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最終更新日:2023/5/17

ヤフオクなどオークションでの売上は確定申告が必要?税金の計算方法も解説

税理士 鳥川拓哉
この記事の執筆者 税理士 鳥川拓哉

ベンチャーサポート税理士法人 税理士。
大学を卒業後、他業種で働きながら税理士を志し科目を取得。
その後大手税理士法人を経験し、現在に至る。

PROFILE:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_writing/#p-tori

ヤフオクなどオークションでの売上は確定申告が必要?税金の計算方法も解説

この記事でわかること

  • ネットオークションで利益が出た場合に確定申告が必要なケースについてわかる
  • ネットオークションの売上にかかる税金の計算方法についてわかる
  • ネットオークションの利益を確定申告しなかった場合のペナルティについてわかる

個人で所有していた物品が不要になった場合に、ヤフオクなどのネットオークションで売却することがあります。

ネットオークションで売却して得た収益は、確定申告を行って税金を支払う必要があるのか、疑問に思うかもしれません。

そこで今回は、ネットオークションを利用した場合、確定申告をしなければならないのはどのようなケースがあるのかについて解説します。

また、ネットオークションを利用して得た収益を申告しなかった場合の問題も併せて確認しておきましょう。

ヤフオクなどネットオークション取引での売上は確定申告が必要?

基本的に、どのような手段・方法であっても、個人でお金を獲得する行為を行うと、課税対象となります。

そのため、ヤフオクなどネットオークションに出品・売却して売り上げたお金は課税対象であり、確定申告が必要となるのが原則です。

しかし、実際にはすべての売買に対して確定申告が必要とされるわけではありません。

生活に必要となる動産を売却した場合で、その価格が30万円未満のものについては、課税対象になりません

一方で、不動産の場合、30万円を超える場合は、ネットオークションに限らず売却した時に課税対象となるのです。

また、生活用動産に該当するものを売却した場合でも、転売目的や商売として行っている場合は、課税対象となります。

ヤフオクなどネットオークション取引で確定申告が必要なもの

原則ネットオークションの儲けには税金が発生しますが、自分で使っていた生活用動産を売却した場合は非課税となります

より具体的に、ヤフオクなどネットオークションで売却した際に確定申告が必要となるものとそうでないものの違いを確認していきましょう。

一見するとどちらになるかわからないようなものも、その保有・売却目的によって判断することができます。

生活用動産

生活用動産に該当するものを売却した場合は、非課税となり確定申告は必要ありません

この生活用動産とは、普段の日常生活で使っている物品のことを指します。

また、動産は非課税ですが、生活のために使っている自宅の土地や建物は課税対象となります。

生活用動産となるものは、具体的には、日常的に使っていた衣服や家具・家電などが該当します。

また、書籍やおもちゃなど、生活必需品とまではいえないものでも、生活用動産に該当します。

さらに、自動車も生活用動産に含まれます。

高額な貴金属・書画・骨董品

貴金属や書画、骨董品は、生活のために必要とはいえないものです。

しかし、これらのものを売却した場合は、その価値が30万円を超えるかどうかで、税務上の取扱いが変わります。

自分で使っていた貴金属などを1個あたり30万円以下で売却した場合、税務上は生活用動産に含まれます

この場合は、ヤフオクなどネットオークションで売却しても課税対象ではないため、確定申告は必要ありません。

一方、1個あたりの金額が30万円を超えるような高額な貴金属や書画・骨董品などは、生活用動産には該当せず、確定申告が必要となります

仕入れた商品や制作した商品

そもそも、ヤフオクなどネットオークションで売却するものは、自身で使っていたものだけとは限りません。

副業の一環で、購入したものを転売して利益を得ている人や、自身で作ったものを売却している人もいるかもしれません。

これらの場合、売却した商品は生活のために使っていたものではなく、仕入れたり制作したりしたものとなります。

転売したようなケースでは、1個あたりの金額がいくらであっても生活用動産には該当せず、確定申告を行う必要があります

【職業・働き方別】ネットオークション取引で確定申告が必要な金額

確定申告が必要となる金額は、ヤフオクなどネットオークションを利用した人ごとに異なります。

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

サラリーマンの場合

ヤフオクなどネットオークションからの年間の所得が20万円以下であれば、確定申告をする必要はありません

なお、所得金額を計算する際には、もともと非課税とされる生活用動産の売却額は含める必要がありません。

課税対象となるものを売却して、年間20万円を超える所得が発生するかどうかで判定しましょう。

個人事業主の場合

給与所得者であるサラリーマンの場合は、20万円を超える所得が発生しなければ、確定申告の必要がないこととされています。

しかし、確定申告を行うことが義務付けられている個人事業主は、ヤフオクなどネットオークションで売却した金額もすべて申告しなければなりません

主婦や学生の場合

主婦や学生で、アルバイトも行っておらず、他に所得を得ていない人の場合は、所得金額が48万円を超えるかどうかで判定します。

基礎控除と呼ばれる、すべての人が対象となる控除額が48万円あるため、この金額を超えなければ課税対象の金額は発生しません。

年間の所得金額が48万円を超える場合は、確定申告を行って税額を計算し、納税する必要があります。

ヤフオクなどネットオークション取引における所得・税金の計算方法

実際にヤフオクなどネットオークションで課税対象となる取引を行った場合、どのように税金の計算を行うのでしょうか。

その流れを確認しながら、所得金額、税額の計算方法を解説します。

(1) 収入金額を計算する

ヤフオクなどネットオークションで売却した商品代金の所得区分は、雑所得となります。

雑所得の金額を計算する際は、収入金額から経費を差し引いてその所得金額を求めます。

収入金額とは、1年間に商品を売却して得た金額です。

基本的には、ネットオークションに出品した商品が売れた場合、その売却代金が収入金額となります。

もし、生活用動産とそれ以外のものが混在している場合は、生活用動産に該当しないものだけで集計しましょう。

(2) 経費の額を計算する

ヤフオクなどネットオークションを利用した際に発生する経費には、ネットオークションの利用料、商品の送料や資材梱包費などがあります。

これらの経費については、ネットオークションで商品を販売する際に必ず発生するものであり、また全額が経費となるものです。

仕入れた商品を売却した場合は仕入金額、制作した商品を売却した場合は材料費なども、全額が経費となります。

一方、以下のように全額が経費にならないものもあります。

【全額が経費にならないもの】

  • ネットオークションの出品に使ったパソコンやスマホの代金
  • ネットオークションの出品に使ったパソコンやスマホの通信費用
  • 電気代や商品の運搬にかかったガソリン代

これらの費用は、そのすべてがヤフオクを利用するためにかかったものとはいえません。

むしろ、ネットオークションを利用するためにかかった部分を抜き出すと、ごくわずかの金額にしかなりません。

それでも経費に入れることで、多少は税金の負担が減ると予想されます。

そのため、使用した時間数や車の走行距離などから、ネットオークションのために使った部分の金額を按分して、経費とすることもできます。

(3) 所得金額を計算する

収入金額から経費の額を差し引いた金額が、ヤフオクなどネットオークションを利用して発生した所得金額です。

この所得金額は雑所得となるため、確定申告書の雑所得(その他)の区分に記載します

また、給与所得や事業所得などの金額がある場合は、その金額も確定申告書に記載し、合計所得金額を計算します。

(4) 所得税額を計算する

合計所得金額を計算し、そこから所得控除の金額を差し引くと、課税対象となる所得金額が計算できます。

課税対象の所得金額を求めたら、所得税の速算表を使って所得税額の計算を行います。

なお、給与所得がある人は、その給料について年末調整を受けており、源泉徴収されている税額があるはずです。

そのため、計算で求められた所得税額から、その源泉徴収税額を引いた後の金額を、実際に納付することとなります。

ネットオークションで得た利益・売上に関する注意点

ヤフオクで商品の転売を繰り返し行っているような人がまったく確定申告をしなかった場合、どうなるのでしょうか。

ネット上の話なので、税務署にはバレないと思っているかもしれませんが、実際はそうではないことを知っておきましょう。

税務署はヤフオクでの売買状況をつかんでいる

ネット上でのやり取りについて、税務署はその情報をつかんでいないのではないかと、淡い期待をしている方もいるでしょう。

実態はまったく逆で、税務署にはネット専門の調査や情報収集を行う情報技術専門家と呼ばれる人がいます

また、個人で保有しているIDなどの情報は、税務署はすべて把握しているといわれています。

取引履歴についても、いざとなれば照会をかけて調べることは非常に簡単です。

そのため、ヤフオクなどネットオークションでの取引状況は、税務署は簡単に入手できることを理解しておきましょう。

申告漏れとなればペナルティが科される

もし、確定申告をしなければならない人がその申告を怠り、税務署から指摘を受けた場合、その人は期限後申告を行う必要があります。

そこで発生した税額に対して最大20%の無申告加算税が課されます。

また、遅延利息に相当する延滞税が発生する場合もあります。

このようなペナルティの金額は、軽減されることはないため、ペナルティを受けないようにすることが重要です。

まとめ

ヤフオクなどネットオークションで商品を出品して、利益を得ている人は多くいることでしょう。

生活用動産に該当するものだけを出品しているのであれば、何の問題もありませんが、そうでない方もいるでしょう。

1年間の所得金額によっては、確定申告をしなければならない場合もあります

もし申告を怠ると、ペナルティを受けることも考えられるため、必ず申告を行って納税を済ませるようにしましょう。

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