東京弁護士会所属。
交通事故の程度によっては、入院が必要になったり、定期的な通院、精神的にも疾患を負ったり、PTSDとして現れることもあります。
こうした状況の中で、交渉ごとを被害者本人でまとめようとすることは非常に大変です。
弁護士に示談交渉を依頼することで、直接示談交渉をしたり、資料を準備したりする精神的負担が軽減できます。
つらい事故から一日でもはやく立ち直るためにも、示談交渉は弁護士に任せて、治療に専念してください。
道路交通法第7条では、車両・歩行者ともに信号機の表示に従うよう定めていますが、信号無視による交通事故は依然として多いようです。
信号無視は明らかな交通違反であり、事故が発生したときの過失割合は加害者10、被害者0となりますが、これは被害者にまったく非がない場合に限ります。
何らかの過失があれば、被害者であっても過失割合が加算されるため、賠償金や慰謝料の額に大きく影響するでしょう。
また、信号の変わり目に事故が発生した場合、赤信号だったことを加害者が認めないケースもあるため、示談交渉が長期化する可能性も出てきます。
そこで今回は、信号無視による交通事故について、過失割合の考え方や交渉時の注意点をわかりやすく解説します。
赤信号を無視した車両Aが青信号側(対角車線側)の車両Bに衝突した場合、A側に一方的な非があるため、過失割合は10対0になります。
ただし、B側も赤信号だったときは双方の信号無視となるため、A・Bの過失割合は50対50に修正されます。
なお、信号だけが過失割合の決定要素ではなく、相手が歩行者や自転車の場合や、車の進行方向も考慮するため、基本的なパターンは以下のように分かれます。
交差点を直進する車両Aと、対角車線を直進する車両Bが衝突事故を起こした場合、基本的な過失割合には信号が影響します。
最終的な過失割合を決定するときは、著しい過失(わき見運転など)や重過失(無免許運転など)の有無を考慮します。
車両Aが右折車、車両Bが直進車の場合、信号無視で事故が発生したときは以下の過失割合になります。
信号が黄の場合は原則停止となるため、被害者であっても、青信号で進入したときより過失割合は高くなります。
また、信号の表示が同じであれば、左側に位置する車両は加害者と同等、または高い過失割合になるので注意が必要です。
横断歩道を渡っている歩行者と直進車が衝突した場合、信号と過失割合の関係は以下のようになります。
歩行者は交通弱者として守られるべきですが、信号無視は明らかな交通違反となるため、被害者であっても過失0は認められません。
横断歩道を渡っている歩行者と右折または左折車が衝突した場合、双方の過失割合は以下のようになります。
自転車は道路交通法上の軽車両として扱われるため、信号無視した場合の過失割合は歩行者よりも高くなります。
信号無視した自転車が交差点を直進し、横断歩道を渡っている歩行者に衝突したときは、信号の表示によって以下のように過失割合が分かれます。
なお、自転車は保険に加入していないケースが多いため、事故後の示談交渉が進みにくく、被害者となった歩行者に慰謝料が支払われないリスクもあります。
相手の信号無視で交通事故の被害者となっても、以下の状況であれば過失割合0になりません。
被害者が過失割合0とならないケース
歩行者やドライバーを問わず、スマートフォンなどに気を取られて信号の切り替わりに気付かないケースもあるため、交差点では十分な注意を払いましょう。
交通事故の加害者になると、損害賠償や慰謝料などの支払いがあり、運転免許証の点数も減点となります。
私生活はもちろんのこと、仕事に影響する可能性もあるため、加害者によっては赤信号の無視を認めないケースもあります。
このような場合は客観的な証拠が重要となり、以下の方法で加害者側の信号が赤だったことを証明しなければなりません。
一定期間を過ぎると消滅してしまう証拠もあるため、できるだけ早めに対処しておきましょう。
事故現場の周囲に民家や商店、会社の事務所などがあれば、事故の目撃者がいる確率はかなり高いので、記憶が曖昧にならないうちに証言を集めましょう。
また、一人ひとりの記憶が曖昧でも、複数の証言には共通項目がある可能性も高いため、加害者と被害者の位置関係や、信号の表示を特定できるケースもあります。
運がよければ「たまたまスマホで動画撮影していた」という人がいるかもしれません。
ただし、一部始終を見ていても、他人のトラブルに巻き込まれることを嫌う人もいるため、過失割合を決定づける証言はしてもらえないときもあります。
どうしても証言が欲しいときは、事故対応に長けた弁護士に情報収集を依頼してみましょう。
事故当時の映像は過失割合を決定づける証拠となるため、ドライブレコーダーを装着していれば、必ず記録メディアの映像を確認してください。
ただし、記録メディアの容量が満杯になると、上書きするタイプのドライブレコーダーが多いため、事故当時の映像を記録したメディアは早めに取り出してください。
なお、自分の車にドライブレコーダーがなくても、相手の車に装着されていれば、事故当時の映像提供を求めてみるべきでしょう。
商用車もドライブレコーダーの装着率が高いので、事故現場の周辺にタクシー会社などがあれば、当時の映像を記録している車両が見つかるかもしれません。
事故現場の周辺に監視カメラがあれば、事故当時の映像提供をオーナーや管理会社に依頼してみましょう。
コインパーキングやコンビニエンスストアの駐車場は監視カメラの設置率が高いため、相手の信号が赤だったことを証明できる可能性があります。
ただしドライブレコーダーと同様に、記録容量が満杯になると上書きされるタイプが多いため、映像提供は早めに依頼しなければなりません。
供述調書や実況見分調書は裁判の重要書類となり、示談交渉でも過失割合の決定に大きく影響します。
どちらも警察官によって作成されますが、当事者からの聴取(供述)結果や現場の状況などを記録するため、相手側の供述内容もわかります。
相手の供述が「青信号だった」「信号無視はしていない」といった内容であれば、事実と異なる旨を主張して署名・押印しないようにしてください。
自分の主張を裏付ける根拠がないときは、早めに弁護士へ相談しておきましょう。
ドライブレコーダーや監視カメラに相手側の信号が映っていないときは、自分側の信号などから切り替わりのタイミングを調査できます。
信号は一定間隔で規則的に切り替わるため、他の信号サイクルから相手側の信号表示を確認してみましょう。
また、夜間の事故であれば、周辺ビルの窓ガラスに相手側の信号が映り込んでいるケースもあります。
交通事故が発生したときは、相手側の保険会社と交渉して過失割合を決定します。
担当者によっては強引に交渉を進めるケースもあり、主導権を握られると不利な過失割合になってしまうため、交渉の際には以下の点に注意しておきましょう。
保険会社は示談交渉に長けているため、相手の反論を封じ込める話法・論法も用意しています。
短期間で過失割合を決定するケースもありますが、すぐには鵜呑みにせず、妥当性を十分に検証してみましょう。
示談に応じるとあとから覆せなくなるため、安易に署名・押印しないことも重要です。
保険会社は顧客に有利な過失割合を算定するため、決定的な証拠がなければ事実を封じ込められてしまう可能性があります。
不利な過失割合は賠償金や慰謝料にも影響するので、示談交渉で困ったときは、必ず弁護士に相談しましょう。
弁護士が交渉のテーブルにつくと、相手側も不用意な発言はできないため、強引に示談交渉を進められる可能性も低くなります。
交通事故に強い弁護士に依頼すると、見落としがちな証拠を発見してくれるケースもあるため、事実に基づいた過失割合を算定できるでしょう。
交通事故の過失割合はさまざまな要素を考慮するため、まず基本的な過失割合を算定し、次に加算・減算などの修正要素を反映させます。
初心者では正確に算定できないため、保険会社へ任せることになりますが、必ずしも正しい過失割合になるとは限りません。
保険会社は自社の顧客に有利な過失割合を算定するため、中立的な立場ではないことを理解しておきましょう。
ただし、示談交渉の長期化はデメリットしかなく、当事者には大きなストレスにもなるので、困ったときは早めに弁護士へ相談してください。