最終更新日:2024/3/18
会社設立時に必要な払込証明書の作り方と注意点について
この記事でわかること
- 会社設立時に必要な払込証明書の役割
- 会社設立時に必要な払込証明書の作り方
- 払込証明書を作成するときの注意点がわかる
会社設立時には、法務局での法人登記手続きが必要です。
法人登記手続きでは、資本金の払い込みを証明する「払込証明書」をはじめ、多くの書類の提出が必要です。法人登記が完了するまで、法人名義の銀行口座を開設できないため、払込証明書は早めに用意しておくことが重要です。
本記事では、払込証明書の作成方法と注意点について具体的に解説します。
会社設立の準備をしている方は、ぜひご参考にしてください。
目次
会社設立時に必要な払込証明書とは
資本金の払い込みを証明する書類「払込証明書」は、法人登記時に必要な重要書類の一つです。
会社設立では、定款に定めた金額を発起人(出資者)名義の銀行口座に振り込みます。法務局には、法人の資本金を振り込んだことを証明する必要があります。
資本金の払い込みの証明は、口座残高ではなく振り込みによる証明(払込証明書)が求められます。
ここでは、払込証明書の具体的な作成方法について詳しく説明します。
会社設立時に必要な払込証明書の作り方
払込証明書は5つのステップで作成します。法人登記手続きに必要で、登記が完了しなければ法人口座も開設できないため、紛失しないように注意しましょう。
- 発起人(出資者)の銀行口座を準備する
- 資本金の振り込み(払い込み)
- 通帳をコピーする(または明細のプリント)
- 通帳がないタイプの口座(インターネットバンキング)の場合
- 払込証明書の作成
発起人(出資者)の銀行口座を準備する
払込証明書を作成するためには、まず発起人(出資者)の銀行口座を準備します。日頃から使用している銀行口座でも問題はなく、口座種別は普通預金口座である必要があります。発起人(出資者)が複数人いる場合は、代表者(発起人総代)の銀行口座を使用します。
資本金の振り込み(払い込み)
発起人(出資者)の銀行口座が準備できたら、振り込みによって資本金を入金します。振り込みで入金する理由は、振込人(払込人)の氏名が印字されるためです。
発起人(出資者)が1人の場合は預け入れでも問題ありませんが、発起人(出資者)が複数人いる場合は、各自が代表者の口座に振り込みます。
通帳をコピーする(または明細のプリント)
資本金を発起人(出資者)の銀行口座に振り込んだ後、通帳の表紙、見開きで支店名等が記載された1ページ目、資本金の振り込みが確認できるページをコピーします。1日あたりや1回あたりの振込限度額がある場合、、複数回に分けて振り込むことも可能です。
通帳がないタイプの口座(インターネットバンキング)の場合
ネット銀行など、通帳レス口座やインターネットバンキングを使用する場合、以下の情報を含むページを印刷して法務局に提出する必要があります。
- ・銀行名
- ・支店名または支店番号
- ・口座番号
- ・口座名義人
- ・資本金の払い込みが確認できる入金欄(振込年月日および振込金額)
- ・「お預かり」「入金」「+」などの振り込みがされたことがわかる表示
複数ページにわたる場合、各ページに口座番号や氏名が表示され、各ページの繋がりが取れていることが必要です。
通帳の写しなどの入金または振込に関する部分に、マーカーや下線を付すなどして、払い込まれた年月日、金額が分かるようにします。
インターネットバンキングの取引状況を印刷する際は、PCまたはスマートフォンのいずれかに統一するようにしましょう。
払込証明書の作成
出典:法務局ホームページ
資本金の払込証明書には以下の内容を記載します。
- 表題(「証明書」と記載)
- 設立時発行株式数 ○○株(合同会社の場合は不要)
- 払込みを受けた金額 金○○円
- 日付
- 商号(会社名を記載)
- 設立時代表取締役 氏名
なお、口座名義人が発起人(出資者)ではない役員の場合には、委任状を添付する必要があります。
会社設立の払込証明書の日付は?
会社設立の払込証明書に記載する日付は資本金の払い込み日となりますが、資本金を複数回に分けて払い込んだ場合は、最終払い込み日を記入します。
払込証明書と通帳コピーを製本する
払込証明書と通帳コピーは、以下の順序で綴じます。インターネットバンキングの取引状況を印刷した場合も、同様の順序で綴じます。
- 払込証明書
- 通帳の表紙のコピー
- 通帳の1ページ目のコピー
- 振り込みが確認できるページのコピー
すべてをホッチキスで綴じ合わせた後、ページの境目に代表者印を押印してください。
法務局への払込証明書の提出準備は、これで完了です。
払込証明書を作成するときの注意点
払込証明書を作成では、以下に注意しましょう。
- 資本金の払い込み日に注意する
- 原則として発起人(出資者)の口座へ払い込む
- 募集設立の場合は払込金保管証明書が必要
資本金の払い込み日に注意する
原則として、資本金の払い込みは定款作成後に行います。ただし、定款作成前であっても資本金の払い込みの日付が、定款作成日または発起人全員の同意書の作成日以降であれば登記申請は受理されます。
原則として発起人(出資者)の口座へ払い込む
資本金の払い込みは、原則として発起人(出資者)の預金口座へ振り込みます。
ただし、会社設立時の代表取締役名義の口座でも可能です。発起人(出資者)でない設立時代表取締役名義の口座へ払い込む場合は、発起人(出資者)が設立時代表取締役に資本金の受領権限を委任する旨の委任状が必要となります。
株式会社における募集設立の場合は払込金保管証明書が必要
発起人(出資者)が会社設立時に発行する株式をすべて引き受けて設立する「発起設立」では、金融機関が発行する払込金保管証明書は不要です。
一方、発起人は会社設立時に発行する株式の一部を引き受け、残りの株式は株主を募集して設立する「募集設立」では、金融機関に払込金保管証明書を発行してもらい、登記申請の添付書類として提出する必要があります。
会社設立の手続きの流れを把握し、悩んだら専門家に相談しよう
会社設立では、会社概要の決定、定款や必要書類の作成、法人登記の申請などさまざまな手続きが必要です。
法人登記が完了し、登記簿謄本を取得できれば、法人口座の開設が可能となります。その他にも、会社の実印の作成や印鑑証明書の取得など、必要な手続きは多岐にわたるため、リストアップしておくとよいでしょう。
なお、法人口座の開設では、法人登記から登記簿謄本の発行までに約1~2週間、銀行の審査に約2~3週間かかるため、事業開始までに必要な日数を逆算して計画することが重要です。
ベンチャーサポート税理士法人では、会社設立の無料相談をお受けしています。無料相談には時間制限もありません。会社設立にあたってわからないことや悩みごとがありましたら、お気軽にご相談ください。