最終更新日:2020/4/17
平成29年分所得税確定申告の改正点について
今年も確定申告の季節が近づいてきましたね!
個人事業主の方の中には「毎年この季節は気が重いんだよな…」という気持ちの方もひょっとしたら多いかもしれませんが、確定申告手続きは早めの着手が吉!ですから税理士事務所と相談しながら早め早めに準備していきましょう。
今回は、平成29年度分の所得税計算から適用される改正事項について解説させていただきますので、参考にしてみてくださいね。
▼目次
- 1 セルフメディケーション税制による医療費控除の特例
- 2 医療費控除の添付書類についての改正
- 3 年収1000万円超の方の給与所得控除の変更
- 4 住宅ローン控除についての特例措置
- 5 特定増改築等に該当する住宅ローン控除についての改正
- 6 住宅特定改修特別税額控除についての改正
- 7 非居住者に対する課税ルールの変更
1 セルフメディケーション税制による医療費控除の特例
平成29年1月1日以降は、医療費控除の対象となる支出の種類が拡大しています。
具体的には「スイッチOTC医薬品」といわれる医薬品の購入費用が医療費控除の対象となりました(いわゆるセルフメディケーション税制による変更)
スイッチOTC医薬品というのは、ごく簡単に言うと、医師の処方箋がなくても薬局などで購入できる医薬品のことで、ロキソニンSやガスター10などといったものが有名です。
以前とは医療費控除に含めるか否かの判断基準が変更になっていますので注意しておきましょう。
2 医療費控除の添付書類についての改正
平成29年度分の確定申告より、医療費控除の添付書類が簡略化されています。
これまで提出が必要だった「医療費の領収書(レシートなど)」を5年間自宅で保管する代わりに、「医療費控除の明細書」を作成して提出すればOKとなっています。
なお、セルフメディケーション税制にもとづく医療費の支出を医療費控除に含めたい場合には、「セルフメディケーション税制の明細書」を別途添付しなくてはなりません。
3 年収1000万円超の方の給与所得控除の変更
給与収入が1000万円を超える方が給与所得を計算する際の、給与所得控除額の計算方法が変更になっています。
具体的な計算方法は、
- お給料収入1000万円~1200万円の方の場合は「収入金額×5%+170万円」で給与所得控除額を計算
- お給料収入1200万円超の方は230万円が給与所得控除額となる。(この金額が上限)
4 住宅ローン控除についての特例措置
以前には住宅ローン控除の対象となる居住用物件が、災害などによって住めなくなってしまった場合、以前には災害によって被害が生じた年にのみ住宅ローン控除の適用を受けることができるとされていました。
平成29年度分より、災害が生じた年以降についても住宅ローン控除を利用できるになりました。
5 特定増改築等に該当する住宅ローン控除についての改正
特定増改築等に該当する住宅ローン控除について、「特定断熱改修工事等とあわせて行う特定耐久性向上改修工事等」がプラスされます。
また、税額控除の適用率が2%となる住宅ローンの対象に、上の工事を行うために必要な費用をまかなうために借りたお金も含まれることになりました。
6 住宅特定改修特別税額控除についての改正
住宅特定改修特別税額控について、控除対象となる工事に「住宅耐震改修または一般断熱改修工事等とあわせて行う耐久性向上改修工事等」がプラスされます。
また、控除額は上記工事にかかる標準的な工事費用の10%に相当する金額とされています。
ただし、250万円(太陽光発電装置の設置を行う場合は350万円)が限度額となります。
7 非居住者に対する課税ルールの変更
これまでいわゆる総合主義に基づいて行われてきた非居住者に対する課税方法を、2010年に改訂された後のOECDモデル租税条約にのっとった貴族主義に見直すことになりました。
具体的には従来「国内で行う事業から生じた所得」に対して課税がされていたのに対して「恒久的施設に帰せられる所得」を国内源泉所得とみなすなどの改正が行われます。
参考:2017年12月1日に国税庁が仮想通貨の税金に関する計算方法のケーススタディ資料を公開!その内容は?