東京弁護士会所属。
交通事故の程度によっては、入院が必要になったり、定期的な通院、精神的にも疾患を負ったり、PTSDとして現れることもあります。
こうした状況の中で、交渉ごとを被害者本人でまとめようとすることは非常に大変です。
弁護士に示談交渉を依頼することで、直接示談交渉をしたり、資料を準備したりする精神的負担が軽減できます。
つらい事故から一日でもはやく立ち直るためにも、示談交渉は弁護士に任せて、治療に専念してください。
目次
道路を逆走してきた四輪車やバイクと衝突した場合、基本的には逆走車の過失割合が100%となります。
ただし、センターラインの有無や自転車との事故、あるいは自転車が逆走してくるケースもあり、状況によっては被害者の過失割合が高くなる場合もあります。
逆走には以下のようなケースがあり、慰謝料や損害賠償などにも大きく影響するため、過失割合のパターンも理解しておくとよいでしょう。
対向車がセンターラインを越えて逆走し、対向車線の車と衝突したときは以下の過失割合になります。
車はセンターラインの左側走行が義務付けられており、道路交通法17条4項に違反したため100%の過失となりますが、以下のケースでは被害者の過失も認められます。
センターラインがない道路の場合、道路中央を超えて逆走した車と正面衝突したときは、以下の過失割合になります。
センターラインがない道路では、対向車のはみ出しなどに注意して走行しなければならないため、注意を怠った被害者にも過失が認められます。
自転車は軽車両となるため、道路交通法では左側通行を義務付けていますが、右側を逆走して車と交通事故を起こしたときは以下の過失割合になります。
車側に違反はないものの、自転車の右側逆走は想定されるケースであることや、自転車側が交通弱者になることから車の過失割合が高くなっています。
一方通行を逆走した自転車が信号機のない交差点に進入し、対角車線から進入してきた車と衝突した場合、道路に優先関係がなければ以下の過失割合になります。
なお、一方通行の規制がなければ自転車20:車80の過失割合となるため、逆走が大きな加算要素となっています。
対向車線を走行中の自転車がセンターラインを越えて逆走し、対向車と衝突したときは以下の過失割合になります。
自転車は交通弱者となりますが、このケースでは自転車側に明らかな非があるため、過失割合も高くなります。
逆走車を避けたために別の車に衝突したときや、歩道に乗り上げて人身事故が起きた場合、逆走車との接触ははなくても事故の当事者は増えてしまいます。
原則として、治療費や修理代金は逆走車のドライバーが負担することになりますが、過失割合の考え方が複雑になるため、不利な条件を提示されるかもしれません。
逆走によって別の事故が誘発されたときは、必ず弁護士に相談しておきましょう。
逆走による交通事故でケガを負ったときや、被害者が死亡したときは、以下の慰謝料を相手側に請求できます。
慰謝料は被害者が受けた精神的苦痛に対して支払われますが、ケガの程度に応じた相場があるため、相手の過失が100%だからといって高額になるわけではありません。
ただし、相手側の保険会社が低い金額を提示するケースもあるため、相場や計算方法は知っておくべきでしょう。
なお、慰謝料計算には自賠責基準や任意保険基準を用いますが、任意保険基準の計算方法等は公開されていないため、自賠責基準による計算方法を解説します。
自賠責基準の入通院慰謝料は以下のように計算し、どちらか低い方の金額が支払われます。
仮に全治4ヶ月の骨折となり、実通院日数が52日(週3回通院)だった場合は、以下のように慰謝料を計算します。
このケースでは(2)の金額が低いため、自賠責保険からは44万7,200円が支払われます。
なお、任意保険の計算方法は各社様々ですが、以前は統一基準があったため、今でも旧基準に沿って慰謝料を算定する保険会社が多いようです。
統一基準の場合、4ヶ月の通院であれば約48万円、そのうち、1ヶ月の入院期間があれば69万円程度が支払われることになります。
相手側の逆走で交通事故が発生し、明らかに加害者100%の過失と認められるケースでも、慰謝料などの補償が100%になるとは限りません。
相場より低い金額を提示される可能性も十分あるため、保険会社と示談交渉するときは、以下のポイントに注意しておきましょう。
交通事故で被害者になった場合、慰謝料や損害賠償の額は相手側の保険会社が提示しますが、一般的には低く見積もられているケースがほとんどです。
被害者の多くは道路交通法や慰謝料の相場に詳しくないため、知識不足を逆手に取り、もっともらしい理由で強引に示談交渉をまとめる保険会社も少なくありません。
低い金額で交渉をまとめることが実績になるため、被害者側に有利な条件はまず提示しないでしょう。
示談交渉には値引きの側面があるので、自分の過失が0%にも関わらず、十分な慰謝料が提示されないときは以下のように対処してください。
保険会社が提示する慰謝料が不十分であり、示談交渉が難航するときは、交通事故に強い弁護士へ相談してみましょう。
弁護士は適正な慰謝料を算定してくれるので、保険会社に言いくるめられる可能性は低くなります。
また、弁護士には依頼者の代理人として示談交渉を任せられるため、交渉が苦手な人はストレスからも解放されるでしょう。
弁護士が交渉のテーブルにつくと相手側にもプレッシャーがかかるため、安易に低い慰謝料を提示してくる、あるいは不利な過失割合にすることもありません。
さらに、弁護士に依頼すると弁護士基準で慰謝料を算定してくれます。
具体的な内容は以下のとおりですが、保険会社の基準よりも有利な条件になるでしょう。
交通事故の慰謝料には弁護士基準もあり、任意保険基準の2~3倍に設定されています。
過去の判例を基準とすることから裁判基準とも呼ばれますが、実情に沿った慰謝料や損害賠償が算定されるため、保険会社の基準より確実に有利な慰謝料になります。
高額な治療費が必要となった場合、自賠責保険には120万円の上限があり、任意保険と合わせても不足するケースが考えられます。
むちうちなどの後遺障害で通院が長引いたときも、保険会社が治療費の支払いを打ち切る可能性があるため、相手の提示額には安易に承諾しない方がよいでしょう。
逆走まで想定した運転はなかなかできないため、実際に遭遇すると瞬時に対応できず、大きな事故になる可能性が高いでしょう。
見通しの悪い道路や、センターラインがない道路の運転には十分注意するべきですが、逆走事故が起きてしまったときは示談交渉も慎重に対応しなければなりません。
保険会社は相手側の過失割合を高くし、慰謝料を引き下げる交渉術に長けているため、安易に納得しないよう注意してください。
一度まとまった示談はやり直しが困難になるため、相手に100%の過失があっても、治療費の大部分を自己負担しなければならない可能性があります。
保険会社との示談交渉に不安がある方や、交渉の長期化でストレスを感じている方は、一日でも早く交通事故に強い弁護士に相談してください。