

交通事故に巻き込まれた場合、加害者や相手方保険会社とさまざまなやりとりをおこなう必要があります。
手続きをスムーズに進めるためにも相手の連絡先に関する情報は必要不可欠ですが、事故による混乱から相手の連絡先を聞きそびれてしまうこともあるでしょう。なかには相手が身元を明かすことを拒否するケースもあります。
この記事では、相手の連絡先がわからないときの対処法や交通事故の被害者としてすべきことなどについて解説していきます。
目次
交通事故で相手方の連絡先がわからない場合、次の方法で確認することができます。
交通事故証明書を確認すれば、相手方の氏名や連絡先を知ることができます。
交通事故の当事者は、事故が起きたことや被害状況などを警察へ届け出る義務を負います。警察への届出を怠ると罰則が科される恐れがあるほか、交通事故証明書を受け取ることができません。
交通事故証明書は、交通事故の事実を証明する公的な書類です。交通事故が起きた日時や場所、当事者の氏名などが記載されていて、自動車安全運転センターで交付されます。
この証明書は、警察から提供された資料に基づいて作成されます。したがって、警察への届出がない場合には交通事故証明書は発行されません。
事故現場で加害者から「警察を呼ばないで欲しい」と提案されることもありますが、警察に通報しないことは、被害者にとってデメリットしかありません。加害者からの依頼は断固として拒否し、速やかに警察に通報するようにしましょう。

交通事故で相手方の連絡先がわからない場合には、警察もしくは弁護士に相談するのがおすすめです。
事故の相手方が連絡先の開示を拒んだ場合には、警察に対応してもらうのがよいでしょう。その場では連絡先を聞けなくても、交通事故証明書があれば身元を知ることができます。
相手が連絡先を教えてくれないからと、強引に聞き出そうとするのはトラブルの元です。警察が現場に到着するまでに車やナンバーをメモしておきましょう。
また、身元を明かすことを拒むような人は、警察が来る前に現場を離れようとする可能性が高いです。警察が到着する前に現場から離れられると、あとで相手方を問い詰めた際に「自分はやっていない」などと主張されて手続きがスムーズに進めない恐れがあります。警察が到着するまでは、相手が現場を離れないように注意した方がよいでしょう。
ただし、強引に引き留めると相手が逆上し、暴力沙汰など大きなトラブルに発展する可能性もあります。無理をせず、車やナンバーをスマートフォンで撮影しておくなど冷静に対処しましょう。
交通事故に強い弁護士であれば、加害車両のナンバーから相手の氏名や住所などの個人情報を調べることが可能です。
一般の方が運輸局などに問い合わせても、個人情報保護の観点から加害者の個人情報は教えてもらえません。調査を依頼したい場合には、弁護士に対応を依頼しましょう。
連絡先や名前などを教えてくれないなど、加害者から誠意を全く感じられず、不満を感じることは珍しくありません。
加害者が不誠実な場合、いくつか注意しなければならないリスクがあります。
相手が不誠実な態度を取ってくる場合、示談交渉がスムーズに進まずいつまで経っても賠償金を支払ってもらえない恐れがあります。
加害者が任意保険に加入している場合、示談交渉の相手方は加害者が加入する保険会社になります。加害者自身が自分の加入している任意保険会社に連絡し、その保険会社が被害者に連絡するという流れで示談交渉が開始されるケースが多いです。
しかし、加害者に誠意がないと自分の保険会社に速やかに連絡しないことがあります。その結果、保険会社から被害者に連絡がいかないので、示談交渉開始まで長期間に渡って待たされるという場合があります。
示談交渉がスムーズに進まないと、被害者は治療費などの補填に不安を抱えることになります。
不誠実な態度をとる加害者の場合、自分の保身のために嘘をつくケースがよくあります。嘘をつかれると事実の証明に時間がかかってしまい、示談交渉がスムーズに進まない恐れがあります。
事故の際の走行速度や信号機の色などについて嘘をつかれるケースが多く、事故当時の状況は賠償金額に大きな影響を与えます。
加害者が本当に勘違いしているケースもありますが、交渉の途中で誰かが入れ知恵したことが原因で、意見がガラリと変わってしまうことも珍しくありません。

事故にあった際は警察に連絡する必要がありますが、その他にも被害者がしておくべきことがいくつかあります。
加害者の身元確認は大切ですが、人身事故では、運転していた本人だけでなく自動車の所有者に対しても損害賠償を請求できることがあります。
また、相手が業務中の事故であればその雇用主に対しても損害の賠償を請求できる可能性があります。
交通事故証明書には、車の所有者や業務中の事故であるかどうかは記載されません。個々のケースにもよりますが、これらの情報も確認しておくと今後のためにはよいでしょう。
事故状況をメモすることは大切ですが、事故現場や事故車両をスマートフォンで撮影しておくとより正確な情報を残すことができます。
可能であれば当事者同士の会話を録音しておくと、あとで相手が意見を変えたとしても言った・言わないの水掛け論になることを回避できます。
交通事故の当事者同士で意見が食い違うことは珍しくありません。お互いに主張する事実が異なる場合、示談交渉でもめる可能性が高いです。
事故当時の様子を客観的に証明するためにも、目撃者がいる場合にはその人の証言を録音もしくは動画撮影しておくのがよいでしょう。住所や氏名、連絡先なども聞いておき、場合によっては証人になってもらえるようお願いしましょう。
ただし、なかには面倒ごとに巻き込まれたくないので証人にはならないという人もいます。無理強いしないように気を付けましょう。
被害者自身が加入している保険プランによっては、「人身傷害補償特約」や「弁護士費用特約」などを使えるかもしれません。適用される保険やその内容を確認するためにも早めに連絡をしておきましょう。
事故当日に連絡するのがベストですが、けがをして救急搬送された場合など、すぐに連絡するのが難しい場合もあるかもしれません。
とはいえ事故直後の報告内容が有用な証拠となることもあるので、できる限り早めに連絡するようにしましょう。
事故直後は身体に異常がなく大したことないと感じていても、時間が経ってから痛みや後遺症が出てくるケースも多いです。特にむちうちなどの症状は事故から2〜3日後に突然症状が現れるケースも多く、事故直後に治療を開始しておかないと後遺症が残ってしまうケースもあるでしょう。
治療の必要はないとの安易な自己判断は危険です。少しでも身体に違和感があるなら必ず一度病院で診てもらうようにしましょう。
また、けがの箇所や内容などを適切に医師に伝えて、必要十分な診断書を書いてもらうことも忘れてはいけません。
交通事故の被害者が気をつけなければいけない点は、以下のとおりです。
警察に通報後、実況見分の際にあいまいな回答や嘘の証言をしないよう注意してください。
事故直後で動揺していると、自分の記憶とは違うことを安易に証言してしまうことがあります。警察の記録として残す「実況見分調書」は、裁判の際に重要な証拠となります。しかし、あとから内容の訂正がされることは基本的にありません。
事故状況について質問されたときに適当に答えてしまうと、裁判のときに不利になってしまうことがあります。不明点は「わからない」と回答し、適当な発言をしないよう気をつけましょう。
交通事故でけがをした場合、治療費は相手方保険会社が支払います。被害者自身の出費がないので、個室の利用や必要がないのにタクシーを使う、健康保険対象外となる高額な治療をするケースも多いです。
しかし、加害者に対して損害賠償として認められるのは、けがの治療をするうえで必要かつ相当な範囲のみです。
過剰診療だとみなされた場合には、超過分の費用については自己負担となってしまうケースがあるので注意しましょう。
交通事故によるけがで通院していると、仕事で忙しいなどの理由で通院を中断してしまうことがあります。治療途中で通院をやめてしまうと、あとあと身体に異変が起きても交通事故が原因なのかどうか医学的に証明できなくなることがあります。そうすると、慰謝料が大きく減額されたり後遺障害等級認定の際に不利になってしまったりする恐れがあります。
仕事の関係などでどうしても通院が難しくなった場合は、通院を中断する前に一度弁護士に相談してみましょう。
加害者側の保険会社は、できる限り被害者に支払う賠償金を安くしたいと考えています。そのため、適正な賠償額よりもはるかに低い金額を提示してくることも多いです。
一度示談に合意してしまうと、基本的にあとから内容を訂正するのは困難になってしまいます。相場を知らず、深く考えることなしに合意することは控えるようにしましょう。

交通事故の被害者になったときに弁護士に相談するメリットは、次のとおりです。
加害者や相手方保険会社との示談交渉は、被害者が思っている以上にストレスを感じます。加害者本人が不誠実な場合、謝罪に来ないどころか、逆恨みし嫌がらせを受けるケースもあるでしょう。ただでさえ治療や車の修理などで苦労することも多いなか、そのようなことがあると精神的に辛くなることは想像に難くありません。
弁護士に交渉を代行してもらえば、加害者や相手側保険会社とのやり取りをすべて任せることができます。煩わしい手続きなども全て代行してくれるので、精神的なストレスから解放されます。
弁護士に依頼すれば、慰謝料を含む賠償金の増額を期待できます。
交通事故の慰謝料額を算出するための基準は、主に3つです。各基準によって相場が異なりますが、保険会社は任意保険基準を用いるため賠償額が低額になりがちです。
一方、弁護士は実際の裁判を基に定められている弁護士基準を使って慰謝料を算出します。そのため、保険会社の提示額よりも大幅に増額できる可能性が高いです。
弁護士以外が弁護士基準を主張しても、保険会社が交渉に応じてくれるケースはほとんどありません。慰謝料の増額を希望する場合には、交通事故に強い弁護士に相談することをおすすめします。
慰謝料を算定する際の大きな要素として、過失割合というものがあります。
過失割合とは、事故の責任がどちらにどれくらいあるのかを示した割合のことです。たとえば、「被害者:加害者=2:8」であれば、被害者にも2割過失が認められることになります。
過失割合を適切に判断するには、法律や裁判例などの専門的な知識が必要になります。一般の方が過失割合で有利になる証拠を集め法的に有効な主張をすることは困難であるケースが多いでしょう。
交通事故に強い弁護士であれば、防犯カメラややドライブレコーダーの映像など適切な証拠を揃え、裁判例などを参照して適切な主張をおこなえます。
過失割合次第では、賠償金額が数百万円単位で変わる可能性があります。過失割合でもめたら早めに弁護士に相談しましょう。
むちうちなどの後遺症が残ってしまった場合、後遺障害等級の認定を受けることで後遺障害に関する賠償金を請求できるようになります。ただし、事前準備をしっかりせずに申請をしてしまうと、希望する等級に認定されずに後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益などを請求できなくなる恐れがあります。
交通事故の手続きに精通している弁護士であれば、適切な後遺障害等級認定を受けるために必要なことを熟知しています。
必要十分な後遺障害診断書を作成してもらうために医師に意見することもできるので、後遺症に合わせて適切な等級に認定される可能性が高まります。
交通事故で相手の連絡先がわからない場合、まずは交通事故証明書を確認してみましょう。もし警察が来る前に加害者が事故現場から立ち去ってしまった場合には、ナンバーなどから加害者の身元を調べてもらいましょう。
また加害者が連絡先を教えてくれないなど不誠実な態度をとる場合、その後の示談交渉がスムーズに進まない恐れがあります。個人で対応するのは精神的負担が大きいので、早めに交通事故に強い弁護士に相談しましょう。
弁護士費用特約が使えれば、多くのケースにおいて無料で弁護士に依頼できるでしょう。どこに依頼すべきか迷ったら、被害者に親身に寄り添い対応する”ベンチャーサポート法律事務所”にぜひお気軽にご相談ください。

示談・和解・裁判略式起訴とは?流れからメリットについて【弁護士監修】
示談・和解・裁判【簡単】示談書の書き方とは?記載項目や記載例をわかりやすく解説
示談・和解・裁判交通事故の示談交渉は弁護士に依頼すべき?自分でやる基準・進まない時の対処と費用相場
示談・和解・裁判交通事故裁判をやる?やらない?本人尋問の心構えや控訴手続きを解説
示談・和解・裁判交通事故裁判の流れやかかる期間・費用は?弁護士が詳しく解説!
示談・和解・裁判示談交渉がこじれて「裁判」になった場合の流れ
示談・和解・裁判示談交渉の弁護士費用 入っていると安心!「弁護士費用特約」
示談・和解・裁判交通事故で示談しないとどんなリスクが?加害者側・被害者側それぞれの視点から解説
示談・和解・裁判知らないと損!交通事故の示談の流れと注意点についてくわしく解説