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最終更新日:2021/8/2

初心者でも簡単!伝わる「事業計画書」の書き方ポイント10

事業計画書とは、会社がどのように営業活動を行って利益を上げていくのか、そのためにはどの程度の資金が必要でどのように調達するのか、将来的にはどれぐらいの利益を上げられるのかといったことを、具体的に記載した書面です。

この事業計画書を作成するのには、2つの目的があります。

1つは、資金を調達するためです。

金融機関から融資を受けたり、投資家に投資してもらったりするには、会社がどのような事業を行っており、どれだけの利益を上げているのかをわかってもらう必要があります。

しかし開業前あるいは開業直後では、利益が上がるどころか、営業を行ったという実績すらありません。

そこで詳細な事業計画書を作成し、これから行おうとしている事業が将来有望であるということを、融資担当者などに理解してもらう必要があるのです。

もう1つの目的は、事業を始めようとしている本人が今後の事業活動を客観的に見つめ直し、冷静な分析と判断を行うためです。

事業計画書には、事業を行っていくうえで重要となる様々な要素を記載する必要があります。

それらを1つひとつ丁寧に確認していくことで、不足している部分や改善すべき点が見つかることでしょう。

事業計画書は法律上で作成を求められるものではありませんが、実際に事業を行ううえで作成は必須と言っても過言ではありません。

資金調達という面を重点的に、初心者の方にもわかりやすく事業計画書を作成する際のポイントをご説明します。

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事業計画書に必要に項目

「事業計画書といっても、なにを書けばいいのか分からない」という人もいるでしょう。

事業計画書とは、下記のような項目を記入した書類になります。

  • ・企業理念
  • ・企業の概要
  • ・自社事業の概要
  • ・自社事業のコンセプト
  • ・自社の強み・弱みについて
  • ・従業員の状況
  • ・競合や市場規模に関しての情報
  • ・具体的なサービス・商品の情報
  • ・販売戦略・ビジネスモデル
  • ・今後の人員体制
  • ・財務計画 など

もちろん計画書によって記載内容は異なりますが、基本は上記のようになります。

インターネットを見ればテンプレートがあるので、ぜひチェックしておきましょう。

また「確実に資金提供・融資をもらえるような計画書を作りたい」と思っているなら、専門家にアドバイスをもらうのが重要です。

事業計画書の書き方ポイント10

まず、融資や投資の場面における事業計画書の重要性を把握しておきましょう。

融資担当者や投資家は、実際に事業を行っている会社を相手にするのではなく、まだ何も成し遂げていない計画段階でお金を貸し、投資をします。

事業が上手くいくのかどうかを判断する唯一の資料が、事業計画書なのです。

もしあなたが融資担当者の立場であれば、少しでも不安な要素がある事業計画に対し、何百万円、何千万円というお金を貸すことはためらうでしょう。

だからこそ、事業計画書には不安要素を残さないよう、細部まで気を配って仕上げる必要があるのです。

なお、事業計画書には決まった書式はなく、インターネット上で何種類ものテンプレートが公開されており、ダウンロードして使用できます。

ここでは以下の「創業計画書」を取り上げ、各ポイントについて解説します。

参考:日本政策金融公庫「創業計画書

この「創業計画書」は、日本政策金融公庫で使用されている事業計画書のひとつで、これから創業する人を対象としたものです。

同公庫は新たに事業を始める人のための「新創業融資制度」を取り扱っており、事業実績がない場合の融資を考える際はに有力な候補となります。

創業する目的と理念を熱くかつ冷静に伝える

まず大事なのは、事業を起こす目的や理念を明確にしたうえで、どうしてもこの事業をやりたいということを融資担当者に理解してもらうことです。

その思いが伝わり担当者の共感を得てこそ、具体的な融資の検討を行ってもらえます。

かといって熱意だけを前面に出してしまっても、他のことが何も伝わりません。

担当者にわかりやすいよう、具体的な事業内容やターゲット層、将来的な展望なども交えて冷静に事業の特徴などを説明しましょう。

この点については、創業計画書の「1 創業の動機」に記載します。

「創業計画書」に限らず、「事業計画書」の多くのテンプレートは記載すべき内容に比べて記入欄が小さいので、必要に応じて別紙に記載するようにしましょう。

経験が事業に活かせることをアピールする

「創業計画書」の「2 経営者の略歴等」という部分には、創業者のこれまでの経歴や経験、実績を記載します。

これから起業をするわけですから、通常は事業に関して過去の実績などがありません。

それだけに、創業する人が過去にどのような経験をし、どんな実績を残してきたかという点は非常に重要です。

例えば北欧家具を販売する事業を始める場合、創業する人に会社経営の経験がなかったとしても、輸入家具を扱う商社でバイヤーとして長年の実績があり、北欧に工場がある家具メーカーとコネクションを持っているのならば、相当強力なアピールポイントになるでしょう。

直接的にその事業に携わった経験がなくても、やろうとしている事業と何らかのつながりがあったのならその点はきっちりとアピールすべきです。

さらに全く違う業種であっても、営業や経理、労務管理などはすべての仕事に共通するものです。

そういった経験があれば余すところなく記載しましょう。

過去の実績を誇らしげに記載するのは自慢しているようで気が引けるものですが、事業計画のプロフィールにおいて、控え目さや謙虚さは決して美徳にはなりません。

アピールできるところは思い切って書いてください。

他社より優れている点を強く主張する

これは非常に重要なところです。

競合他社と同じような製品を作り販売していたのでは、多少品質が優れていたとしても、知名度という点で不利であり、思うように利益を上げることは難しいでしょう。

そのように金融機関の担当者に判断されてしまっては、融資を受ける望みは絶たれてしまうかもしれません。

そこで、後発組である自社が、先発した競合他社よりも優れている点や、他社とは違う点をアピールすることが重要なのです。

「だからうちの製品が売れる」「うちの店にはこういう魅力があるため、お客さんが来てくれる」ということを、強く主張する必要があります。

新たに起業しようとする人は当然、勝算があるからこそリスクを背負って勝負に挑むのでしょう。

その勝算の根拠は何なのかというところが、他社に対して優位な部分であり、融資担当者に理解してもらいたい点だと言えます。

競合他社を分析したうえ、それと比較する形で優位性を記載できれば、自社の強みがより明確に伝わるでしょう。

提供予定の商品やサービスを文章で十分に表現できない場合は、資料として写真などを添付することも検討しましょう。

他社より優れている点や、次にご紹介する販売ターゲットなどについては、創業計画書の「3 取扱商品・サービス」に記載します。

この部分は提供する商品やサービスとともに、事業そのものの核となるところですので、詳細な説明が必要です。

創業計画書に設けられたスペースにはとても書ききれないと思いますので、別紙や資料などを準備しましょう。

「3 取扱商品・サービス」のうち「取扱商品・サービスの内容」には、開業後の売上のうち、上位3つを占めるだろうと予想される商品やサービスを記載します。

ターゲットを明確にする

事業計画を作るうえで、ターゲットを明確にすることは非常に重要です。

ターゲットがはっきりとわかれば、それに合わせて具体的にどのように販売するのかという戦略を立てることができますし、認知度を上げるための広告手段も考えることができます。

ターゲットに合わせた販売戦略

ターゲットが異なれば、有効な販売方法や宣伝方法、集客方法も変わってきます。

ネットショッピングが良いのか実店舗での販売が良いのか、ダイレクトメールとSNSではどちらの広告が効率的なのか、ショッピングモールでのイベントと公民館での講演ではどちらに人が集まるのかなど、ターゲットに合わせた最も合理的な手段を選ぶ必要があります。

ターゲットから競合相手を判断する

例えば、あなたがAという居酒屋を経営するとします。

しかし近くにXという居酒屋が存在していた場合、その地域においてAとXは居酒屋を訪れる客を奪い合う関係にあり、一見して競合相手のように思えます。

ところが、もし価格帯が違うとどうでしょう。

Aは料理もドリンクも全て280円均一というお手頃な価格の居酒屋。

一方Xは、高級海鮮と珍しい日本酒が売りの割烹居酒屋だとしたら、ターゲットは自ずと違ってくるのではないでしょうか。

ターゲットが異なれば、競合相手ではないと判断できます。

表面上は競合相手に見えても、調べてみると違うというのはよくあることです。

また、Aの近くに居酒屋ではなくYというラーメン屋があったとします。

業種が違うため競合相手ではないように思えますが、Yではラーメンを食べる客よりも、餃子やエビチリなどを肴にお酒を飲み、居酒屋感覚で利用する客の方が多いという場合、ターゲットがかぶることになります。

逆に、形式上は競合相手ではないように見えて、実は競合しているということも珍しくありません。

この場合AはYに対してどのようにして優位性を打ち出すのかを考えなければなりません。

そのためにYを分析する必要があるのです。

市場環境を予測する

創業計画書では、セールスポイントやターゲットと同じく市場環境についても「3 取扱商品・サービス」に記載します。

この部分は事業計画の中でもやや漠然としていて、比較的考え方が難しいところかもしれません。

始めようとしている事業に将来性があるかという点は、融資の審査では重要です。

確かに現在は収益が見込めるとしても、何年か先にどうなっているか不透明では、きっちりと返済してもらえるか不安でお金を貸そうという気にはならないでしょう。

そうならないためにも、時代背景や現在の状況を踏まえ、将来的にどのようになっていくのかを示す必要があります。

現在どの程度の市場規模があり、将来的にはそれがどう拡大するのかを十分な根拠とともに説明することができれば、融資担当者も安心できるはずです。

取引関係は早めに確認する

事業は通常、1人で行うことはできません。

販売先や仕入先、製造を請け負ってくれる工場など、協力してくれるところがあるからこそ成り立つものです。

融資担当者は、こういった点も厳しくチェックします。

事業内容が素晴らしいものであったとしても、仕入れや販売のルートなどがあやふやなままでは、スムーズに業務が行われるビジョンが浮かんでこないものです。

したがって、仕入先などの取引関係についてはできるだけ早く固めてしまった方が良いと言えます。

事業計画書に契約書や見積書を添付して提出することができれば、強力なアピールになるでしょう。

創業者だけではなく、他の会社とも連携を取っていると示すことで、事業に対する真剣さや計画の周到さがよく伝わり、好印象を与えることができます。

これらは創業計画書の「4 取引先・取引関係等」に記載します。

販売先が企業などではなく一般消費者の場合は「一般個人」としてください。

記載内容に説得力を持たせる

説得力があるかどうかということは、事業計画書全体を通じて非常に重要な点です。

融資を通してもらいたいという思いが強いと、売上予測を多めに記載したり、経費を少なく見積もったり、事業が軌道に乗る時期を早めたりと、事業計画を実際よりも良く見せようとしがちかもしれません。

しかし、こうした誇張は融資担当者には通用しません。

すぐに事実とは異なるということが明らかになる可能性があります。

それどころか、故意に虚偽の内容を記載したということで印象は悪くなり、融資の判断に悪影響を及ぼすことも考えられますので、絶対にやってはいけません。

必ず根拠を示す

事業計画の中には多くの数字が出てきます。

大事なのは、その数字にどれだけの根拠があるのかということです。

その根拠が強ければ強いほど、読んだ人に対する説得力が高まるわけです。

根拠は、誰もが納得するものでなければなりません。

それが事実であるとしても、そのことが伝わらなければ誰の共感も得られないでしょう。

根拠は主観的なものではなく、客観的な事実が必要です。

説得力を高める方法

事業計画書には、決まった資料を添付するよう求められることはほとんどありません。

しかし、一目見て「この売上予測は妥当だ」と納得させられるような資料があれば提出すべきです。

例えば取引先との契約書や見積書、また、似たような業務を行っている同業他社の計算書類や自ら調査したデータ、省庁が公表している公的な統計などは、説得力を高める資料になります。

今は手元になくても、事業計画の提出までに用意できるのであれば準備しておきましょう。

もちろん、全ての主張に客観的な資料をつけることができない場合もあります。

そのような場合は、自ら作成した資料でもかまいません。

他にも、マイナスの数字やウィークポイントなども全てさらけ出しましょう。

ネガティブな情報があってこそ、書面の信用力は高まります。

リスクと解決策を盛り込む

ここでのリスクとは、何らかのトラブルやアクシデントにより、事業計画書のとおりに事業が進まなくなるということです。

事業にはリスクがつきもの。

事業計画書にもリスクとその解決策についての記載が必要です。

もし事業計画書にリスクについての記載がないと、融資担当者から「事業を甘く見ている」「真剣さが足りない」「起業家として向いていない」、あるいは「何か隠そうとしている」といったように、否定的な評価を受けることにもなりかねません。

問題が起こって事業がうまくいかなくなるといったことがあっては返済に支障を来しますので、融資担当者はこの点に非常に注目します。

事業計画書のテンプレートにはリスクについての項目がありません。

そのためつい忘れがちな部分ですが、融資の可否を大きく左右するポイントだということをしっかりと認識してください。

リスクの種類

リスクの中には、自然災害や社会情勢の変化、法令改正、規制緩和、取引先の倒産など、自社ではどうすることもできないものがあります。

一方で、個人情報漏洩やコンプライアンス違反、設備投資の失敗、有能な人材の流出など、自社で対応が可能なものもあります。

前者のリスクについては、保険に加入するなどの消極的な対応以外は難しいところですが、後者については対策が可能です。

リスクが発生した場合に被害を最小限に抑えるにはどうすべきか、十分に検討しておく必要があります。

まず、具体的にどのようなリスクがあるのか想定するところから始めましょう。

販売不振もリスクのひとつ

上記で紹介したもの以外にも、労働災害やサイバー犯罪、ハラスメントの問題、売掛金の不良化など、事業にともなうリスクは枚挙にいとまがありません。

しかし、実は事業における最大のリスクは販売の不振なのです。

下の表をご覧ください。

倒産原因2012201320142015201620172018
放漫経営566508484376110422409
過少資本563526438397145390342
連鎖倒産712612555553125447374
既往のしわよせ13211372117411363841044967
信用性の低下48445449144356
販売不振8574746867085959186158135799
回 収 難
売 掛 金
48504054113127
売掛金回収難8678248
設備投資過大77717261174971
その他20719819921966162182
合 計121241085597318812273584058235

参照:中小企業庁:倒産の状況の統計表一覧「倒産の状況(令和元年10月分)(EXCEL形式:116KB)(令和元年11月19日)

これは、中小企業庁が発表した2012年から2018年までの「原因別倒産状況」から抜粋したものです。

倒産の原因としては販売不振が圧倒的に多く、どの年でも倒産件数の過半数を大きく超えていることがわかります。

つまり、販売不振こそが事業を立ち行かなくする最大のリスクと言うことができます。

販売不振に陥ったときにどのような解決策があるのか、事業計画書に盛り込まなければならないということです。

わかりやすい記述を心がける

最初にも述べたとおり、事業計画書は創業者や一緒に事業を行っていく人たちにとって必要なものであると同時に、資金調達のための重要書類でもあります。

専門的で高度な技術論が盛り込まれた事業計画書の上では、豊かな知識と専門性をアピールでき、作成者としては満足かもしれません。

しかし専門知識がない人が読んだ場合、詳細な内容まで読み取ることができない可能性があります。

融資担当者がどの程度その事業に精通しているかは不明ですので、できるだけ専門用語は使わず、一般の人が読んでも十分に理解できるような表現を心がけましょう。

必要に応じて表やグラフを利用する

事業計画書には相当の情報量を盛り込むことになりますが、記入部分には十分なスペースが確保されていないものがほとんどです。

さらにそこに表やグラフを書き込むことは難しいでしょう。

しかし、数字のデータは非常に重要な意味を持ちます。

文章で説明するより、表やグラフを使用すればより伝わりやすくなるのです。

特にグラフは数字を視覚化することができるため、読み手に対して大事な部分を直感的に訴えることができます。

数字と文章の羅列だけではなく、表やグラフを用いると、見やすくメリハリのある事業計画書になるでしょう。

また、融資の審査は事業計画書の提出で完了するわけではなく、実際に面談をして詳細を説明することになります。

その際にも表やグラフがあるとプレゼンしやすく、融資担当者の理解も深まるはずです。

事業計画書を作成するメリット

下記では事業計画書を作成するメリットを紹介します。

  • ・資金調達しやすくなる
  • ・融資審査に合格しやすくなる
  • ・事業を冷静に分析できる

資金調達しやすくなる

事業計画書を作成すれば、資金調達時に役立ちます。

なぜなら資金調達の際に口頭で説明するよりも、計画書と合わせて説明した方が相手に伝わるからです。

自分が資金を提供する側だったとして、口頭だけで事業について説明されるよりも、計画書と合わせて説明してもらった方が、理解しやすいですよね?

また事業計画書には、売上・利益・財務状況なども細かく記載するため、資金提供する側も判断しやすくなります。

融資審査に合格しやすくなる

金融機関から融資を受けるときにも、事業計画書があると合格確率が高くなります。

なぜなら事業計画書は自社の財務状況・今後の事業計画などを明確に記載しているため、金融機関が融資の判断をしやすくなるからです。

根拠を持った数字を記載していると、金融機関側も「この会社は財務管理がしっかりできる」と思ってくれるかもしれません。

また金融機関の担当者が融資したいと思って、上層部に相談したときに事業計画書があれば、決定権を持っている上層部を説得しやすくなります。

事業を冷静に分析できる

事業計画書を作成すると、自社事業を冷静に分析できます。

自分で会社を運営していると、思い入れができたり客観性を失ったりして、冷静な判断ができません。

しかし事業計画書は、個人的な思い入れなど記入せず、根拠のある数字を元に将来の計画を立てます。

客観的なデータを元に考えることで、見落としていたポイントに気づいて、未然にリスクを防げるかもしれません。

事業計画書を作成することで、事業を冷静に見返す機会になるでしょう。

まとめ

事業計画書がいかに大事な書面であるか、ご理解いただけたでしょうか。

事業計画書は、一朝一夕に書き上げられるものではありません。

事業の規模や内容によっては、3カ月程度かかることもあります。

確かに融資にはスピード感も重要です。

しかし融資が受けられる可能性を少しでも高めるため、しっかりとした事業計画書を作るようにしましょう。

「この事業内容であれば融資しても大丈夫」と、担当者に納得してもらえることを目指してください。

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