最終更新日:2026/3/16
会社設立の手続きは行政書士に依頼すべき?役割や費用・選び方を詳しく解説

ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
近畿税理士会 北支部所属(登録番号:121535)
1977年生まれ、奈良県奈良市出身。
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YouTube:会社設立サポートチャンネル【税理士 森健太郎】
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- 会社設立で行政書士に依頼できる業務の範囲
- 行政書士・司法書士・税理士の役割の違い
- 行政書士のサポートが必要な業種・許認可の見分け方
- 許認可の種類ごとの行政書士報酬と法定費用の目安
- 失敗しない行政書士の選び方のポイント
会社設立を考えたとき、「行政書士に依頼すべきなのか、それとも司法書士や税理士に相談すればいいのか」と迷う人は少なくありません。
結論からいうと、行政書士が会社設立で力を発揮するのは、主に許認可の申請が必要なケースです。
飲食店の営業許可や建設業許可など、業種によっては会社を設立しただけでは事業を始められず、行政機関への許可申請や届出が必要になります。
こうした手続きの書類作成や申請代行を担うのが行政書士の役割です。
一方で、登記申請は司法書士、税務届出は税理士の業務であり、行政書士だけで会社設立のすべてが完結するわけではありません。
この記事では、会社設立における行政書士の役割やほかの士業との違い、許認可ごとの費用の目安、依頼先を選ぶ際のポイントなどについて、これから会社設立を考えている方に向けてわかりやすく解説します。


目次
会社設立の流れ:行政書士などの各士業が果たす役割とは
会社設立の手続きは、大きく分けると「事業計画」「定款の作成・認証」「登記申請」「税務届出」「経営開始」という流れで進みます。
各ステップにはそれぞれ専門の士業があり、すべてを1人の専門家に任せられるわけではありません。
ここでは、行政書士など各士業の、会社設立における役割の違いを整理します。
下の図に全体像をまとめていますので、まずはどのステップにどの専門家が関わるのかを把握しておきましょう。

なお、図中に記載のある社労士(社会保険労務士)は、設立後の社会保険や労働保険の届出を担当する専門家です。
従業員を雇用する予定がある場合は、社労士への依頼も検討が必要になります。
行政書士:許認可が絡む場合の各種書類の作成支援と手続き代行
行政書士が会社設立で力を発揮するのは、先述したとおり主に「許認可」に関わる場面です。
許認可の手続きは、申請先や必要書類が許可の種類ごとに異なり、要件も細かく定められています。
たとえば建設業許可であれば、経営業務の管理責任者や専任技術者の配置要件、財産的基礎の証明など、専門的な知識がなければ対応が難しい項目が数多くあります。
こうした複雑な要件を正確に把握し、書類に落とし込むのが行政書士の専門領域です。
また、行政書士は定款の作成や認証についてもサポートが可能です。
行政書士が定款作成を担当するのは、たとえば許認可の申請を行政書士に依頼しており、その流れで事業目的の記載内容など許認可の要件に関わる部分を踏まえて定款を作成するケースが典型的です。
許認可によっては定款の事業目的に特定の文言が求められる場合があり、そうした要件を熟知している行政書士が定款作成から関わることで、許認可申請との整合性を確保しやすくなります。
自分の事業に許認可が必要かどうかが、行政書士への依頼を検討する最初の判断ポイントになります。

これは以前は独占業務ではなかったのですが、2026年から行政書士法が改正され、いかなる名目であっても、対価を受領して、業として官公署に提出する書類を作成することは違法となりました。
司法書士:定款作成と認証・登記申請代行
司法書士は、会社設立の手続きにおいて中心的な役割を果たす存在です。
具体的には、定款の作成から公証役場での認証手続き、法務局での登記申請までを一貫して対応できます。
登記申請の代理は司法書士の独占業務であり、ほかの士業が代行することはできません。
許認可の有無にかかわらず、会社設立をする以上は登記申請が必要です。
そのため、司法書士は会社設立において多くの起業家が関わることになる士業といえます。
税理士:税務署などへの税務書類作成や提出代行・節税対策など
会社を設立した後には、税務署や都道府県税事務所、市区町村役場への届出が必要になります。
こうした税務関連の届出書類の作成や提出を代行するのが税理士の役割です。
また、税理士は設立時の届出だけでなく、設立時点での税務を踏まえた機関設計や、設立後の継続的な税務顧問としての役割も担います。
会社の決算・申告業務、節税対策、資金繰りの相談など、事業を続けていくうえで長期的に関わることになるため、設立時点から関係を築いておくと、会社の状況を理解したうえでの的確なアドバイスを受けやすくなります。
なお、税理士事務所の中には、顧問契約を前提として会社設立の手続き費用を割引したり、無料で対応したりするところもあります。
設立後に税理士との顧問契約を考えている場合は、設立前の段階から相談してみるのも1つの方法です。
【ケース別チェック】行政書士のサポートは必要か
前章で解説したとおり、行政書士が会社設立で関わるのは主に許認可の部分です。
つまり、自分の始める事業に許認可が必要かどうかによって、行政書士に依頼すべきかが決まります。
もっとも、許認可が必要な業種の場合でも、すべてのケースで行政書士への依頼が必須というわけではありません。
許認可のなかには届出のみで済む比較的簡易なものもあり、自分で対応できるケースもあります。
ただし、許可や免許取得に審査を伴うものは、要件の確認や書類の作成に専門知識が求められるため、行政書士に依頼するメリットが大きくなります。
特に以下のようなケースでは、行政書士への相談を積極的に検討することをおすすめします。
- 許可の要件が複雑
- 申請書類の数が多い
- 許認可の取得に期限がある
- 複数の許認可を同時に取得する必要がある
【早見表】 行政書士サポートが推奨される業種・許認可一覧
代表的な業種と、主に必要になる許認可などについてを一覧でまとめています。
自分の事業が該当するかどうかの確認に利用してください。
| 業種 | 主に必要な許認可 | 主な申請先 | 行政書士の必要度 |
|---|---|---|---|
| 古物商(中古品販売) | 古物商許可 | 公安委員会(警察署経由) | 【低】 書類が少なく、個人でも対応しやすい。 |
| 飲食店 | 飲食店営業許可 | 保健所 | 【低】 手続き自体はシンプル。 ただし夜間営業や酒類を提供する場合などは別途届出が必要。 |
| ペットショップなど | 第一種類動物取扱業登録 | 都道府県 | 【低】 登録制で手続きは比較的簡易。 動物取扱責任者の選任が必要。 |
| 酒類販売業 | 酒類販売業免許 | 税務署 | 【中】 需給調整要件や経験要件など、独自の審査基準がある。 |
| 旅行業 | 旅行業登録 | 都道府県知事または観光庁 | 【高】 旅行業の種別に応じた基準額の営業保証金が必要。 |
| 建設業 | 建設業許可 | 都道府県知事または国土交通大臣 | 【高】 要件が複雑で、書類の量も多い。 |
| 運送業(貨物) | 一般貨物自動車運送事業許可 | 運輸局 | 【高】 車両・資金・人員など要件が多岐にわたる。 |
ただし、上記は代表的な許認可の一例です。同じ業種でも事業内容や規模によって必要な許認可が異なる場合があります。
また、ここに掲載されていない業種でも許認可が必要なケースは数多くありますので、事前に行政書士や管轄の行政機関に確認することをおすすめします。
自分の事業に許認可が必要か判断がつかない場合
近年はIT✕金融、食品✕EC、介護✕教育など複数の領域をまたぐビジネスモデルも増えており、許認可が必要かどうかの判断が難しいケースもあります。
以下のような要素が事業に含まれている場合は、許認可が必要になる可能性があるサインです。
- 人の身体や健康に関わるサービスを提供する
- 他人の財産や個人情報を預かる・取り扱う
- 中古品やリユース品を売買する
- 公道を使って人や物を運ぶ
- 行政から指定や認定を受けてサービスを提供する
- 特定の資格者の配置が法律で義務づけられている
- 他者の安全や健康、財産などに影響を及ぼしうる
これらに1つでも該当する場合は、事業内容を整理したうえで行政書士や管轄の行政機関に相談しておくことをおすすめします。
許認可が必要だと設立後に分かった場合、事業の開始が大幅に遅れるリスクがあるため、早めの段階で確認しておきましょう。
行政書士に会社設立を依頼したときの費用の全体像
会社設立にかかる費用は、大きく「会社設立の手続き自体にかかる法定費用」と「行政書士への報酬」の2つに分かれます。
ここではそれぞれの内訳と目安を整理します。
なお、行政書士への報酬は許認可申請に関する部分であり、登記申請を他士業に依頼する場合はその報酬が別途かかることもある点にご注意ください。
会社設立自体にかかる費用:11万~24万円
会社設立自体にかかる費用は、株式会社と合同会社で大きく異なります。
株式会社の場合、費用の目安はおよそ24万円前後です。
| 株式会社の費用項目 | 金額 |
|---|---|
| 定款認証手数料 | 1万5,000~5万円(資本金額などにより変動) |
| 定款の収入印紙代 | 4万円(電子定款の場合は0円) |
| 登録免許税 | 15万円(資本金額✕0.7%がこれを超える場合はその金額) |
| その他諸経費 | 約1万円 |
| 合計費用 | 約21万5,000円〜25万円 |
収入印紙代の4万円は、紙の定款を作成した場合にかかる費用です。電子定款で対応すれば、この4万円は不要になります。
合同会社は定款の認証が不要なため、株式会社に比べて費用を大幅に抑えられます。
およそ11万円が設立費用の目安となります。
| 株式会社の費用項目 | 金額 |
|---|---|
| 定款の収入印紙代 | 4万円(電子定款の場合は0円) |
| 登録免許税 | 6万円(資本金額✕0.7%がこれを超える場合はその金額) |
| その他諸経費 | 約1万円 |
| 計費用 | 約11万円 |
会社設立時にかかる費用については、以下の記事でより詳しく解説しています。
行政書士への報酬額の目安:許認可の種類で大きく異なる
行政書士への報酬は、依頼する許認可の種類によって大きく異なります。
日本行政書士会連合会が公表している「令和2年度報酬額統計調査」をもとに、会社設立時に必要となることが多い許認可の報酬目安と、許認可自体にかかる費用をまとめました。
| 許認可の種類 | 行政書士報酬の目安 | 許認可の法定費用 |
|---|---|---|
| 古物商許可 | 5万円 | 1万9,000円 |
| 飲食店営業許可 | 5万円 | 約1万6,000~2万円 ※2 |
| 第一種動物取扱業登録 | 3万円 ※1 |
1万5,000円 |
| 旅行業登録 | 10万円 | 登録免許税3万〜9万円 ※3 |
| 酒類販売業免許 | 15万円 | 登録免許税3万円 |
| 宅地建物取引業免許(新規・知事) | 10万円 | 3万3,000円(都道府県条例により異なる) |
| 建設業許可(法人・新規・知事) | 15万円 | 9万円 |
| 一般貨物自動車運送事業許可 | 40万円 | 登録免許税12万円 |
※1 統計調査の回答者数が少ないため(動物取扱業1名、介護4名、労働者派遣6名)、参考値としてご覧ください。
※2 飲食店営業許可の手数料は自治体によって異なります。
※3 旅行業登録は、登録免許税(国税)や登録手数料(自治体)などが発生します。金額は登録区分・申請先(観光庁・都道府県)で異なるため、管轄窓口の案内で確認してください。このほか営業保証金または弁済業務保証金分担金が別途必要です。
参考:令和2年度報酬額統計調査の結果|日本行政書士会連合会(PDF)
このように、古物商許可や飲食店営業許可であれば数万円が目安ですが、運送業許可のように要件が複雑な許認可では数十万円規模になることもあります。
自分の業種に必要な許認可が何かによって費用感はまったく異なるので、見積もりの段階で具体的な金額を確認しておくことが大切です。
費用面で注意しておきたいのは、行政書士の報酬や許認可の費用だけでなく、トータルのコストで考えることです。
会社設立では司法書士への報酬や、設立後に税理士と顧問契約を結ぶ場合の費用なども発生します。
全体の費用感を把握しやすくするためにも、複数の士業にバラバラに依頼するのではなく、士業同士が連携している税理士事務所やグループ法人への依頼をおすすめします。
なお、税理士事務所の中には「0円設立」として、会社設立の手続き報酬を無料で対応しているところもあります。
ただし、これは設立後の税務顧問契約が前提となっているケースがほとんどのため、利用する際には顧問契約の内容や費用、最低継続期間などを必ず確認しましょう。
0円設立については、以下の記事で個別で詳しく解説しています。
行政書士の選び方のポイント
行政書士であれば誰に依頼しても同じ結果になるとは限りません。
特に許認可の申請は業種ごとに専門性が異なるため、自分の事業に合った行政書士を選ぶことが重要です。
ここでは、依頼先を選ぶ際にチェックしておきたい4つのポイントを紹介します。
- 自分が依頼する業務の経験があるか
- レスポンスが早いか・コミュニケーションがとりやすいか
- 司法書士や税理士などの他士業と連携しているか
- 料金形態が明確か
その1:自分が依頼する業務の経験があるか
行政書士が扱う許認可の種類は非常に幅広く、建設業許可に強い事務所もあれば、飲食業や運送業を専門にしている事務所もあります。
許認可ごとに必要な要件や書類、行政機関とのやり取りの進め方が異なるため、自分が取得したい許認可の実績がある行政書士を選ぶことが最も重要なポイントです。
確認方法としては、事務所のホームページで取扱業務や実績を確認するのが手軽です。
特定の許認可について詳しい解説記事を掲載していたり、申請件数の実績を公開していたりする事務所であれば、その分野の経験が豊富であると判断しやすいでしょう。
初回相談の際に「この許認可の申請はこれまで何回くらい対応していますか」と直接聞いてみるのも有効です。
その2:レスポンスが早いか・コミュニケーションがとりやすいか
会社設立の手続きは、許認可の申請も含めると複数のやり取りが並行して進むことになります。
書類の確認や追加資料の依頼など、行政書士との連絡が頻繁に発生するため、レスポンスの早さやコミュニケーションのとりやすさは実務上とても重要です。
初回の問い合わせに対する返信のスピードは、1つの判断材料になります。
メールや電話での問い合わせに対して翌営業日以内に返答があるかどうか、質問に対して的確で分かりやすい回答が返ってくるかどうかを見ておくとよいでしょう。
また、連絡手段の柔軟さも確認しておきたい点です。
メールだけでなく、チャットツールやオンライン面談に対応している事務所であれば、忙しい設立準備の時期でもスムーズにやり取りを進めやすくなります。
その3:司法書士や税理士などの他士業と連携しているか
これまで解説してきたとおり、会社設立を士業に依頼する際には、行政書士だけでなく司法書士(登記申請)や税理士(税務届出)への依頼も必要になります。
これらの士業と連携している行政書士を選ぶと、手続き全体の効率が大きく変わります。
士業間の連携がない場合、自分で司法書士や税理士を別途探し、それぞれに個別で依頼することになります。
各士業との窓口が増える分、スケジュールの調整や情報共有の手間がかかり、手続き全体が煩雑になりがちです。
一方、同じグループ法人に所属している、あるいは日常的に他士業と連携している行政書士であれば、必要な情報が士業間でスムーズに共有されるため、手続きの漏れや遅延が起きにくくなります。
依頼者としても窓口を一本化できるので、やり取りの負担が軽減されます。
その4:料金形態が明確か
行政書士の報酬には法律上の統一基準がなく、事務所ごとに自由に設定されています。
そのため、料金形態が明確かどうかは必ず確認しておきたいポイントです。
具体的には、ホームページや見積書で報酬額が明示されているか、どこまでの業務が含まれているかを確認しましょう。
「会社設立サポート一式◯万円」とだけ記載されている場合、許認可申請の報酬が含まれているのか、書類の修正対応は追加費用が発生するのかなど、あとから想定外の費用が出てくる可能性があるため注意してください。
「行政書士への報酬額の目安」を参考に、見積もりの段階で、業務の範囲と報酬の内訳を書面で提示してもらうことをおすすめします。
また、複数の事務所から見積もりを取って比較すれば、相場感をつかむこともできます。
ただし、単純に安いところを選ぶのではなく、業務の経験や対応の質も含めた総合的な判断が大切です。
この記事のまとめ:行政書士に会社設立を依頼するときは士業グループ法人も検討しよう
この記事では、会社設立における行政書士の役割や費用、選び方のポイントを解説してきました。
行政書士が会社設立で担うのは、主に許認可の申請に関わる書類作成と手続き代行です。
登記申請は司法書士、税務届出は税理士の業務であり、会社設立では複数の士業への依頼が必要になります。
行政書士への報酬は許認可の種類によって大きく異なり、比較的簡易な古物商許可や飲食店営業許可で数万円前後、建設業許可や宅建業免許などでは十数万円が相場となります
これに加えて会社設立の法定費用や司法書士・税理士への報酬もかかるため、全体の予算を把握したうえで計画を立てることが大切です。
複数の士業にバラバラに依頼すると、窓口が増え、スケジュール調整や情報共有の手間がかかります。
こうした負担を軽減する方法の1つが、行政書士・司法書士・税理士が同じグループに所属する士業グループ法人への相談です。
窓口を一本化できるため、手続き全体がスムーズに進みやすく、費用面でもパッケージ料金が設定されていることがあります。
会社設立は事業のスタートラインです。許認可の要否や費用の全体像を早い段階で整理し、自分の事業に合った専門家のサポートを受けて、スムーズな設立を目指しましょう。
ベンチャーサポート税理士法人では、会社設立・運営に関する無料相談を実施しています。
士業グループとして行政書士や司法書士、税理士、弁護士、社労士、土地家屋調査士などさまざまな士業が在籍し、互いに連携しているため、判断のずれや手続きの漏れがなく、経営者の方がご自身の事業に専念できる環境を実現します。
特に起業初期の不安定な時期において、法務、税務、許認可のすべてを横断的に相談できるパートナーを持つことは、不測の事態を回避し、最短ルートで事業を軌道に乗せるための大きなアドバンテージとなります。
初めて会社設立を行う方や、できるだけ早めにミスなく設立を行いたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。


















