東京弁護士会所属。
破産をお考えの方にとって、弁護士は、適切な手続きをするための強い味方になります。
特に、周りに相談できず悩まれていたり、負債がかさんでしまいそうで破産を考えていたりする方は、ぜひ検討してみてください。
携帯電話の料金のように、毎月決まって発生する費用は多くあります。
このような費用を期日までに支払わなくてもすぐに利用できなくなるわけではないため、苦しい時は支払いが後回しになってしまいます。
ところが、いつまでも支払いをしないでいるとある日「受任通知兼代金請求書」と呼ばれる書類が届くことがあります。
この書類はどのようなものなのでしょうか。
また、書類が届いた時にはどのように対処する必要があるのでしょうか。
Contents
受任通知兼代金請求書とは、その名のとおり受任通知と代金請求書をあわせた書類です。
受任通知とは、債権者が未回収となっている債権金額の取り立てを弁護士に依頼し、弁護士がその依頼を受任したという書類です。
また請求書は、債権者が債務者である利用者にその支払いを求める金額や取引の内容を示した書類です。
未回収の債権金額がある場合、債権者自ら取り立てを行うこともできますが、それにはあまりにも時間と費用がかかってしまいます。
そこで、弁護士に依頼してその手続きを行うことを債務者に伝えるための書類が受任通知です。
受任通知を受け取った後にも支払いが行われなかった場合、裁判に進むことも考えられるため、何らかの対処が必要となります。
受任通知兼代金請求書は、債権者が代金の回収に動き始めたことを示す第一歩といえます。
この書類を受け取った後も放置していると、かえって事を大きくすることとなるため、対処することが求められます。
まずは、受任通知兼代金請求書が届いたら確認しなければならないポイントをみていきましょう。
前述したように、受任通知兼代金請求書は未払いとなっている代金の回収のために、弁護士がその業務を受任したことを伝えるものです。
つまり、何らかの支払いについて未払いとなっていなければ、このような書類を受け取ることはないということです。
最初に携帯電話の料金を例にあげましたが、他にもクレジットカードの支払いやインターネットサイトの利用料などがあります。
ただ、未払いとなっていることに気付いている場合だけでなく、支払っているつもりだったということもあり得ます。
また、そのような料金が発生していることにまったく気付かなかったということもあるかもしれません。
そのような場合は、何が未払いとなっているのかがわからないということも考えられます。
受任通知兼代金請求書だけでは、具体的にいつ、誰に対する支払いが未払いとなっているのかわからない場合もあります。
中には、数年前の支払いということも考えられるため、古い記憶をたどって間違いないか確認するようにしましょう。
弁護士や法律事務所の名前を騙って、まったく実態のない架空の請求を行うという詐欺は古くからあります。
特に最近は、振り込め詐欺の手口が巧妙化しているため、書類だけでなく電話なども使って詐欺を行うケースがあります。
詐欺を行うケースでは、架空の法律事務所や架空の弁護士法人の支店・部署を騙っています。
そのため、まったく身に覚えのない受任通知兼代金請求書が届いた場合は、記載されている法律事務所や弁護士法人に直接連絡するのではなく、その組織を検索してみることをおすすめします。
その上で、詐欺や架空請求である可能性が高い場合は、警察や国民生活センターなどに連絡しましょう。
受任通知兼代金請求書などという書類が届くと、身に覚えのない大半の人は振り込め詐欺や架空請求でないかと疑うものです。
しかし、書かれている内容をまったく確認しないまま、詐欺と決めつけるのは非常に危険です。
もしかすると身に覚えがないだけで、実際には未払いとなっているものはあるかもしれません。
また、支払先の会社と債権の回収を行っている会社は別であるため、きちんと確認しないとわからないということもあり得ます。
書面を見ただけで、一瞬で詐欺と判断するのはあまりにも危険ですし、その後さらに問題を大きくする結果となることもあるのです。
受任通知兼代金請求書が届いていたのに、その書類を無視した場合、どのようなことが起こるのでしょうか。
場合によっては裁判になることもあり、いったん始まった手続きは途中で止めることはできません。
ここで紹介するようなことにならないように、受任通知兼代金請求書が届いたら無視しないようにしましょう。
未払いとなっている料金について、支払いを求めるのが受任通知兼代金請求書を送った一番の理由です。
ところが、その書類を無視して支払いを行わなかったとすれば、何の意味もなかったこととなります。
そこで、支払いを受けられなかった債権者としては、これ以上被害を広げないようにする必要が出てきます。
そのため、これまで利用していたサービスを利用することができなくなります。
たとえば、携帯電話の料金が未払いとなっている場合は、携帯電話の利用ができなくなりますし、現在利用している携帯電話会社が解約になるだけでなく、他の会社との契約もできなくなります。
さらに、未払いとなった期間に応じて、利息に相当する遅延損害金の請求を受けることとなります。
クレジットカードやローンの支払いなど、金融機関やカード会社に対する支払いを滞納している場合、その情報は信用情報に登録されます。
信用情報には、その人がどの金融機関から借り入れをしているのか、借り入れの金額はいくらかなどといった情報が登録されています。
この信用情報をもとに、金融機関はローン契約を締結するか否かの判断をします。
また、クレジットカードの発行を行う際にも、信用情報をもとに契約を行うかどうか判断します。
ところが、信用情報に支払いを滞納したという記録がある場合、新規にクレジットカードを発行することができなくなり、ローンを組むこともできなくなります。
そのため、ローンを利用してマイホームや車を購入するといったことができなくなってしまうのです。
受任通知兼代金請求書には、いつまでに請求金額を支払うようにという内容が記載されています。
一方的な主張のようにも思えますが、実際は受け取るべき代金が回収できていないため、債権者の方が被害者なのです。
この受任通知兼代金請求書を無視してしまうと、設定された支払期限までに代金を支払わないこととなります。
すると、債権者としては支払う意思がないものと判断して、次の段階に進まざるを得なくなります。
次の段階というのは、裁判を行って回収できていない代金を回収することです。
裁判が起こされると、裁判所から「支払督促」や「訴状」が裁判の当事者となった債務者宛に送られてきます。
こうなると、裁判を回避することはできないため、ただちに「督促異議申立書」や「答弁書」を裁判所に提出します。
もし支払督促や訴状も無視して、裁判に出席しない場合は全面的に債権者の主張が認められてしまいます。
返済方法や返済時期などの話し合いを行うためにも、何らかの対応をしなければなりません。
支払督促や訴状を無視してしまうと、債権者の主張が100%認められて、ただちに代金の回収が実行されることとなります。
また、裁判所の場で話し合いができたとしても、未払いとなっている金額が大きな場合は、簡単にその返済ができません。
このような場合、最終的に強制執行による差押えが行われることとなります。
差押えの対象となるのは66万円を超える部分の現金、預金口座、給料の4分の1、自宅の土地や建物、車などです。
未払いの金額が大きな場合は、その後の生活に大きな支障が出る可能性もあるため、差押えとなる前に何らかの対応が求められます。
受任通知兼代金請求書が届いたことは知っており、支払いの必要性に気づいていたとしても、話は簡単ではありません。
これまで支払いができずに滞納してきた方が、急に請求金額を支払うことができるようになるとは考えられないからです。
受任通知兼代金請求書を受け取っても、支払いができないことは実際多くあります。
このような場合、どのような対処法があるのでしょうか。
受任通知兼代金請求書に記載されている金額は、これまでに滞納している金額の総額となっています。
これは、手続上このようにするしかないため、どのようなケースでも総額が請求されることとなります。
ただ、債権者としても、いきなりまとまった請求金額を一度に支払ってくれるとは思っていないのが本音です。
また、受任通知兼代金請求書が無視されて次の段階に進むと、裁判となり費用が余分にかかってしまいます。
そのため、できれば裁判は避けたいと考えていても不思議ではありません。
そこで、受任通知兼代金請求書が届いても一度に支払えない場合、弁護士に連絡して分割払いにしてもらう交渉をしましょう。
交渉によって債務の金額を減額してもらうことは、弁護士といえども勝手にはできないため、交渉しても成果は見込めません。
しかし分割払いにすることに関しては、弁護士も交渉に応じやすい内容です。
何回で支払うのか、遅延損害金をどうするのかといった条件については、交渉次第で様々なパターンが考えられます。
受任通知兼代金請求書を受け取ってその重要性を認識していても、現実に支払いができなければどうしようもありません。
このような場合、滞納している債務を法的に整理するため、弁護士に依頼することも検討してみましょう。
法的な債務整理を行えば、滞納している債務を減額したり、ゼロにしたりすることができます。
債務整理を行うと、ローンが組めなくなる、クレジットカードが使えなくなるといったデメリットがあります。
ただ、受任通知兼代金請求書を受け取った時点で、すでにそのような状態になっていると考えられます。
そのため、新たに大きなデメリットが発生するとは限りません。
債務整理には、任意整理、個人再生、自己破産の3つがあります。
それぞれ債務整理を行った後の状態や、その後の返済義務化に違いがあるため、よく確認して行うようにしましょう。
受任通知兼代金請求書は、支払いを滞納しているために債権者から送られてくる書類です。
受任通知兼代金請求書を受け取った人には、何らかの心当たりがあるのが普通であるため、決して無視してはいけません。
ただ、中には詐欺や架空請求のケースもあることから、その真偽についてはきちんと確認する必要があります。
その上で、未払いとなっている金額がある場合には、適切な対応を行うようにしましょう。