

東京弁護士会所属。
破産をお考えの方にとって、弁護士は、適切な手続きをするための強い味方になります。
特に、周りに相談できず悩まれていたり、負債がかさんでしまいそうで破産を考えていたりする方は、ぜひ検討してみてください。

民事執行法45条[注1]に基づく差押えの通知は競売の始まりにすぎないため、「もう手遅れなのか」「いつまで住めるのか」と不安な方も、開札期日までなら任意売却等で回避する余地があります。
本記事では回避方法、期限、立ち退きの流れ、弁護士相談の必要性を解説します。
競売による安価な売却を避け、立ち退き後の生活を確実にさせるためにも、早期対応が不可欠です。
Contents
家が競売にかけられても、段階次第ではまだ差し止める方法はあります。
任意売却により、民事執行法[注1]上の競売申立てを債権者自ら取り下げてもらう方法です。
ここでは回避の可否、対処法、早期対応の必要性を解説します。
競売開始決定通知は、民事執行法45条1項に基づき裁判所が競売の開始を決定し、同条2項により対象不動産の差し押さえを知らせる書面です[注1]。
この段階で発生するのはあくまで差押えの効力であり、実際の売却(入札)までには現況調査や売却基準価格の決定など、数カ月以上のタイムラグがあります。
つまり通知が届いた時点では、落札も退去もまだ確定していない、回避余地が残る段階です。
通知を受け取った直後こそ、任意売却への切り替えを申し入れる最も適したタイミングです。
以降も手続きは淡々と進んでいくため、早急な判断が求められます。
競売を止める方法は、大きくわけて一括返済と任意売却の2つです。
いずれも金融機関が債権を回収できる見込みが立てば、競売の取消し等につながる点が共通しています。
一括返済は滞納状態の債務者には現実的でなく、実務上ではほとんど任意売却を選択します。
しかし、任意売却も希望すれば誰でもできるわけではなく、売却の実現性が重要です。
住宅ローンの返済中は、決められた期日までに返済していれば一括返済は求められません(民法136条の期限の利益[注2])が、滞納が長期化すると期限の利益についての権利は失われます。
通常、期限の利益を失うと、残債の一括返済を求められます。。
一括で返済できれば、金融機関が債権を回収できる状態になるため、競売の申立てを取り下げてもらえるでしょう。
しかし、毎月の返済を滞納している状況で残債を一括で返済するのは、現実的には難しいケースがほとんどです。
親族からの資金援助などがない限り、実務上は限定的な方法にとどまります。
任意売却は、競売開始後でも期間入札開始前日までであれば行える回避策で、市場価格に近い水準で売却できるため、競売より高値で売れる可能性があります。
金融機関にとっても回収額が増える点は利点ですが、希望すれば必ず認められるわけではありません。
担保権者の同意や売却見込み、残債の返済条件の調整が必要です。
売却後も残る残債について、生活に支障のない範囲の分割返済や自己破産、再生への道筋を同時に交渉する必要があります。
入札開始の期限間際では対応が難しいため、早期の着手が重要です。
任意売却は形式上の期限内であれば可能ですが、早いほど買い手探しや債権者との調整を進めやすくなります。
金融機関はすでに競売予納金を裁判所へ納めており、入札直前の段階になるほど、予納金を無駄にしてまで任意売却へ切り替える方法には慎重になります。
期間入札通知書が届いた後では、手続きの進行状況を踏まえて交渉自体を拒まれるケースも少なくありません。
競売開始決定通知が届いた時点こそ、放置せず早急に動くタイミングです。

住宅ローンの滞納開始から立ち退きまでは、一般的に15カ月から19カ月程度かかります。
以下では、期間を段階ごとに時系列で整理して解説し、現在の滞納期間から自分がどの局面にいるかを把握できるようにしています。
住宅ローンの滞納は、1〜2カ月程度であれば分割返済の権利(期限の利益)はまだ守られます。
しかし、一般的に6カ月以上滞納すると民法136条等に基づき期限の利益を失い、契約約款に沿って残債の一括請求を受けます。
一括請求書が届く時期こそ、競売が現実化する最初の分岐点です。
滞納から約7カ月が経過すると、保証会社が金融機関に残債を肩代わりする代位弁済が行われます。
代位弁済は借金が消えるわけではなく、民法499条1項[注2]に基づき債権が金融機関から保証会社へ移転し、保証会社は求償権を取得します。
その後、民法501条[注2]により保証会社が新たな債権者として一括請求を行う立場に立つ、法的な行為です。
交渉相手は回収に特化した保証会社となるため、以降は甘い交渉が通用しなくなります。
保証会社から一括請求を受けても支払えない場合、実際には保証会社が裁判所へ競売を申し立てる場合が多いです。
一般的に滞納から約9カ月程度で競売開始決定通知が届きます。
通知により、民事執行法45条1項・2項[注1]に基づき、登記簿謄本の甲区に差押えの登記が入り、自己判断での売却・処分は禁止されます。
ただし、これは公的な手続きの開始点にすぎず、立ち退きが直ちに確定するわけではありません。
現況調査や入札など手続きが続いていきます。
差押え後は、民事執行法57条1項に基づく執行官の現況調査、60条1項の売却基準価格の決定が行われます[注1]。
その後、64条等に基づく期間入札通知へと続き、入札に向けて手続きが具体化していきます[注1]。
滞納から15〜19カ月後に入札期間が始まると、それ以降の任意売却は法律上も実務上も不可能になります。
入札開始日の前日までがデッドラインであり、この期間中に資料確認や債権者との調整、専門家への相談を急ぐ必要があります。
落札者が決まると、売却許可決定を経て購入手続きに進み、代金納付が行われます。
落札後1カ月〜1カ月半ほどで行われる場合が多く、代金を納付した時点で所有権は落札者に移転します(民事執行法79条[注1])。
以降も居座り続けると、判決を経ずに引渡命令(同法83条1項)、さらに明渡強制執行(同法168条1項)に至る場合があります[注1]。
この段階では競売回避はもはや選択肢になく、明渡し時期の調整やトラブル回避に向けた対応が中心となります。
競売には、数々の不利益があります。
だからこそ、早期の行動が重要です。
競売による売却価格は、通常の市場価格よりも安くなる傾向があります。。
買主は民事執行法49条[注1]に基づく現況調査報告書・評価書・物件明細書の三点セットのみで入札を判断します。
実際には室内を内覧できず、居住者が居座り引渡しを受けられない恐れもあるため、通常の市場価格から大幅に割り引かれます。
売却価格が低くなるほど、住宅ローンの残債もそれだけ多くなるでしょう。
競売では売却代金で住宅ローンを完済できず、数百万円から数千万円の残債が生じます。
残った借金は保証会社が求償権に基づき給与差し押さえなどの強制執行を続け、住み替え費用や生活再建にも重くのしかかります。
家を失って終わりではなく、自己破産(破産法252条[注3])で免責を得て初めて、返済の負担から解放され再スタートが可能です。
任意売却で残債を抑えつつ、破産や個人再生と併せて整理する方法もあります。
競売では評価書や現況調査報告書など三点セットが公開され、物件の所在地や室内写真も官報やBIT等のサイトで誰でも閲覧できます(民事執行法49条、64条等[注1])。
近所や会社の同僚に差し押さえの事実を知られる恐れがあるほか、悪質な不動産業者が周囲をうろつく事例もあり、精神的な負担も大きくなります。
経済的損失だけでなく、こうした情報公開の負担を避けるためにも、早期の任意売却の検討が重要です。
原則として競売後の立ち退きは拒否できません。
代金納付で所有権は買受人に移り、引渡命令(民事執行法83条)を経て強制執行(同法168条)により退去させられます[注1]。
ただし、退去時期や条件には交渉の余地があります。
競売では落札者決定後、売却許可決定と代金納付を経て所有権が買受人に移転します(民事執行法79条[注1])。
この時点で元の所有者は占有権を失い、明け渡しが必要です。
通常の賃貸借と異なり立ち退き料を請求する権利はなく、居座れば不法占有と見られる恐れもあります。
ただし競売開始決定の通知が届いた段階ですぐ退去になるわけではなく、立ち退きが現実の問題となるのは落札後です。
早めの準備が重要です。
立ち退きに応じない場合、買受人は代金納付から6か月以内であれば、裁判を経ずに引渡命令を得られます(民事執行法83条1項[注1])。
応じなければ執行官や業者が自宅に入り、家財をすべて運び出す強制執行に移行します(同法168条1項[注1])。
所有権はすでに買受人にあるため、住み続けて抵抗しても状況は変わりません。
放置すればトラブルは深刻化するばかりです。
事態が大きくなる前に、退去時期や条件を弁護士と整理し、穏便な解決を目指す対応が必要でしょう。
競売後の立ち退きは原則避けられませんが、退去時期や引渡し方法は買受人との合意により調整できる場合があります。
これは法律上の権利ではなく、民法695条[注2]に基づく和解としての運用です。
買受人にとっても強制執行費用を負担するより、引越し代の一部を支払い、早期に明け渡してもらう方が有利なため、交渉の余地があります。
ただし、調整範囲は限定的で、放置すれば引渡命令や強制執行(民事執行法168条[注1])に進みます。
交渉の余地がある早い段階で対応しましょう。
自宅が競売にかけられても、弁護士に相談すれば解決策は複数あります。
任意売却による競売回避のほかにも、自己破産(破産法252条等[注3])や個人再生(民事再生法[注4])による残債整理が考えられます。
退去時期の調整や生活再建の対応も必要でしょう。
順を追って整理します。
競売回避や任意売却では、金融機関や保証会社との交渉が重要です。
期限の利益(民法136条[注2])を失った債務者本人の要請には、保証会社等は応じません。
弁護士が弁護士法72条[注5]の代理権限に基づき受任通知を送付すれば、取り立ては直ちに停止します。
その後、弁護士が売却方針や返済条件を整理し、担保権消滅による任意売却や民事執行法[注1]上の差押え解除に向けた合意形成をリードします。
手続きが進むほど回避は難しくなるため、早期の交渉着手自体に大きな意味があります。
自宅が競売にかけられると、任意売却の可否、残る債務の返済、落札者との立ち退き対応が同時に問題となります。
不動産業者は売却はできても、残債の法的整理を行う権限はありません。
弁護士であれば弁護士法72条[注5]のもと、任意売却の着地を見据えつつ、残債の返済条件変更を民法695条[注2]の和解で調整できます。
また、民事執行法168条[注1]の明渡強制執行を回避する退去調整も並行して進められます。
三つを切り離さず一括で対応できる点こそ、弁護士に相談する大きなメリットです。
競売後に残る住宅ローンの残債の返済は、生活再建を長期にわたり圧迫します。
任意売却や返済条件の調整だけでは解決が難しい場合、自己破産(破産法252条の免責許可[注3])や個人再生(民事再生法[注4]、住宅ローン条項196条等)を含む債務整理を検討するケースもあります。
免責を得れば残債は一括消滅し、安定収入があれば個人再生で住宅ローン以外の借金を減額する選択も可能です。
弁護士に相談すれば、競売対応だけでなく、その後の生活再建までを見据えた整理ができます。
[注1]民事執行法/e-Gov
民事執行法
[注2]民法/e-Gov
民法
[注3]破産法/e-Gov
破産法
[注4]民事再生法/e-Gov
民事再生法
[注5]弁護士法/e-Gov
弁護士法
競売開始決定通知が届いた段階でも、任意売却による回避は可能ですが、手続きが進むほど選択肢は狭まります。
競売にかけられると、市場価格より安く売却されやすいうえ、売却後も残る債務の返済義務や、落札者からの強制退去(民事執行法83条・168条等[注1])など負担が生じます。
任意売却であれば、残債の返済条件を交渉しつつ引越し費用の確保(民法695条の和解[注2])も見込めます。
債務は自己破産(破産法252条[注3])や個人再生で一体的に整理できるでしょう。
今ご自身がどの段階にあるかを確認し、回避や負担軽減の余地が残るうちに、できるだけ早く弁護士にご相談ください。