最終更新日:2019/9/20
会社が成長するために不可欠な「マネジメント」5種類
会社は、常に売り上げを意識して運営されています。
売り上げを順調に上げていくためには、会社そのものが常に健全な体制を維持していなくてはなりません。
そこで、重要になってくるのが、「マネジメント」という考え方です。
ここでは、会社が成長していくために必要なマネジメントを5つに絞って、詳しくご説明いたします。
マネジメントとは?
「マネジメント」と言えば、一般的に日本語で「管理」の意味になります。
しかし、実際に会社における「マネジメント」は、「管理」という考え方だけではありません。
経営学者ピーター・ドラッガー氏は、マネジメントを次のように、定義しています。
「マネジメントとは『組織の成果を向上させるための道具や機能、機関』である」
さらに、上記の言葉を「会社(組織)の資源(ヒト・モノ・カネ・情報)を管理し、リスクとリターンを計測しながら、最大限の効果を得るための手法」と言い換えることもできます。
では、マネジメントは、どのような役割を果たしているのでしょうか。
前出のピーター・ドラッガー氏によると、次の3つを上げています。
1.それぞれの組織に特有の社会的機能を全うする。
本業を通じて社会に「貢献」する。
2.組織に関わる人々が「生産的」に働き、仕事を通じて「自己実現」できるようにする。
3. 社会的責任を果たす。
組織として最大の責任とは、「社会を害さない」ことである。
これを端的にまとめると、自分が所属する組織の使命を果たす、仕事を通じて人を活かす、社会全体への貢献を果たす、ということになります。
マネジメントの目的
それでは、マネジメントの目的とは一体何でしょうか。
会社が行うマネジメントとは、一般的に日本語で訳される「管理(する)」ということだけではありません。
経営管理理論でのマネジメントは、「評価、分析、改善、選択、調整、計画」という意味も含まれています。
現在の職場、社員やチームメンバーをきちんと「評価」する。
そして、その中で問題点がないか「分析」する。
もし問題点があれば「改善」する。
会社や社員のために正しい「選択」をする。
問題が起きる可能性があれば、組織、社員とのを「調整」する。
そして、会社、チームの今後について、「計画」を立てるということです。
以上のことをまとめると、会社組織にある資源(ヒト、モノ、カネ、情報)を効率的に運用して、高い目標に向かって、組織を活性化、発展させていくことが、マネジメントの目的だと言えます。
マネジメントの種類
マネジメントには、いくつかの種類があります。
まず、「組織階層」ごとに分類すると、次のようになります。
- ・経営者層…トップマネジメント(事業目的、組織戦略など)
- ・管理者層…ミドル・マネジメント(トップマネジメントの補佐、トップとロワーの橋渡し)
- ・監督者層…ロワー・マネジメント(現場で働く層との関係を円滑に保ち、効率的に実務を遂行する)
次に、「業務領域」ごとに分類すると、次のようになります。
- ・チームマネジメント…目標を達成するために計画し、チームをまとめ、メンバーとのコミュニケーションを図る。
- ・プロジェクトマネジメント…目標や行動計画に加え、人員配置やスケジュール管理などプロジェクト全体の運営計画と管理を行う。
- ・コンフリクトマネジメント…組織内における意見や感情、利害の対立を課題解決や成長に活かす。
- ・チェンジマネジメント…組織の変革を効率的に行うため、社員が環境の変化に対応できるよう調整・サポートする。
- ・ナレッジマネジメント…属人的なスキル・知識などを集積し、組織の財産として共有し、全体的なパフォーマンスを向上させる。
マネジメント①:目標設定
会社には、二つの側面があります。
一つは営利の追求、もう一つは社会貢献です。
営利の追求とは、利益を出していく、赤字を出さないということです。
利益が出ないと、社員の給料を出すことができず、社員の士気が上がりません。
また、株式会社であれば、株主に配当を出せないことになりますから、株主からの信用を失い、資本の確保も厳しくなります。
資本が確保できないとなれば、新たな事業展開も難しくなり、会社としての未来が展望できません。
一方で、利益がどんどん上がっていても、社会的な貢献ができていなければ、社員の士気が上がらず、優秀な社員が入ってきません。
「利益を出して、法人税、所得税を払っているから、それで十分に社会貢献しているのでは」という考え方があるかもしれませんが、それだけでは物足りません。
やはり、会社が存在することで、多くの人の幸福に繋がることでなければなりません。
このように、会社には営利の追求と社会貢献は不可欠です。
どちらが欠けても、会社としての存在意義がありません。
その中で、営利の追求は、社会貢献と比べて、数値的な目標を設定しやすく、社員全員で共有しやすいと特長があります。
ですから、マネジメントとして、会社、部下、チームの目標を設定することは、会社を存続させる上で、大いに意義があることだと言えます。
この目標設定は、チームメンバーや部下から見れば、「ゴール」が定められることであり、「どこに向かっているのか」「目標達成のために、今どうあるべきか」と言ったことが、明確になるのです。
つまり、ただ「がんばれ」とはっぱをかけられただけでは、「何をどのようにがんばればいいか」が理解できないのです。
自分はどこに向かっているのか、ゴールはどこなのかがわらないと、やる気が出ませんし、職場も活性化しません。
マネジメント②:業務の把握と整理
現場がうまくマネジメントされていないと、業務のまとまりがなく、雑然とした印象を受けることになります。
もっと詳しく説明しましょう。
業務の内容は、部署によってことなりますが、全体的には会社の事業の一部門を構成しているはずです。
しかし、ある部門の業務が、会社の事業のどこに該当するのか、その部門の社員、監督者がきちんと把握できていないと、チームメンバーの意思統一がうまくいかず、それぞれの社員が自分の役割を意識できないことになります。
また、自分の部署の業務がきちんと整理できていないと、実際に仕事を行う過程で、無理、無駄が生じてしまいます。
そこで、職場をきちんとマネジメントすることによって、業務をうまく分析、整理した上で、仕事に分類することになります。
そして、この仕事を作業に分離して、誰がどれを行うか、当てはめていくのです。
このように、マネジメントすることで、仕事と作業を構造化して、現場の効率化を高めるということになるのです。
マネジメント③:チーム作り
会社組織、現場では、目的ごとにチームが作られます。
このチーム作りもマネジメントの大切な役目です。
野球のチームをイメージするとわかりやすいですが、一つのチームを作るためには、それぞれが自分の役割を自覚し、実力を発揮できなければなりません。
例えば、4番バッターばかりをそろえても、相手と戦うことができないように、自分の考えを押し通し、我が強い人ばかりを同じチームに入れても、統制ができません。
チーム、プロジェクトの目標は何か、そのためにどのような人材をそろえたらいいかなどを十分に考え、目標を達成できる布陣をすることが大事です。
同じ目標に向かうメンバーを選定した上で、構造化した作業や仕事に当てはめながら、チームの編成を行います。
その際に、個々の個性を尊重しながら、個々の実力が十分発揮できるような分担にしなければ、チームとしての士気が上がってきません。
また、作業や仕事を行う過程でのコミュニケーションも重要な仕事の一つになります。
チームを立ち上げる際に会議、ミーティングはもちろん、節目節目に自分の感想や意見がいえるような環境作りも大切です。
また、仕事やプロジェクトが走り出しても、チームメンバーの動きを十分観察した上で、実力が発揮できているか、役割分担を十分意識しているかなどを判断します。
もし問題があるようであれば、メンバーの意見や感想を十分聞いたうえで、配置換えなども検討すべきです。
マネジメント④:評価
設定されている「目標」に対する評価を行うこともマネジメントの役割です。
ボーナス際に、上司の査定が行われますが、これは、業務の目標に関しての評価です。
仕事、プロジェクトを始める際に設定した「目標」に対して、個々人がどの程度意識し、また達成、あるいは未達成であるかをきちんとマネジメントする必要があります。
ただ、数値的な目標を達成しているか達成していないかではなく、目標に対して、その人の行っている業務が適正かどうかをきちんとマネジメントしなければなりません。
もし目標に達成できていない、あるいはこのままだと達成することが難しい場合には、その原因をきちんと解明する必要があります。
行っている業務に無理、無駄がないか、もしあればどうすればいいのか、また、そもそも目標自体に無理がなかったのかなど、あらゆる角度から考えてみる必要があります。
また、評価そのものは公正に行わなければなりません。
そのために、評価するための物差し、つまり評価制度の整備や改善を適宜行う必要があります。
このように、目標を設定することと、評価することは、セットで実施されなければなりません。
マネジメント⑤:育成
今までの「目標設定」、「業務の把握と整理」、「チーム作り」、「評価」を含めて、人材の育成を行うことも、マネジメントの役割です。
働く人のモチベーションを上げて、適度にサポートを行えるような支援体制の構築も大切です。
職場の部下やチームメンバーの育成がうまくいけば、会社組織全体のパフォーマンスが大きく向上する可能性があります。
よく言われるように、会社は人材を育てる場所でもあります。
会社が人材育成に力を入れれば、自ずと社員の士気も上がってきます。
マネジメントの効果
マネジメントの最終的な目標は、会社組織全体のパフォーマンスを上げることです。
もっとも、売り上げや利益を上げることだけを意味するのではありません。
マネジメントが徹底されれば、社内、職場の無駄や無理が省かれることになります。
そのことで、チームやプロジェクトのメンバーの負担が軽減され、会社、職場のモチベーションが維持、向上されることになります。
そして、新しく価値を創り出すことができる土台が出来上がることになります。
会社が発展するには、ビジネスモデルを構築することだけでなく、マネジメントの徹底が不可欠なのです。
マネジメントを成功させるには
マネジメントを成功させるポイントは、情報共有の徹底、目標と成果の可視化、現場の声に迎合しすぎない、の3つです。
情報の共有を徹底すると、部下とメンバーとの意思を統一することができ、それぞれの認識の違いが亡くなります。
また、目標と成果を可視化すると社内、職場のモチベーションも上がり、メンバーの士気が上がります。
一方で、実際にマネジメントを行う立場の人は、管理、調整の役目を担うことになるので、必要以上に現場の声に迎合しないことも大切です。
まとめ
会社は決して社員を「管理する」場所ではありません。
良い人材に育成していく場所です。
多くの良い人材が育成されると、会社も成長していくはずです。