最終更新日:2022/9/1
一人親方フリーランスはどうなる?インボイス制度導入で売上1千万円以下でも課税へ。〜Q&A〜|インボイス制度マニュアルVOL6
ベンチャーサポート税理士法人 税理士。
大学を卒業後、他業種で働きながら税理士を志し科目を取得。
その後大手税理士法人を経験し、現在に至る。
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この記事でわかること
- インボイス制度による小規模事業者への影響を知ることができる
- 課税売上が少なくても消費税の納税義務者となる理由がわかる
- インボイス制度導入後の事業者としての対応策を知ることができる
インボイス制度が導入されると、これまで消費税を納税していなかった事業者にはどのような影響があるのでしょうか。
インボイス制度で取引の相手方に交付される適格請求書を交付することができる事業者に、小規模事業者でもなることはできるのでしょうか。
ここでは、インボイス制度により一人親方やフリーランスの方への影響を解説します。
目次
売上1,000万円以下でも消費税を納めることに?
国内で行われる販売やサービス提供については、一部を除きほとんどの取引が課税取引となるため、事業者に対して消費税を支払っています。
しかし、消費税を預かったすべての事業者が消費税を税務署に納付しているわけではありません。
基準期間における課税売上高が1,000万円以下の事業者は、消費税の納税義務が免除されます。
そのため、預かった消費税についても納税する必要はないのです。
しかし、インボイス制度の適格請求書発行事業者となるためには、消費税の課税事業者にならなければなりません。
そのため、課税売上高が1,000万円以下の事業者であっても、消費税を納めることとなるのです。
課税業者は免税業者とは取引ができなくなるの!?
インボイス制度が開始されると、課税売上を計上した事業者は、相手方に対して適格請求書を発行しなければなりません。
この書類がなければ、相手方が仕入税額控除の計算ができないためです。
しかし、適格請求書を発行することができる事業者は、適格請求書発行事業者として税務署に申請した者だけです。
そして、適格請求書発行事業者となることができるのは、消費税の納税義務がある事業者だけなのです。
消費税の免税事業者のままでは、適格請求書を発行することはできません。
相手方が、仕入税額控除できなくてもいいというのであれば問題ないのですが、そのような事業者は数少ないでしょう。
現実には、相手方が仕入税額控除できないため、取引してもらえなくなるのではないか、という懸念があるのです。
苦肉の策は「値引きor撤退or消費税を支払うか」
小規模事業者がこれまでの取引先と、今後も変わらずに取引を行うためには、課税事業者となり適格請求書を発行する必要があります。
ただ、消費税を支払ったら利益が出ないという事業者もあり、簡単に決められる話ではありません。
今後の対応として考えられるのは、以下のような選択肢です。
値引きをする
免税事業者のままである場合、現在の売上金額が相手方にとっての仕入金額となります。
同業他社と比較して仕入金額が低くなるのであれば、仕入税額控除ができなくても、相手の事業者にはメリットがあります。
そこで、商品やサービスの本体価格の値引きをするのです。
事業をやめて撤退する
消費税の課税事業者とならないことを選択したために、売上が大幅に落ち込んでしまうのであれば、事業を継続する意味はありません。
思い切って、事業をやめて撤退するということも選択肢に入ってくると思います。
課税事業者となる
取引先と、これからも変わらずに取引を続けるためには、課税事業者となり適格請求書発行事業者となる必要があります。
消費税の納税が発生するため、売上金額の約1割に相当する金額の消費税を納付しなければなりません。
ただし課税仕入の金額があれば、その分の消費税を差し引いて納税することとなります。
この場合は、交付された適格請求書等を保存していなければなりません。
まとめ
インボイス制度が始まっても免税事業者には関係ない話と思っていたら、それは大きな間違いです。
むしろ、免税事業者ほどインボイス制度の開始により大きな影響を受けます。
課税事業者となるのか、免税事業者のままでいくのか、大きな決断を迫られるため、取引先の状況なども確認しておきましょう。
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