最終更新日:2025/4/9
会社設立の手続きは行政書士に依頼できる?費用・メリットを解説

ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
近畿税理士会 北支部所属(登録番号:121535)
1977年生まれ、奈良県奈良市出身。
起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネルを運営。
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YouTube:会社設立サポートチャンネル【税理士 森健太郎】
書籍:プロが教える! 失敗しない起業・会社設立のすべて (COSMIC MOOK) ムック
この記事でわかること
- 行政書士にはどのような業務ができるのか
- 会社の設立を行政書士に依頼するメリットとデメリット
- 会社設立を行政書士に依頼する際の費用
行政書士という資格や職業は知っていても、実際に仕事を依頼したことがある人は、あまり多くないかもしれません。
今回は、行政書士はどのような業務を行っているのかについて、解説していきます。
また、会社の設立を行政書士に依頼した場合のメリット・デメリットや、依頼する際の費用もご紹介します。
目次
行政書士ができる業務
行政書士という人がいることは知っていても、何をしているのかわからないという方は多いでしょう。
ここでは、行政書士とはどのような人で、具体的にはどのような業務を行うことができるのか解説します。
行政書士とは
行政書士とは、官公署に提出する書類(許認可申請の書類など)を作成する専門家です。
その業務範囲は行政書士法という法律で定められており、行政書類の作成・提出の代理や、書類作成に関する相談業務を行うことができます。
法律に関する専門家には、他に司法書士や税理士、社会保険労務士などがいますが、会社設立の上では行政書士にしか代行できない業務も存在します。
行政書士の独占業務
行政書士法では、他の有資格者にはできない行政書士の独占業務が定められています。
具体的には、以下のものが挙げられます。
- 官公署に提出する書類の作成・代理
官公署とは、国や地方公共団体を指します。
許認可を得るために官公署へ書類を提出する業務の代行は、行政書士のみが行えます。 - 権利義務に関する書類の作成・代理
権利の発生や存続・変更・消滅の効果を生じさせる意思表示のため、必要な書類を作成することがあります。
具体的には、遺産や相続、クーリングオフなどの手続きのための書類の作成を行うことができます。 - 事実証明に関する書類の作成・代理(ただし、他の法律で制限されているものを除く)
事実証明に関する書類とは、社会生活に関わる交渉を有する事項を証明する文書のことです。
具体的には、実地調査に基づく各種図面(現地測量図など)や議事録、会計帳簿などがあります。
独占業務以外の業務
行政書士は、独占業務以外にも様々な業務を行うことができます。
法律や暮らしに関する内容としては、遺言書の作成や遺産の調査、契約書の作成、自動車の登録申請、帰化申請などがあります。
また、ビジネスに関する内容としては、外国人の雇用や会社の設立などがありますが、これらに関する書類の作成や相談も行政書士に対応してもらえます。
ただし、他の専門家の独占業務となっているものは行えないので、注意が必要です。
会社設立の手続きを行政書士に依頼するメリット・デメリット
前述したように、行政書士は会社の設立に関する業務を行うこともできます。
行政書士に依頼することには、どのようなメリットとデメリットがあるのか確認していきます。
行政書士に依頼するメリット
会社設立の手続きを行政書士に依頼した際の大きなメリットは、許認可が必要な会社の設立がスムーズになる点です。
会社の設立の際に必要な許認可の申請を依頼できるので、会社の設立後、間を置かずに事業を開始できます。
許認可が必要になる業種には、以下のようなものがあります。
- 建設業
- 不動産業
- 運送業
- 倉庫業
- 飲食業
- 薬局
- 産業廃棄物処理業
- 酒屋
- 警備業
- 介護サービス業
- 古物商
- 美容業
この他にも許認可の必要な業種はあるので、会社を設立する際には、自身が行おうとしている事業の目的が許認可が必要なものかどうかを確認しておきましょう。
なお、許認可の取得は、行政書士に依頼せずに自身で行うこともできます。
しかし、多くの書類が必要になるなど決して簡単なものではないので、会社の設立と同時に行うのは大きな負担になるでしょう。
また、行政書士は助成金や補助金の申請に詳しい人が多いという特徴があります。
会社を設立したタイミングでは、多くの助成金や補助金を受給できる可能性があります。
この時、利用できる助成金や補助金がないかを行政書士に相談し、その申請を依頼することもできます。
行政書士に依頼するデメリット
行政書士に会社設立を依頼しても、必ずしも多くの業務をしてもらえるわけではありません。
会社設立に関する書類の作成を依頼することはできますが、それ以外の業務は他の専門家に依頼したほうがメリットが大きい場合もあります。
たとえば会社の設立を司法書士に依頼した場合、定款の作成だけでなく、法務局での登記手続きも依頼できるので、会社設立の手間を大きく省くことができます。
また、税理士に依頼した場合は、定款の作成や登記手続きなどを代行してもらうことはできません。
しかし、会社の税金に関するアドバイスを受けたり、税務署への法人設立届や設立後の会計業務支援を行ってくれるなど、実務上で大きなメリットがあります。
行政書士に依頼しても、許認可や助成金などの申請以外に大きなメリットはないため、設立しようとしている会社の業種や形態によっては、他の士業に任せたほうがいい場合もあります。
士業はそれぞれ得意とする分野が違いますので、税理士や司法書士などが複数在籍するグループ法人に会社設立を依頼するのもおすすめです。
会社設立の手続きを行政書士に依頼するときの費用
会社設立の手続きを行政書士に依頼した場合、どれくらいの費用がかかるのでしょうか。
行政書士に会社の設立を依頼した場合、行政書士報酬は5万円程度になるものと想定されます。
行政書士によって報酬金額には違いがあるので、あらかじめ見積もりを出してもらうといいでしょう。
なお、会社設立には行政書士への報酬以外に、法律で定められた費用がかかります。
たとえば、株式会社を設立した場合の法定費用は、以下のとおりです。
- 定款認証手数料 1万5,000~5万円
- 定款印紙代 4万円
- 定款謄本代 2,000円程度
- 登録免許税 資本金の額×0.7%(最低15万円)
これらを合計すると、約24万円の費用がかかることとなります。
一方、合同会社を設立した場合の法定費用は以下のとおりです。
- 定款印紙代 4万円
- 定款謄本代 2,000円程度
- 登録免許税 資本金の額×0.7%(最低6万円)
このうち定款印紙代は、電子定款を作成した場合は不要になります。
合同会社は定款の認証が不要であること、そして登録免許税の最低額が低いことから、株式会社より安く設立することができます。
特に株式会社にする必要がないのであれば、合同会社で設立するのがおすすめです。
行政書士に会社設立を依頼するなら、士業グループ法人なども検討しよう
会社の設立に必要不可欠な登記申請は、司法書士の独占業務となっているので、そちらに依頼する人が多数派です。
しかし、行政書士にも会社設立に必要な定款などの書類作成を依頼することができ、特に許認可が必要な業種で事業を起こす場合は、許認可の申請を依頼できるのは行政書士だけです。
会社で許認可の申請を行う必要がある場合は、会社の設立と並行して進めてもらうことができます。
一方で、会社に不可欠な税務に関しては、税理士が専門としています。
会社設立にはさまざまな手続きが必要で、行政書士ひとりだけではカバーしきれない部分もありますので、司法書士や税理士との連携が強い士業グループ法人への依頼も検討してください。
ベンチャーサポート税理士法人では、会社設立に関する無料相談を実施しています。税理士だけでなく行政書士や司法書士、社労士も在籍しているためワンストップで相談が可能です。レスポンスの速さにも定評があるため、初めての方もお気軽にご相談ください。