交通事故による被害を受けたあと、加害者からなかなか連絡がこないケースがあります。
連絡がこないと、腹立たしく感じたり、不安になったりしがちです。
治療中であれば、きちんと治療費を支払ってもらえるのか、治療を継続していけるのか不安になる場合もあるでしょう。
今回は、交通事故の加害者から連絡が来ない理由や、その際の対処法について解説していきます。
こうした疑問についてお答えしています。
参考にしてみてください。
目次
ここからは、交通事故の加害者や加害者側の保険会社から謝罪の電話がこない理由を解説します。
交通事故の加害者から謝罪の電話が来ない理由は、以下のような理由が考えられます。
交通事故の加害者になると、民事責任である被害者への賠償のほか、行政責任(免許の違反加点)および刑事責任を問われる場合があります。
このうち、刑事責任が問われる場合は、手続きのため加害者が電話できないケースがあります。
例えば、逮捕された場合です。
逮捕には現行犯か後日逮捕かの2種類あり、被害者に大きな怪我があるケースや、無免許・飲酒運転などのケースでは現行犯逮捕の可能性が高くなります。
加害者が逮捕されると最大23日間留置され、解放されない間は、なかなか被害者へ連絡できません。
加害者は、事故を起こした自分を責め、罪悪感から精神的に不安定になる場合があります。
被害者に負わせた怪我が大きい場合や、心配性な人ほどありがちです。
謝罪の電話ができない加害者の心理
被害者の立場になると、単なる言い訳に聞こえるかもしれません。
このようなネガティブ思考になると、自責と自問自答から抜け出せず、被害者への連絡に踏み出せなくなってしまうケースがあります。
加害者に対し保険会社が指示をして、被害者へ連絡させないパターンもあります。
当事者同士で連絡をとると、示談を進めてしまうケースがあるためです。
保険会社は、自社の利益のため、被害者へ支払う賠償金をできるだけ安く済ませようとします。
しかし当事者同士が過失割合や賠償金を認めてしまうと、後から覆すのが困難になるため保険会社が困るわけです。
反対に、当事者同士がさらに揉めてしまう場合もあり、保険会社としては慎重にならざるを得ません。
このような事情から、保険会社が被害者に連絡しないよう指示を出すケースがあります。
加害者側の保険会社が電話をしない理由は、以下のような理由が考えられます。
それでは、1つずつみていきましょう。
加害者側の保険会社から連絡がなかった理由として、保険会社の担当者が忙しく、連絡する時間がなかったケースが考えられます。
現実ではよくあるパターンのひとつです。
加害者が手続きで手一杯だったり、気持ちの整理ができていなかったりする場合があるでしょう。
すると、加害者本人から保険会社へ事故の報告自体行われていないため、電話が来ない可能性が考えられます。
事故の報告がなされていなければ、もちろん保険会社は被害者への連絡はできません。
加害者の保険会社の立場からすると、賠償金・示談金を支払ったとしても保険会社の儲けにはなりません。
被害者としては納得できませんが、保険会社は被害者へ連絡する行為に対して消極的になりがちです。
物損事故のように賠償金の金額がそれほど高額でないようなケースでは、連絡が遅れるどころか連絡がなく、放置されてしまう事態すらあります。
そもそも相手方保険会社が被害者に賠償金を支払う理由は、加害者に損害賠償の支払いをしなければならない責任があるためです。
そのため、加害者に過失がないと保険会社が判断した場合は「賠償金を支払う義務がない」と考え、被害者へ電話をしないケースがあります。
加害者からの連絡は、事故から3日目以降に来る場合が多いです。
事故後は互いに興奮状態になりがちで、落ち着いてからの謝罪が望ましいためです。
また、被害者の治療・検査を優先する意味もあります。
交通事故の被害者は、救急搬送される場合を除いて、事故の当日中か2〜3日の間に病院に行って治療や検査を受けるケースが多くなります。
被害者の怪我の状況は加害者にとっても1つの心配事であり、治療を待ってから連絡したいのも一般的な考え方でしょう。
このように考えるため、治療を待ち、3日ほど経過したタイミングで加害者から連絡が来やすくなります。
加害者が心配性な性格の場合や、真摯に謝罪したいといった場合には、直接訪問による謝罪を申し出られる機会があるでしょう。
物損では済まずに被害者に怪我がある場合には、加害者心理として容態を確認したいと考えるのも一般的な感覚です。
ただし、直接訪問を申し出られた場合でも、無理に受ける必要はありません。
気持が落ち着いていない場合や、治療に集中したい、加害者の顔を見たくないといった事情もあるでしょう。
そうした場合は、丁重にお断りするか、難しい場合は弁護士に解決を依頼して代理でやりとりをしてもらう方法もあります。
加害者との電話対応では、以下のポイントに気を付けましょう。
加害者との電話で気をつけるポイント
それぞれの注意点を解説します。
事故直後は、人間ですからどうしても感情的になり、ぶつける先を探してしまうでしょう。
しかし、怒鳴ったり感情的になったりすると、加害者も自己防衛のために争う気持ちが強くなってしまいます。
不用意な発言をしてしまえば揚げ足を取られ、後の示談交渉で不利になってしまうケースもあります。
あまりに強い言葉を使えば「脅迫された」とも言われかねません。
反対に言えば、加害者が不用意な発言をする可能性もあります。
そうした発言を聞き漏らさないよう徹する方が、よっぽど有益です。
加害者と電話する際は、冷静に、真摯な謝罪には真摯な態度で望みましょう。
加害者と電話または直接のやり取りをする際に、謝罪を強要してはいけません。
加害者の中には、反省が全く見られない人や、自己保身・賠償金の減額だけを心配するような人もいます。
冷静に対処しようと準備していても、謝罪があまりに期待外れな場合には「まず謝れ!」と言いたくもなるでしょう。
しかし、グッと飲み込んで、耐えてください。
謝罪を強要すると、脅迫や強要、恐喝罪などにあたる可能性があります。
当然、示談金にも影響が出ます。
謝罪の強要によって実際に逮捕された例は少なくありません。
ボウリング場で店員に土下座させた動画がSNSにアップされた事件は有名で、一時期ニュースを騒がせました。
被害者であるはずが、刑事事件で訴えられては踏んだり蹴ったりです。
加害者に謝罪を強要するのは絶対に避けましょう。
交通事故の示談交渉の際に、保険会社の対応が不適切であり、被害者が保険会社に対して不満を持つケースは珍しくありません。
保険会社に不満を感じるケースは、
保険会社に不満を感じるケース
などがあります。
それぞれのケースについて詳しく解説します。
相手方保険会社と交通事故の示談交渉を始めると、担当者が専門用語を頻繁に使い、説明がわかりにくいケースがあります。
保険会社の担当者が説明する内容がわからないままで交渉を進めてしまうと、想像していなかった事態になりかねません。
また、一度示談に合意すると、訂正は難しくなります。
疑問点があるときにはそのままにせず、質問するか書面として記録するなど、証拠として残しておくとよいでしょう。
連絡してくる保険会社は中立の立場ではなく、加害者の代理人です。
保険会社が賠償金の支払いを行うため、保険会社からすれば事故の被害者は交渉相手であり「お客様」ではありません。
保険会社の対応が不誠実かつ高圧的なケースもあります。
保険会社に高圧的な態度をとられると、不快な気分になり、腹が立つ方も多いでしょう。
しかし、このときに感情的に対応してしまうと「クレーマー」として対応され、交渉が余計にこじれる可能性があります。
交渉を有利に進めるために、相手の主張に耳を傾けつつ、冷静に粘り強くこちらの主張を伝え続けましょう。
保険会社はあくまでも加害者の代理人の立場であり、損害賠償金についてできる限り安くしたいと考えています。
慰謝料などの損害賠償額を決める際に、金額に大きな影響を与える過失割合などについて、被害者にとって納得できない提案をしてくるケースが少なくありません。
過失割合を求めるためには、専門知識が不可欠です。
一般の方には算定基準や証拠収集などは難しいため、弁護士に依頼し一任することをおすすめします。
交通事故の被害者が負ったケガの治療費は、原則として加害者側の任意保険会社から支払われます。
交通事故のケガの治療期間については基準があり、その基準を超える治療期間となると保険会社が治療費の支払いを打ち切ろうとしてくるケースがあります。
しかし、完治するまでの期間は人それぞれであり、そもそも治療の必要性については医師が検討しなければなりません。
保険会社から治療費の支払いの打ち切りを主張されても、後々かかった治療費を請求できるため、治療の必要があればそのまま続けましょう。
交通事故を起こした加害者には、3つの法律上の責任が発生します。
交通事故の被害者となった場合、加害者に対して上記のうち、一部の責任の追及に関与できます。
どのように関与できるのか、具体的に確認していきましょう。
交通事故での刑事責任は、運転によって罪を犯したために刑罰を処せられる責任です。
刑事責任による追及である「刑事裁判」とは、被害者が刑事告訴し、検察が加害者を被告人として提訴し、裁判所が判断する流れを指します。
被害者は証人として出廷する程度であり、刑事裁判にはあまり関与できません。
しかし、刑事裁判に直接参加できる「被害者参加制度」があります。
被害者参加制度とは裁判所に許可された被害者が、刑事裁判に直接参加できる制度です。
加害者の被告人に対して質問や、事実関係や法律の適用についての意見などが可能です。
上記の行為は専門的な知識を必要とするため、弁護士に依頼できます。
また、経済的に余裕がない場合、依頼費用を国が負担してくれるケースもあります。
この制度は参加できる「権利」のため、加害者と顔を合わせるのが辛い場合は無理に参加する必要はありません。
刑事告訴したとしても確実に起訴されるわけではなく、検察官が不起訴の決定をする可能性があります。
不起訴の決定に不服がある場合は、被害者は検察審査会に対して申立が可能です。
検察審査会では、不起訴の決定が妥当かどうか判断します。
このときに「起訴相当」と判断されれば検察官に通知され、再度起訴するかどうかについて判断される訳です。
ただし、検察審査会後でも、検察官は不起訴にできます。
民事責任とは、交通事故被害者の損害に対して賠償する責任です。
3つの責任の中で、最も加害者のペナルティに被害者が関与できる部分です。
加害者側の保険会社と示談交渉を有利に進め、加害者の責任をより強く求められます。
もし、示談交渉で合意による解決ができなかった場合は、交通事故紛争処理センターや裁判所での調停や民事裁判により、決着をつけます。
民事裁判は、刑事裁判と違い被害者本人が訴訟を起こせますが、裁判の際には証拠を集め、相手の非を立証しなければなりません。
専門知識や法律知識が必要不可欠なだけでなく、膨大な労力を要します。
加害者に適正な賠償額を支払ってもらい、適切に解決するためには弁護士に依頼しましょう。
行政責任とは、免許の取り消しや停止といった行政処分を受ける状況です。
行政処分を行う前に、道路交通法には当該事案の関係者に出頭してもらい、意見を聞けると定められています。
しかし、実際にはほとんど行われていないため、被害者は行政責任にほとんど関与できません。
交通事故の加害者からの電話に出たくない場合、電話対応や示談交渉を弁護士に依頼しましょう。
加害者や加害者側保険会社から頻繁に電話がかかってくるため、電話に出にくいケースも少なくありません。
また、電話によって仕事や家事が中断されたり、治療に集中できなくなってしまったりする場合もあります。
弁護士に依頼すれば、すべてのやり取りを弁護士に代理で対応してもらえます。
弁護士に相談すると、以下のように多くのメリットがあります。
弁護士に依頼する具体的なメリットについて詳しく解説します。
交通事故の慰謝料の金額を算出するための基準は以下の3種類です。
種類 | 内容 | 金額 |
---|---|---|
自賠責保険基準 | 最低限度の補償 | もっとも低い |
任意保険基準 | 任意保険会社が独自に設定 | 自賠責保険よりは高い |
弁護士基準 | 弁護士依頼・裁判時に採用される基準 | もっとも高い |
算出する基準によって、慰謝料の金額が異なります。
交通事故の被害者を救済する自賠責保険は、自動車を所有する場合に必ず加入する必要がある強制保険です。
自賠責保険は最小限の補償を行うための制度のため、算定される基準も低くなります。
任意保険は、自賠責保険のように強制ではなく任意で加入する保険です。
自賠責保険のみでは補償金額が不足する場合が多く、加入が奨励されています。
任意保険の算定基準は、自賠責保険よりも高額です。
しかし、任意保険基準は各保険会社によって異なり、一般的には弁護士基準と比べると低額に設定されます。
裁判で採用する基準と同じ弁護士基準は、3つの中で一番高い算定基準です。
しかし、弁護士に依頼しない場合、相手側保険会社が弁護士基準によって慰謝料を算出するケースは、ほとんどありません。
弁護士基準は、弁護士が示談交渉を行う場合に使用される基準であり、適切な慰謝料を請求したい場合は弁護士事務所に依頼しましょう。
示談交渉は、相手の押しが強かったり、対応が悪かったりしてストレスを感じるケースが珍しくありません。
しかし、弁護士に交渉を委任すれば、相手側保険会社とのやり取りをすべて任せられるため、示談交渉によるストレスを感じません。
過失割合によって慰謝料などの金額が大きく異なります。
示談交渉において過失割合は重要な要素ですが、一般の方が証拠を集め、適正な過失割合を主張するのは難しいでしょう。
弁護士に任せれば、厳密な調査によってさまざまな証拠を揃えられ、適正な過失割合を求めてもらえます。
交通事故を専門にしている弁護士は知識も経験も豊富であり、後遺障害等級を適切に認定されるためのノウハウを持っています。
弁護士に依頼すると被害者が手探りで認定申請するよりも、適切な後遺障害等級が認定されるように申請手続きを行ってくれます。
今回は、交通事故で加害者からの連絡が来るタイミングや、連絡が来た際の注意点などを解説しました。
加害者や保険会社からなかなか連絡が来ないと、イライラしたり不安になったりするでしょう。
連絡が入っても、全く期待外れな内容に幻滅してしまう場合もあります。
しかし、怒りの感情を相手にぶつけてはいけません。
謝罪を強制すれば示談金の面で不利になりやすく、脅迫等の罪に問われる場合もあります。
上記の場合は、解決を弁護士へ依頼しましょう。
弁護士なら加害者や保険会社との交渉のほか、各種申請の事務のほとんど全てをプロとして代行が可能です。
また、弁護士基準で賠償額の請求を行うため、示談金の増額にも期待できるでしょう。
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