交通事故の慰謝料はいくらもらった?症状別の実例とともに相場を解説

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交通事故の慰謝料はいくらもらった?症状別の実例とともに相場を解説

この記事でわかること

  • 交通事故の慰謝料の相場が決まる3つの基準がわかる
  • 交通事故の慰謝料の症状別相場と実際にもらえた金額がわかる
  • 交通事故の慰謝料が少ないと感じたときの対処法がわかる

交通事故の被害者になってしまい、任意保険会社から慰謝料の提示を受けたが、「提示された金額が適切なのかわからない」「実際に示談した人の慰謝料の金額を知りたい」という方もいらっしゃると思います。

交通事故に遭って慰謝料の支払いを受けたという人は、身近にそう多くいるものではありません。

交通事故の慰謝料は通院日数や後遺症の有無によっても、大きく変わります。

この記事では、交通事故の慰謝料の種類から、症状別の慰謝料相場までくわしく解説していきます。

また、交通事故の5つの事例を紹介し、実際に慰謝料をいくらもらったのかについてもまとめています。

慰謝料が少ないと感じたときの対処法も解説していますので、事前に確認しておきましょう。

交通事故の慰謝料は賠償金の一部

慰謝料とは、交通事故で被害者が精神的損害を負ったことに対して支払われる賠償金で、交通事故の損害賠償金の一部にすぎません。

交通事故で請求できる損害賠償金には、慰謝料以外にも様々なものがあります。

また、慰謝料も、入通院慰謝料後遺障害慰謝料死亡慰謝料の3種類に分けられます。

慰謝料のうち、入通院慰謝料は、入通院したことで精神的損害を負ったことに対する慰謝料であり、入通院の日数に応じて相場が決められています。

後遺障害慰謝料は、交通事故で後遺障害が残ってしまったことで精神的損害を負ったことに対する慰謝料で、認定される後遺障害の等級に応じて相場が決まっています。

死亡慰謝料は、交通事故で死亡した本人、遺族に対して精神的損害の賠償として支払われるものになります。

さらに、交通事故で慰謝料以外に損害賠償金として請求できるのは、積極損害と消極損害に区別できます。

積極損害:事故が起こったからそこ発生した費用
消極損害:事故が起こっていなかったら被害者が将来得るはずだった利益の喪失
慰謝料 精神的な苦痛に対して支払われる
積極損害 治療費・入院費 治療にかかる費用、入院雑費なども含まれる
通院交通費 タクシーも含め通院にかかった交通費
通信費 交通事故によりかかった通話代など
修理費 車両の修理にかかった費用(レッカー代・代車の費用も含む)
付き添い看護費 入通院で付き添いが必要になった際に認められる費用
器具等購入費 治療や後遺症が残った際にかかる必要(車椅子・松葉杖など)
家具等改造費 後遺症が残ることによってかかる自宅のバリアフリー化などの費用
物損費用 交通事故が原因で破損したものの費用
葬儀関係費 葬儀に関する費用
消極損害 休業損害 休まずに働いていれば得られた現在の収入減少に対する損害賠償
逸失利益 交通事故がなければ将来得られたであろう経済利益

それぞれの慰謝料の種類、性質と、慰謝料以外の損害賠償金も確認したうえで、交通事故の被害に応じてどのような損害賠償金を請求できるのか、検討するようにしましょう。

交通事故の慰謝料の相場が決まる3つの基準

交通事故の慰謝料の相場の基準には、「自賠責基準」「任意保険基準」「弁護士基準」の3つの基準があります。

種類 内容 金額
自賠責保険基準 最低限度の補償 もっとも低い
任意保険機基準 任意保険会社が独自に設定 自賠責保険よりは高い
弁護士基準 弁護士依頼・裁判時に採用される基準 もっとも高い

交通事故の慰謝料が発生するのは人身事故のみ

交通事故には人身事故と物損事故がありますが、慰謝料が発生するのは人身事故のみです。

したがって、交通事故で被害を受けたときに慰謝料を含めた損害賠償金を受け取るには、人身事故扱いにする必要があります。

人身事故として扱われるためには、警察に人身事故として届け出をすることが条件です。

人身事故の場合に警察が作成する実況見分調書は、保険会社に損害賠償金を請求する際の必要書類になるので、必ず警察に届け出ましょう。

物損事故として届け出した後に人身事故に切り換えたいという場合は、早い時期であれば「医師の診断書」を持っていけば切り換えることが可能です。

また保険会社に「人身事故証明書入手不能理由書」を提出し、人身事故として認めてもらうという方法もあります。

【症状別】交通事故の慰謝料の相場

それでは、交通事故で起こりうる代表的な症状別に、請求できる慰謝料の相場をご紹介します。

交通事故で起こりうる代表的な症状

  • むち打ち症
  • 骨折
  • 脳障害

任意保険基準は公表されていないため、自賠責基準と弁護士基準を比較して紹介します。

むち打ち症の慰謝料相場

通院6か月(実通院日数50日)で、後遺障害等級14級の後遺障害が残った場合の慰謝料の相場です。

自賠責基準 弁護士基準
入通院慰謝料 43万円 89万円
後遺障害慰謝料 32万円 110万円
合計 75万円 199万円

自賠責基準では、入通院慰謝料が実際の通院した日数の2倍と通院期間の少ない方に4,300円/日を乗じて計算するとされています。(2020年3月31日までの事故の場合は4,200円)

そのため、実際に通院した日数が少ないと弁護士基準との差が開いていきます。

後遺障害が残った場合、自賠責基準と弁護士基準との差はさらに大きくなります。

骨折の慰謝料相場

入院1か月、通院8か月の骨折で、骨折した部分に痛みが残り、後遺障害14級と認定された場合の慰謝料の相場です。

自賠責基準 弁護士基準
入通院慰謝料 111.8万円 164万円
後遺障害慰謝料 32万円 110万円
合計 143.8万円 274万円

弁護士基準では、通院慰謝料よりも入院慰謝料の方が高い相場基準が設定されています。

入院期間が長ければ、その分自賠責基準との差が広がることになります。

脳障害を負った場合の慰謝料相場

脳障害を負い、常に介護が必要な状態になった場合の慰謝料の相場です。

入院6か月、通院1年(実通院日数200日)、後遺障害等級1級とします。

自賠責基準 弁護士基準
入通院慰謝料 234.35万円 298万円
後遺障害慰謝料 1,600万円 2,800万円
合計 2,063.25万円 3,098万円

要介護状態の後遺障害になったため、後遺障害としては最高額の慰謝料になります。

重度の障害になればなるほど、自賠責基準と弁護士基準の相場の開きは大きくなります。

交通事故の慰謝料をいくらもらった5つの実例を紹介

さきほどは、交通事故で生じる可能性がある代表的な症状別の慰謝料相場を紹介しました。

次は、判例や弁護士に相談があった事例から、実際に慰謝料をもらうことのできたケースを5つ紹介します。

交通事故の慰謝料5つの事例

  • 打撲で完治した
  • むち打ち症で12級の後遺障害が残った
  • 骨折で12級の後遺障害が残った
  • 脊髄損傷で1級の後遺障害が残った
  • 一家の大黒柱が死亡した

事例1:打撲で完治した(53万円)

打撲で完治した

交通事故で打撲などの傷害を負い、3か月通院しました。

MRIで検査したものの異常は見つからず、3か月後に症状固定と診断されました。

後遺障害は残りませんでした。

任意保険会社からは、入通院慰謝料として37.8万円を提示されました。

弁護士に相談したところ、弁護士基準による相場は53万円と言われ、弁護士による示談交渉で53万円の入通院慰謝料の支払いを受けることができました。

入通院慰謝料:53万円

被害者の弁護士費用は、被害者自身が加入していた任意保険の弁護士費用特約によって補填され、被害者は53万円を丸々受け取ることができました。

一般的に、後遺障害の認定を受けられないと弁護士費用が持ち出しになってしまい、任意保険会社に示談を任せた方がいいと言われています。

しかし、弁護士費用特約に入っていれば弁護士費用は保険で賄われるので、弁護士に依頼しても充分に割に合うと言えます。

事例2:むち打ち症で12級の後遺障害が残った(223万円)

むち打ち症で12級の後遺障害が残った

むち打ち症で8か月通院したものの、完治せず、後遺障害が残ったケースです。

MRIで異常所見があり、後遺障害は12級に認定されました。

任意保険会社からは、入通院慰謝料86.9万円、後遺障害慰謝料40万円を打診されました。

慰謝料相場がよくわからず、弁護士に相談したところ、弁護士基準ではもっと高額を請求できると言われ、弁護士に示談交渉を依頼しました。

最終的に受け取ることのできた慰謝料は以下のようになりました。

入通院慰謝料:113万円
後遺障害慰謝料:110万円
合計慰謝料金額:223万円

結局、任意保険会社から提示された慰謝料よりも100万円程度上乗せすることができ、弁護士費用40万円を払いましたが、それでも手残りで60万程度アップとなりました。

事例3:骨折で12級の後遺障害が残った(824万円)

骨折で12級の後遺障害が残った

自転車と貨物トラックとの衝突事故による骨折で、骨折は一部神経症状を除き完治したものの、大腿部に瘢痕が残り、後遺障害12級が認定されました。

後遺障害慰謝料などを巡って、保険会社と示談交渉がこじれ、裁判で決着をみました。

治療費等:127万円
休業損害:55万円
逸失利益:72万円
入通院慰謝料:150万円
後遺障害慰謝料:420万円
合計慰謝料金額:824万円

特に、後遺障害慰謝料の請求について、等級の相場額よりも高額が認められた事例です。

後遺障害12級の弁護士基準の慰謝料相場額は290万円です。

この事例では、被害者がファッションモデルを目指している若い女性であり、後遺障害で残った大腿部の瘢痕のせいでその職業をあきらめざるを得なくなったことの精神的苦痛が考慮されました。

このように、後遺障害として一般的に認められるには軽い障害であっても、裁判で被害者の個別事情を考慮して慰謝料を増額できるケースもあります。

事例4:脊髄損傷で1級の後遺障害が残った(3,100万円)

脊髄損傷で1級の後遺障害が残った

交通事故で脊髄を損傷し麻痺が残ったため、自力での日常生活が困難になり、常に介護が必要な状態となりました。

後遺障害等級は1級と認定されました。

任意保険会社からは、入通院慰謝料128.5万円、後遺障害慰謝料1,600万円を提示されました。

相場がわからなかったため、弁護士に依頼したところ、最終的に受け取ることのできた慰謝料は以下のようになったのです。

入通院慰謝料:300万円
後遺障害慰謝料:2,800万円
合計慰謝料金額:3,100万円

介護が必要な後遺障害が残るケースは、最も重い後遺障害と言えます。

このような場合であっても、任意保険会社はできる限り慰謝料の支払いを抑えようとし、適正な金額を提示するとは限りません。

弁護士に依頼することで、相場通りの適正な慰謝料を受け取ることが可能になります。

事例5:一家の大黒柱が死亡した(2,800万円)

一家の大黒柱が死亡した

一家の大黒柱が交通事故で死亡し、妻と2人の娘が残されました。

任意保険会社からは、死亡慰謝料として1,700万円を提示されました。

遺族は、妥当な金額かどうかがわからなかったため、弁護士に相談したのです。

そして、弁護士に示談交渉をしてもらい、弁護士基準による相場適正額として、以下の慰謝料を獲得しました。

死亡慰謝料:2,800万円

不幸にして被害者が死亡した場合は、後遺障害の認定など不明確な要素もないため、弁護士に依頼すれば迅速に相場通りの慰謝料が支払われます。

この事例では、妻と2人の娘という扶養者がいたため、相場よりも多少高額の慰謝料となりました。

交通事故の慰謝料が少ないと感じたときの対処法

任意保険会社に示談交渉を任せていると、少しでも慰謝料を抑えようとしてきます。

交通事故の被害者が慰謝料を少しでも多くもらうにはどのようにすればいいのでしょうか。

自分の過失割合を減らす

まずは、適切な過失割合を認定してもらう必要があります。

決定される過失割合によっては、交通事故の被害者であっても1割~3割程度の過失があるとされて、その過失分が損害賠償金総額から減額されてしまいます。

例えば示談金が100万で、過失割合が自分4:相手6だった場合、もらえる金額は60万になります。

示談交渉をして自分の過失割合を自分2:相手8に変更できたとしたら、もらえる金額が80万まで増額します。

過失割合は受け取れる示談金の金額を決める大事な要素なので、少しでも自分の過失割合を下げることが重要になります。

過失割合の決定は、被害者と加害者の任意保険会社が話し合って決めてしまうのが一般的です。

被害者個人がなかなか過失割合の決定に関わるのは難しいですが、決定された過失割合に不満がある場合は、適切な証拠を集めれば変えてもらえる可能性もあります。

ただし相手の保険会社は事故対応のプロなので、自分に専門的な知識がないなら、専門の弁護士に依頼する方がおすすめです。

交通事故の案件に慣れている弁護士なら「どうすれば過失割合が下がるのか?」を分かっているため、有効なアドバイスがもらえるでしょう。

後遺障害等級の認定をもらう

次に、適切な後遺障害等級を認定してもらう必要があります。

後遺障害等級とは「事故によって後遺症が残ってしまうこと」を公的に認める手続きです。

交通事故の被害に遭ったら、病院に通い治療を続けます。

ただ「これ以上治療を続けても、症状は改善されない」というケースもあり、その状態を症状固定と呼びます。

症状固定後、医師の診断のもとに専門の認定機関に後遺障害の申請をして認定を受ければ、後遺障害慰謝料の請求が可能になります。

後遺障害の等級とは「どれぐらい重い症状が残っているか?」を証明するもので、症状が重いと等級が上がり、その分請求できる慰謝料金額も高くなります。

通常は、任意保険会社が代行してやってくれますが、必ずしも適切な等級が認定されるとは限りません。

後遺障害の等級申請は、被害者自身が行う被害者申請という方法もあります。

後遺障害で受け取ることができる慰謝料は慰謝料のなかでは最も大きな部分を占め、認定等級によって金額は大きく変わります。

少しでも多くの慰謝料をもらうために後遺障害の適切な等級認定を受けるべきです。

適切な等級認定を受けるためには、弁護士への依頼がおすすめです。

交通事故に慣れている弁護士なら等級認定のポイントも分かっているため、等級のUPも期待できるでしょう。

弁護士に依頼する

最後に、慰謝料の金額を増やすには、弁護士に相談することも重要になります。

慰謝料には、弁護士に依頼することで初めて請求が可能になる弁護士基準という基準があります

一般的には、後遺障害慰謝料を受けられるレベルまでいかないと、費用倒れになってしまうと言われますが、被害者自身が任意保険で弁護士費用特約に加入していれば弁護士費用はそれで賄うことが可能です。

また、相談するだけなら無料かあるいは格安で受け付けてくれる弁護士もいるので、自分で慰謝料増額の交渉をするにしても、一度専門家である弁護士の知恵を借りるのも選択肢の一つと言えるでしょう。

まとめ

慰謝料には、入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料の3種類があります。

慰謝料は精神的損害に対する賠償金なので、慰謝料以外にも治療費、交通費などの実際にかかった費用や休業損害、逸失利益を請求することができます。

慰謝料を請求できるのは人身事故の場合だけです。

保険会社に慰謝料請求する場合には、警察に人身事故として届け出ていることが条件になることがあるので、警察には人身事故として届け出るようにしましょう。

慰謝料には、自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準の3つの基準があります。

入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料のいずれも弁護士基準が最も高く、入通院では期間が長引くほど、後遺障害では障害が重くなるほど、自賠責基準と弁護士基準の差は大きくなると言えるでしょう。

特に、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料では、1,000万単位の差になることもあります

弁護士基準も必ずしも一律ではなく、裁判によって個別の事情を認めてもらい、基準の相場より高額の慰謝料を受けられることもあります。

慰謝料を少しでも多くもらうには、適切な過失割合を決めてもらうこと、適切な後遺障害の等級認定を受けること、弁護士に依頼すること、の3つの方法があります。

過失割合の違いによっては、被害者の過失分の過失相殺により損害賠償金が減額されることになります。

また、後遺障害慰謝料の請求は、認定された等級によって相場が決められているため、適切な等級認定を受けないと請求額が大きく変わってしまいます。

さらに、慰謝料請求は、任意保険会社の提示してきた示談金を個人が交渉によって覆すのは容易ではありません。

弁護士基準の相場の慰謝料を引き出すには、裁判による強制執行という選択肢を持った弁護士に依頼することをおすすめします。

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