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モノが売れない時代にも売上を伸ばすセブンイレブンの3つの発想とは

税理士 鳥川拓哉
この記事の執筆者 税理士 鳥川拓哉

ベンチャーサポート税理士法人 税理士。
大学を卒業後、他業種で働きながら税理士を志し科目を取得。
その後大手税理士法人を経験し、現在に至る。

PROFILE:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_writing/#p-tori

モノが売れない時代にも売上を伸ばすセブンイレブンの3つの発想とは

企業の寿命は一般的に30年と言われていますが、東京商工リサーチの発表によると、2012年の倒産企業の平均寿命は23.5年です。
倒産は企業の経営者が絶対避けなければならないですが、30年を経過させることが難しいという現実があります。このような中、コンビニエンスストアのセブンイレブンは、創業以来の売上高を平成24年度までの39年間にわたって伸ばし続けています。

事業によって経営環境はさまざまですが、どんなに経営環境に恵まれていても約40年の長きにわたって事業規模を拡大し続けることは、優れた経営者のリーダーシップや経営手腕がないと達成できるものではありません。

そこで、40年間、セブンイレブンが売上増加を果たしてきた秘密を知ることは、事業分野が異なっても経営者にとって参考になるに違いありません。

セブンイレブン成長の歴史と小売業界

1974年に15店舗7億円の売上からスタートし、2012年には15,072店舗数、売上高3兆5,084億円まで事業規模が拡大しています。
そして、2013年10月に発表されたセブン-イレブンの中間決算によると、営業収益が前年同期比38%増の1兆2772億円、営業利益は11%増の1287億円で共に過去最高となっています。

一方、経済産業省の商業統計によると、小売業界は1997年148兆円の売上を最高に直近のデータのある2007年には135兆円に減少しています。また、同じコンビニエンス業界でも、業界第2位のローソンは、営業収益が前年同期比0.3%減の2481億円、営業利益は3.1%増の356億円なので、セブンイレブンの強さが際立っています。

セブンイレブンの成長と強さ支える創業者
「鈴木敏文」の発想の原点

セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文代表取締役会長兼CEOの発想の原点は、平凡ですが、以下の3つです。

・「顧客本位・顧客の目線で考え、売り手側の理屈で接するな」
・「従来と同じ方法は通用しない 常識を打ち破れ」
・「売れない原因に売れるヒントが眠っている、顧客の潜在的なニーズを的確につかめ」

このような発想はほかの多くの経営者も持っており、従業員に対して唱えている人も多いですが、徹底度と実現のための知恵が不足していると考えられます。一方、「平凡を積み重ねは非凡である」がセブンイレブンには見事にできています。

鈴木敏文の、「顧客が便利と思うものは提供する」という発想がなければ、今のコンビニでの「公共料金などの支払い」「銀行ATM設置」「切手・はがき販売」「雑誌の定期購読申込み」「宅配便受付」「写真のDPE」などなどの多種多様なサービスは実現していなかったのではと思われます。

これらのサービスの中には便利だから、やりますとは簡単にはいかないサービスもたくさん含まれています。そこで、発揮されるのが常識を打ち破る、従来と同じ方法は通用しないと考えて現状を打破するセブンイレブンの発想力と実行力です。

コンビニおにぎりの原点もここにあった

これに関するエピソードとしては、今やコンビニでは定番の売れ筋商品のおにぎり販売開始があります。当初、おにぎりは家庭で作るモノであって販売しても売れないとする反対が鈴木敏文の周囲には多かったそうです。常識を常識で終わらせず、家庭でのおにぎりと差別化するために「海苔」の包み方を考案しパリッとした感触を残す工夫を加えて反対を押し切り、販売に踏み切っています。

この例は、小さな例かもしれませんが、それだけに同様の事例がコンビニ事業以外のいろいろな事業でも起きて、他の経営者は大きなニーズを取り逃がしている可能性があります。

多くの経営者が犯す間違い

多くの経営者がよく犯す間違いなので、おにぎりの例とも共通しますが、もう1つ例をあげて、決して売り手側の固定観念にとらわれてはいけないことを付け加えておきます。

セブン&アイグループのプライベートブランドであるセブンプレミアムと呼ばれる商品群があります。これについて鈴木敏文が、コンビニでも、スーパーでも、百貨店でも業種を問わず全グループで同じ価格で販売するというかつてない試みを発案すると、グループ各社はこぞって反対したそうです。

コンビニは、価格勝負のスーパーと同じ商品を同じ価格で置くわけにはいかないといい、スーパーはコンビニと逆の論理で反対し、そして百貨店は、スーパーやコンビニで販売している商品と同じものを扱うわけにはいかないと反対したといいます。

しかし、鈴木敏文は次のような考え方を示したそうです。すなわち、このような棲み分けは、売り手側が勝手に決めつけているだけ。セブンプレミアムの商品群の仕様と価格に対して、顧客が買う価値があると判断すれば、顧客は自分にとって購入しやすい便利な店舗で購入する。どの業界のどの店舗で買うべきとは考えない。固定観念を否定しろ、顧客の目線で考えろ、と。
そして、顧客の論理で考えることが利益を生む源泉であると言い切っています。

まとめ

伊藤敏文による、セブンイレブンを約40年間もの長い間、成長させてきた3つの発想が重要なのは、コンビニの店舗が時代や顧客の要請に常に敏感でなければならないという、事業上の課題に晒されているからでもあります。

しかし、その発想はコンビニ業界に留まるものではない、普遍的な発想です。その発想をセブンイレブンのように徹底的につきつめると、どんな時代にもどんな事業にも成長を可能にするといえます。

参考:
鈴木敏文「黒字になる発想、赤字になる発想」【1】
http://president.jp/articles/-/11312

セブンイレブン ホームページ
http://www.sej.co.jp/index.html


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