東京弁護士会所属。新潟県出身。
破産してしまうかもしれないという不安から、心身の健康を損ねてしまう場合があります。
破産は一般的にネガティブなイメージですが、次のステップへのスタート準備とも言えます。
そのためには、法律上の知識や、過去の法人破産がどのように解決されてきたかという知識が必要です。
法人破産分野を取り扱ってきた弁護士は、こういった法律・判例や過去事例に詳しいため、強い説得力をもって納得のいく措置をとることができます。
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Contents
生き物や建造物などと違い、会社には目に見える実態がありません。
そのため、会社を名乗っていても、存在を証明することが難しいと言えます。
そこで役立つのが「法人登記」になります。
会社は設立登記をすることによって作られます。
設立登記によって作られた法人は、法人登記簿により存在が確認できるようになります。
例えば、不正取引や貸し倒れなどの損失を予防するといったために、取引前などに相手の法人の法人登記によって会社の情報をチェックします。
同様に実体のない法人の活動が終わっているかどうかを判断するのは、解散や清算決了の法人登記をして、法人登記簿が閉鎖されたときです。
法人登記は「会社の実在(生きているかどうか)を証明するもの」であり「会社の状況などの情報が集約されたもの」と言えます。
法人は設立の法人登記によって開始し、解散や清算決了などの登記によって法人登記簿が閉鎖されることで終了します。
法人登記簿が閉鎖される理由としては、以下の3つがあります。
法人登記簿が閉鎖される理由を順番にみていきましょう。
法人登記簿は清算決了登記をすることによって閉鎖されます。
清算とは、会社を終わらせるために資産などを処分することです。
会社が清算を終了することを清算決了といい、清算決了時は「清算が終わった旨」を登記することになります。
この登記を「清算決了登記」といい、清算決了登記をすると、法人登記簿が閉鎖されます。
法人決了登記後は、法務局から法人の情報として「閉鎖事項証明書」を取得することが可能です。
法人登記簿が閉鎖されても、かつて会社があり現在は清算決了していることが情報として残ります。
会社の解散登記が行われてから10年間経過すると、登記官の職権によって法人登記が閉鎖されます。
解散登記とは、会社の清算に先立って行われる登記のことです。
会社の解散が決まると会社解散登記が行われ、清算が終わり次第、清算決了登記をするのが基本的な流れになります。
解散登記をした後に清算決了登記が行われていない場合、登記を管轄する法務局側では清算が終わっているかどうかの調査まではしませんので、法人の清算が実際に終わっているのかどうかはわかりません。
解散登記から10年経過すると、法人の不確定な状況を法人登記簿の閉鎖によって処理することになります。
なお、法人側が清算決了していない旨の申し出をすることも可能で、申し出があると、法人登記簿は復活します。
法人の破産も法人登記簿が閉鎖される一因です。
法人破産の決定があると、裁判所から法務局に登記の嘱託が行われます。
法人破産の手続きが終わると、今度は破産手続き終了の旨の登記が行われ、法人登記簿が閉鎖されて法人はなくなります。
法人破産の手続きは、準備段階からスタートします。
法人破産をするためには、破産の要件に合致していることが必要です。
法人破産の要件には、債務超過や支払不能などがあり、要件を満たしていないのに法人破産することはできません。
準備段階で、法人破産の要件を満たしているかチェックしておきましょう。
また、法人破産のためには必要書類を準備し、申し立てを行う必要があります。
弁護士に依頼すれば、要件の確認や必要書類の準備などをサポートしてもらうことが可能です。
準備が整ったら申し立てを行い、法人破産の手続きを始めます。
法人破産の申し立て後の手続きの流れは以下のようになっています。
法人破産の申し立て後の手続きの流れ
経営者にとって法人登記が問題になるのは、法人破産の手続きの流れの⑨の部分です。
法人破産の一通りの手続きが終了すると登記を行い、法人登記簿の閉鎖となります。
この⑨の手続きについては、経営者自身が行う必要があるのでしょうか。
そして、法人破産する法人の経営者が進める場合、どのような手続きをしたらよいのでしょうか。
法人が破産した場合、破産手続きの終了の登記をする必要があります。
破産手続きの終了が登記されると、会社にとってのひとつの終わりである法人登記簿の閉鎖が行われます。
法人登記の手続きは、2つのパターンに分かれます。
法人の経営者などが自分でする場合 | ・司法書士などに依頼して必要な登記申請を代理してもらうことが可能 ・法人の経営者などが動かないと登記されない ・登記費用が必要 |
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登記官や裁判所書記官などの職権で行われる場合 | ・法人破産の手続きが終了した段階でほぼ自動的に登記される ・法人の経営者などが登記の手続きをする必要がない ・登記費用は不要 |
ひとつめは、法人の経営者などが自分で登記手続きをするパターンです。
この場合は、司法書士などに依頼して必要な登記申請を代理してもらうことが可能ですが、法人の経営者などが動かないと自動的に登記されません。
もうひとつは、登記官や裁判所書記官などの職権で行われるパターンです。
この場合は、法人の経営者などが自分で登記のために動かなくても、職権によってほぼ自動的に登記が行われます。
法人破産の手続きが終了したときの法人登記は、後者のパターンです。
法人破産の手続きが終了した段階で裁判所書記官の職権で登記が行われるため、法人の経営者などが登記の手続きをする必要はありません。
裁判所の書記官の職権による登記が完了すると、法人登記簿が閉鎖されます。
各種の法人登記をするときには費用が必要です。
ただし、法人破産の際の裁判所書記官の職権による登記の場合は、登記費用は不要となっています。
法人は、法人設立の登記によって始まり、法人破産などで法人登記簿が閉鎖されて終わります。
法人を解散する場合は、法人破産の終了を登記して、法人登記簿を閉鎖する必要があります。
法人破産終了の際の登記は裁判所書記官の職権で行われるため、基本的に法人の経営者などの登記申請は不要です。
ただし、法人破産の手続きについては、法人の経営者などが自発的に準備する必要があります。
法人登記についてわからないことがあれば、法人破産の相談の際に弁護士などに確認してみましょう。