最終更新日:2022/6/13
アメリカのスモールビジネス事例集まとめ!最先端のビジネスモデルはこれだ
ベンチャーサポート税理士法人 税理士。
大学を卒業後、他業種で働きながら税理士を志し科目を取得。
その後大手税理士法人を経験し、現在に至る。
PROFILE:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_writing/#p-tori
この記事でわかること
- アメリカでは副業やスモールビジネスが日々生み出されていることがわかる
- アメリカで注目を集めているスモールビジネスを知ることができる
- 新型コロナがスモールビジネスにどのような影響を与えるかわかる
日本でもここ数年、働き方改革の一環で副業を容認する流れが生まれています。
ただ、アメリカでは日本以上に副業を行う人が増えているという状況にあります。
また、働きながら起業して、スモールビジネスに発展させている人も多くいます。
日本以上に起業しやすい環境にあると言えるアメリカでは、どのようなスモールビジネスが生み出されているのでしょうか。
アメリカの実情を知って、日本でも応用することができないか、参考にしてみてはいかがでしょうか。
目次
アメリカは副業・スモールビジネスをしている人が多い
日本で副業解禁の大きな流れが生まれてきたのはまだここ数年ですが、アメリカでは日本以上に大きな流れが生まれています。
日本でもすっかり副業の1つとして定着したUberの発祥の地であるアメリカでは、多くの人が利用しています。
また、Amazonでの商品販売などを空き時間に行って利益を得ている人も多くいます。
アメリカでこのような副業が広く行われている背景には、経済的な理由が大きく影響しています。
住宅ローンや学生ローンなど、多額の借金を抱える人がその借金の返済に追われています。
また、社会保障制度が日本ほど充実していないアメリカでは、老後の資金を自分で蓄えなければなりません。
そのため、多くの人が本業以外の収入を得るために副業を行っているのです。
またアメリカでは、副業の収入の方が多い人や、フリーランスとして働いている人が多くいます。
これは、日本とアメリカの労働に対する考え方の違いが影響しているかもしれません。
日本では、もともと終身雇用制度と年功序列を基本とするサラリーマンが一般的な働き方でした。
定年まで働いたら退職金をもらって、あとは年金で生活するというのが慣例となっていたのです。
しかしアメリカでは、終身雇用や年功序列といった働き方は一般的ではありません。
より良い条件を求めて転職したり、働き方を変えたりすることが日本より多く行われます。
そのため、今ではサラリーマンを辞め、フリーランスとして働く人が多くなっているのです。
2020年には、フリーランスとして働く人の割合は労働者全体の4割程度になるとする調査結果もあります。
多様な働き方が広く浸透しているため、副業をする人や新しいスモールビジネスを始める人が多いのです。
アメリカで注目を集めているスモールビジネス事例
それでは、実際にアメリカで生み出されているスモールビジネスにはどのようなものがあるのでしょうか。
ここでは、数多くのビジネスの中から、特に社会問題や環境問題、そして人々の健康に影響力を持つものをいくつか紹介します。
奨学金の申請手続き支援
アメリカでは、大学生の多くが多額の学生ローンを抱えて学校に通い、その後働きながら返済しています。
しかし、給料だけでは苦しいため、多くの人が借金返済のために副業をしているという実状があります。
大学生になったばかりの若者は、まだお金や借金に関する知識が不足しているにもかかわらず、借金しなければなりません。
そこで、そのような若者を支援し、適切な学生ローンの利用ができるような取り組みを行うビジネスがあります。
創業者は、もともと大手の金融機関にいたものの、学生ローンが今後、新たな金融危機を迎えると感じその金融機関を辞めました。
その後、学生の奨学金申請の手続き支援や、学生ローンに関する情報提供などを積極的に行う事業を開始しているのです。
普段の仕事の中での気付きを、新たなビジネスにつなげた一例と言うことができるでしょう。
無料シャトルサービス
アメリカは自動車大国であるため、どのような場所へでも自動車で出かけるのが当たり前です。
しかし、環境問題への危機感を持つ人も現れており、しだいにどこへでも自動車でという考え方が見直されつつあります。
そのような中で、シャトルサービスをビジネスとして提供している事業者が現れています。
海岸などへのシャトルサービスを提供する事業では、車体にスポンサーの広告を大きく乗せることで、利用者は無料でサービスを受けることができます。
スポンサーは、環境問題に対する意識の高さをアピールすることができます。
また、昨今は利用者側にも環境破壊に問題意識を持った人が多いことから、広告が自然と目に入るのです。
海岸へのアクセスということで、排気ガスなどが一切ない電気自動車を使用しており、環境への負荷は一切かかりません。
環境問題について考えるきっかけを提供するとともに、スポンサーの広告塔としての役割もあるのです。
スーツケースの販売
飛行機を使って移動する人にとって、自分に合ったスーツケースやバッグを探すのは、意外に難しいことです。
大きさ、耐久性、価格など、あらゆる面で満足のいくものに出会うことはなかなかできません。
そこで、旅行やビジネスに使うことのできる適度なバッグを販売する、新しいブランドが生まれました。
この企業は最初に飛行機の機内持ち込み用のバッグを販売し、その後スーツケースの販売も行っています。
そのバッグやスーツケースには、スマホの充電ができるなど他にはない機能や、特許を取得した部品が使われるなど、内容は革新的なものとなっています。
それでいて、価格は手頃ということで、非常に人気の商品となっているのです。
スーツケースやバッグを取り扱うことは、決して目新しい事業ではありません。
しかし、高品質と低価格、保証サービスを実現し、旅行者のワクワクした気持ちを満たす商品は、消費者からの注目を集め、会社の経営も非常に順調に推移しています。
フリーランスの医師の仕事探し
フリーランスの医師というと、日本ではあまりイメージが沸かないかもしれません。
というのは、ほとんどの医師は病院にサラリーマンとして勤務する勤務医か、自分で開業する開業医だからです。
ただ、日本にもフリーランス的な働き方を選択する意思は一定数います。
それは、ずっと医療現場に携わっていたいという信念を持つ人や、毎日働かずに勤務する日数を減らしたいという人がいるためです。
アメリカでは、そのようなフリーランスの医師が日本以上に多くいます。
一方で、2025年には9万人の医師が不足するとの予測もあり、フリーランスの医師と病院とのマッチングが重要になってきます。
そこで、自らも医師である創業者が、新しい形のサービスの提供を始めたのです。
フリーランスの医師は、サイトから自分に合った仕事を検索することができます。
その際の手数料は、他のエージェントを利用した場合の半分程度で済むため、双方にメリットがあるのです。
また、看護師向けのサービスも開始され、一時的に働きながら転々と世界中を移動する人に向けたサービスを提供しています。
ミレニアル向けの経済情報提供サービス
ミレニアル世代とは、2000年代に成人あるいは社会人になった人を指して、特にアメリカで使われる言葉です。
特に1980年代から2000年代初頭までに生まれた人を指していうことが多いと言われています。
ミレニアル世代は、インターネットがすでに普及した環境で生まれ育っているため、情報リテラシーに優れていると言われています。
その一方で、SNSを日常的に使っていることもあり、多様な価値観を受け入れる傾向が強い面もあります。
また、ITバブルの崩壊やリーマンショックの影響を若年のうちに受けていることから、経済的に苦しい時代を生きているのです。
そのため失業率が高く、初婚年齢も高い傾向にあります。
そのようなミレニアル世代向けに、銀行に勤める若者が財務ニュースレターを作成する副業を始めた人がいます。
どのような状況でも毎日欠かさずそのニュースレターの配信を行い、そのまま事業としたのです。
DNA検査や栄養・健康に関する情報提供
アメリカでは、日本以上に国民の健康に関する問題が深刻となっています。
また、多くの起業家は続々と新しい飲食店やカフェの開業を行っています。
そのような中で、健康問題に危機感を持ち、また自身の経験から新しい形の食事提供サービスが始まったのです。
このサービスでは、血液検査によりDNA検査と栄養のテストを行うことができます。
これにより、どのような形で食餌療法を行うのが最適なのかを判断することができるのです。
また、実際にそのタイプに合わせた食事の提供を受けることもできます。
さらに、独自に開発された健康食品も提供しています。
利用者の個々の体質に合わせた食事レシピの提供は、決して簡単なものではありません。
しかし、非常にニーズの大きなものであることも事実であり、多くの人の悩みにこたえるものとなっているのです。
アメリカでも最先端なビジネスモデル3選
ビジネスモデルにも流行りがあり、時の流れに応じて変化していくものです。
その中でも、数多くのビジネスが生み出されているアメリカでは、どのようなビジネスモデルが注目されているのでしょうか。
ここ数年のアメリカにおける最先端なビジネスモデルについて、解説していきます。
サブスクリプションサービス
サブスクリプションサービスとは、商品やサービスの定期購入のことです。
サブスクリプションサービスの利用者は、洋服やバッグなどのファッショングッズ、日用品などの商品を定期的に購入します。
あるいは、アプリやソフトウェア、ウェブサービスを一定期間自由に利用することができます。
その対価として毎月(あるいは毎年)利用料を支払うのです。
サブスクリプションサービスが注目されるようになった背景には、消費者の嗜好の多様化があげられます。
多くの種類の商品が流通している一方で、その中から好みにあったものを探し出すのは非常に難しくなっています。
また、同じものを長く使うという考えとは逆に、一定期間使用したら新しいものを使ってみたいという需要もあります。
このような消費スタイルに対応するため、サブスクリプションサービスが様々な商品で広く浸透してきたのです。
一方の事業者としても、確実な売上を獲得することができること、また顧客を囲い込むことができる点にメリットがあります。
さらに、店舗を構えるより在庫の管理がしやすいこと、テンポが不要で家賃などの経費が少ないこともあげられます。
アプリやソフトウェアについては、その技術は日進月歩であり、これまでのビジネスモデルでは限界があります。
そこで、サブスクリプションサービスに移行して、ユーザーのニーズにこたえるものが増えています。
スモールビジネス
アメリカではスモールビジネスという場合、従業員が500人以下であり、革新的な起業家が始めたビジネスをいいます。
スモールビジネスが注目されるのは、そのアイデアがこれまでになかったものであるためです。
ただし、そのオリジナリティは必ずしも商品そのものが独特な場合だけではありません。
これまですでに商品化されているものやサービスについて、改良を加えて独自のものにする場合もあります。
スモールビジネスの利点として、小回りがきくことやアイデアを実現しやすいことがあげられます。
少ない人数やわずかな拠点でも、起業した際のアイデアを活かした事業展開をすることで、大きなビジネスチャンスをつかむことができるのです。
広告配信
従来の広告代理店は、テレビを中心に据えた事業展開をしてきました。
しかし、広告配信を行ううえで、インターネットの重要性が年々増しています。
特にスマートフォンの普及により、モバイル広告は大幅にその市場を拡大しています。
広告配信ビジネスの中心は、広告配信業の事業者と、実際に広告を出す事業者です。
アプリに広告配信を行ったり、インフルエンサーを使ってSNSを利用したりする広告も盛んに行われています。
また、インターネットやマスコミでの広告配信業だけでなく、新しい形の広告ビジネスも生み出されています。
実際にアメリカで注目されているスモールビジネスとして紹介した無料シャトルサービスも、広い意味では広告業です。
スポンサーからの収入で無料のサービスを提供するという形は、新しい広告ビジネスを生み出す可能性があるのです。
新型コロナが変えるスモールビジネス
新型コロナウイルスの感染拡大は、日本のみならず全世界に広がっています。
特にアメリカは、新型コロナウイルスの感染者や死者数が最も多くなっており、日常生活にもその影響が出ています。
そうなると、当然ビジネスを行ううえでも何らかの影響が出てくるものです。
新型コロナウイルスの影響で、これまでとは異なるビジネスのあり方が問われているのです。
人との接触を減らす方法を考える
本来、ビジネスを進めるうえでは、人と会って話をすることに大きな意味がありました。
そのような機会を増やすほど、新たな顧客を獲得する可能性は高まり、ビジネスが拡大すると考えられてきたためです。
しかし、新型コロナウイルスの感染拡大により、そのような考え方はもはや過去のものとなっています。
現在のテーマは、いかに感染のリスクを軽減して商品を販売する、あるいはサービスを提供するかにあります。
不特定多数の客がお店に来ないよう事前予約制にしたり、宅配をメインとしたりと、その在り方は大きく変わっているのです。
飲食店であれば、店内での飲食を制限し、テイクアウトだけにするという場合もあります。
安全な食料に対する価値の向上
アメリカにおいて、安全な食材に対する関心の高い人は、ファーマーズマーケットと呼ばれる市場で野菜などを購入していました。
しかし、新型コロナウイルスの影響で、そのようなマーケットの開催が見送られ、開催されても人手が少ない状況となっています。
市場が開催されても消費者の足が遠のけば、その反動として生産者の参加も少なくなってしまいます。
そのため、結果的に安全な食材の提供の場がどんどん減少してしまうのです。
その結果、安全な食材を手に入れにくい状況となっていまい、その価値は以前よりも高いものとなるのです。
以前であれば高くても普通に購入できたものが、新型コロナウイルスの影響で普通に購入することができなくなり、価値が向上してきています。
この流れを受けて、生産者が食品を産直で販売したり、食品のサブスクリプションを始めたりと、新たなビジネスチャンスがあらわれています。
まとめ
スモールビジネスの先進地ともいえる、アメリカの状況をまとめてみました。
従来から副業や起業に対する認知度が高く、そのハードルも低いため、多くの人が副業を行っていることが分かります。
また、副業から本格的な事業になることも多く、日本でもこれから起業したいと考えている人には参考になるのではないでしょうか。
ただし、新型コロナウイルスの感染拡大により、様々な業種が大きな影響を受けています。
特に消費者と直接的に関わるような業種の場合、できるだけ接触を避けたいという消費者心理と相反することとなってしまいます。
そのため、これまでのビジネスモデルでは、思いどおりにいかないというケースが増えてくる可能性があります。
新型コロナウイルスとも共存できるような、新しい事業の在り方を考えていく必要があるのです。