最終更新日:2022/9/1
「適格請求書発行事業者」登録の手順とスケジュール|インボイス制度マニュアルVOL3
ベンチャーサポート税理士法人 税理士。
大学を卒業後、他業種で働きながら税理士を志し科目を取得。
その後大手税理士法人を経験し、現在に至る。
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この記事でわかること
- 適格請求書発行事業者になるための登録時期を知ることができる
- 事業者の種類ごとに適格請求書発行事業者になるための流れがわかる
- 適格請求書を発行する必要がない事業者が何をすべきかがわかる
インボイス制度が開始されると、適格請求書を発行できる事業者になるためには事前に登録する必要があります。
この登録を行うためには、管轄の税務署での手続きが必要となるため、忘れないようにしなければなりません。
ところで、インボイス制度の開始と同時に適格請求書を発行するためには、いつまでに登録する必要があるのでしょうか。
また、これまで非課税事業者であった事業者が適格請求書を発行するためにはどのような手続きが必要なのでしょうか。
目次
適格請求書発行事業者とは?
インボイス制度では、買手事業者は仕入税額控除を行うために適格請求書を保存しておく必要があります。
この適格請求書は、買手事業者が商品を購入したりサービスの提供を受けたりした場合に、売手事業者から交付を受けるものです。
適格請求書を発行するためには、税務署で適格請求書発行事業者の登録をしなければなりません。
適格請求書発行事業者とならなければ、取引の相手方は、支払った代金について仕入税額控除することはできないのです。
適格請求書発行事業者登録はいつから?
適格請求書発行事業者になるためには、管轄の税務署に「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出しなければなりません。
この「適格請求書発行事業者の登録申請書」の提出は、令和3年10月1日から開始されます。
なお、インボイス制度が始まる令和5年10月1日から登録を受けるには、原則、令和5年3月31日までに申請しなければなりません。
これは、制度開始時には申請が集中する一方、審査に一定の時間がかかるため、特別に設けられている期限です。
制度開始時から確実に適格請求書発行事業者になるためには、早めに申請する必要があるので注意しましょう。
登録方法・期間〜課税事業者の場合〜
消費税の課税事業者が、適格請求書発行事業者になるための流れは、以下のようになります。
適格請求書発行事業者の登録申請書を提出しても、審査には一定の期間がかかるため、すぐに登録されるわけではありません。
適格請求書発行事業者となったことが税務署から通知されると同時に、登録番号の交付を受けます。
この登録番号を適格請求書に記載する必要があるため、実際には登録番号を手にしてから適格請求書を発行することができます。
登録方法・期間〜非課税事業者の場合〜
消費税の非課税事業者が適格請求書発行事業者になるためには、まず消費税の課税事業者になる必要があります。
本来、消費税の課税事業者になるには、その課税期間の前日までに課税事業者選択届出書を提出すればいいこととされています。
しかし、適格請求書発行事業者の登録申請書を提出するため、課税事業者選択届出書を先に提出することとなります。
免税事業者が課税事業者となる課税期間の初日から適格請求書発行事業者になるには、課税期間の1か月前までに申請しましょう。
登録方法・期間〜新規開業の場合〜
新規開業した事業者が、事業を開始した日から適格請求書発行事業者となる場合には特例が設けられています。
事前に登録申請書を提出することはできないため、事業を開始した課税期間の末日までに登録申請書を税務署に提出します。
その課税期間の末日までに適格請求書発行事業者として登録された場合は、課税期間の初日に登録されたものとみなされます。
事業開始から適格請求書発行事業者となるには、その課税期間内に課税事業者選択届出書と登録申請書を提出する必要があります。
適格請求書の発行予定がない事業者は登録の必要はない?
適格請求書の発行を行うためには、適格請求書発行事業者として登録する必要があります。
しかし、適格請求書を発行する必要がない場合は、必ずしも適格請求書発行事業者に登録する必要はありません。
ただし、勘違いしてはいけないのは、適格請求書発行事業者に登録しなくても消費税を納税する義務はなくならないということです。
基準期間の課税売上高が1,000万円以上の場合は、仮に適格請求書発行事業者でなくても消費税を納税する義務があります。
登録の取り消し方法
適格請求書発行事業者の取消しを行うためには、税務署に「適格請求書発行事業者の取消しを求める旨の届出書」を提出します。
提出した日が課税期間の末日より30日より前だった場合は、翌課税期間の初日から適格請求書発行事業者の効力が失効します。
また、提出日が課税期間の末日の30日以後だった場合は、翌々課税期間の初日から適格請求書発行事業者の効力が失効します。
なお、課税事業者選択届出書を提出している場合は、課税事業者選択不適用届出書を提出しなければ、納税義務はなくなりません。
また、課税事業者選択不適用届出書を提出しても、適格事業者としての登録が失効しなければ、課税事業者のままとなります。
まとめ
適格請求書を発行するためには、税務署に申請書を提出し、適格請求書発行事業者として登録されなければなりません。
令和3年10月1日から申請が開始されるため、必ず忘れないようにしなければなりません。
また、課税事業者になって適格請求書発行事業者となる場合や、逆に登録の取り消しを受ける場合には手続きが煩雑となります。
いつからその届出が適用されるのかも確認しながら、提出時期を間違えないようにしましょう。
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