最終更新日:2022/6/7
主婦でも稼げる起業のポイント!支援制度と起業方法を解説
ベンチャーサポート税理士法人 税理士。
大学を卒業後、他業種で働きながら税理士を志し科目を取得。
その後大手税理士法人を経験し、現在に至る。
PROFILE:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_writing/#p-tori
この記事でわかること
- 主婦が起業するために必要なことがわかる
- 主婦が起業するメリット・デメリットがわかる
- 主婦の起業で失敗しないための課題や低リスクが大事であることが理解できる
- 主婦が成功した例や低リスクでできるおすすめのビジネスがわかる
- 起業する主婦を応援する支援制度がわかる
主婦も起業する方が増え、ビジネスとして成功できることが証明されています。
軌道に乗れば夫の収入に対する不安も消え、時間を有効に使っている満足感とともに、生きがいを感じることもできるでしょう。
就職のような不自由さもなく、主婦が家事や育児をしながら活躍することは、もはや夢物語ではありません。
ただし、主婦の起業には、クリアしなければならない条件や、事前に必要なことがあることも認識して取り掛かることが大切です。
ビジネスの選択には、主婦が起業するメリットやデメリットを念頭に置きながら、成功した例や失敗しないための課題を知って、自分に置き換えて考えてみると良いでしょう。
一般的に言って、主婦が起業するには低リスクが大事です。
低リスクでできるおすすめの10種類のビジネスや、起業する主婦を応援する支援制度について、紹介します。
また、起業すれば確定申告をしなければなりませんが、節税に有利な青色申告がおすすめです。
主婦も起業できる
夫の給料について、生活や将来への不安を持つ主婦は少なくありません。
そのような方々の中でも、自分で立ち上げたビジネスで成功を収める主婦の方が増えています。
諦めていた方や、起業自体を考えたことのない方、また、方法がわからない方なども、積極的に検討するチャンスと言えます。
専業主婦の方も
現実を広く見渡せば、働き方やビジネスの内容も分散化や多様化が進み、自宅に居ながら空き時間を利用してビジネスができるなど、主婦も起業できる環境が広がっています。
家事や育児は、やり始めればキリがない仕事です。
ビジネスに乗り出していくことに戸惑いを覚えるのも、うなずけます。
しかしながら、家事や育児に追われながら日々を暮らしている中で、ふと自分の生きがいや人生の意味などを思い浮かべた時に、物足りなさを感じる方も多いのではないでしょうか。
やりたいことを形にしたり、時間を有効に使ったりしたいと思うのであれば、起業は有効な選択肢となります。
兼業主婦の方も
家事や育児の合間に、少しでも家計の足しにとパートやアルバイトなどに出かけ、ハードな生活を送る方も少なくはありません。
雇われて働くとなれば、ある程度の収入が見込める反面、通勤や勤務時間に拘束されることや、やりがいを感じないまま重い責任を負わされるといった負担もあります。
自分に適したビジネスで起業するなら、時間を自分の裁量で調整することや、自分のやりたいことで責任を持って稼ぐ働き方を実現することが可能です。
主婦の起業に必要なこと
起業してビジネスを始める場合は、個人事業主あるいは会社を設立して法人化します。
どちらも開業手続きが必要です。
個人事業主
個人事業主として起業する場合は、開業手続きがとても簡単です。
税務署に「開業届」を提出するだけで、誰でも個人事業主になれます。
赤字なら、税金をとられる心配もありません。
一方、デメリットもあります。
起業の準備や営業、会計処理など、ビジネスの全てを自分で行う必要があります。
また、法人に比べて税率が高く設定されているため、ある程度の売上や収入が生じるようになると、高い税金がかかります。
法人
法人として起業する場合は、会社設立のために登記手続きが必要です。
法人としては、株式会社か合同会社が選ばれることが一般的です。
費用と手間はかかりますが、必要書類を用意して登記手続きを行えば、誰でも会社を設立することができます。
法人なら、代表取締役社長などの肩書を名乗ることもできます。
また、取引先や顧客からの信用を得やすいことや、個人事業主より税率が低いこと、節税策が多いこともメリットです。
一方、会社を設立するには、手続きに手間暇がかかり、司法書士など専門家に依頼すれば費用がかさみます。
また、自分で手続きを行う場合でも、合同会社で最低6万円、株式会社では最低21万円の費用がかかります。
また、赤字でも、最低7万円の法人住民税を支払わなくてはならないなどのデメリットもあります。
個人事業主が手軽
個人事業主であれば手軽に始めることができるため、主婦の起業には向いていると言えます。
イニシャルコストや手続き負担が少なくて済むことが、大きな理由です。
起業したばかりの時期は、売上が安定するとは限らず、会社を設立しても税金面でのメリットが生かされません。
スタートは個人事業主でも、売上が増えてきた段階で会社に切り替えることもできます。
主婦だから、経験がないからと戸惑っているばかりでは、人生を切り開くことはできません。
興味があるなら、まずは検討してみることが大切です。
主婦が起業するメリット・デメリット
新しくビジネスを始めるからには、必ずメリットやデメリットがあります。
主婦の起業という観点から、整理してみましょう。
主婦が起業するメリット
働き方の自由度の高さや、やりがい、気持ちにゆとりが生まれることなどを、主なメリットとして挙げることができます。
働き方の自由度が高く、やりがいを感じられる
雇用されるときのような拘束を受けないで済むことに、大きなメリットがあります。
通勤や勤務時間、また、職場の人間関係においても自由度が高く、仕事に縛られる感覚を受けないで済みます。
時間を自分で調整できるビジネスを選べば、家事や育児などの合間を縫って、空き時間を有効に使うことができます。
自分の好きな仕事ができ、思った以上の収入が得られるようになれば、仕事のやりがいや生きがいを感じることにもつながります。
メリハリのある生活で気持ちのゆとり
フルタイムやアルバイト、パートに比べれば、束縛や制約が少ない働き方を選ぶことができます。
また、ビジネスを始めれば、家庭とは切り離した新鮮な時間を過ごすことができるなど、メリハリのある生活で視野も広がり、気持ちにゆとりを感じることもできることでしょう。
自分輝き
自分の持っているアイデアや個性を生かすことができるビジネスを選べば、仕事を通じて、さらに自分の個性や感性に磨きをかけることができます。
また、ビジネスの代表者としての自覚は、対外的にも自分磨きのチャンスになります。
主婦が起業するデメリット
家事と仕事を両立させようと考えるときに、自分自身や家族が描く家庭の理想とのギャップが、主婦の起業でのデメリットと言えます。
家事への影響
主婦が起業するには、家庭の理解と協力が大切です。
多かれ少なかれ、家事への影響があることは否めません。
ビジネスですから、仕事時間の調整をするといっても限界もあります。
開示への影響を夫や家族が理解してくれることが、主婦の起業には大きなカギになります。
育児や家族のケアへの影響
幼い子どもや高齢の親、介護が必要な方などがいる場合は、ケアの時間に都合をつけてもらうことができません。
保育施設や面倒を見てくれる親などの存在、シッターや介護施設の利用、ヘルパーの利用なども考えられますが、必要な時にいつでも誰かに依頼できるわけではありません。
公立の保育園のように待機児童の数が多い場合など、自分の都合で子を預けることができない現実もあります。
デメリットを感じさせないような、自分に適したビジネスを選ぶことが、起業する際にはとても重要な要素です。
主婦が起業するには低リスクが大事
これまでの失敗例から、主婦が起業する際の課題が見えてきます。
お金や時間の使い方がその代表ですが、できるだけリスクの低いビジネスを選ぶことが大切です。
資金
起業にかけた資金を回収しなければならないと考えると、奮起できる方もいる一方で、精神的な負担となってビジネスに影響することも考えられます。
会社を設立するとなれば、登記費用や設立準備の資金も必要になります。
会計処理も複雑なため、心得がない方は専門家に依頼する必要も生じます。
自己資金として夫の収入を充てる場合は、気が引ける方も多いことでしょう。
主婦の起業では、最初は少ない資金でスタートさせ、ビジネスの成長度合いに応じて費用を増やしていくやり方が無難と言えます。
一方、起業するためには、会社設立や設備投資など、かなりの資金が必要なこともあります。
ビッグチャンスを掴もうと思えば、それなりの投資が必要になります。
資金の調達を、一般の金融機関などからの借り入れで補う場合は、返済リスクが伴います。
そんな場合は、起業する方向けの公的な融資制度などの利用も検討してみると良いでしょう。
低金利で長期間借りることができるなどの優遇措置があり、特に女性向けの制度もかなり充実しています。
時間
家事や育児、家族の世話などと両立させるために、時間の使い方が大きな課題になることは否めない事実です。
日頃の生活で余裕のある時間を、起業に充てたいと思って始める場合でも、経営が安定するまではリスクが伴います。
一日、一週間のうちどの程度の時間をビジネスに振り向けることができるか、家族の理解が得られるか、体調不良時など不測の時に対応できるかなど、あらかじめ夫や家族と相談しておくことが重要です。
夫や家族の協力が得られにくいのなら、家事の代行や、保育施設などを検討する方法もあります。
主婦の起業で成功した例
探してみると山ほどある成功例ですが、設立した会社や立ち上げた事業を成功に導くためには、いくつかのキーワードがあります。
計画性やアイデア、資格、経験、積極性、強い意志などが挙げられます。
なかでも、家事や子育てを経験した主婦だからこその強みとなる、継続する力を発揮する場合に、主婦の起業が成功していると言えそうです。
しっかり計画して少ない資金でスタート
出産を機に主婦業に専念した方が、起業を目指して勉強し、周到な準備を行ったうえで起業した成功例です。
大手企業の営業職として活躍してきた方でしたが、幼稚園に通う子どもがいるため、フルタイムをあきらめパートタイムの仕事を探しました。
しかしながら、思うような仕事が見つからず、ふと目にした市主催の無料起業家講座に応募し、20回程度のコースで知識を蓄えました。
講座で得た知識などを元に、自分にできることや得意なことを整理し、事業計画を立て、経営戦略なども考えたうえで、事業を立ち上げています。
ビジネスの選択では、資金がかからない仕事に絞って検討し、資金面では、100万円を最大限の自己資金として投資されました。
その結果、現在では資本金1,000万円の実業家として活躍されています。
経験と実績を事業化して積極的な営業活動で成功
子育て中の主婦の方が、内職を通じて得た経験と実績をもとに内職の仲介業者として起業し、成功した例です。
家事と育児もしなければならず、時間の制約はありましたが、経営者であった父の背中を見て育ったため、起業の夢を持っていました。
塾経営をしながら子育てをしていましたが、塾のない午前を有効に使うために、内職を始めました。
内職の仕事は多く、仲間に仲介するようになります。
最終的に、内職を仲介する事業を立ち上げ、積極的な営業活動によって経営危機を乗り越えながら、現在では資本金3,000万円の会社に成長しています。
家事や育児との両立で、起業当初は辛い時期もありましたが、子どもの成長する姿を糧に努力を重ねました。
資格を取得して経験を積み起業
教師を辞め、夫が経営する工務店を手伝っているうちに資格を取ることを思い立ち、経験を積んで起業し、成功した例です。
男性の視点で造る家が、主婦には使いにくいことがきっかけで、自ら建築家になることを決意します。
家事や子育てもあったのですが、睡眠時間を削りながら専門学校に通い、資格を取得します。
建築家になるために必要な経験も積み、夫が経営する工務店とは別に会社を設立して成功します。
自分のアイデアを生かした家を建てるために、資格を取り、経験も積むという意志の強さが成功のカギとなっています。
低リスクでできるおすすめのビジネス10選
多額の資本が必要なく、時間的な制約も少ないなど、主婦の起業でリスクが少ないビジネスを紹介します。
ネットビジネス
インターネットの環境があれば、少ない資本で、家庭に居ながら手軽に始めることができます。
会社などに所属せず、組織や時間に縛られないビジネスです。
フリーランスのライター
ライターの仕事も様々です。
専門知識や文章作成能力に長けていない方でも、スタートできます。
商品のレビューやブログ記事の作成、リライト、記事の構成作りなど、熟練度に応じて収入アップも期待できます。
ライター業からスタートし、記事作成会社を起業する主婦の方もいます。
アフィリエイト
ブログやサイトを運営して、売りたい商品を紹介します。
ネット上で紹介した商品の売り上げに対し、紹介料としてお金を貰うことができるシステムです。
ショップ経営
手作りの商品や、自分のセンスを活かした雑貨などを、ネット上で販売するビジネスです。
店舗も必要なく、販売する商品や販売方法もアイデア次第で多種多様です。
安く仕入れたDVDや書籍などを出品して、高く販売する「せどり」という経営方法もあります。
ネットショップオーナー「ドロップシッピング」
ネットを利用して商品の広告と販売を行うビジネスです。
商品の発送や請求は、製造元や卸元の業者が購入者と直接取引を行います。
アフィリエイトと似ていますが、価格設定を自分でできる点が異なります。
美容系の資格で始めるビジネス
資格をもとに始めるビジネスは、士業など多くの種類があります。
そのなかでも、主婦向けのビジネスとして、女性が女性向けに行う美容系サロンタイプのビジネスを紹介します。
ネイリスト
技能検定などの資格があり、ある程度経験を積んだ方なら、自宅の一室や小さいスペースの賃貸で始めることができます。
技術系の資格を活かし、資本や時間も自分で調節可能な事業は、主婦向けと言えます。
エステティシャン・アロマセラピスト
エステティシャンの資格は、通学だけでなく、通信教育などでも技術を習得することができます。
また、アロマセラピストは、一定期間の通学が必要ですが、比較的取り組みやすいビジネス分野と言えます。
自宅の一室をサロンとして利用することで、家事や子育てがある主婦でも、両立しやすいと言えます。
趣味や才能、経験を活かすビジネス
多種多様な業種や業態が考えられますが、代表的なビジネスを紹介します。
自宅で料理やヨガ教室
自分の趣味や才能を活かす起業としては、様々なパターンが考えられます。
小物づくりや裁縫、料理、パン作りなど、普段は自分で意識をしないで当たり前に行っていることも、起業につながる可能性があります。
人気があり、比較的少ない資本や自宅で始めることができるビジネスとして、料理教室やヨガ教室などがあります。
コンサルタント
専門的な分野で経験を持っている場合は、コンサルティングなら、開業時のコストをほとんどかけずに始めることができます。
資格や免許も必要なく、困っている人に合わせて問題解決策を提案できれば、どんなクライアントでも獲得可能です。
ペットビジネス
ブリーダーが良く知られていますが、人気の犬や猫を繁殖させて販売するビジネスです。
また、販売だけでなく、レンタルペットも人気があります。
長期的に世話をすることができない動物好きな方や、老人ホームなどの施設へのレンタルです。
占い師
ネットや電話での占いも人気があり、開業するための施設や事務所も不要で、空いた時間があれば起業することができます。
基本的に資格は必要なく、豊富な人勢経験や実力次第でクライアントをつかむことができます。
起業する主婦を応援する支援制度
ビジネスを始めたり、軌道に乗せたりするためには、自分のアイデアや工夫で頑張る必要がありますが、資金面などで支援を受ける方法もあります。
起業する方向けの中でも、主婦や女性の方に対象を絞った公的な支援制度が提供されています。
女性、若者/シニア起業家支援資金
日本政策金融公庫が行う各種融資制度のうち、女性の起業家に融資するための支援です。
新たに事業を始めるためや、事業開始後に必要とする資金融資を受けることができます。
最大融資額は7,200万円で、そのうち運転資金として最大4,800万円まで融資を受けることができる制度です。
新創業融資制度(女性小口創業特例)
新規に起業される方や起業して間もない方を対象に、無担保・無保証人で融資を利用する事ができる制度で、日本政策金融公庫が実施しています。
新創業融資制度の貸付は3,000万円が限度額ですが、女性小口創業特例の場合は300万円の資金融資を受けることができます。
この特例では、融資の際に、雇用の創出や経済の活性化、起業での勤務経験などの要件を満たす必要がなく、主婦が借りやすいことが特徴です。
地方自治体の融資
東京都 女性・若者・シニア創業サポート
女性や若者、シニアで、都内で起業される方や起業後5年未満の方を対象に、低金利・無担保・無保証人など有利な条件で融資を受けることができる、東京都の支援制度です。
融資限度額1,500万円で、運転資金だけでも750万円を限度として融資を受けることができます。
また、事業計画や経営、決算書作成について、セミナーや個別相談でアドバイスを受けることもできます。
その他の公的な融資や支援制度
東京都以外の自治体でも、主婦や女性を対象とした公的融資や、起業を支援する制度が提供されています。
横浜市では女性向けの起業資金を融資する「女性おうえん資金」、福岡市では「スタートアップカフェ」が提供されています。
スタートアップカフェでは、事業計画や資金、起業家同士の交流、事務所探しなど、起業について無料で相談できます。
青色申告で確定申告を
雇われていれば年末調整があり、特別なことがなければ確定申告をする必要がありません。
しかしながら、個人事業主や会社は、自分で確定申告を行わなければなりません。
確定申告は、白色申告と青色申告の2種類あり、それぞれメリットやデメリットがあります。
白色申告は会計処理が単純なのに対し、青色申告は記帳が複雑で簿記の知識が必要です。
しかしながら、青色申告なら、最大65万円まで控除を受けることができるメリットや、家族への給与が必要経費と認められるなどのメリットがあります。
記帳は会計ソフトなどを利用することもできますから、メリットの大きい青色申告を選択することをおすすめします。
まとめ
収入を増やしたい、自分を生かせる充実した時間を持ちたい、やりがいや生きがいを感じたいけれど、どうしたらいいか戸惑っている。
そんな方は、まずは一歩踏み出す勇気を持つことが大切です。
主婦は家の中心ですから、夫や家族の理解や協力が必要です。
また、起業するとなれば、それなりの努力や覚悟も必要になります。
計画性を持って始めることが重要なのは、言うまでもありません。
成功例から見ても、アイデアや資格、経験などがあるのなら、あとは積極性と強い意志、継続する力を持てば、成功につながる大きな可能性を秘めています。