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最終更新日:2022/6/7

会社設立時の節税対策!会社の創立時に要した費用を経費に落とす方法

森 健太郎

この記事の執筆者 税理士 森健太郎

ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
近畿税理士会 北支部所属(登録番号:121535)
1977年生まれ、奈良県奈良市出身。
起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネルを運営。

PROFILE:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_writing/#p-mori
YouTube:会社設立サポートチャンネル【税理士 森健太郎】
書籍:プロが教える! 失敗しない起業・会社設立のすべて (COSMIC MOOK) ムック

事業にかかった費用は、支出した日の属する年に必要経費に算入しなければいけません。

ただし、会社の創立時に要した費用や開業費用は、支出日以降に経費算入を繰り延べることが認められています。

同時に、このルールを活用すれば、税金対策にも役立ちます。

今回の記事では、創業費および開業費について、経費算入時期のコントロールによる節税効果と、実際の経理処理について解説します

繰延資産とは

販管費は支出した年の経費に算入すべき

会社の経理は、企業会計原則というルールに準拠して処理すべしとされています。

重要な原則の1つが費用収益対応の原則で、費用はその収益発生に貢献した時期に計上すべきものとされています

一方で仕入原価などと異なり、販管費は収益との個別関係が認めづらいので、その支出した日の属する年に費用として計上すべしと決まっています。

ただし、翌期以降にわたりその効果が及ぶ費用に対しては、費用の繰り延べが認められています。

これが繰延資産です

翌期以降に繰り延べられる費用もある

繰延資産に関して、会社法・金融商品取引法・法人税法といった強行法規は詳細を取り決めていません。

具体的には、一般に公正妥当な会計基準によることとされています。

<企業会計原則注解15の規程>
企業会計原則注解15では、対価の支払いが済んで債務が確定し、役務又は財貨の提供を受けたもので、その効果が翌期以降も発現するものは「将来の期間に影響する特定の費用」、つまり繰延資産として一旦貸借対照表に計上することを認めています。

繰延資産は、翌期以降において償却を通じて取り崩され、その効果が及ぶ会計期間にわたり合理的に費用が配分されます。

繰延資産の範囲

企業会計委員会は、平成18年に「繰延資産の会計処理に関する当面の取扱い」を公表、その中で繰延資産の範囲について以下の5項目を定めています。

  • 株式交付費(新株の発行または自己株式の消却に伴い生じた広告費・金融機関や証券会社の手数料・目論見書の作成発行費・登録免許税等)
  • 社債発行費等(社債募集に伴い生じた広告費・金融機関や証券会社の手数料・目論見書の作成発行費・登録免許税等)
  • 創立費(会社が負担すべき設立費用つまり広告費、定款や諸規則策定の作成・発行費、創立総会の運営費、発起人が受ける報酬で一定のものの他、会社設立事務費用等)
  • 開業費(開業準備までの費用で営業開始日までに支払ったオフィス・店舗・倉庫の家賃・地代等、従業員の給料、ガス・水道・電気などの費用、事務用消耗品費、支払い利子など)
  • 開発費(新しい商品・サービス・ビジネスモデルの開発費用、市場開拓・資源開発に支出した費用、生産性向上に要した費用、大規模な配置換えによる費用等)

創立費・創業費の償却

創立費・開業費とは何か

会社の設立に当たっては、必ず定款を作って公証人に認証してもらわなければなりません。

さらに、法務局への設立登記手続きも必要です。

こうした費用は創立費として計上されます。

さらに会社を設立したとしても、すぐに営業が開始できるわけではありません

例えばレストランなら厨房設備の搬入や保健所の許可に時間がかかりますし、その間も家賃や光熱費は発生します。

こうした費用は開業費に計上します

創立費・開業費は翌期以降の収益に対応させる

会社の営業が始まるまではまだ収益が発生せず、創立費・開業費を経費に算入しても赤字になるだけです。

そこで一旦はこれらを繰延資産として貸借対照表に計上し、翌期以降の収益と対応する形で創立費・開業費を償却し費用計上します

これにより、費用計上分は必要経費に算入され、その分所得額が圧縮、納税額を抑えることができます

毎期に償却できる額は

では、毎期に償却できる額はいくらでしょうか?「繰延資産の会計処理に関する当面の取扱い」によると創立費・開業費とも償却期間は5年で、毎期の均等償却が求められます。

税法によると、毎月の償却額は以下の算式により計算することとされています

支出額÷償却期間の年数÷12ヵ月

繰延資産の支出額が600万円の場合、毎月の償却額は600万円÷5年÷12月=10万円です。

ただし税法では、創立費・開業費については均等償却によらず、支出金額のうち任意の額を償却することができます

ちなみに上記の例でいえば、毎期の償却可能限度額は600万円です。

創立費・開業費の経理処理

それでは創立費・開業費の経理処理について、支出時と償却時のステップごとに仕訳を例示します。

創立費の場合

・支出時
創立費(資産)/現金預金
・償却時
創立費償却費用/創立費(資産)

開業費の場合

・支出時
開業費(資産)/現金預金
・償却時
開業費償却費用/開業費(資産)

会社設立で利用できる節税方法

上記では会社設立時にかかる開業費について説明しました。

会社設立すれば、利用できる節税方法はたくさんあります。

下記では節税の方法についてまとめて紹介します。

役員報酬

会社設立して、自分が役員になった場合、役員報酬で節税できます。

役員報酬は所得税が課税されますが、給与所得控除が最大220万円まで適用されます。

これに対して個人事業主であれば、青色申告の特別控除を使っても最大65万円の控除になります。

その差は年間155万円と大きいため、会社設立して役員報酬をもらう形にすれば、大きな節税に繋がります。

所得を分散させて累進課税を避ける

日本は累進課税というシステムがあり、所得が増えれば増えるほど、課税される金額も大きくなります。

例えば所得金額が100万円だと税率は5%ですが、4,000万円になると税率は45%まで増えます。

最大で40%も税率の差ができるため、なるべく累進課税を避けた方が節税になります。

そこで 会社設立をしていれば、家族を役員や社員にして役員報酬を渡すことで、自分だけに所得が集中するのを防げます。

また家族を役員や社員にして給与を渡していれば、給与所得控除も合わせて利用できます。

退職金を支給する

会社は5年以上勤務した役員に対して、退職金を支給できます。

退職金は給与や役員報酬に比べて、節税効果が高いのが特徴になります。

退職金を支給した場合には、規定の金額まで経費として計上できます。

また受け取る側も勤続年数×40万円の金額の範囲内であれば、課税されません。

退職金が課税される場合も、退職金控除を引いた金額の半分のみになるため、累進課税もかかりにくくなります。

赤字の繰り越し

法人・個人問わず、期をまたいで赤字の繰り越しができます。

ただし個人事業主の場合は最大でも3年の繰り越ししかできませんが、法人の場合は9年間の繰り越しができます。

赤字の金額が大きければ大きいほど、利益を少なくできるため、節税効果も高くなります。

繰り越しに関しては個人事業主よりも会社の方が圧倒的に節税効果があります。

消費税の免除

年間の課税売上が1,000万円を超えると、課税事業者となり消費税がかかります。

消費税はすぐにかかるわけではなく、1,000万円を超えた年の2年後の申告で納税しなければいけません。

課税事業者になる前に会社設立して条件を満たせば、会社設立1・2期目の消費税の課税が免除される制度があります。

うまくいけば4年間の消費税を免除できるため、年間の売上が1,000万円を超えた場合には、会社設立した方がいいかもしれません。

まとめ

創立費・開業費は繰延資産として取り扱うことが会計上・税務上も認められており、この取り扱いは適正な課税額や経営実績の計算に役立ちます。

この繰延資産の処理ルール(繰延資産の範囲・償却方法)を正確に理解し、間違いない経理処理・確定申告につなげるとともに、経営管理に役立てましょう

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