最終更新日:2022/9/1
適格請求書とは?区分記載請求書との違いもわかりやすく解説|インボイス制度マニュアルVOL2
ベンチャーサポート税理士法人 税理士。
大学を卒業後、他業種で働きながら税理士を志し科目を取得。
その後大手税理士法人を経験し、現在に至る。
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この記事でわかること
- 適格請求書とはどのような書類であるか知ることができる
- 適格請求書とこれまでの区分記載請求書の違いを知ることができる
インボイス制度が導入されると、売手側の事業者が作成し買手側の事業者に交付するのが、適格請求書です。
この適格請求書とは、はたしてどのような書類なのでしょうか。
また、適格請求書にはどのような内容を記載しなければならないのでしょうか。
現在保存が義務付けられている区分記載請求書との違いを確認しておきましょう。
目次
適格請求書に必要な記載事項とは?
インボイス制度が始まると作成しなければならない適格請求書には、以下の6項目を記載しなければなりません。
- (1)適格請求書発行事業者の氏名または名称および登録番号
- (2)取引の年月日
- (3)取引の内容(取引が軽減税率の対象である場合には、その旨)
- (4)取引金額(税抜金額または税込金額)を税率の異なるごとに区分して合計した金額および適用税率
- (5)消費税額等
- (6)書類の交付を受ける事業者の氏名または名称
それぞれの記載内容について、実際の記載方法とともに確認していきましょう。
(1)適格請求書発行事業者の氏名または名称および登録番号
請求書を作成した事業者について、個人事業主の場合は氏名を、法人の場合は名称を記載します。
また、ここでポイントになるのは登録番号の記載です。
事前に税務署に対して、「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出しておき、登録番号を入手しなければなりません。
この番号の記載がなければ、適格請求書としての要件を満たさないため、買手側が仕入税額控除できなくなってしまうのです。
(2)取引の年月日
実際に取引が行われた年月日を記載します。
この年月日をもとに、買手側は消費税の計算時期を決定するのです。
(3)取引の内容
取引の内容と言っても、すべての内容を記載する必要はありません。
飲食料品や新聞など、軽減税率の対象となる品目を購入した場合に、その旨を明記する必要があるのです。
(4)取引金額を税率の異なるごとに区分して合計した金額および適用税率
請求書の下部に、「10%対象 10,000円」「8%対象 5,000円」などと記載します。
税率ごとに区分して記載した合計額をもとに、買手側の事業者は消費税の計算を行うこととなります。
請求書の明細の金額と一致しますが、合計額を明記しなければならないこととされています。
(5)消費税額等
(4)で記載した取引金額の横に、「消費税 400円」というような記載をします。
取引金額の合計額が税抜金額の場合、その合計額に税率を乗じて計算した金額と一致することを確認しておきましょう。
また、取引金額の合計額が税込金額の場合も、その合計額から計算される消費税額と一致することが確認できます。
(6)書類の交付を受ける事業者の氏名または名称
買手側の事業者に対して発行された請求書であることがわかるよう、買手の事業者の氏名や名称が記載されていなければなりません。
ただし、小売店や飲食店など、不特定多数の者に対して販売などを行う事業者は、相手方の氏名や名称がわかりません。
この場合は、(6)の項目の記載を省略することが認められています。
区分記載請求書と適格請求書 記載事項の比較
インボイス制度が導入される前においても、買手の事業者は区分記載請求書と呼ばれる書類を保存する義務があります。
また、売手側の事業者は区分記載請求書を作成し、買手の事業者に交付しなければならないこととされています。
軽減税率の導入により作成している区分記載請求書と、インボイス制度の導入により作成する適格請求書の違いを確認しておきます。
従来の請求書と区分記載請求書、適格請求書の違い
軽減税率導入前に作成していた請求書と、区分記載請求書、そして適格請求書の記載項目は以下のようになります。
請求書 | 区分記載請求書 | 適格請求書 |
---|---|---|
(1)発行者の氏名または名称 | (1)発行者の氏名または名称 | (1)発行者の氏名または名称 |
(2)取引年月日 | (2)取引年月日 | (2)取引年月日 |
(3)取引内容 | (3)取引内容 | (3)取引内容 |
(4)取引金額 | (4)取引金額 | (4)取引金額 |
(5)交付を受ける者の氏名または名称 | (5)交付を受ける者の氏名または名称 | (5)交付を受ける者の氏名または名称 |
(6)軽減税率の対象品目である旨 | (6)軽減税率の対象品目である旨 | |
(7)税率ごとに合計した取引金額 | (7)税率ごとに合計した取引金額 | |
(8)税率ごとの消費税額 | ||
(9)登録番号 |
適格請求書となるために必要な2つの項目
区分記載請求書と適格請求書の違いは、「税率ごとの消費税額」と「登録番号」の記載が増えることです。
インボイス制度は、税率ごとに集計した消費税額を仕入税額控除の額とするため、税率ごとの消費税額を明記しなければなりません。
また、登録した事業者だけが適格請求書を発行できることとされているため、登録番号を記載しなければなりません。
いずれか一方でも記載されていない場合には、適格請求書としての要件を満たさないことから、事前に準備しておきましょう。
まとめ
インボイス制度で仕入税額控除の要件となる適格請求書を発行するためには、登録事業者となる必要があります。
登録事業者になるためには、事前の申請が必要であるため、必ず申請を行うようにしましょう。
また、これまで免税事業者として消費税を納めていなかった事業者は、登録事業者になる必要があるかあらかじめ確認しておきます。
その際、登録事業者になる必要がある場合には、まず消費税の納税事業者になる手続きから始めるようにしましょう。
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