最終更新日:2022/6/7
雇用関係助成金とはハローワーク経由の採用が条件?ハローワーク経由以外でもらえる助成金も紹介
ベンチャーサポート社労士法人 社会保険労務士。
大学を卒業後に、都内にある社会保険労務士事務所での勤務経験を経て、ベンチャーサポートに入社。
PROFILE:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_writing/#p-nishi
この記事でわかること
- 雇用関係助成金とは何か、どういった条件でもらえるかが分かる
- 雇用関係助成金の種類や条件などを一覧で知ることができる
- ハローワークを経由しなくてももらえる助成金があることが分かる
事業主が従業員を雇用する際に、助成金を受け取ることができる場合があります。
そのような助成金のことをまとめて雇用関係助成金といいます。
雇用関係助成金には様々なものがあり、それぞれに条件が定められています。
ここでご紹介する助成金を受けることで、従業員の雇用し、事業の拡大につなげることができます。
雇用関係助成金の内容について、確認してみましょう。
目次
- 雇用関係助成金とは
- 雇用関係助成金の条件
- 雇用関係助成金の一覧
- ハローワーク経由の採用でなくても手に入る助成金
- まとめ
雇用関係助成金とは
雇用関係助成金とは、厚生労働省が取り扱っている人材の雇用に関係する助成金のことです。
厚生労働省は、労働者の雇用環境を安定させ、雇用の拡大が図られるような政策を行っています。
その一環として、雇用機会の拡大や障害者雇用、労働者の能力開発といった所定の目的を達成した事業者に対して助成金を支給しているのです。
助成金を受けた事業者は、そのお金を返済する必要はありません。
また、その助成金についてはどのように利用してもいいこととされています。
ただし、助成金を受けるためには条件が定められており、助成金をもらうためだけにこの条件をクリアするのでは意味がありません。
助成金をもらうことを意識した採用計画を実施することや、条件を満たした場合には助成金の申請を行うことが重要なのです。
雇用関係助成金の条件
雇用関係助成金には数多くの種類があります。
ただ、これらの助成金を受け取るためには共通の条件が設けられています。
ここでは、すべての雇用関係助成金に共通する条件についてまとめていきましょう。
受給できる事業主の条件
雇用関係助成金を受給することができる事業主は、以下のような要件をすべて満たす必要があります。
- (1) 雇用保険適用事業所の事業主であること
雇用保険適用事業所とは、雇用保険の被保険者となる人を雇用している事業主のことです。 - (2) 支給にあたって行われる審査に協力すること
助成金の支給について確認する書類の整備や保管、実地調査が行われた場合の受け入れなどが求められます。 - (3) 申請期間内に申請を行うこと
申請期間は助成金ごとに決められており、その期限を守らなければなりません。
中小企業の範囲
助成金の中には、中小企業と中小企業以外では異なるものがあります。
中小企業に該当するか否かの基準は、業種ごとに資本金の額や従業員の数でその基準が決められています。
以下の表のいずれかに該当する場合は、中小企業に該当することとなります。
業種 中小企業基本法の定義 資本金の額または出資の総額 常時使用する従業員の数 製造業その他 3億円以下 300人以下 卸売業 1億円以下 100人以下 サービス業 5,000万円以下 100人以下 小売業 5,000万円以下 50人以下
雇用関係助成金の一覧
ここでご紹介する助成金は、従業員を雇用した際に受給できるものです。
助成金を受け取るためには、様々な要件を満たす必要があるため、その内容を確認しておきましょう。
特定就職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)
高年齢者や障害者等の就職困難者を、雇用保険に一般被保険者として雇った場合に支給される助成金です。
支給要件
求職者の条件は以下のとおりです。
- (1) ハローワークまたは民間の職業紹介事業者などが紹介した人
事業主の条件は以下のとおりです。
- (1) 雇用保険の適用事業者であること
- (2) 雇用保険一般被保険者として雇い入れ、労働者が65歳になるまで2年以上継続して雇用することが確実であること
支給額
支給額は、「週の所定労働時間30時間以上の労働者」と「週の所定労働時間20時間以上30時間未満の労働者」で分けられています。
(1) 週の所定労働時間30時間以上の労働者(上段は中小企業、下段は中小企業以外)
支給額 助成対象期間 支給対象期ごとの支給額 高年齢者(60歳以上65歳未満)、母子家庭の母等 60万円 1年 30万円×2期 50万円 1年 25万円×2期 重度障害者等を除く身体・知的障害者 120万円 2年 30万円×4期 50万円 1年 25万円×2期 重度障害者等 240万円 3年 40万円×6期 100万円 1年6か月 33万円×2期、34万円
(2)週の所定労働時間20時間以上30時間未満の労働者(上段は中小企業、下段は中小企業以外)
支給額 助成対象期間 支給対象期ごとの支給額 高年齢者(60歳以上65歳未満)、母子家庭の母等 40万円 1年 20万円×2期 30万円 1年 15万円×2期 重度障害者等を含む身体・知的障害者 80万円 2年 20万円×4期 30万円 1年 15万円×2期
トライアル雇用奨励金
職業経験の不足などの理由により就職が困難な求職者について、原則3か月間の試行雇用を行うと助成金が支給される制度です。
支給要件
対象となる求職者は以下のいずれかの要件に該当する人です。
- (1) ハローワークまたは民間の職業紹介事業者などが紹介した人を雇い入れること
- (2) トライアル雇用期間中でないこと
- (3) 過去2年以内に2回以上離職や転職を繰り返していること
- (4) 離職している期間が1年を超えていること
- (5) 妊娠や出産、育児などの理由で離職し、安定した職業についていない状態が1年を超えていること
- (6) ニートやフリーター等で45歳未満であること
- (7) 生活保護受給者や母子家庭の母など就職援助に特別な配慮が必要なこと
また、事業主の条件は以下のようになっています。
- (1) 原則3か月の有期雇用で受け入れること
- (2) 1週間あたりの所定労働時間が30時間を下回らないこと(ホームレス、日雇い労働者、住居喪失不安定就労者の方は20時間)
支給額
対象者1人あたり月額最大4万円が最長3か月間にわたって助成されます。
認定を受けた事業主が35歳未満の対象者にトライアル雇用を行う場合は、1人あたりの支給額が5万円となります。
また、対象者が父子家庭または母子家庭の場合、月額は最大5万円となります。
地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)
雇用機会が特に不足している地域の事業主が、その地域に居住する求職者を雇用した場合に支給されます。
支給要件
おもな要件は支給回数ごとに決められています。
- (1) 1回目の支給
- ①事業所の設置・整備及び求職者の雇い入れに関する計画書を労働局に提出すること
- ②事業施設や設備を計画期間内(最大18か月間)に設置・整備すること
- ③地域の求職者等を一般被保険者または高年齢被保険者としてハローワークなどの紹介で3人以上雇用すること
- ④事業所における労働者が増加していること
- (2) 2回目・3回目の支給
- ①労働者の人数が減少していないこと
- ②地域の求職者等として雇用された人の人数が減少していないこと
- ③離職者の数が一定割合以下であること
支給額
支給額は事業所の設置・整備費用と増加した対象労働者の数によって決まります。
設置・整備費用 対象労働者の増加人数 3~4人 5~9人 10~19人 20人以上 300万円以上1,000万円未満 48万円 76万円 143万円 285万円 1,000万円以上3,000万円未満 57万円 95万円 190万円 380万円 3,000万円以上5,000万円未満 86万円 143万円 285万円 570万円 5,000万円以上 114万円 190万円 380万円 760万円
なお、中小企業主の場合は1回目の支給について支給額の2分の1が上乗せされます。
また、創業時や生産性が高いと認められる場合にも支給額が増額されます。
生涯現役コース(特定求職者雇用開発助成金)
雇用した時の満年齢が65歳以上の離職者をハローワークなどの紹介により雇用した場合に支給されます。
支給要件
以下の要件のいずれも満たすことが求められます。
- (1) ハローワークまたは民間の職業紹介事業者などが紹介した人を雇い入れること
- (2) 雇用保険の高年齢被保険者として雇い入れ、1年以上雇用することが確実であること
支給額
対象となる労働者の類型と企業の規模により支給額が決められます。(上段は中小企業、下段は中小企業以外)
支給額 助成対象期間 支給対象期ごとの支給額 短時間労働者以外の者 70万円 1年 35万円×2期 60万円 1年 30万円×2期 短時間労働者(週の所定労働時間20時間以上30時間未満) 50万円 1年 25万円×2期 40万円 1年 20万円×2期
中途採用等支援助成金(生涯現役起業支援コース)
40歳以上の方が起業によって自らの就業機会を創出し、中高年の従業員を雇用する場合に、雇用創出にかかる費用が助成されます。
最初に雇用創出措置助成分の支給を受け、その後一定期間経過後に生産性向上の要件を満たせば生産性向上助成分が支給されます。
支給要件
雇用創出措置助成分としての主な要件は以下のとおりです。
- (1) 起業基準日から11か月以内に計画書を提出し、都道府県労働局長の認定を受けていること
- (2) 事業継続性に関する一定の要件を満たすこと
- (3) 12か月の計画期間内に対象労働者を一定数以上雇い入れること
- (4) 支給申請書提出日において計画期間内に雇用した対象労働者が過半数離職していないこと
生産性向上助成分としての主な要件は以下のとおりです。
- (1) 計画書にもとづく事業が継続していること
- (2) 労働者を事業主都合で解雇していないこと
- (3) 生産性が一定以上伸びていること
支給額
雇用創出措置助成分として支給されるのは以下の金額です。
起業時の年齢 助成率 上限額 60歳以上の場合 3分の2 200万円 40歳~59歳の場合 2分の1 150万円
生産性向上助成分としては、雇用創出措置助成分の4分の1が別途支給されます。
障害者職場定着支援奨励金(障害者雇用安定奨励金)
障害者を雇い入れ、またその指導を行う職場支援員を配置する事業主に対して助成する制度です。
支給要件
対象となる労働者は以下のとおりです。
- (1) 身体障害者
- (2) 知的障害者
- (3) 精神障害者
- (4) 発達障害者
- (5) 難治性疾患のある人
- (6) 高次脳機能障害のある人
事業主は対象労働者を雇用してから6か月以内に職場支援員を雇用・業務委託などで配置しなければなりません。
そのうえで、対象労働者の業務の遂行に関する援助や指導などを担当させる必要があります。
支給額
職場支援員を雇用または業務委託により配置した場合と、委嘱により配置した場合で支給額が異なります。
(1)雇用または業務委託による場合
対象労働者 企業規模 支給額 短時間労働者以外の者 中小企業 1人あたり月額4万円 中小企業以外 1人あたり月額3万円 短時間労働者(週の所定労働時間20時間以上30時間未満) 中小企業 1人あたり月額2万円 中小企業以外 1人あたり月額1万5,000円
6か月ごとに最大2年間(精神障害者を雇用する場合3年間)支給されます。
(2)委嘱による場合
委嘱による支援1回あたり1万円
障害者トライアル雇用奨励金
就職が困難な障害者を一定期間雇用し、その適正や業務遂行可能性を見極める際に支給される助成金の制度です。
支給要件
対象となる労働者は、以下の要件をすべて満たす人です。
- (1) 継続雇用としての雇入れを希望しており、この制度について理解し希望していること
- (2) 以下のいずれかに該当すること
- ①重度身体障害者
- ②重度知的障害者
- ③精神障害者
- ④就労経験のない職業に就くことを希望している
- ⑤2年以内に離職が2回以上または転職が2回以上ある
- ⑥離職期間が6か月を超えている
障害者短時間トライアル雇用の場合は、(2)の要件が以下の2つになります。
- ①精神障害者
- ②発達障害者
(1)に該当したうえで、(2)の①か②のいずれかを満たす場合に適用できます。
なお雇入れを行う事業者は、ハローワークまたは民間の職業紹介事業者などが紹介した人を雇い入れることが条件とされます。
支給額
まず、支給対象者が1か月間に実際に就労した日数を求めます。
そして、1か月間に終了を予定していた日数に対する割合を求めます。
この割合にもとづいて支給される金額が変わります。
割合 | 支給月額(対象者1人あたり) | |
---|---|---|
障害者トライアル雇用 | 障害者短時間トライアル雇用 | |
75%以上 | 4万円 | 2万円 |
50%以上75%未満 | 3万円 | 1万円 |
25%以上50%未満 | 2万円 | 1万円 |
0%超25%未満 | 1万円 | 1万円 |
0% | 不支給 | 不支給 |
障害者初回雇用奨励金(ファーストステップ奨励金)
障害者雇用の経験のない中小企業(労働者数50人~300人)が初めて障害者を雇用する場合に支給されるものです。
支給要件
以下の要件をすべて満たす必要があります。
- (1) 申請時点で雇用する労働者数が50人~300人の事業主であること
- (2) 初めて身体障害者、知的障害者及び精神障害者を雇用し、対象者を雇用してから3か月以内に障害者の法定雇用率を達成すること
- (3) 過去3年以内に対象労働者の雇用実績がないこと
支給額
支給される助成金の額は120万円となっています。
沖縄若年者雇用促進コース(地域雇用開発助成金)
沖縄県における雇用失業情勢の改善のため、沖縄県内において新規事業などを展開し、若年求職者を雇用した場合に支給されます。
支給要件
事業主の要件は以下のようになっています。
- (1) 沖縄県内に設置・整備した施設の雇用保険適用事業主であること
- (2) 計画書を提出した日から24か月以内に300万円以上の設備投資を行うこと
- (3) 沖縄県に居住する35歳未満の求職者を3人以上雇用すること
このほか、雇用改善に資する、雇い入れた若年求職者の職場定着を図るなどの要件が設けられています。
労働者の雇用に関しては、年齢のほか、事業終了とともに雇用関係が終了するような雇用形態ではないことが求められます。
また、新規学卒者は4人目以降から対象に含めることができます。
支給額
対象労働者に支払った賃金に相当する金額に対して中小企業以外の場合は4分の1、中小企業の場合は3分の1が支給されます。
6か月ごとに区切った算定期間ごとに2回(1年間)もしくは4回(2年間)支給されます。
なお、支給の基礎となるのは当該事業所において前年度に支払われた平均賃金額です。
実際に対象者に支払った金額の4分の1あるいは3分の1ではないことに、注意しなければなりません。
中小企業障害者多数雇用施設設置等助成金
労働者数300人以下の事業主が障害者を10人以上雇用し、同時に事業所の施設や設備の設置や整備を行った場合に助成されるものです。
支給要件
以下の要件のすべてを満たす必要があります。
- (1) 申請時点で労働者数が300人以下であること
- (2) 計画をハローワークに提出し受給資格認定を受けること
- (3) 受給資格取得後6か月以内に重度身体障害者、知的障害者、精神障害者を10人以上雇い入れること
- (4) 雇い入れた労働者を継続して雇用するために必要な施設等を設置すること
- (5) 事業所全体の常用労働者に占める対象労働者の割合が10分の2以上であること
なお、設置あるいは整備した施設等については、1件あたり20万円以上、合計3000万円以上のものに限られます。
支給額
設置・整備した費用の額と対象労働者の数に応じて、3期にわたり受給額が決定されます。
設置・整備に要した費用 対象労働者数 10~14人 15人以上 第1期 第2・3期 第1期 第2・3期 3,000万円以上4,500万円未満 1,000万円
(1,440万円)500万円
(180万円)1,000万円
(1,440万円)500万円
(180万円)4,500万円以上 1,000万円
(1,440万円)500万円
(180万円)1,500万円
(2,160万円)750万円
(270万円)
事業主の希望により、カッコ内の金額での支給を受けることも可能です。
トータルの支給額は減りますが、最初に大きな金額の支給を受けることができます。
発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース(特定求職者雇用開発助成金)
発達障害者や難治性疾患患者を継続して雇用する労働者として雇い入れた事業主に対して支給されます。
雇い入れから6か月後にハローワークの職員等が訪問することとされています。
支給要件
以下の要件をいずれも満たす必要があります。
- (1) ハローワークまたは民間の職業紹介事業者などが紹介した人を雇い入れること
- (2) 雇用保険一般被保険者として雇い入れ、継続して雇用することが確実であること
具体的には、対象労働者の年齢が65歳以上に達するまで継続して雇用し、その雇用期間が継続して2年以上あることをいいます。
支給額
対象労働者の類型と企業規模に応じて支給額が決められます。
対象労働者 企業規模 支給額 助成期間 支給対象期ごとの支給額 短期労働者以外の者 中小企業 120万円 2年間 第1期~第4期
各30万円中小企業以外 50万円 1年間 第1期~第2期
各25万円短時間労働者(週の所定労働時間20時間以上30時間未満) 中小企業 80万円 2年間 第1期~第4期
各20万円中小企業以外 30万円 1年間 第1期~第2期
各15万円
三年以内既卒者等採用定着コース(特定求職者雇用開発助成金)
学校等の既卒者や中退者が応募可能な求人の募集を行い、既卒者等を新規学卒枠ではじめて採用した事業主に支給される助成金です。
支給要件
支給の要件は、「既卒者等コース」と「高校中退者コース」に分けて、それぞれ定められています。
- (1) 既卒者等コース
- ①既卒者・中退者が応募可能な新卒求人の募集を行い、既卒者・中退者を通常の労働者として雇用したこと
- ②これまで既卒者等を新卒枠で採用したことがないこと
- (2) 高校中退者コース
- ①高校中退者が応募可能な高卒求人の募集を行い、高校中退者を通常の労働者として雇用したこと
- ②これまで高校中退者を高卒枠で採用したことがないこと
支給額
対象者を雇い入れて一定の要件を満たした場合、以下の区分や定着期間ごとに支給されます。
なお、支給対象者は各コース1名が上限とされています。
企業の区分 対象者 1年定着後 2年定着後 3年定着後 中小企業 既卒者等コース 50万円 10万円 10万円 高校中退者コース 60万円 10万円 10万円 中小企業以外 既卒者等コース 35万円 ― ― 高校中退者コース 40万円 ― ―
生活保護受給者等雇用開発コース(特定求職者雇用開発助成金)
3か月を超えて支援を受けている生活保護受給者や生活困窮者を継続して雇用した事業主に対して支給されるものです。
支給要件
以下のすべての要件を満たす必要があります。
- (1) ハローワークまたは民間の職業紹介事業者などが紹介した人を雇い入れること
- (2) 雇用保険一般被保険者として雇い入れ、継続して雇用することが確実であること
支給額
支給額は、対象となる労働者の類型や企業規模によって決められています。
支給対象者 | 企業規模 | 支給額 | 助成対象期間 | 支給対象期ごとの支給額 |
---|---|---|---|---|
短期労働者以外の者 | 中小企業 | 60万円 | 1年 | 30万円×2期 |
中小企業以外 | 50万円 | 1年 | 25万円×2期 | |
短時間労働者(週の所定労働時間20時間以上30時間未満) | 中小企業 | 40万円 | 1年 | 20万円×2期 |
中小企業以外 | 30万円 | 1年 | 15万円×2期 |
参考:特定求職者雇用開発助成金(生活保護受給者用雇用開発コース)(厚生労働省)
ハローワーク経由の採用でなくても手に入る助成金
ここまで紹介してきたものは、ハローワークや厚生労働大臣の許可を受けた職業紹介事業者などを経由して採用する必要があります。
しかし、ハローワーク経由でなくても助成金の支給を受けられる制度もあります。
多くの制度はハローワークなどで求人を行い採用しなければなりませんが、そうでないものもあるので、ぜひ確認しておきましょう。
キャリアアップ助成金・正社員化コースとは
ハローワーク経由で採用しなくても、助成金がもらえる制度にもいくつかあります。
その中でも「キャリアアップ助成金・正社員化コース」は、助成金を受給しやすい制度といえるため、ぜひ検討してみましょう。
有期雇用労働者や派遣労働者など、非正規雇用者の働き方の見直しを促進する制度として設けられたのがキャリアアップ助成金です。
この助成金は、内容によって7つのコースに分かれています。
中でも、最も多くの事業者に利用されているコースが「正社員化コース」です。
これは、有期雇用契約の社員を正社員に登用した場合などに助成金を受給できる制度です。
実際に多くの事業主がこのような形での人材登用を行っていることから、対象となる事業主が多く、広く利用されているのです。
キャリアアップ助成金・正社員化コースの受給要件
キャリアアップ助成金・正社員化コースを受給するための要件は、有期雇用労働者を正規雇用労働者等に転換することです。
具体的な取り組みの内容としては、以下のようなものが考えられます。
- (1) 有期契約従業員を正社員へ登用する
- (2) 有期契約従業員を5%以上昇給し、無期雇用へ転換する
- (3) 無期契約従業員を正社員へ登用する
- (4) 有期契約従業員を多様な正社員へ登用する
- (5) 無期契約従業員を多様な正社員へ登用する
- (6) 多様な正社員から通常の正社員へ登用する
なお、この人材登用は入社から6か月以上経過してからでなければなりません。
6か月に満たない期間で正社員などにするのであれば、最初から正社員として採用すべきと考えられているのでしょう。
キャリアアップ助成金・正社員化コースの助成金額
キャリアアップ助成金・正社員化コースの助成額は、社員の転換のパターンや企業の規模によって変わります。
転換のパターン | 企業規模 | 1人あたりの助成額 | 生産性向上要件を満たす場合 | |
---|---|---|---|---|
転換前 | 転換後 | |||
有期雇用労働者 | 正規雇用労働者 | 中小企業 | 57万円 | 72万円 |
中小企業以外 | 42万7,500円 | 54万円 | ||
有期雇用労働者 | 無期雇用労働者 | 中小企業 | 28万5,000円 | 36万円 |
中小企業以外 | 21万3750円 | 27万円 | ||
無期雇用労働者 | 正規雇用労働者 | 中小企業 | 28万5,000円 | 36万円 |
中小企業以外 | 21万3750円 | 27万円 |
参考:キャリアアップ助成金のご案内(正社員化コース)(厚生労働省)
まとめ
多くの事業主にとって大きな問題となるのは、どのように従業員を確保するのか、そしてどのタイミングで従業員を増やすかです。
そこで、助成金をもらいながら人材を確保するという方法を積極的に活用してみてはいかがでしょうか。
今回ご紹介した助成金は、いずれも従業員を雇用した場合に利用できるものばかりです。
このような助成金の内容を知っておけば、その条件に合った形で人材を確保することができ、事業の拡大や安定につながるはずです。
助成金を受給するためには、ハローワークなどで人材を募集する必要があるものや、計画書などを提出しなければならないものがあります。
あらかじめ、詳細についてはハローワークや厚生労働省のホームページなどで確認しておくようにしましょう。