東京弁護士会所属。
交通事故の被害者にとって、弁護士は、妥当な慰謝料をもらうための強い味方になります。
特に、加害者の保険会社との示談交渉がうまくいかず悩まれていたり、後遺症が残ってしまい後遺障害慰謝料請求を考えていたりする方は、 ぜひ検討してみてください。
交通事故に遭った際、接触の衝撃により頭を強く打ってしまうことがあります。
頭を強打すると、軽い場合ではめまいや吐き気などが現れ、ひどくなるとてんかん症状や、高次脳機能障害が後遺症として残ってしまうことがあります。
これらは、事故後すぐには症状が現れないこともあり、のちに症状が出て重篤化することも考えられます。
交通事故に遭ったら、直後には何の自覚症状もない場合でも必ず念のために病院に行くように、とよく言われるのはこのためです。
この記事では、交通事故で頭を打った場合の主な症状や頭部外傷による疾患について、詳しくご紹介します。
頭を打った際の対処法や、病院に行くべきかに関しても解説します。
目次
交通事故で頭を打った際にみられる主な症状には、以下のようなものが挙げられます。
これらの症状は、事故発生後すぐに現れる場合もあれば、時間が経過してから徐々に現れる場合もあります。
軽いめまいや吐き気等の場合、症状を自覚してすぐに病院を受診すれば、早期に快復することも多いでしょう。
しかし、手足の麻痺やてんかん症状、高次脳機能障害などの症状がある場合は、今後の生活にも支障をきたすことがあり得ます。
この場合、後遺障害の認定を受けることで、交通事故の加害者へ慰謝料を請求することができる可能性があります。
詳しくは後述しますので、ご参照ください。
前述したように、交通事故で頭を打った時の主な症状をもたらすのは、頭部外傷が原因となります。
頭部外傷とは、頭部に外力が加わって、軟部組織(皮膚、皮下組織)や頭蓋骨、及び頭蓋内(脳、髄膜など)に損傷が起こることを言います。
加わった衝撃の程度により、病態や予後は大きく変わります。
特に、脳の組織が損傷に至った場合の頭部損傷は「外傷性脳損傷」と言い、重篤な症状をもたらす可能性があります。
頭部損傷には、具体的には下記のような疾患が挙げられます。
それぞれの特徴とともに、簡単にご紹介します。
いわゆるむちうち症で、脳内部は損傷していないものの、事故の衝撃で首をねんざした状態を指します。
肩こりやめまい、手のしびれなどを引き起こす原因となります。
事故の衝撃で脳が揺れ動いて生じる疾患を指します。
一般的には一時的な疾患であると言われていますが、頭痛・目まい・疲労感などが続く「脳震盪後症候群」を発症することがあり得ます。
てんかんとは、突然に脳の神経細胞が興奮状態となって生じる疾患です。
手足が硬直し、身体全体が痙攣するなどの症状が見られます。
特に交通事故などを契機に、脳の損傷を原因として発症した場合を外傷性てんかんと呼びます。
脳は硬膜・くも膜・軟膜の3つの膜に覆われています。
これらの膜が事故の衝撃により破壊されて出血が起き、急速に脳内に血液が貯まった状態を血腫といいます。
脳が短時間のうちに圧迫され、その度合いがひどければ、意識障害や運動障害を引き起こすことがあります。
脳を外傷から守ってくれる頭蓋骨を骨折してしまうと、脳に重大な損傷が及ぶ可能性があります。
脳が傷ついてしまうと、高次脳機能障害などの重い後遺障害が残ってしまうリスクが非常に高くなります。
強い外力により脳内の神経線維が広範囲に断裂し、脳機能を喪失してしまう疾患です。
効果的な治療法が存在しないため、意識障害や高次脳機能障害が後遺症として残りやすいのが特徴です。
事故で頭を打つと様々な症状や疾患が起こることを踏まえ、頭を打った場合の対処として最も重要なのが、「早期の病院受診」です。
「特にどこもけがをしていないし大丈夫」と思ってしまうかもしれませんが、後から症状が発現し重篤化することも十分考えられます。
ここでは、交通事故で頭を打った際にとる適切な行動について解説します。
交通事故に遭った際、受診を検討するのは整形外科が一般的かも知れません。
しかし、事故当時に頭を打ってしまった場合は、整形外科に加えて脳神経外科を受診する必要があります。
脳神経外科では、頭部CTや脳内MRIの検査を受けることができ、これらの結果に合わせ最適な治療法を見つけることが可能です。
また、後日症状が現れたり、万が一後遺症が残ったりした場合、後遺障害認定を受けるには、事故当時の頭部の画像が重要な証拠となります。
事故との因果関係を立証する鍵となりますので、事故当時自覚症状がなくとも、必ず病院を受診するようにしましょう。
頭痛やめまいといった比較的軽い症状の場合でも、症状が継続していると認められるような場合には、14級9号という等級が認定される可能性があります。
受診する際には、毎回今自覚のある症状をすべて医師に伝え、カルテに記録を残してもらうようにすることをおすすめします。
後遺障害等級14級は、1号から9号まで以下の9種類に分かれており、14級9号は「局部に神経症状が残った状態」を指します。
神経症状は、CTやMRIに写ることがないため、証明が難しい側面があります。
この場合、継続的な受診と医師の経過記録が後遺障害認定の重要な材料となりますので、あきらめずに医師に相談してみるとよいでしょう。
また、高次脳機能障害についても、医師の診察時にその症状が発現していない場合、症状判定に有用となる知能テストなどの検査を省略される可能性もあります。
そのような事態を避けるため、事故前後で変わった様子などは小さな事でも医師や看護師に伝え、カルテや看護記録に記載してもらうことが大切です。
病院の早期受診と並びもう一つ欠かせないのが、警察への通報です。
交通事故には遭ったが、特に自覚症状もないため、警察には届けなくてもよいだろうと考えるかもしれません。
しかし、損害賠償請求や慰謝料請求をするには、事故証明書の提出が必須となります。
自動車安全運転センターの事故証明書を発行してもらうためには、警察に通報し、被害届を提出する必要があります。
もしこの記事を読んでいる方で、事故に遭ったが、被害届を提出していないという方がいらっしゃれば、すぐに事故現場を管轄する警察署に通報してください。
その際、その日に被害届を出せなかった理由をあわせて説明できるよう、当時の状況を事前に整理しておくとよいでしょう。
事故当時の対応が、治療や損害賠償請求の結果を大きく左右することがあります。
交通事故に遭って頭を打った際は、後のことを見据え、そのときは自覚症状がなくとも必ず病院を受診しておきましょう。
交通事故後は治療と平行して、様々な手続が必要とされます。
中でも、慰謝料や損害賠償の請求については、交渉次第で金額に大きな開きがでる場合もあります。
お困りのことがあれば弁護士などの専門家に相談し、ご自身は症状改善のための治療に専念されることをおすすめします。