額 | 申告の仕方 |
|---|---|
| 5万円以下 | 「家財一式」に含めて一括で計上する |
| 5万円を超える | 1点ずつ個別に評価額を計上する |
申告書を作成する際、骨董品・美術品の情報は「第11表の付表4」に記載することになります。
たとえば、「80万円の掛け軸」があったときの書き方は、下記のとおりです。

| 項目 | 記入方法 |
|---|---|
| ① 財産の細目 | ■ 項番に、通し番号を入れる ■ 細目は骨董品・美術品の場合、「その他(コード73)」と書く ■ 特例・国外・備考の欄は、通常は空欄でよい |
| ② 財産の情報 | ■ 財産の名称等に、品名と作者名(掛け軸〇〇作など)を書く ■ 財産の所在場所等に、保管している場所(自宅の住所など)を書く ■ 価額には、評価した金額(80万円)を書く ■ 数量・倍数・単価は空欄でよい |
| ③ 財産を取得する人 | ■ その品を取得する人を、第11表で振った番号で書く ■ 「取得財産の価額」に、その品の価額(80万円)を書く |
申告書の全体的な書き方は、下記の記事をご参照ください。
相続税の申告・納付の期限は、「故人が亡くなったことを知った日の翌日から10カ月以内」です。
骨董品・美術品があるときには、査定に時間がかかることも見込んで、早めに動き出しましょう。
ステップ5:手放す方法を検討する

相続税の申告が終わったら、引き継いだ骨董品・美術品を「このまま持ち続けるか、手放すか」を検討しましょう。
手放すことに決めた場合、主な選択肢としては、次のものが考えられます。
| 方法 | 概要 |
|---|---|
| 売却 | 専門業者やオークションなどを通じて売却する |
| 寄贈・寄付 | 美術館や自治体などに無償で譲る |
| 寄託 | 所有したまま、保管・展示を美術館に任せる |
なお、売却して利益が出たときは、所得税(譲渡所得)がかかることがあります。
ただし、骨董品などの売却益には「特別控除」があり、年間の利益が50万円以下であれば税金はかかりません。
ご自身に税金がかかるかどうか不安な方は、税理士に確認するようにしましょう。
骨董品・美術品の相続に関するよくある質問
Q1:骨董品などの申告漏れがあるとどうなる?
Q2:申告後に、実は高価な品だとわかったら?
Q3:美術品には、「納税猶予」の制度があるの?
まとめ|骨董品・美術品の相続は「価値の見当をつける」ことから
今回は、骨董品・美術品の相続税についてお伝えしました。
- 骨董品・美術品も相続税の課税対象で、1点の価額が5万円を超えるものは個別に評価が必要
- 評価方法に明確な決まりはなく、「同等品の相場・買取業者の査定額・専門家の鑑定額」などを参考にする
- 相続税の申告は、「価値の見当をつける→評価額を決める→分け方を決める→申告する」の流れで進める
私たちVSG相続税理士法人では、相続に関するご相談を無料で受け付けております。
何かお困りのことがございましたら、ぜひお気軽にご連絡ください。

