東京弁護士会所属。新潟県出身。
破産してしまうかもしれないという不安から、心身の健康を損ねてしまう場合があります。
破産は一般的にネガティブなイメージですが、次のステップへのスタート準備とも言えます。
そのためには、法律上の知識や、過去の法人破産がどのように解決されてきたかという知識が必要です。
法人破産分野を取り扱ってきた弁護士は、こういった法律・判例や過去事例に詳しいため、強い説得力をもって納得のいく措置をとることができます。
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自己破産は借金問題の解決方法になっており、裁判所が認めると、借金の返済義務を免除してもらえます。
借金が帳消しになれば、毎月の返済負担や督促を気にする必要がありません。
自己破産で人生の再スタートを切る方もおられますが、破産者が結婚している場合、配偶者への影響を理解しておく必要があります。
破産者の財産は基本的に差し押さえられるため、「夫婦で共同購入したマイホームはどうなるの?」などの疑問も生じてくるでしょう。
今回は、自己破産が配偶者に及ぼす影響や、クレジットカードや貯金の扱いをわかりやすく解説します。
Contents
夫婦のどちらかが自己破産しても、配偶者に直接的な影響はありません。
自己破産すると高額な財産は差押さえとなり、任意売却や競売によって処分されますが、あくまでも破産者名義の財産のみが対象です。
なお、自己破産すると車や自宅は手元に残せないため、どちらも破産者名義だったときは、配偶者や子どもの生活にも大きく影響するでしょう。
持ち家を失うと、引っ越しや転校を余儀なくされてしまい、生活環境や交友関係も変わります。
一人暮らしの独身者は家族に内緒で自己破産できますが、既婚者の場合は「奥さん(夫)にバレないようにしたい」と思っても、困難でしょう。
自己破産した場合、破産者名義の財産は差押えの対象ですが、以下のように配偶者に影響を与えるケースもあります。
裁判所に自己破産を申し立てるときは、借入金の契約状況や連帯保証人の設定を確認しておきましょう。
借金の連帯保証人に配偶者を設定した場合、自己破産の影響を受ける恐れがあります。
連帯保証人には主債務者と同じ責任があるため、夫婦のどちらかが自己破産すると、債権者は配偶者に一括返済を請求するでしょう。
単なる保証人には抗弁権があり、債権者から督促されても「主債務者に請求してください」と主張できます。
一方、連帯保証人には抗弁権がないため、債権者から全額返済を迫られても拒否できません。
夫が住宅ローンを契約する際に妻を連帯保証人とした場合、夫が自己破産すると、ローンの残りを妻が全額負担しなければならないでしょう。
夫婦共有の財産がある場合、自己破産すると配偶者に影響が及びます。
たとえば、住宅ローンが残っている持ち家は抵当権が設定されているため、自己破産によって競売にかけられると、夫婦は所有権を失います。
住宅ローンを完済している、または自己資金で購入した持ち家であれば、破産者の共有持分のみ競売にかけられるため、配偶者の所有権に影響はありません。
なお、持ち家に第三者の権利を入れたくないときは、破産者の持分を配偶者が買い取るか、すべて売却する方法もあります。
自己破産で借金問題を解決する場合、配偶者に影響を与えない方法を考えておく必要があります。
差押えの対象は破産者名義の財産のみですが、生活をともにする配偶者には必ず悪影響が出てしまうでしょう。
配偶者に及ぶ影響を最小限にしたいときは、以下の方法を検討してください。
不動産や車を配偶者の名義にすると、自己破産の影響を受けません。
ローンで住宅や車を購入する際は、すべて配偶者名義にするとよいでしょう。
資産価値の低い財産は処分されないケースもあるため、市場価格が20万円以下の車であれば、破産者名義でも手元に残せます。
配偶者が連帯保証人にならなければ、自己破産しても配偶者名義の財産を残せます。
自己破産すると破産者の債務は免除されますが、借金そのものが消滅するわけではないため、債権者は連帯保証人に全額返済を迫るでしょう。
事業用の資金を金融機関から借りるときなど、配偶者を連帯保証人にする場合は、主債務者が自己破産するリスクも考慮してください。
配偶者に影響が出ない方法で借金問題を解決したいときは、以下の任意整理や個人再生も選択できます。
任意整理は債権者を選べるため、連帯保証人を設定していない借金のみ減額可能です。
個人再生は借金の返済負担を軽くできますが、債権者平等の原則により、連帯保証人のいる借金のみ除外する扱いはできません。
配偶者が連帯保証人になっている借金がある場合は、まず任意整理を検討してみるとよいでしょう。
裁判所に自己破産を申し立てる際は、以下の「よくある質問」も参考にしてください。
自己破産は手続きがわかりにくいため、配偶者の財産にどのような影響が及ぶか、十分な理解が必要です。
夫の自己破産であれば、妻の預貯金に影響はありません。
ただし、夫の給与を妻の預金口座で管理している場合は、裁判所に所得隠しとみなされるでしょう。
自己破産では口座の履歴なども裁判所に提出するため、夫の給与や保険の満期金などを妻の口座に入金した場合、妻の預貯金も処分される可能性があります。
夫婦のどちらかが自己破産しても、配偶者のクレジットカードはそのまま使えます。
カード会社は信用情報を個人別に管理しているため、破産者の利用は停止しますが、配偶者への影響はありません。
なお、夫婦で家族カードを利用しており、破産者が本会員だった場合は、配偶者のカード利用も停止します。
自己破産では破産者の財産のみ差し押さえられるため、配偶者名義の車には影響がありません。
ただし、自己破産の直前に車の名義を配偶者に変更した場合、財産を隠す行為とみなされます。
車のローンだけを完済すると偏頗弁済(へんぱべんさい)となってしまい、自己破産が認められなくなるため、要注意です。
自己破産は本人だけに適用されるため、基本的には配偶者に影響を与えません。
借金が帳消しとなり、収入確保の見込もあれば、人生の再起を図れるでしょう。
なお、配偶者を借金の連帯保証人にしている場合は、自己破産するかどうかを慎重に判断しなければなりません。
連帯保証人は一括返済の請求を断れないため、任意整理の検討も必要です。
借金問題の解決に困ったときは、ぜひ弁護士法人ベンチャーサポート法律事務所の無料相談を活用してください。