最終更新日:2024/2/7
【コロナ倒産を防ぐために】東京都の新型コロナウイルス支援制度一覧
この記事でわかること
- 東京都で実施される新型コロナウイルス対策の支援制度を知ることができる
- コロナウイルス対策の補助金や助成金が一覧で分かる
- コロナウイルス対策の融資や利息補助の制度を知ることができる
新型コロナウイルスの感染拡大を防止するために、不要不急の外出が制限されるなど日本国内の経済活動は停滞しています。
その結果、中小企業や個人事業主など経営基盤の弱い事業者は資金繰りに目処が立たず、廃業の危機にさらされている場合もあります。
感染拡大が最も深刻な東京都では、そのような事業者を支援するための取り組みを行っています。
これらの制度を利用して、この危機を乗り越える方策を実行していきましょう。
目次
東京都の新型コロナ感染症の影響と法人向け取り組み
東京都内での新型コロナウイルスへの感染者は、3月24日までは1日あたり20人以内となっており、北海道など先に感染が広がった地域に比べて落ち着いた状況にありました。
しかし、その後3月25日に41人の感染が発表されて以降その人数は日ごとに増加し、4月4日には初めて100人を突破するなど感染は一気に拡大してしまったのです。
そのため、政府は4月8日に緊急事態宣言を発令しました。
また、東京都では緊急事態措置として、4月11日から特定の事業者への施設の使用停止や営業時間の短縮の協力をお願いするとともに、感染拡大防止協力金の支給を決定しました。
この休業要請の影響で、対象となった多くの事業者は営業を取りやめることとなりました。
また、休業の対象とならなかった飲食店なども営業時間や酒類提供の時間短縮を求められたため、大幅な売り上げの減少は避けられない状況になりました。
多くの飲食店ではテイクアウトを始めるなどして、少しでも売り上げの落ち込みを挽回しようとしていますが、大幅な売り上げの減少を挽回できる状況にはありません。
感染拡大防止協力金だけでは対応できないため、事業者が利用できる補助金・助成金や融資制度などを充実させて、新型コロナウイルスの影響を受けている事業者を支援する取り組みを始めています。
「感染拡大防止協力金」とは
東京都の休業要請を受けて、店舗の営業をやめたり営業時間を短縮したりすることとなれば、売上は大幅に減少します。
新型コロナウイルスの感染拡大を防ぎ、また従業員も感染しないようにするためにはやむを得ない措置なのですが、一方では雇用確保ができなくなり、あるいは経営破たんとなりかねません。
そこで、東京都は休業要請に応じた事業者を支援するため、単一の店舗の休業を行う場合は50万円、複数の店舗の休業を行う場合は100万円を支給することとしました。
感染拡大防止協力金の支給対象
感染拡大防止協力金の支給を受けるためには、休業要請の対象事業者が休業することが要件となっています。
ただし飲食店については、全面的な休業ではなく、東京都が示した朝5時~夜8時までの時短営業と夜7時までの酒類の提供とすることで、協力金を受けることができます。
一方、生活必需品を販売するために休業要請の対象外となっているスーパーなどの店舗や医療機関、公共交通機関などは、仮に休業や時間短縮などの措置を行ったとしても協力金の対象にはなりません。
休業期間をホームページに掲載したり、店頭の貼り紙や看板で告知したりすればよく、その写しを提示すれば協力金の申請を行うことができます。
また飲食店の場合には、店舗での営業を行わずにテイクアウトだけ営業している場合にも、協力金を受けることができます。
この場合、大きな売上を得ることは難しいと思いますが、仮に売上が大幅に計上されたとしても、休業しているかどうかだけが要件となっているため、申請には影響ありません。
感染拡大防止協力金の申請受付期間
感染拡大防止協力金の申請を行うのは、令和2年4月22日から令和2年6月15日までとされています。
申請はオンライン(https://www.tokyo-kyugyo-form.com/)、郵送もしくは持参のいずれかとされています。
また、緊急事態措置の期間である令和2年4月11日から令和2年5月6日までのうち、少なくとも令和2年4月16日から令和2年5月6日までの全期間にわたって休業等を行う必要があります。
なお、緊急事態措置期間が5月31日まで延長されたことにより、都は店舗などへの休業要請を5月末まで延長しました。
それに伴い、全面的に協力した中小事業者に2回目の協力金を支給することを決定。
支給額は1回目と同様、単一の店舗の休業を行う場合は50万円、複数の店舗の休業を行う場合は100万円となります。
コロナウイルス対策補助金・助成金一覧
コロナウイルスの感染拡大や感染防止のための休業要請などにより、事業者が経済的に大きな影響を受けているため、そのような事業者を支援する様々な制度が設けられています。
東京都で利用できる補助金や助成金を確認しておきましょう。
名称 | 概要 |
---|---|
雇用調整助成金の特例措置 | 新型コロナウイルス感染症の影響を受けて従業員の休業を行った事業者に対して、支給した休業手当の4/5(中小企業)または3/4(大企業)が支給されます。 また一定の要件のもと、①休業要請を受けて休業手当を支給した場合にはその全額が助成されるほか、②労働基準法に定める休業手当の支給率60%を超えて支給した場合には、その超えた部分について100%助成されます。 |
持続化給付金 | 前年同月比で売上が50%以上減少した中小法人等は最大200万円、個人事業者は最大100万円の給付を受けることができます。 |
感染拡大防止協力金 | 東京都の要請に応じて休業や施設の利用に全面協力した事業者に対して50万円(2以上の店舗で休業等を実施した場合は100万円)が支給されます。 |
テレワーク助成金 | 東京都内に本社または事業所を置く中小企業がテレワークを導入しようとする場合、250万円までの範囲内でその全額が助成されます。 |
小学校等臨時休業に伴う保護者の休暇取得支援 | 小学校等の臨時休業に対応するために有給休暇を取得した保護者がいる企業に対して、1日1人あたり8,330円を上限としてその有給休暇に相当する賃金が助成されます。 |
小学校等の臨時休業に対応する保護者の休暇取得支援(フリーランス向け) | 小学校等の臨時休業に対応するため契約した仕事ができなくなったフリーランスなどの個人事業者は、就業できなかった日について1日あたり4,100円が支給されます。 |
働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)特例コース | テレワークを実施した労働者がいる場合、その導入費用や就業規則の作成、研修費用などの1/2(上限100万円)が支給されます。 |
働き方改革推進支援助成金(職場意識改善)特例コース | 病気休暇制度や子供の休校に対応した職場環境を整備するために、研修や就業規則等の作成、労務管理用ソフトウェアの更新などを行った費用の3/4(上限50万円)が支給されます。 |
ものづくり補助金 | 新型コロナウイルスにより影響を受けている事業者は、審査加点措置・申請要件の緩和などの特例・優遇措置を受けることができるため、より補助金を受けやすくなっています。 |
企業主導型ベビーシッター利用者支援事業 | 労働者や個人で就業している人がベビーシッター派遣事業サービスを利用した場合に、利用料金から2,200円が助成されます。新型コロナウイルスへの対応として、その利用枠が拡大されています。 |
先進的防災技術実用化支援事業 | 新型コロナウイルス感染症を含む災害に対応した製品の改良や実用化を行った中小事業者等に対して、最大1,000万円の助成を受けることができます。 |
新型コロナウイルス感染症対策雇用環境整備促進事業 | 非常時における勤務体制の整備を行った中小企業に対して、10万円の奨励金を受給できます。 |
緊急販路開拓助成事業 | 令和2年7月以降に開催されるBtoB展示会への参加費用について、その4/5(最大150万円)が助成されます。 |
小規模事業者持続化補助(コロナ特別対応型) | 小規模事業者が新型コロナウイルス対応や働き方改革などの制度変更を行うための投資を行う際に、その費用の2/3(上限100万円)が補助されます。 |
サプライチェーン対策のための国内投資促進事業 | 日本国内に生産拠点を整備しようとする際に行う設備投資について、中小企業は2/3、大企業は1/2が補助されます。 |
マスク生産設備導入補助事業 | 国からの増産要請を受けてマスクの生産設備を導入する場合、中小企業は3/4、大企業は2/3(それぞれ1製造ラインあたり上限額3,000万円)が補助されます。 |
コロナウイルス対策融資・利息補助制度一覧
補助金や助成金を受けるためには、様々な条件をクリアしなければなりません。
どの事業者も利用できるわけではないため、融資を受けることも検討しておくといいでしょう。
名称 | 概要 |
---|---|
新型コロナウイルス感染症対応緊急融資(東京都) | 融資限度額は2億8,000万円、融資期間は運転資金の場合10年以内です。 信用保証料は東京都が全額補助してくれます。 |
セーフティネット貸付(日本政策金融公庫) | 従来は売上高が5%以上減少したという数値の要件がありますが、新型コロナウイルス対策として今後影響が出ると思われる事業者も対象とされます。 |
セーフティネット保証4号(自然災害等)の指定 | すべての都道府県について、信用保証協会が一般保証とは別枠で融資額の100%(限度額2億8,000万円)を保証します。 |
セーフティネット保証5号(指定業種)の追加指定 | ホテル、レストラン、フィットネスクラブなど40の業種について、信用保証協会が一般保証とは別枠で融資額の80%(限度額2億8,000万円)を保証します。 |
衛生環境激変特別貸付(日本政策金融公庫) | 旅館業については3,000万円、飲食店や喫茶店については1,000万円を限度に、返済期間7年以内で貸し付けを受けることができます。 |
新型コロナウイルス感染症特別貸付(日本政策金融公庫) | 新型コロナウイルスの影響で一時的に業況が悪化している場合、個人事業主や小規模事業者は6,000万円、中小企業は3億円を限度に無担保で融資を受けることができます。 |
マル経融資の金利引下げ(日本政策金融公庫) | 商工会議所などの経営指導を受けている小規模事業者で最近1か月の売上高が5%以上減少している場合、マル経融資の利率が当初3年間にわたって0.9%引き下げられます。 |
生活衛生新型コロナウイルス感染症特別貸付(日本政策金融公庫) | 生活衛生関係の事業を営む事業者で一時的に業況が悪化している場合、6,000万円を限度として融資を受けることができます。 また、3,000万円を限度として3年間は利率が0.9%引き下げられます。 |
農林漁業セーフティネット資金等の特例措置(日本政策金融公庫) | 農林漁業経営の維持に必要な資金について、1,200万円まで融資を受けることができます。 また、簿記記帳を行っている事業者については、融資額の引き上げが認められる場合もあります。 |
農林漁業金利負担軽減措置及び実質無担保措置(日本政策金融公庫) | 新型コロナウイルスの影響で経営に影響が生じている子確認された場合、5~10年にわたって無利子となるほか、実質無担保となる措置が実施されます。 |
新型コロナウイルス感染症対応緊急借換(東京都) | 現在の保証付融資の借り換えを行うことで資金繰りを安定させ、経営改善を図ります。 保証料は東京都が負担してくれるほか、保証人不要、8,000万円までは無担保となります。 |
危機関連保証制度 | 最近1か月間の売上高が前年同月比15%以上減少しており、かつその後2か月間を含む3か月間の売上高が前年同期比15%以上減少することが見込まれる事業者に対して、無担保保証の場合8,000万円、無担保無保証人の場合2,000万円まで融資を受けることができます。 |
危機対応融資(東京都) | 「危機関連保証制度」と同様の状況にある事業者について、無担保の場合8,000万円まで融資を受けることができます。また、信用保証料は東京都が全額を補助してくれます。 |
生活衛生改善貸付の金利引下げ(日本政策金融公庫) | 最近1か月の売上が前年または前々年同期と比較して5%以上減少している場合、0.9%の金利引き下げが適用されます。 |
危機対応融資(商工中金) | 新型コロナウイルスの影響を受けている事業者に対して、信用力や担保の内容に関係なく一律の金利が適用されるほか、利子補給制度を併用することで実質無利子となります。 |
生活福祉資金貸付制度における緊急小口資金等の特例貸付の拡大 | 新型コロナウイルスの影響を受けている個人事業主は、無利子で20万円以内の貸付を受けることができます。 |
福祉貸付事業・医療貸付事業 | 新型コロナウイルス感染症の影響を受けた福祉・医療関係施設が、無利子・無担保で融資を受けることができます。 |
補助金・助成金つなぎ(東京都) | 補助金等が交付されるまでのつなぎ資金として活用できる融資制度が新設されます。 |
特別利子補給制度 | 日本政策金融公庫の「新型コロナウイルス感染症特別貸付」等により借入れを行った中小企業が実質無利子化の対象となります。 |
既往債務の借換(公庫等) | 既存の特別貸付や危機対応融資に係る債務について借換を行い、実質無利子化の対象とすることができます。 |
教育一般貸付の特例措置 | 教育資金融資保証基金による融資を利用している場合、返済条件の変更を行った際の追加保証料が免除されます。 |
コロナウイルス対策その他制度一覧
コロナウイルス感染症による影響を受けるのは資金繰りだけではありません。
納税や各種手続きについて猶予や支援を受けることができます。
名称 | 概要 |
---|---|
輸出入手続きの緩和等 | 輸出許可証や輸入承認証などの期限切れに対応して、有効期限の延長を申請することができます。 |
食品事業者に対する支援 | 学校給食調理業者や食材の販売業者に対し代替販路の確保などの支援を行います。 |
農業保険の保険料等の支払期限の延長 | 保険料や共済掛金の支払期限を延長し、保険料の支払が遅れても保険契約が無効にならないようにします。 |
厚生年金保険料の猶予制度 | 猶予が認められた場合、その後一定期間内に分割して納付することができます。 また、延滞金の一部が免除されます。 |
国税の納付の猶予制度 | 原則1年間の納税の猶予が認められます。 売上が減少した事業者については、無担保・延滞税なしでの猶予が認められます。 |
厚生年金基金の特例解散時における事業者負担 | 納付が困難となった事業者については、納付期限の延長や納付計画の変更が認められます。 |
地方税の納付が困難な場合の猶予 | 自治体ごとに、納税の困難な事業者について猶予が認められる場合があります。 |
確定申告の申告・納付期限の延長 | 外出を控えるなど外出を控えるために期限内の申告や納税が困難な場合には、期限後の申告や納税も認められます。 |
欠損金の繰戻し還付 | 前年度に納付した法人税について、今年度に発生した赤字に対応する部分の金額を還付してもらうことができる制度について、資本金10億円以下の法人まで適用対象とされます。 |
労働保険料の納付猶予 | 令和2年6月から令和3年5月分の労働保険料等について、その納付期限が最大1年間延長されます。 |
ジェトロ越境EC支援 | ジェトロが海外のECサイトにジャパンモールを開設し、日本の商品の海外での販促活動を行います。 |
LINEアプリを活用した事業者への情報発信 | LINEに「経済産業省新型コロナ事業者サポート」とするアカウントを開設し、事業者向けの情報発信を行います。 |
テレワーク促進に向けた宿泊施設利用拡大支援 | テレワークの場所を提供する宿泊施設と、その利用希望者となる事業者をマッチングして、双方の支援を行います。 |
【東京都23区】コロナウイルス対策補助金・助成金・融資・利息補助制度一覧
ここまで紹介してきた取り組みのほか、東京23区の各自治体は中小企業が民間の金融機関から借入をした場合に、利子や信用保証料の支援を行う制度を設けています。
ここでは、それぞれの制度名をご紹介します。
自治体 | 制度 |
---|---|
千代田区 | 緊急経営支援特別資金 |
中央区 | 新型コロナウイルス感染症対策緊急特別資金 |
港区 | 新型コロナウイルス感染拡大に伴う特別融資あっせん |
新宿区 | 商工業緊急支援(特例) |
文京区 | 新型コロナウイルス対策緊急資金 |
台東区 | 台東区新型コロナウイルス感染症対策特別資金 |
墨田区 | 新型コロナウイルス感染症緊急対策資金 |
江東区 | 新型コロナウイルス感染症対策資金融資 |
品川区 | 経営変化対策資金2020 |
目黒区 | 新型コロナウイルス対策緊急融資 |
大田区 | 新型コロナウイルス対策特別資金 |
世田谷区 | 世田谷区新型コロナウイルス感染症緊急融資 |
渋谷区 | 緊急経営支援特別資金 |
中野区 | 新型コロナウイルス対策緊急応援優遇 |
杉並区 | 経営安定運転特例資金 |
豊島区 | 小企業・小企業借換資金新型コロナウイルス感染症対策特例 |
北区 | 北区新型コロナウイルス感染症対策緊急資金 |
荒川区 | 新型コロナウイルス対策特別融資 |
板橋区 | 新型コロナウイルス感染症対策利子補給優遇加算 |
練馬区 | 新型コロナウイルス感染症対応特別貸付 |
足立区 | 緊急経営資金 |
葛飾区 | 新型コロナウイルス対策緊急融資 |
江戸川区 | 経営向上資金融資 |
まとめ
新型コロナウイルスの感染拡大による経済的な影響は、計り知れないものとなっています。
また、この先いつ収束するかの見通しも立たないため、多くの事業者は不安になっていることと思います。
資金面での不安を解消するためには、早めに動きだしてこれらの制度を利用することが重要です。
今回ご紹介した補助金・助成金や融資制度は、今後さらにその対象が拡大したり金額が増減したりする可能性があります。
また、新たな制度が創設される可能性もあります。
今後も国の機関や自治体、金融機関からの情報をチェックしておきましょう。