東京弁護士会所属。新潟県出身。
破産してしまうかもしれないという不安から、心身の健康を損ねてしまう場合があります。
破産は一般的にネガティブなイメージですが、次のステップへのスタート準備とも言えます。
そのためには、法律上の知識や、過去の法人破産がどのように解決されてきたかという知識が必要です。
法人破産分野を取り扱ってきた弁護士は、こういった法律・判例や過去事例に詳しいため、強い説得力をもって納得のいく措置をとることができます。
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裁判所に自己破産を申し立てるまでの間であれば、債権者は債務者を訴えることができます。
債権者から訴訟を提起されているにもかかわらず放置していると、原告の主張が認められ、債務を返済しなければなりません。
また原告側(債権者)が勝訴すると、判決に基づいて財産が差し押さえられる可能性があるため、注意が必要です。
この記事では、自己破産して訴えられるのはどのようなケースなのか、訴えられたときの対処法についても解説します。
Contents
返済の滞納が長期間続いている、あるいは督促を無視しているような場合、自己破産準備中であれば訴えられるケースはあります。
弁護士に自己破産申立ての依頼をして、弁護士から送った受任通知が債権者の手元に届くと、債権者は直接、債務者に電話や訪問による取り立てができません。
しかし弁護士が裁判所に申立てをする前であれば、債務者を訴えることができます。
自己破産で債務をすべて免除されたからといって、逮捕されたり刑事告訴されたりすることはありません。
テレビなどで借金を返さずに逮捕されたといったニュースを見ることもありますが、逮捕や刑事告訴されるのは「詐欺などでだまし取ったお金」を返さないケースです。
ただし自己破産で差し押さえられないように、以下の行為をしたときは、詐欺破産罪という犯罪行為が成立する可能性があります。
詐欺破産罪が適用された場合、1カ月以上の懲役または1000万円以下の罰金、あるいはその両方が科されます。
現在、自己破産準備であることを相手に伝えると、訴えを取り下げてもらえる可能性があります。
自己破産も申立てをして手続きが開始されると、債務者に対する訴訟手続きは中断され、新たに訴訟を提起する、あるいは強制執行手続きを行うことができません。
債務者が自己破産の申し立て準備中であることがわかると、債権者は費用をかけて訴訟しても無駄になる可能性が高いと考えるためです。
ただし債務者に財産がある場合、他よりも早く財産を差し押さえて回収したいと考える債権者もいるため、確実ではありません。
仮に訴訟提起された場合は、すみやかに専門家に依頼をして申し立て、開始決定まで進める必要があります。
いずれにしても自己破産を検討している方は、早めに専門家に相談をして、アドバイスを受けながら手続きを進めていくことが最善の方法といえるでしょう。
先に述べた詐欺破産罪に該当する内容以外にも、以下のような行為を自己破産中にしてはいけません。
自己破産手続き中に知人や友人など、一部の債権者に優先して借金の返済や、担保の提供をすることを偏頗弁済(へんぱべんさい)といいます。
偏頗弁済は、債権者平等の原則を損ねる行為に該当するため、債務が免除されない可能性があります。
また管財事件の場合、自己破産中の引っ越しは裁判所の許可が必要です。
自己破産手続きのうち、債務者に処分すべき財産がある場合、管財事件として処理をします。
管財事件は、破産管財人が財産調査、管理、換価処分を行い債権者に配分する手続きがあります。
財産隠しや逃亡のリスクを避けるため、管財事件の場合、無許可での引っ越しはできません。
裁判所や破産管財人から書類の提出を求められても応じない、申立代理人弁護士に呼ばれても足を運ばないなど、非協力的な場合も、債務が免除されないケースがあります。
もうすぐ自己破産の申立て手続きが始まるからといって、準備中に起こされた訴訟を放置してはいけません。
放置すると裁判所は、債務者が債権者の主張を一方的に認めたと判断し、敗訴の判決を下します。
敗訴となれば、債務者は債権者の主張通り返済をしなければならず、財産を差し押さえられる可能性があります。
自己破産に関するよくある質問と回答についてまとめています。
自己破産手続きを控えている方は参考にしてください。
自己破産の手続きをすると、主に破産者が所有している財産、債務の内容、債務を負った理由について徹底的に調べられます。
ただし家族の財産や、破産者本人の財産や債務以外の個人情報については調査対象とならないのが一般的です。
債務者の未収金は、裁判所が破産者に代わって債権の請求や回収を行い換価します
未収金とは売掛金や貸付金など、将来、現預金として回収が見込める債権のことです。
貸付金とは特定の個人や法人に貸して、まだ返ってきていないお金のことをいい、売掛金とは商品やサービスの代金を後払いで回収する権利のことをいいます。
自己破産にかかる訴訟費用は、大きく裁判所にかかる費用と弁護士報酬の2つに分けて考えます。
自己破産の手続きは「同時廃止事件」「少額管財事件」「管財事件」の3種類があり、費用の目安は、同時廃止事件が1~3万円、少額管財事件が約20万円、管財事件が約50万円です。
弁護士費用の相場は30~80万円、その他収入印紙の購入費、債権者に破産したことを通知する郵送切手代がかかります。
自己破産手続きの準備中は、債権者から訴えられる可能性があります。
訴えられたら、まず申立て手続きをする予定であることを債権者に伝えましょう。
申立て手続き予定であることを伝えれば、多くの場合、訴訟を取り下げてもらえますが、中には強硬な債権者がいるかもしれません。
自己破産を検討している場合は、早めに専門家に相談をすると良いでしょう。