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最終更新日:2026/4/3

借金ありでも創業融資は受けられる?起業・開業時の借金の影響を税理士が解説

森 健太郎
この記事の執筆者 税理士 森健太郎

ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
近畿税理士会 北支部所属(登録番号:121535)
1977年生まれ、奈良県奈良市出身。
起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネルを運営。

PROFILE:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_writing/#p-mori
YouTube:会社設立サポートチャンネル【税理士 森健太郎】
書籍:プロが教える! 失敗しない起業・会社設立のすべて (COSMIC MOOK) ムック

借金ありでも創業融資は受けられる?起業・開業時の借金の影響を税理士が解説

この記事でわかること
  • 借金の種類ごとに、創業融資の審査にどの程度影響するか
  • 審査に致命的な悪影響を及ぼす3つの借金のパターン
  • 借金がある状態でも審査通過率を高めるための対策
  • 創業計画書の「お借入の状況」欄に借金をどのように記載すべきか
  • 過去の借金・友人からの借金・配偶者の借金など、判断に迷いやすいケースの対応

これから起業や開業を考えている方の中には、既存の借入れが融資の審査にどう影響するのか不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

結論からお伝えすると、借金があるという理由だけで創業融資の申込みを断られることはありません。
ただし、借金の種類や金額、返済状況によって審査への影響度は大きく異なり、場合によっては審査通過が難しくなるケースもあります。

この記事では、日本政策金融公庫(以下「公庫」と記載)の創業融資を中心に、借金がある方が融資を申し込む際に知っておくべき審査への影響と、審査通過の可能性を高めるための具体的な対策を、税理士の視点から解説します。

個人事業と法人の違い、会社設立の流れ、必要書類、費用など会社設立の全体像をわかりやすく解説!

目次

借金があっても創業融資は申し込める

「借金がある状態では、そもそも創業融資に申し込めないのではないか」と不安に感じている方もいるかもしれません。
しかし、結論からお伝えすると、借金があるという理由だけで創業融資の申込みを断られることはありません。

公庫の創業融資(新規開業・スタートアップ支援資金)の利用条件に、「既存の借入れがないこと」という要件は設けられていません。
借金の有無にかかわらず、所定の条件を満たしていれば申込みは可能です。

参考:新規開業・スタートアップ支援資金|日本政策金融公庫

ただし、「申し込める」ことと「審査に通る」ことは別の問題です。

創業融資の審査では、申込者の返済能力が総合的に判断されます。
その際、既存の借入状況は返済能力を測る重要な判断材料のひとつとなるため、借金の内容や金額、返済状況によっては審査に影響が出る可能性があります。

借金があるからといって最初から諦める必要はありませんが、自分の借入状況を正確に把握したうえで申込みに臨むことが大切です。

借入れ状況は隠してもバレる

借金を隠して創業融資に申し込むことは基本的に不可能です。

公庫は以下の3つの信用情報機関に加盟(一部提携)しており、申込時に提出する「個人信用情報の照会同意書」に基づいて、申込者の借入状況や返済履歴を照会します。

信用情報機関 主な登録情報
CIC(シー・アイ・シー) クレジットカードの利用履歴、割賦販売(スマートフォン本体の分割払いなど)の契約・返済状況
JICC(日本信用情報機構) 消費者金融やカードローンなどの借入れ・返済状況
KSC(全国銀行個人信用情報センター) 銀行ローン(住宅ローン・自動車ローンなど)、奨学金の契約・返済状況

これらの機関はCRIN(Credit Information Network)と呼ばれる相互交流ネットワークで情報を共有しているため、いずれかの機関に記録されている借入情報は、公庫の審査時にほぼ確実に把握されます。

加えて、公庫に提出する創業計画書には「お借入の状況」という記入欄があり、申込者自身が現在の借入状況を自己申告するしくみになっています。
信用情報機関の照会結果と創業計画書の記載内容が一致しない場合、虚偽の申告とみなされ、融資が受けられなくなるリスクがあります。

借金があること自体で直ちに審査に落ちるわけではありませんが、借金を隠したことが発覚すると信用を損ない、審査上きわめて不利になります。
借入れがある場合は、金額や返済状況を正直に申告することが、審査を有利に進めるための第一歩です。

借金の種類によって審査への影響は異なる

創業融資の審査において、すべての借金が同じように評価されるわけではありません。借金の種類や目的によって、審査への影響度は大きく異なります。

一般的に、生活基盤を確立するための計画的な借入れ(住宅ローンや自動車ローンなど)は、それ自体が審査で大きなマイナスとなることは少ないとされています。
一方、消費者金融やカードローンなど、高金利かつ目的を限定しない借入れは、資金繰りの逼迫を疑われる要因となり、審査に不利に働く傾向があります。

以下の表に、借金の種類ごとの審査への影響度を整理しました。自身の状況に近いものを確認してみてください。

借金の種類 審査への影響 理由
住宅ローン 影響は少ない 生活基盤のための長期的・計画的な借入れとして評価される
自動車ローン 影響は少ない 生活や通勤に必要な一般的な借入れと判断される
事業のための借入れ(親族・金融機関) 影響は少ない(融資額には影響する) 審査上の悪影響は少ないが、借入額の分だけ公庫からの融資枠が小さくなる可能性あり
教育ローン・奨学金 条件による 返済が滞りなく行われていれば大きな問題にはならない。ただし延滞がある場合は別
消費者金融からの借入れ 不利に働く 高金利の借入れであり、資金繰りの悪化を疑われやすい
カードローン・キャッシング 不利に働く 目的を限定しない借入れは、計画性の欠如や返済能力の不足と判断されやすい

重要なのは、借金の「金額」だけでなく「種類」と「返済状況」が審査の判断に大きく関わるという点です。
それぞれのケースについて、以下で詳しく解説します。

審査への影響が少ないケース:住宅・自動車ローンなど

住宅ローンや自動車ローンは、日常生活において一般的に発生する借入れです。

これらは「生活基盤を安定させるための計画的な資金調達」と位置づけられるため、創業融資の審査において、それ自体がマイナス評価とは比較的なりにくいです。
むしろ、住宅ローンの返済を長期にわたって滞りなく行っている場合は「計画的に返済を続けられる人物である」という信用の裏付けになることもあります。

ただし、返済の遅延が信用情報に記録されていると話は変わります。
遅延の有無は借金の種類とは別の、返済への信用問題として審査に影響するため、住宅ローンであっても返済状況は必ず確認されます。

また、住宅ローンの残高が大きく、毎月の返済額が収入の大部分を占めている場合は、公庫の担当者から「新たな融資の返済に回せる余力があるのか」を慎重に判断される可能性があります。
こうした場合は、融資審査で提出する創業計画書の事業の見通し(収支計画)において、既存のローン返済を織り込んだうえで十分な返済余力があることを示せるかどうかがポイントとなります。

教育ローン・奨学金で注意すべきポイント

教育ローンや奨学金も、目的が明確な計画的借入れであるため、返済が正常に行われている限り、創業融資の審査で大きなマイナスとはなりにくいです。

ただし、日本学生支援機構(JASSO)の奨学金は、KSC(全国銀行個人信用情報センター)に返済状況が登録されています。
返済中であること自体は問題になりませんが、延滞が発生している場合は信用情報に記録されるため、創業融資の審査にも影響する可能性があります。

奨学金は返済期間が長期にわたるため、「過去に延滞したことがあるが、現在は正常に返済している」というケースも少なくありません。
こうした場合、延滞の記録が信用情報に残っているかどうかは、返済の遅れが解消された時期や延滞の期間によって異なります。

不安がある方は、融資の申込前にKSCへ信用情報の開示請求を行い、自分の記録がどうなっているかを確認しておくことをおすすめします。

審査に不利に働くケース:消費者金融・カードローン・キャッシングなど

消費者金融からの借入れやカードローン、クレジットカードのキャッシングは、創業融資の審査において特に不利に働く可能性が高い借金です。

消費者金融の金利は年15〜18%程度と、住宅ローンなどと比較して著しく高い水準です。
一般的に、銀行や公庫からの借入れ、あるいは親族からの援助など、低金利の資金調達手段があるなかで、あえて高金利の消費者金融を利用しているということは、ほかの手段では資金を調達できなかった可能性があると判断されます。

つまり、消費者金融からの借入れがあるだけで、「この申込者は資金繰りに困っているのではないか」「ほかの金融機関から借りられなかったのではないか」という懸念を持たれやすいのです。

消費者金融やカードローンからの借入れが1社だけでなく複数社にわたっている場合、審査ではさらに厳しい目で見られます。
複数の借入先から少額ずつ借り入れている状態は、返済のために新たな借入れを繰り返す「自転車操業」に陥っている可能性を示唆するためです。

このような状況で創業融資を申し込んだ場合、たとえ事業計画の内容が良くても、「融資したお金が事業ではなく既存の借金の返済に充てられるのではないか」という懸念を払拭することが難しくなります。

消費者金融などから借入れがある方が創業融資を検討する場合は、可能な限り申込み前に完済し、一定期間にわたって借入れのない状態を維持してから申し込むのが望ましいといえます。

借金ありで審査に悪影響となる3つのパターン

前章では、借金の「種類」による影響度の違いを解説しました。ここからは、借金の種類を問わず、審査に深刻な悪影響を及ぼす3つのパターンについて解説します。

審査に悪影響となるパターン

  1. 返済の延滞・滞納がある
  2. 過去に債務整理(自己破産・任意整理・個人再生)をしている
  3. 税金・社会保険料・水道光熱費の滞納がある

これらのパターンに該当する場合、創業融資の審査通過は非常に困難になります。ご自身の状況がいずれかに当てはまるかどうかを確認してみてください。

パターン1:返済の延滞・滞納がある

創業融資の審査では「借金がある」ことだけでなく、「返済すべきお金を期日どおりに返済しているか」という点もチェックされます。
住宅ローンのように審査への影響が少ないとされる借金であっても、返済に遅延がある場合は話が根本的に変わります。
借入れの延滞は「約束どおりに返済できない人」という評価に直結するため、借金の種類にかかわらず審査上のマイナス要因となります。

特に注意すべきなのは、信用情報機関に「異動情報」が登録されている状態です。
異動情報とは、いわゆる「ブラックリスト」と呼ばれるもので、CIC(シー・アイ・シー)の公式資料によれば、以下のいずれかに該当する場合に登録されます。

CICの異動情報に登録される条件

  • 返済日より61日以上または3カ月以上の支払遅延(延滞)があるもの、またはあったもの
  • 返済ができなくなり、保証契約における保証履行が行われたもの
  • 裁判所が破産を宣告したもの(破産手続開始の決定がされたもの)

異動情報が信用情報に登録されている状態では、公庫にかぎらず、金融機関からの融資を受けることは事実上きわめて困難です。

現在進行形で延滞がある場合は、まずその延滞を解消することが最優先です。
延滞が解消されたうえで一定期間にわたって正常な返済実績を積み重ねてから融資を申し込むほうが、審査通過の可能性は高まります。

税理士 森健太郎
税理士 森健太郎からひと言
なお、延滞が61日未満の短期間であれば異動情報は登録されませんが、CICの信用情報開示報告書には直近24カ月分の入金状況が記録されており、数日程度の遅延でも「A(未入金)」のマークが残ります。
この入金マークが複数回確認された場合、公庫の担当者から「返済にルーズな傾向がある」と判断される可能性があります。

パターン2:過去に債務整理(自己破産・任意整理・個人再生)をしている

過去に自己破産、任意整理、個人再生などの債務整理を行ったことがある場合、その記録は信用情報機関に一定期間登録されます。
この期間中は、創業融資の審査通過はきわめて難しいのが実情です。

債務整理の記録が信用情報に登録される期間は、債務整理の種類と信用情報機関によって異なります。
たとえばKSCでは、取引情報は契約終了日または完済日から5年以内、破産・民事再生の官報情報は決定日から7年以内とされています。
申込前にCIC・JICC・KSCで実際の登録状況を開示請求して確認しておきましょう。

基本的には、延滞や任意整理の場合は「完済した日」が起算点となるため、返済が長引くほど記録が残る期間も長くなります。

一方で、登録期間が経過し、記録が削除されたあとであれば、過去の債務整理が直ちに審査の障壁となることは基本的にありません。

開示請求については「申込前に信用情報を自分で開示請求して確認する」をご確認ください。

パターン3:税金・社会保険料・水道光熱費の滞納がある

意外に見落とされがちですが、税金・社会保険料・水道光熱費の滞納も創業融資の審査に大きな影響を与えます。

税金や社会保険料の滞納情報は、CICやJICCなどの信用情報機関には登録されません。
しかし、公庫の審査では通帳の入出金履歴が確認されるため、税金や社会保険料の引落し状況、未払いの形跡は実質的に把握されます。
また、法人の場合は決算書や納税証明書の提出を求められるケースもあり、これらの書類から滞納の事実は明らかになります。

税金の滞納が問題視される理由は、納税という果たすべき責任を果たしていないという点だけでなく、「租税債権の先取特権」というしくみにもあります。

税金には、民間の借入金よりも優先的に回収される法的な権利(先取特権)が認められています。
つまり、公庫が融資を実行しても、その資金が税務署による差押えの対象となり、事業のために使われない可能性があるのです。

公庫としては、融資した資金が本来の目的(事業運営)に使われず、未納の税金に充てられるリスクを避けるため、税金の滞納がある申込者への融資には非常に慎重になります。

一方で水道光熱費や家賃は、厳密には「税金」ではありませんが、生活に必要な基本的な支払いを滞納している事実は、公庫の担当者に「日常的な資金管理ができていない」という印象を与えます。
通帳にこれらの引落し不能の記録が散見される場合、返済能力への信頼が損なわれるおそれがあります。

こうした支払いに未納がある場合は、創業融資を申し込む前にすべて完納しておくことが原則です。
分割納付の相談を税務署に行っている場合でも、滞納が解消されていない状態での融資申込みは避けたほうがよいでしょう。

借金があっても創業融資の審査通過率を高める5つの対策

借金があると審査のハードルが上がるのは事実ですが、適切な準備を行えば審査通過の可能性を高めることは十分に可能です。

借金がある方が創業融資を申し込む際に、実践すべき5つの対策は以下のとおりです。

借金ありで創業融資を受ける際の対策

  1. 申込み前に信用情報を自分で開示請求して確認する
  2. 可能であれば消費者金融などの借入れを完済してから申し込む
  3. 自己資金の状況を整理し、少しでも積み上げる
  4. 創業計画書で「借金がある状態でも返済できる」根拠を示す
  5. 税理士・認定支援機関のサポートを受ける

それぞれについて詳しく解説します。

対策1:申込み前に信用情報を自分で開示請求して確認する

借金がある状態で創業融資を申し込む場合、まず最初にやるべきことは、自分の信用情報を正確に把握することです。
信用情報の開示請求は、CIC・JICC・KSCの各機関に対して本人が行うことができます。

参考:情報開示とは|株式会社シー・アイ・シー(CIC)
参考:日本信用情報機構(JICC)指定信用情報機関|株式会社日本信用情報機構
参考:本人開示の手続き 全国銀行個人信用情報センター|一般社団法人全国銀行協会

「自分には延滞の心当たりがない」という方でも、携帯端末の分割払いの引落しが口座残高不足で1回遅れていた、といったケースで信用情報に記録が残っていることがあります。
こうした見落としは、開示請求をして初めて発覚することも少なくありません。

信用情報に問題がないことを確認できれば安心して申し込めますし、問題が見つかった場合は、その対応を優先したうえで申込みのタイミングを判断できます。
いずれにしても、申込前に自分の状況を正確に把握しておくことが、無駄な審査落ちを防ぐための第一歩です。

対策2:可能であれば消費者金融などの借入れを完済してから申し込む

消費者金融やカードローン、キャッシングからの借入れは、創業融資の審査において特に厳しく見られます。
これらの借入れがある場合、可能な限り申込前に完済しておくことが審査通過率を高める有効な手段です。
ただし、完済を優先するあまり、自己資金を大幅に減らしてしまうのは逆効果になる場合があります。
たとえば、自己資金が200万円あり、消費者金融の借入れが150万円ある場合、全額を完済に充てると手元に残る自己資金は50万円まで減少します。
自己資金が極端に少ない状態で申し込むと、別の理由で審査に通りにくくなる可能性があります。

「完済するか、自己資金を残すか」の判断は、希望する借入れの金額や種類、自己資金の額、事業の開始時期などによって最適な答えが異なります。
判断に迷う場合は、後述する税理士や認定支援機関に相談し、自身の状況に合ったアプローチを検討することをおすすめします。

対策3:自己資金の状況を整理し、少しでも積み上げる

借金がある方の中には、「返済に追われて自己資金を貯める余裕がない」という方もいれば、「住宅ローンを返済しながらもコツコツ貯蓄してきた」という方もいるでしょう。
まずは自身が現時点でいくらの自己資金を用意できるのかを正確に把握することが出発点です。

2024年4月の制度改正により、旧「新創業融資制度」で求められていた「創業資金総額の10分の1以上」という自己資金要件は制度上撤廃されました。

しかし、要件がなくなったことと、自己資金がなくても審査に通ることは別の問題です。
日本政策金融公庫総合研究所の「2025年度新規開業実態調査」によれば、開業時の資金調達全体に占める自己資金の割合は平均22.9%となっています。

2025年度新規開業実態調査

資金調達先は、「金融機関等からの借り入れ」が平均827万円(平均調達額に占める割合は67.9%)、「自己資金」が平均279万円  (同22.9%)であり、両者で全体の90.7%を占める。

引用:2025年度新規開業実態調査|日本政策金融公庫総合研究所

こうした実績から、実務上は融資希望額の2〜3割程度の自己資金を用意することが推奨されています。

借金がある方にとって、まとまった自己資金をすぐに確保するのは簡単なことではありません。そこで大切なのは、「用意できる自己資金の範囲から逆算して、融資希望額や事業規模を調整する」という発想です。

たとえば、自己資金が80万円しか用意できない場合、融資希望額は200〜300万円程度に抑え、事業をコンパクトな規模で始めるという選択肢も検討すべきです。
小さく始めて実績をつくり、軌道に乗った段階で追加融資を受けるというステップを踏むほうが、結果的に事業の成功確率を高めることにもつながります。

対策4:創業計画書で「借金がある状態でも返済できる」根拠を示す

借金がある方が創業融資に申し込む場合、公庫の担当者が知りたいのは「既存の借金を返済しながら、新たな融資もきちんと返済していけるのか」という点です。
この疑問に対して、創業計画書の中で具体的な数字をもって答える必要があります。

具体的には、「事業の見通し(収支計画)」の欄で、既存借金の返済額を経費に織り込んだうえで、なお事業として十分な返済余力があることを示しましょう。

収支計画は楽観的にならず、保守的な数字で組んだうえでも返済余力があることを示せると、担当者の信頼を得やすくなります。
「事業の見通し」に加え、別紙で月別の資金繰り表を添付することで、返済計画の現実性をさらに補強できます。

また、面談では「既存の借金がある中でなぜ起業するのか」「借金と新たな融資の返済をどう両立するつもりか」といった質問が想定されます。
計画書に記載した数字の根拠を、自分の言葉で説明できるよう準備しておくことも重要です。

「お借入の状況」欄の具体的な書き方

創業計画書には「お借入の状況」という欄があり、ここに現在の借入れ内容を記載します。この欄を正確に記入することは、借金がある方にとって特に重要です。

創業計画書「お借入の状況」欄の具体的な書き方

「お借入の状況」欄の具体的な書き方

引用:創業計画書|日本政策金融公庫(PDF)を加工して作成

創業計画書のフォーマットでは、借入先ごとに以下の情報を記入する形式になっています。
具体的に記入する内容は、以下の表のとおりです。

記入項目 内容
お借入先名 借入先の金融機関名など
お使いみち 「事業」「住宅」「車」「教育」「カード」「その他」から該当するものを選択
お借入残高 現時点での借入残高(万円単位)
年間返済額 年間の返済額(万円単位)

ここでは、住宅ローンや自動車ローンなど事業と直接関係のない借入れも含め、すべて記載します。
前述のとおり、公庫は信用情報機関を通じて借入状況を把握しています。
記載漏れがあると、意図的に隠したと受け取られるおそれがあるので、必ず正直かつ正確にすべての借入れを記入しましょう。

創業計画書全体の書き方などについては、以下の記事で詳しく解説しています。

面談で想定される質問と対応のポイント

借金がある状態で創業融資を申し込んだ場合、融資面談では借入れに関する踏み込んだ質問が想定されます。
以下に、代表的な質問例と回答の方向性を整理します。

想定される質問 対応のポイント
「なぜ消費者金融(カードローンなど)を利用したのですか?」 利用に至った経緯を正直に説明する。
返済が順調に進んでいる、あるいは完済済みの場合はそれを示す。
「借金の返済と融資の返済を両立できる根拠は?」 創業計画書の収支計画に基づいて、具体的な数字で説明する。
「融資した資金を借金の返済に充てるつもりはありませんか?」 公庫の創業融資は事業に必要な資金を貸し付けるものであり、既存の借金の返済に充てることは認められていない。
資金使途を具体的かつ明確に示すこと。

いずれの質問でも、曖昧な理由や根拠のない計画を語るのは避けましょう。

具体的な借金の経緯を話すことには抵抗感があるかもしれませんが、融資担当者は信用情報で事実を把握しています。
かならず誠実に対応するよう、心がけてください。

対策5:税理士のサポートを受ける

借金がある状態での創業融資の申込みは、通常のケースと比べて審査のハードルが上がりますが、そのぶん専門家のサポートを受けることで得られるメリットも大きくなります。

「先に完済すべきか、借金がある状態で申し込むべきか」「自己資金はいくら確保しておくべきか」といった判断は、借入れの種類・金額・返済状況、事業内容、開業時期など複数の要素が絡み合うため、一律の正解がありません。
融資支援の経験が豊富な税理士であれば、個別の状況に応じた最適なアプローチを一緒に検討できます。

また、借金がある方の場合、創業計画書の収支計画で「既存借入れの返済を含めても返済余力がある」ことを明確に示す必要があります。
税理士は収支計画や資金繰り表の作成を通じて、計画書の説得力を高めるサポートを行います。

さらに、税理士を経由して融資を申し込むことで、事業計画の妥当性について第三者の専門家が確認済みであるというシグナルを公庫に伝えることができます。
借金がある方にとっては、信頼性を補強する有効な手段のひとつです。

借金があるなかでの創業融資に不安を感じている方は、申込みの準備段階から専門家に相談することで、審査通過に向けた具体的な道筋を立てることができます。
「借金があるから無理だろう」と諦めず、まずは現状を専門家と共有するところから始めてみてください。

借金がある場合の公庫以外の資金調達手段とは

公庫の創業融資は、創業期の資金調達として一般的な選択肢ですが、唯一の手段ではありません。
借金の状況によっては公庫の審査通過が難しいケースもあるため、ほかの資金調達手段も視野に入れておくことが大切です。

公庫以外の資金調達手段としては、主に以下の手段が一般的です。

公庫以外の資金調達手段

  • 自治体の制度融資(信用保証協会付き融資)
  • 補助金・助成金
  • クラウドファンディング

公庫以外の主な資金調達手段について、借金がある場合の利用可否や注意点を中心に簡潔に紹介します。

自治体の制度融資(信用保証協会付き融資)

制度融資とは、自治体・金融機関・信用保証協会の3者が連携して実施する融資のしくみです。
自治体が利息の一部を補助したり、信用保証料を軽減してくれるため、低コストで利用できるのが特徴です。

しかし、制度融資でも申込者の信用情報は確認されます。
信用保証協会はKSCに加盟しており、また融資を実行する金融機関もCICやJICCを通じて信用情報を照会します。
そのため、異動情報(延滞・債務整理などの記録)がある場合は、公庫の創業融資と同様に審査通過が困難になります。

また、制度融資は税金の完納が利用条件に含まれていることが多く、税金や社会保険料の滞納がある状態では申込みができないケースが一般的です。

一方で、制度融資は自治体ごとに条件や支援内容が異なるため、お住まいの地域の制度を個別に確認する価値はあります。
公庫と制度融資を併用して資金調達を行うケースもあるため、税理士や地元の商工会議所に相談してみるとよいでしょう。

補助金・助成金

補助金や助成金は、融資とは異なり「返済不要」の資金調達手段です。
国や自治体が特定の事業活動を支援するために交付するもので、創業期に利用できる制度としては、小規模事業者持続化補助金(創業枠)や各自治体の独自制度などがあります。

借金がある方にとって最大のメリットは、補助金・助成金の審査では信用情報が直接的な審査対象にならないという点です。
審査は事業計画の内容や実現可能性が中心となるため、借金の有無は原則として交付の判断に影響しません。

ただし注意すべき点として、補助金は原則「後払い」です。
事業を実施して経費を支出したあとに、その一部が交付されるしくみのため、まず自分で資金を立て替える必要があります。
また、申請から交付までに数か月かかるケースが一般的であり、開業直後に必要な運転資金を補助金でまかなうことは難しいのが実情です。

補助金はあくまで融資を補完する位置づけとして捉え、事業資金の全額を補助金に頼る計画は避けるほうがよいでしょう。

クラウドファンディング

クラウドファンディングは、インターネット上で不特定多数の支援者から資金を集めるしくみです。
主に「購入型」(リターンとして商品やサービスを提供する形式)と「寄付型」があり、創業期の資金調達手段として利用されるケースが増えています。

クラウドファンディングでは、原則として信用情報の審査は行われません。
プラットフォーム側の掲載審査はありますが、金融機関のように信用情報機関への照会は行われないため、借金の有無が直接的な障壁にはなりません。

また、クラウドファンディングで一定額の資金調達に成功した実績は、「この事業に対して市場からの支持がある」という証明にもなります。その実績を示したうえで公庫の創業融資に申し込むことで、事業計画の説得力を補強できる可能性があります。

ただし、クラウドファンディングは目標金額に到達しなければ資金を受け取れない方式が一般的であり、必ず資金を調達できるとは限りません。
また、プロジェクトページの作成や支援者へのリターン対応など、相応の労力がかかる点にも注意が必要です。

クラウドファンディングによる資金調達については、以下の記事で詳しく解説しています。

借金と創業融資に関するよくある質問

創業融資と借金に関して、多くの方が疑問に感じるポイントをQ&A形式でまとめました。

本文で解説しきれなかった周辺的な疑問も取り上げていますので、ご自身の状況に近いものがあれば参考にしてください。

Q1:過去に完済した借金は審査に影響しますか?

すでに完済している借金がある場合、信用情報上の借入残高はゼロとなっているため、基本的に審査で不利に働くことはありません。

ただし、注意が必要なのは、返済期間中に延滞があったケースです。
延滞の記録はCICやJICCなどの信用情報機関に一定期間登録されます。

延滞が解消(完済)されたあとも最長5年程度は記録が残るため、完済の時期によっては審査に影響する可能性があります。

過去の借金に不安がある方は、融資の申込みの前にCIC・JICC・KSCへ開示請求を行い、延滞の記録が残っていないかを確認しておきましょう。
記録がすでに消えていれば、過去の借金を理由に審査で不利になることは基本的にありません。

Q2:友人や親族からの借金も公庫にバレるのですか?

友人や親族との個人的な貸し借りは、CIC・JICC・KSCなどの信用情報機関には登録されないため、信用情報の照会によって公庫に把握されることはありません。

しかし、実務上の問題として、友人や親族から受け取った資金が通帳にまとまった入金として記録されている場合、面談で「この入金は何ですか」と質問される可能性があります。
その際に「借入れです」と答えたにもかかわらず創業計画書に記載がなければ、申告内容の信頼性を損ないかねません。

そのため、親族や友人からの借入れがあり、通帳上も確認できる場合は、面談で説明できるようにしておくことが大切です。
借入れとして扱うなら、契約書を作成し、創業計画書への記載や説明内容も整えておくと安心です。

また、親族からの借入れがある場合は、金銭消費貸借契約書を作成しておくことをおすすめします。
返済条件を明文化しておくことで、贈与ではなく計画的な借入れであることを示す根拠になります。

なお、親族からの資金が返済義務のない「贈与」であれば、借入れではなく自己資金として扱われる可能性があります。
この点は、資金の性質によって扱いが変わるため、判断に迷う場合は税理士に確認しておくと安心です。

Q3:借入金は資本金に充てられるのですか?

借入金を使って資本金の額を実態以上に大きく見せる行為は、いわゆる「見せ金」に該当するおそれがあるため、決して行わないでください。
見せ金とは、会社設立時に一時的に資金を借り入れて資本金を払い込み、設立登記が完了したあとにその資金を返済する行為を指します。

見せ金は会社法上、払込みの効力が否定されるリスクがあるほか、虚偽の登記として罪に問われる可能性もあります。
また、公庫の審査においても、見せ金は自己資金とは認められません。
公庫の審査では通帳の入出金履歴が確認されるため、設立直前にまとまった入金があり、設立直後に同額が出金されているような動きは容易に把握されます。

資本金はあくまで自分自身が事業のために準備した資金で構成すべきものです。借入金とは明確に分けて管理してください。

借入金を資本金にできるかについては、以下の記事でも扱っています。

Q4:親族や配偶者に借金がある場合、自分の審査に影響はありますか?

創業融資の審査対象は原則として申込者本人の信用情報であり、親族や配偶者の信用情報が直接照会されるわけではありません。

ただし、公庫の面談では、申込者の生活費や家計の収支についても確認されることがあります。
配偶者に多額の借入れがあり、家計全体として毎月の返済負担が大きい場合、「事業からの収入で生活費と返済をすべてまかなえるのか」を疑問視されるリスクはあります。

また、2024年の制度改正により、創業期の融資は原則として無担保・無保証人で利用できるしくみになっています。
しかし、何らかの理由で配偶者が連帯保証人となる場合は、配偶者の信用情報も確認の対象となります。

Q5:既存法人に借入れがある場合、新規事業の創業融資審査に影響しますか?

すでに法人を経営している人が、別の新規事業で創業融資を申し込む場合、既存法人の借入状況も審査に影響する可能性があります。

まず、創業計画書の記載について整理します。
「お借入の状況」欄は、公式フォーマットに「法人の場合、代表者の方のお借入」と明記されているとおり、代表者個人の借入れを記載する欄です。
既存法人名義の借入れをこの欄に記載するわけではありません。

ただし、既存法人の借入れについて代表者個人が連帯保証をしている場合は話が変わります。
連帯保証は代表者個人の債務と同等に扱われるため、「お借入の状況」欄への記載が必要になるケースがあります。

既存法人に関する情報は、創業計画書の「関連企業」欄に記載します。
この欄には、申込者本人または配偶者が経営する企業の企業名や事業内容などを記載します。
公庫は関連企業の経営状態や借入状況も審査上確認するため、既存法人の決算書の提出を求められるケースもあります。

既存法人の状況が審査に与える影響は、一概にマイナスとは限りません。
既存法人が安定して黒字経営を続けており、借入れの返済も滞りなく行われている場合は、むしろ経営実績としてプラスに評価される余地があります。
一方で、既存法人が赤字や債務超過の状態にある場合は、新たな事業の融資に対しても慎重な判断がなされる可能性があります。

既存法人を経営しながら新規事業の創業融資を検討している方は、申込前に既存法人の決算書を整備し、税理士と相談のうえで申込みの進め方を検討することをおすすめします。

Q6:創業融資の審査に落ちた場合、再申込みは可能ですか?

創業融資の審査に落ちても、再申込みは可能です。
ただし、審査に落ちた直後に同じ状態で再度申し込んでも、結果が変わる可能性は低いため、一定の期間を空けて状況を改善してから臨むのが現実的です。

一般的には、再申込みまでに半年程度の期間を空けることが目安とされています。
この期間を利用して、審査に落ちた原因を分析し、具体的な改善を行ったうえで再度申し込む流れになります。

なお、公庫は基本的に審査に落ちた理由を開示していません。
再申込みを検討する際は、税理士や認定支援機関に相談し、前回の申込内容を客観的に振り返ったうえで対策を立てることをおすすめします。

Q7:個人事業主と法人で、借金の審査への影響に違いはありますか?

個人事業主・法人のいずれで申し込む場合でも、審査において借金の影響を受けるしくみに本質的な違いはありません。

どちらの場合も、公庫は申込者(法人の場合は代表者)個人の信用情報を照会し、借入状況や返済履歴を確認します。

この記事のまとめ:借金ありでの融資に不安があるときは税理士に相談しよう

この記事では、借金がある状態で創業融資を申し込む際の審査への影響と、審査通過の可能性を高めるための対策について解説しました。

借金があるというだけで創業融資を受けられないというわけではありませんが、借金の種類・金額・返済状況は審査における返済能力の判断材料となります。
住宅ローンや自動車ローンなど計画的な借入れは審査への影響が少ない一方、消費者金融やカードローンからの借入れは不利に働く傾向があります。

さらに、延滞履歴や過去の債務整理、税金・社会保険料・水道光熱費の滞納などがあった場合も、審査に致命的な悪影響を及ぼします。

融資を申し込む際には事前に信用情報の開示請求を行い、自身の状況を正確に把握しておきましょう。
借入れがある場合は、創業計画書に正直に記載したうえで、既存の返済を含めても事業として返済余力があることを具体的な数字で示すことが重要となります。

しかし、借金がある中での創業融資は、通常のケースと比べて準備すべきことが多く、判断に迷う場面も少なくありません。
「自分の借入状況で融資を受けられるのか」「先に完済すべきか」「創業計画書にどう反映すればよいか」といった疑問は、借入れの内容や事業計画によって最適な答えが異なるため、一般論だけでは解決が難しい部分もあります。

借金がある状態で創業融資を受ける場合は、融資支援の実績がある税理士に早めに相談することをおすすめします。

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