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最終更新日:2024/4/19

起業の相談はどこで誰にする?無料の相談窓口や頼るべき専門家も紹介

税理士 鳥川拓哉
この記事の執筆者 税理士 鳥川拓哉

ベンチャーサポート税理士法人 税理士。
大学を卒業後、他業種で働きながら税理士を志し科目を取得。
その後大手税理士法人を経験し、現在に至る。

PROFILE:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_writing/#p-tori

この記事でわかること

  • 起業相談ができる公的機関や地域の支援機関
  • 起業相談に対応してくれる専門家
  • 起業相談では相談先の選択が大切であること
  • 起業相談だけではなく、自身の事前準備も大切であること

これから起業したいと考えている人や起業したばかりの人は、今後の事業に関してさまざまな疑問や不安を抱えていることでしょう。

「法人がいいのか個人事業がいいのか」「資金調達はどうしたらいいのか」など、起業にまつわる悩みは数多く存在します。

また、これらの悩みに対する回答は個々の状況によって異なるため、ネットで検索してすぐに解決できるようなものでもありません。

創業や事業に関する不明点や疑問点は、起業相談で解決を図る必要があります。

とはいえ、そもそも起業相談は「どこで」「誰に」行えばよいのでしょうか。

この記事では、起業相談ができる相談先、頼るべき専門家について解説します。

起業相談ができる10の相談先

事業内容や資金計画など、起業にあたって考えるべきことは多くあります。

起業家のなかには、起業の準備段階で「事業に必要な専門知識やノウハウが足りなかった」「資金調達の見通しが立たなかった」と振り返る人も多いです。

参考:中小企業白書2023(中小企業庁)

起業には勢いも大切ですが、信頼できる相談先を見つけてアドバイスをもらうことができれば、知識や経験の不足を補うことができます。

ここでは、起業相談に対応している公的機関や地域の支援機関などを見ていきましょう。

無料で起業相談を実施している窓口もあるため、抱えている問題と相性がよさそうであればぜひ利用してみてください。

具体的には、以下の10の相談先があげられます。

  • 商工会・商工会議所
  • 中小企業基盤整備機構(中小機構)
  • よろず支援拠点
  • ワンストップ相談窓口Plus One
  • 市役所など各自治体の相談窓口
  • 日本政策金融公庫(日本公庫)
  • しんきん創業の扉
  • 税務署
  • 起業家支援に強い士業事務所
  • 実際に起業を経験した人

商工会・商工会議所

商工会・商工会議所は、地域経済の活性化や中小企業の支援を目的として活動する、会員制の非営利団体です。

とくに商工会議所では、地元企業を支援する活動の一環として「無料の起業相談」に対応していたり「創業・起業セミナー」を開催していたりします。

商工会議所の起業相談では、税理士や司法書士といった専門家に、会社設立の手続きや事業計画書の書き方、資金調達の方法などの相談が可能です。

また、商工会議所の創業・起業セミナーでは、起業に必要な知識や業界特有のノウハウを身につけることができます。

起業家との交流の機会もあるため、地域の起業家との人脈を広げたり、ビジネス上の活きた情報を集めたりすることもできるでしょう。

地元に特化した事業や地域の活性化を目指すビジネスで起業を考えている人は、ぜひ最寄りの商工会議所の窓口やWebサイトにあたってみてください。

参考:商工会議所の支援(日本商工会議所)

中小企業基盤整備機構(中小機構)

中小企業基盤整備機構(中小機構)は、経済産業省や中小企業庁、地域の支援機関などと連携しながら、中小企業の成長段階に合わせた幅広い支援を行う独立行政法人です。

中小機構の起業相談では、AIを活用した対話型自動応答サービスである起業相談チャットボット「起業ライダーマモル」が利用できます。24時間365日、LINEを使った気軽な起業相談が可能です。

また、中小機構では、起業を考えている人に向けたワークショップやイベントが開催されたり、ビジネスプランの作成などについて創業支援の専門家からアドバイスを受けたりすることもできます。

このほか、資金調達に向けたマッチング支援、SDGsやカーボンニュートラルに関する経営相談など、幅広い支援体制が整っているのも中小機構の特徴です。

「起業したいけど何から始めていいかわからない」という人は、まずは気軽に中小機構の起業相談チャットボットを利用してみるのもよいかもしれません。

参考:起業の相談をしたい|起業にお悩みの方へ(中小企業基盤整備機構)

よろず支援拠点

よろず支援拠点は、国が設置している無料の経営相談所です。

主に中小企業や小規模事業者を対象として、全国47都道府県にある支援拠点で経営相談を実施しています(創業に関する相談にも対応しています)。

よろず支援拠点は課題解決へ向けたワンストップでの支援を展開しており、さまざまな分野の専門家からアドバイスを受けることが可能です。

相談は予約制で、電話やメール、FAXなどが利用できます。

また、Webサイトでは、全国各地の支援事例が詳細に公開されています。起業相談と並行して事業のイメージを膨らませるのもよいでしょう。

参考:よろず支援拠点とは(よろず支援拠点)

ワンストップ相談窓口Plus One

ワンストップ相談窓口Plus Oneは、政府系16機関が創設したスタートアップ支援のプラットフォーム「Plus」の相談窓口です。

参加機関には、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)や独立行政法人 国際協力機構(JICA)、先述の中小企業基盤整備機構(中小機構)などがあります。

起業相談のほか、技術開発、知的財産の実用化といった相談にも対応しているのがワンストップ相談窓口Plus Oneの特徴です。

専門分野に特化した支援機関が連携しているため、「政府機関の支援策を活用したい」など、相談先の判断が難しい課題にも対応してもらえます。

ワンストップ相談窓口Plus Oneへの相談には、下記Webサイトからの申込みが必要です。それぞれの参加機関の支援内容も確認できます。

参考:Plus One(StarT!Ps from NEDO)

市役所など各自治体の相談窓口

起業相談や創業支援セミナーは、市役所や区役所など、自治体の窓口で提供されていることもあります。

たとえば東京都中央区では、創業支援事業として「出張経営相談(創業相談)」や「起業家塾」といったサービスが提供されています。

創業を予定している地域、あるいは居住している地域の役所で起業相談ができるのかは、一度リサーチしてみるとよいでしょう。

日本政策金融公庫(日本公庫)

日本政策金融公庫(日本公庫)は、国が100%出資している政府系金融機関です。

一般の金融機関が行う金融を補完する役割を担っており、民間で融資を受けにくい中小企業や小規模事業者に融資を行ったり、創業前支援として起業相談を行ったりしています。

起業相談では、電話相談または来店・オンライン相談が利用できます。

来店・オンライン相談の窓口は、東京、愛知、大阪の3カ所です。対面またはビデオ通話で、中小企業診断士などの専門の相談員が約1時間じっくり相談に応じてくれます(事前予約制)。

平日相談(9時〜17時)だけでなく、土曜相談(9時〜17時)や夜間相談(17時〜20時)に対応している窓口もあるため、忙しい人はぜひWebサイトを確認して利用してみてください。

参考:創業前支援(日本政策金融公庫)

このほか、融資制度や融資申込みの流れ、事業計画の立て方などの疑問に答える「創業サポートデスク」が全国152支店に設置されています。

Webで公開されている「創業の手引」も、起業前の準備や情報収集のために有効活用できます。気になる人はぜひチェックしてみましょう。

しんきん創業の扉

しんきん創業の扉は、信金中央金庫(信金中金)が提供している創業支援のプラットフォームです。

サイトを通じて信用金庫と創業希望者のマッチングを行っており、検索をかけると近くの信用金庫でどのような相談サービスが提供されているかがわかります。

無料個別相談や無料専門家相談会、創業セミナーなど、サービス内容は信用金庫によってさまざまです。実際に検索して、近くの信用金庫のサービスを調べてみるとよいでしょう。

参考:相談先を探す(しんきん創業の扉)

また、しんきん創業の扉は、サイトにアクセスした人を対象に「しんきんfabbit会」サービスという優待特典を提供しています。

このサービスに申し込むと、弁護士や会計士、税理士などに起業相談ができる士業無料相談窓口「サムライ相談会」をはじめ、個別相談会やセミナー、勉強会などに参加することが可能です。

信用金庫ごとの起業相談とあわせて、ぜひ検討してみてください。

税務署

起業や開業を行うと、「法人設立届出書」や「青色申告の承認申請書」、「給与支払事務所等の開設届出書」など、さまざまな書類を税務署に提出しなければなりません。

これらの届出や税金に関する相談は、納税地を管轄する税務署で対応しています。起業・開業時の手続きや税金のしくみ、確定申告の方法などについては税務署に相談するとよいです。

注意点として、税務署によって日時や相談時間に制限があったり、事前の予約が必要だったりします。また、確定申告の時期には税務署の窓口が混雑するため、対応が限られる可能性もあります。

税務署で起業相談を行う際には、事前にWebサイトをチェックしつつ、繁忙期を避けるのが賢明です。

なお、所得税や法人税などの国税に関する相談は、国税庁のチャットボットや国税局の電話相談センターでも対応しています。

参考:国税に関するご相談について(国税庁)

起業家支援に強い士業事務所

公的な機関や窓口のほか、税理士事務所や行政書士事務所などの士業事務所で起業相談をする方法もあります。

会社設立後の顧問契約を前提として、会社設立時の相談を無料で実施している士業事務所も少なくありません。

また、当サイトを運営しているベンチャーサポート税理士法人のように、税理士や司法書士、行政書士などの多様な専門家がワンストップで対応しているところもあります。

起業の相談先だけでなく、起業後の実務をサポートしてくれる長期的なパートナーを探している場合には、起業家支援に強い士業事務所に相談するのも有効です。

実際に起業を経験した人

実際に起業を経験した人に相談すれば、実感をともなったリアルな情報を仕入れることができます。

あらかじめ成功体験や失敗体験なども聞いておくと、今後の起業の手続きがスムーズになったり将来のビジョンが明確になったりするでしょう。

メンターのような存在が1人でもいれば、弱音を吐けない正念場を迎えても精神的に楽になります。

一般に、起業家に直接相談するには、それなりの人脈が必要です。ただ、商工会議所や各自治体など、これまで紹介した相談先には起業家との交流会を開催しているところもあります。

実際に起業を経験した人の生の声を聞きたいなら、各種相談先のWebサイトをこまめにチェックしておくとよいです。

起業相談に対応してくれる専門家

ここまで、起業相談を「どこで」すればいいのかをメインに解説してきました。

ここからは、起業相談を「誰に」すればいいのかという観点で、代表的な専門家について解説します。

ここでの専門家は、弁護士、税理士、司法書士、行政書士、社会保険労務士といった士業に従事する人のことです。

専門家に起業相談をする場合、相談内容に合った専門家を選ぶことが大切になります。それぞれの士業で、専門分野や得意分野が異なるためです。

専門家ごとの得意分野を簡単にまとめると、次のようになります。

  • 弁護士:法律全般
  • 税理士:税務、会計
  • 司法書士:定款の作成・認証、登記申請
  • 行政書士:定款の作成・認証、許認可申請
  • 社会保険労務士(社労士):雇用、労働、社会保険

以下では、起業相談の内容に応じてどの専門家を選択すればいいのか、具体的に見ていきます。

起業時やその後の法律全般の相談は弁護士

一般に、起業予定の人が弁護士と関わるのは、コンプライアンス違反などの法律トラブルや労使間のトラブルが起業後に発生したときです。

ただ、起業をはじめる段階でも、ビジネスパートナーと株主間契約を締結する場合や、ビジネスプランの適法性を確認したい場合など、法律の知識が必要になるケースがあります。

起業を考えるうえで法律関係の疑問が生じたときには、弁護士に相談しましょう。

もちろん弁護士によっても得意分野は異なるため、自身の相談内容とその弁護士の専門領域が合致しているかは、あらかじめ確認しておく必要があります。

税務や会計の相談は税理士

税理士は、税務や会計などを専門領域とするお金のエキスパートです。

確定申告や節税対策、資金繰りなど、税理士というと起業後の税務で活躍するイメージが強いかもしれません。

しかし、税理士事務所のなかには会社設立時の書類作成や資金調達のサポートに対応しているところもあります。

起業後の顧問契約を前提として無料で起業相談を行っていたり、後述の司法書士・行政書士を紹介してくれたりするケースもあります。

起業に必要な手続きやお金についての疑問があれば、税理士に相談するのも有効です。

会社設立の相談は司法書士・行政書士

司法書士・行政書士は、定款(会社の基本ルール)の作成・認証など、会社設立の手続きに精通しています。

司法書士は、会社法や商業登記法などの法律知識を持ち、会社の情報を法務局に登録する「登記申請」の専門家です。

一方、行政書士は、特定の事業を行うことを国や自治体に認めてもらう「許認可申請」に精通しています。

同じ起業相談でも、登記についての相談なら司法書士に、許認可についての相談なら行政書士に対応してもらうのがよいでしょう。

会社設立に関する相談をまとめて行いたい場合には、司法書士と行政書士の両方の資格を持った専門家を探すのも1つの手です。

雇用・労働・社会保険の相談は社会保険労務士(社労士)

社会保険労務士(社労士)は、雇用、労働、社会保険などを専門とする、会社における「人」のエキスパートです。

事業によっては、起業当初から従業員を雇用するケースもあります。従業員の雇用についての相談は、社労士に対応してもらうとよいです。

また、社労士の仕事には、厚生労働省からの助成金を代理申請するという業務もあります。

この助成金には、「トライアル雇用助成金」や「キャリアアップ助成金」など、一定条件下での雇用や労働条件の変更などによって支給されるものがあります。

雇用にあたって助成金を受けたい場合にも、社労士に相談して対応してもらうことが可能です。

起業相談前の準備についてのアドバイス

起業の相談は、適切な場所で適切な専門家に対応してもらうことが大切です。

ここまでは起業相談ができる支援機関や専門家について解説してきましたが、ぼんやりした考えのまま起業相談に行っても時間を無駄にしてしまう可能性があります。

相談する側があらかじめ準備していなければ、問題解決につながる起業相談は難しいでしょう。

ここでは、起業相談に行く前にやっておくとよい事前準備についてまとめます。

具体的には、以下の3点です。

  • 起業目的や事業計画(ビジネスプラン)を明確にする
  • 事業資金の金額や調達方法を考える
  • 起業に必要な手続きの流れを把握する

起業目的や事業計画(ビジネスプラン)を明確にする

起業の目的や事業計画(ビジネスプラン)がぼんやりしていたら、せっかく起業相談をしても適切なアドバイスを受けられないかもしれません。

「職務経験や知識を活かして社会貢献したい」や「自分の技術やアイデアを事業化したい」など、人によって起業する目的はさまざまです。

起業の目的をはっきりさせておけば、相談される側もこちらのニーズをくみ取りやすくなります。

また、できるだけ具体的に事業計画を練っておくことも重要です。

事業内容や戦略、収益の見込みなど、やりたい事業に対するビジョンを明確にしておけば、専門家からのアドバイスも具体性を帯びてきます。

起業目的や事業計画の明確化は、実のある起業相談の第一歩です。

事業資金の金額や調達方法を考える

起業にとって最も大事な要素の1つが「お金」です。

「必要な事業資金はいくらになるのか」「自己資金の割合はどれくらいか」「いつまでにどのような方法で資金調達をするのか」など、具体的な資金計画を立てておくと起業相談はスムーズになります。

一般に、起業するときには開業資金、起業したあとには事業の運転資金が必要です。

また、創業直後は売上が安定しないことも多いため、起業する段階で6カ月分程度の運転資金を準備するのが望ましいともいわれています。

先を見据えた具体的な資金計画を持って起業相談に向かえば、専門家に事業の規模がよく伝わり、的確なアドバイスがもらえるようになるでしょう。

起業に必要な手続きの流れを把握する

同じ「起業」でも、たとえば株式会社の設立と合同会社の設立とでは、必要な手続きや設立費用に大きな違いがあります。

自分がやりたい事業に合った会社形態をリサーチし、その設立手続きの流れを押さえておくことも、起業相談を充実させるためには有効です。

せっかく時間をかけて専門家や支援機関に相談するのなら、すぐに調べてわかるような情報は事前に把握しておくとよいでしょう。

なお、株式会社や合同会社の設立手続きについては、以下の記事で詳しく解説しています。会社設立の全体像を知りたい人は、ぜひご参照ください。

起業の相談は各種支援機関や専門家へ

公的機関のなかには起業相談に対応しているところが複数あり、起業家にとっては心強い存在です。

創業セミナーや起業家同士の交流会を開催している窓口もあるため、起業を考えている人はぜひ積極的に参加してみましょう。

注意点として、起業支援の専門家はそれぞれ得意分野が異なります。質問内容にマッチした適切な相談先を選択しなければなりません。

また、起業相談は、自身で入念な事前準備を行っておくと有意義な時間にすることができます。

勢いで動くことも大切ですが、事業計画や資金計画、起業の全体像などをはっきりさせたうえで相談を行えば、より具体的なアドバイスをもらえるでしょう。

ベンチャーサポート税理士法人では、親身でわかりやすい説明を心がけ、会社設立に関する無料相談を実施しています。税理士だけでなく司法書士や行政書士も在籍しているため、ワンストップで相談することが可能で
す。

初めて相談する方も、お気軽にご活用ください。

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