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最終更新日:2022/6/7

【2020年最新】上手に活用して資金調達!キャリアアップ助成金の条件や支給額をコース別に紹介

社会保険労務士 西村兆潔
この記事の執筆者社会保険労務士 西村兆潔

ベンチャーサポート社労士法人 社会保険労務士。
大学を卒業後に、都内にある社会保険労務士事務所での勤務経験を経て、ベンチャーサポートに入社。

PROFILE:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_writing/#p-nishi

この記事でわかること

  • キャリアアップ助成金とはどのような制度なのかを知ることができる
  • キャリアアップ助成金の7つのコースについて知ることができる
  • キャリアアップ助成金の手続きの流れや注意すべき点が分かる

事業主の方は、様々な手段を講じて従業員を雇用する必要があります。

しかし、従業員を雇用するには資金が必要となり、簡単には従業員を増やせなかったり、労働条件の改善ができなかったりします。

そこで上手に利用したいのが、助成金の制度です。

条件に当てはまれば、返還する必要のない助成金を受け取ることができるのです。

ここでは、厚生労働省が実施する「キャリアアップ助成金」について解説していきます。

目次

キャリアアップ助成金とは

キャリアアップ助成金とは、厚生労働省が実施する助成金の制度の1つです。

非正規雇用労働者のキャリアアップを促進することを狙いとしています。

非正規雇用労働者とは、有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者などを指します。

このような人は、不安定な契約のもと働いており、企業の中でもキャリアアップをしにくい環境におかれています。

そこで、このような非正規雇用労働者を正社員化し、あるいは処遇改善の取り組みが求められているのです。

正社員となり処遇が改善することとなれば、働く人も労働意欲が増し、能力の向上につながると考えられます。

ただし、正社員になることは人件費の増加を招くことから、事業主としても簡単に実施することはできないのです。

そこで、非正規雇用労働者の正社員化や処遇改善を行った事業主に対しては、助成する制度が設けられたのです。

これが「キャリアアップ助成金」です。

このような取り組みを行うことで、労働者にはメリットがあるのは分かるでしょう。

しかし、このことは事業主側にもメリットとなるものです。

少子化や高齢化社会の進行などで人材の確保が難しくなりつつある状況の中で、事業主が求めるような人材を採用することも難しくなっています。

そこで、現在は非正規雇用労働者として働いている人がさらにキャリアアップできる環境を整備する必要があります。

この時、キャリアアップ助成金の支給対象となるような取り組みを行えば、リスクを抑えながら新しい取り組みができるのです。

キャリアアップ助成金の7つのコース


キャリアアップ助成金には、その取組の内容や目的の違いによって、7つのコースが設けられています。

まずはその7つのコースについて簡単にご紹介しましょう。

キャリアアップ助成金を受給するための要件

キャリアアップ助成金を受給できるのは、中小企業事業主に該当しなければなりません。

中小企業事業主となるのは、「資本金の額または出資の総額」か「従業員の数」のいずれかが基準に該当する場合です。

基準となる金額や人数は、業種によって異なるため、以下の表を確認して下さい。

業種 中小企業基本法の定義
資本金の額または出資の総額 常時使用する従業員の数
製造業その他 3億円以下 300人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下
小売業 5,000万円以下 50人以下

参考:キャリアアップ助成金のご案内(厚生労働省)

また、キャリアアップ助成金の支給を受けるため各コース共通の要件は以下のとおりです。

  • (1) 雇用保険適用事業所の事業主であること
  • (2) 雇用保険適用事業所ごとにキャリアアップ管理者を置いている事業主であること
  • (3) 雇用保険適用事業所ごとに対象となる労働者に対してキャリアアップ計画を作成していること。
    また、管轄の労働局長の受給資格認定を受けた事業主であること
  • (4) 対象となる労働者に対する賃金の支払い状況を明らかにする書類を整備していること
  • (5) キャリアアップ計画期間内にキャリアアップに取り組んだ事業主であること

助成金の支給元は厚生労働省であるため、雇用保険適用事業所でなければ助成金を受けることはできません。

また、キャリアアップ計画と実行が不可欠であり、場合によっては書類審査や事業所の立ち入りが求められる場合もあります。

キャリアアップ助成金の7つのコースの概要

ここではコース名と簡単な内容や目的をご紹介します。

コース名 内容・目的
正社員化コース 非正規雇用労働者を正規雇用へ転換することを目的とします。
賃金規定等改定コース 非正規雇用労働者に対する賃金規定の改定を行うことを目的とします。
健康診断制度コース 非正規雇用労働者に対して健康診断以外に一定の健康診断制度を新たに導入することを目的とします。
賃金規定等共通化コース 非正規雇用労働者と正規雇用者の賃金規定を、職務等に応じて共通化することを目的とします。
諸手当制度共通化コース 非正規雇用労働者と正規雇用者に対する諸手当の制度を共通化することを目的とします。
選択的適用拡大導入時処遇改善コース 非正規雇用労働者に対する社会保険の適用拡大や基本給の増額を目的とします。
短時間労働者労働時間延長コース 非正規雇用労働者の労働時間の延長とそれに伴う社会保険の適用を目的とします。

正社員化コースとは

それでは、ここから各コースの内容や支給要件、支給額などについて確認していきます。

最初にご紹介するのは正社員化コースです。

正社員化コースとは、有期契約労働者等を正規雇用労働者に転換し、あるいは直接雇用した場合に助成金が支給されるものです。

正規雇用労働者等に転換または直接雇用する際には、就業規則または労働協約などにもとづいて雇用契約を結ぶ必要があります。

なお、正社員の中には勤務地を限定した正社員や職務限定、短時間の正社員というように多様な形態があります。

このような多様な正社員への転換も、正規雇用労働者への転換とみなされます。

支給額

正社員化コースの適用を受けた場合の支給額は、その転換の内容や企業の規模によって異なります。

転換の内容 企業規模 1人あたりの助成額
原則 生産性向上要件を満たす場合
有期契約から正規雇用への転換等 中小企業 57万円 72万円
中小企業以外 42万7,500円 54万円
有期契約から向き雇用への転換等 中小企業 28万5,000円 36万円
中小企業以外 21万3,750円 27万円
無期雇用から正規雇用への転換等 中小企業 28万5,000円 36万円
中小企業以外 21万3,750円 27万円

参考:キャリアアップ助成金のご案内(厚生労働省)

支給額が加算される場合

一定の条件のもとでは、支給される助成金の額がさらに加算されることがあります。

(1) 支給対象者が母子家庭の母または父子家庭の父の場合、若者雇用促進法にもとづく認定事業主における対象者が35歳未満の場合

転換の内容 1人あたりの加算額
原則 生産性向上要件を満たす場合
有期契約から正規雇用への転換等 9万5,000円 12万円
有期契約から向き雇用への転換等 4万7,500円 6万円
無期雇用から正規雇用への転換等 4万7,500円 6万円

(2) 派遣労働者を派遣先で正規雇用として直接雇用する場合

転換の内容 1人あたりの加算額
原則 生産性向上要件を満たす場合
有期契約から正規雇用への転換等 28万5,000円 36万円
無期雇用から正規雇用への転換等 28万5,000円 36万円

(3) 勤務地や職務を限定した正社員制度を新たに規定し、有期契約労働者等を転換または直接雇用した場合

転換の内容 企業規模 1事業所あたりの加算額
原則 生産性向上要件を満たす場合
有期契約から正規雇用への転換等 中小企業 9万5,000円 12万円
中小企業以外 7万1,250円 9万円
無期雇用から正規雇用への転換等 中小企業 9万5,000円 12万円
中小企業以外 7万1,250円 9万円

参考:キャリアアップ助成金のご案内(厚生労働省)

賃金規定等改定コースとは

賃金規定等改定コースとは、有期契約労働者等の基本給を増額する賃金規定等を整備した際に助成金が支給される制度です。

具体的には、すべてまたは一部の有期契約労働者等の基本給を2%以上増額することを賃金規定等で定める必要があります。

従来の賃金規定の改定を行う場合のほか、新たに賃金規定を作成し、過去3か月の賃金から2%以上上昇している場合も対象です。

受給額を決定する際の条件は複雑なので、細かく確認する必要があります。

ポイントとなるのは誰の賃金が何%上昇しているのか、そして職務評価を実施した場合はその結果を踏まえているのかの2点です。

受給額のポイント(1) 誰の賃金が何%増額しているのか

すべての有期契約労働者を対象としているか、一部の有期契約労働者を対象としているかにより異なります。

また、2%以上の増額か3%以上の増額かによっても受給額は異なります。

(1) すべての有期契約労働者の賃金規定を改定して2%以上増額した場合

対象労働者数 1事業所あたりの金額
中小企業 中小企業以外
原則 生産性向上が認められる場合 原則 生産性向上が認められる場合
1~3人 9万5,000円 12万円 7万1,250円 9万円
4~6人 19万円 24万円 14万2,500円 18万円
7~10人 28万5,000円 36万円 19万円 24万円

11~100人の場合は1人あたりの金額となります。

対象労働者数 1人あたりの金額
中小企業 中小企業以外
原則 生産性向上が認められる場合 原則 生産性向上が認められる場合
11~100人 2万8,500円 3万6,000円 1万9,000円 2万4,000円

参考:キャリアアップ助成金のご案内(厚生労働省)

(2) 一部の有期契約労働者の賃金規定を改定して2%以上増額した場合

対象労働者数 1事業所あたりの金額
中小企業 中小企業以外
原則 生産性向上が認められる場合 原則 生産性向上が認められる場合
1~3人 4万7,500円 6万円 3万3,250円 4万2,000円
4~6人 9万5,000円 12万円 7万1,250円 9万円
7~10人 14万2,500円 18万円 9万5,000円 12万円

11~100人の場合は1人あたりの金額となります。

対象労働者数 1人あたりの金額
中小企業 中小企業以外
原則 生産性向上が認められる場合 原則 生産性向上が認められる場合
11~100人 1万4,250円 1万8,000円 9,500円 1万2,000円

参考:キャリアアップ助成金のご案内(厚生労働省)

(3)中小企業において3%以上増額改定した場合

助成額に加算される金額があります。

すべての賃金規定を改定した場合は1人あたり1万4250円(生産性向上が認められる場合は1万8000円)です。

一部の賃金規定を改定した場合は1人あたり7600円(生産性向上が認められる場合は9600円)です。

受給額のポイント(2) 職務評価を実施した場合、その結果を踏まえているのか

職務の内容や責任の程度を比較して、職務に対する労働者の待遇がその内容に応じたものになっているかを把握します。

このことを「職務評価」といい、この手法を活用して賃金規定の増額改定を行った場合は、加算額があります。

中小企業の場合は、1事業所あたり19万円、生産性向上が認められる場合は24万円となります。

また、中小企業以外の場合は、1事業所あたり14万2500円、生産性向上が認められる場合は18万円です。

健康診断制度コースとは

従業員の健康を守るため、事業主は従業員に対して法定健康診断を実施することが法律で定められています。

健康診断で受診する項目も法律で定められており、身長や体重などのほか、生活習慣病予防に関する診断項目が設けられています。

このような健康診断を実施する際の費用は、全額事業主が負担することとされています。

この際の費用について、キャリアアップ助成金を利用すれば、事業主の負担を軽減することができるのです。

キャリアアップ助成金の対象となる健康診断

健康診断制度コースは、有期雇用の従業員に対して法定外の健康診断を新設し導入した場合に受給することができます。

ただし、期間の定めのない労働契約により使用され、1週間の所定労働時間が通常の4分の3以上の者は対象となりません。

具体的には、正社員より短い勤務時間のアルバイトやパート等に雇い入れ時の健康診断や定期健康診断を実施する場合が該当します。

また、正社員ではないアルバイト等の人に人間ドックや生活習慣病予防検診を実施する場合なども該当します。

事業主としての要件

キャリアアップ助成金共通の要件のほか、以下の要件を満たす必要があります。

  • (1) 有期契約労働者に対する健康診断制度を、労働協約や就業規則などに規定すること
  • (2) 有期契約労働者延べ4人以上に健康診断を実施すること
  • (3) 健康診断制度を継続して実施していること
  • (4) 実施した健康診断の費用を全額負担していること
  • (5) 実施した人間ドックの費用の半額以上を負担していること

受給できる金額

有期契約労働者を対象として、法定外の健康診断を新たに導入し、延べ4人以上の有期契約労働者に実施した場合の受給額は以下のとおりです。

1事業所あたりの金額
中小企業 中小企業以外
原則 生産性向上が認められる場合 原則 生産性向上が認められる場合
38万円 48万円 28万5,000円 36万円

参考:キャリアアップ助成金のご案内(厚生労働省)

賃金規定等共通化コースとは

有期契約労働者の人が正社員と共通の職務を行った場合、同等の賃金を支払うとする賃金規定を作成すると支給される助成金です。

この時、正社員と同一の等級にある有期契約労働者の時給は、正社員の月給を時給換算した金額と同額以上でなければなりません。

対象となる労働者の要件

賃金規程等共通化コースの対象となる労働者については、以下のような決まりが設けられています。

  • (1) 雇用期間
    賃金規定等を共通化する日の全日から起算して3か月以上前の日から、共通化後6か月以上継続して雇用されている
  • (2) 等級
    正規雇用労働者と同一の区分に格付けされている者
  • (3) 雇用保険
    賃金規定を共通化した日以後の6か月間、その事業所において雇用保険被保険者である者
  • (4) 申請日において離職していないこと

事業主としての要件

キャリアアップ助成金共通の要件のほか、以下のような要件をすべて満たす必要があります。

  • (1) 有期契約労働者等について、正規雇用労働者と共通の職務等に応じた賃金規定を新たに作成していること
  • (2) 正規雇用労働者に係る賃金規定を、有期契約労働者の賃金規定と同時あるいはそれより前から導入していること
  • (3) 有期契約労働者の基本給など、職務の内容に関連して支払われる賃金の時間あたりの額を、正規雇用労働者度同額以上とすること
  • (4) 当該賃金規定を6か月以上運用していることなど

受給できる金額

有期契約労働者に関して正規雇用労働者と共通の職務に応じた賃金規定を作成し、適用した場合の助成金の額は以下のようになります。

1事業所あたりの金額
中小企業 中小企業以外
原則 生産性向上が認められる場合 原則 生産性向上が認められる場合
57万円 72万円 42万7,500円 54万円

なお、共通化の対象となった労働者が2人目以降になった場合、助成額は加算されます。

2人目以降の1人あたりの金額
中小企業 中小企業以外
原則 生産性向上が認められる場合 原則 生産性向上が認められる場合
2万円 2万4,000円 1万5,000円 1万8,000円

参考:キャリアアップ助成金のご案内(厚生労働省)

この場合、上限人数は20人までとされます。

諸手当制度共通化コースとは

有期契約労働者に対して、正規雇用労働者と共通の諸手当制度を新たに創設し、適用した事業主に支払われる助成金です。

具体的に候補となる手当の種類は11に及び、この中から適用できるものを選択することができます。

対象となる労働者の要件

諸手当制度共通化コースの適用対象となる労働者については、以下のような決まりが定められています。

  • (1) 雇用期間
    諸手当制度適用前日から起算して3か月以上前の日から、適用後6か月以上継続して事業主に雇用されている者
  • (2) 雇用保険
    諸手当制度適用日以降の期間について、被保険者である者
  • (3) 申請日において離職していないこと

対象となる手当の種類

諸手当については全部で11種類あり、その中のいずれかについて有期契約労働者が対象となる制度を設ける必要があります。

制度の種類は以下のとおりです。

  • (1) 賞与
    通常イメージされるとおりのボーナスのことをいいます。
  • (2) 役職手当
    管理職等としてその役割や責任の重さ等に応じて支給される手当をいいます。
  • (3) 特殊作業手当・特殊勤務手当
    著しく危険、不快、不健康または困難な勤務に従事する労働者に対して支給される手当をいいます。
  • (4) 精皆勤手当
    労働者の出勤奨励を目的として、事業主が定めた出勤成績を見たしている場合に支給されます。
  • (5) 食事手当
    勤務時間内における食事に対する支出を補助する手当をいいます。
  • (6) 単身赴任手当
    同居していた扶養家族と離れて生活する労働者に対して支給される手当をいいます。
  • (7) 地域手当
    特定地域に所在する事業所に勤務する労働者に対して、家賃や物価などの地域差に応じて支給される手当をいいます。
  • (8) 家族手当
    扶養家族のある労働者に対して、扶養親族の続柄や人数に応じて支給される手当をいいます。
  • (9) 住宅手当
    自らや扶養親族が居住するための住宅を借り、あるいは所有する場合に支給される手当をいいます。
  • (10) 時間外労働手当
    法定労働時間を超えた労働時間に対する割増賃金として支給される手当をいいます。
  • (11) 深夜・休日労働手当
    休日や深夜に労働した場合に割増賃金として支払われる手当をいいます。

このうち、(1)賞与については6か月分相当として5万円以上支給している必要があります。

また、(2)役職手当~(9)については1か月分として1つの手当につき3000円以上支給していなければなりません。

さらに(10)と(11)については、法定の割増率の下限より5%以上加算することが求められます。

受給できる金額

諸手当制度共通化コースとして支給される金額は、以下のようになります。

1事業所あたりの金額
中小企業 中小企業以外
原則 生産性向上が認められる場合 原則 生産性向上が認められる場合
38万円 48万円 28万5,000円 36万円

参考:キャリアアップ助成金のご案内(厚生労働省)

選択的適用拡大導入時処遇改善コースとは

従業員500人以下の企業が、社会保険の適用拡大を行い、パートなどの有期契約労働者を保険加入させた場合に支給されます。

対象となる労働者の要件

選択的適用拡大導入時処遇改善コースの適用対象となる労働者は、以下の要件にすべて該当する者です。

  • (1) 有期契約労働者であること
  • (2) 過去3か月の期間継続して有期契約労働者として雇用されていたものであること
  • (3) 過去3か月間、社会保険の適用要件を満たしていなかったこと
  • (4) 申請日において離職していないこと

事業主の要件

選択的適用拡大導入時処遇改善コース助成金を受給するためには、社会保険の適用拡大を実施するだけでは認められません。

有期契約労働者全員の基本給を一定以上の割合増額し、その措置を6か月間実施していなければなりません。

また、社会保険の被保険者とした後に、その加入状況や基本給の上昇を明確にした雇用契約書等を作成しなければなりません。

受給できる金額

選択的適用拡大導入時処遇改善コースの適用を受けた場合に支給される助成金の額は、以下のとおりです。

1事業所あたりの金額
中小企業 中小企業以外
原則 生産性向上が認められる場合 原則 生産性向上が認められる場合
19万円 24万円 14万2,500円 18万円

また、新たに社会保険の被保険者となった有期契約労働者の基本給を一定の割合以上増額した場合、その割合に応じて加算されます。

増額割合 1人あたりの金額
中小企業 中小企業以外
原則 生産性向上が認められる場合 原則 生産性向上が認められる場合
2%以上3%未満 1万9,000円 2万4,000円 1万4,000円 1万8,000円
3%以上5%未満 2万9,000円 3万6,000円 2万2,000円 2万7,000円
5%以上7%未満 4万7,000円 6万円 3万6,000円 4万5,000円
7%以上10%未満 6万6000円 8万3000円 5万円 6万3000円
10%以上14%未満 9万4,000円 11万9,000円 7万1,000円 8万9,000円
14%以上 13万2,000円 16万6,000円 9万9,000円 12万5,000円

参考:キャリアアップ助成金のご案内(厚生労働省)

さらに、有期契約労働者に対して研修制度や評価の仕組みの導入などを行った場合は10万円(中小企業以外は7万5000円)が加算されます。

短時間労働者労働時間延長コースとは

パートタイマーやアルバイトなど、短時間労働者の週所定労働時間を5時間以上延長し、社会保険に加入させた場合に助成される制度です。

また、労働者の手取り収入が減少しないように、週所定労働時間を5時間以内で延長するとともに、基本給を昇給した場合も支給されます。

対象となる労働者の要件

短時間労働者労働時間延長コースの対象となる労働者は有期契約労働者で、過去6か月以上継続して雇用された者です。

また、週の所定労働時間を延長した時間数に応じて、基本給が一定割合以上上昇していることが求められます

  • (1) 1時間以上2時間未満延長した場合は、13%以上上昇している者
  • (2) 2時間以上3時間未満延長した場合は、8%以上上昇している者
  • (3) 3時間以上4時間未満延長した場合は、3%以上上昇している者
  • (4) 4時間以上5時間未満延長した場合は、2%以上上昇している者

なお、5時間以上延長した場合は、上昇率の決まりはありません。

事業主の要件

労働者の時間延長後、6か月以上継続して雇用していることや雇用保険に加入させることが求められます。

また、変更した労働時間や社会保険への加入状況を明確にした雇用契約書等を交付することが求められます。

受給できる金額

短時間労働者の週所定労働時間を5時間以上延長し社会保険に加入した場合の助成金の額は、以下のとおりです。

1人あたりの金額
中小企業 中小企業以外
原則 生産性向上が認められる場合 原則 生産性向上が認められる場合
22万5,000円 28万4,000円 16万9,000円 21万3,000円

労働者の手取り収入が減少しないように週所定労働時間を延長し、新たに社会保険に加入した場合の助成金の額は以下のとおりです。

増加時間 1人あたりの金額
中小企業 中小企業以外
原則 生産性向上が認められる場合 原則 生産性向上が認められる場合
1時間以上2時間未満 4万5,000円 5万7,000円 3万4,000円 4万3,000円
2時間以上3時間未満 9万円 11万4,000円 6万8,000円 8万6,000円
3時間以上4時間未満 13万5,000円 17万円 10万1,000円 12万8,000円
4時間以上5時間未満 18万円 22万7,000円 13万5,000円 17万円

参考:キャリアアップ助成金のご案内(厚生労働省)

キャリアアップ助成金の手続きの流れ


キャリアアップ助成金を受給する際の手続きと、その流れを確認してみましょう。

ここでは、「正社員化コース」の申請を行うものとして説明しますが、大きな流れは他のコースでも大差はありません。

ぜひ参考にしてください。

キャリアアップ計画の作成・提出

雇用保険適用事業所ごとに、キャリアアップ管理者を配置します。

その後、従業員代表者の意見を聞きながらキャリアアップ計画を作成し、労働局長の確認を受けることとなります。

このキャリアアップ計画は、労働者の転換や直接雇用を実施するまでに提出しなければなりません。

就業規則や労働協約の規定を設ける

労働者の転換や直接雇用を実施する前に、改定した就業規則を労働基準監督署に提出しなければなりません

提出する際には、就業規則届や労働者の意見書も必要となります。

この就業規則の改定前に転換・直接雇用を実施しても対象外となってしまいます。

正規雇用への転換・直接雇用の実施

就業規則にしたがって労働者の転換・直接雇用を実施します。

この時も、就業規則の規定に沿って行わなければ対象外となってしまいます。

また、転換を行った場合には、労働条件通知書を労働者に交付するとともに、事業者でも保管しておきます。

転換後6か月分の賃金を支給・支給申請

転換後6か月間、賃金を支給することが条件となっています。

6か月間の賃金を支給したら、その翌日から2か月以内に申請をしなければなりません。

6か月の賃金を支払っていても、支給申請を行うまでに離職してしまったら対象者にはなりません。

審査・支給決定

申請書の内容を審査されます。

支給決定となれば支給決定通知書が届きます。

審査や入金の手続きには時間がかかることから、申請から4か月程度かかる場合もあります。

手続き時の注意点3つ

キャリアアップ助成金を受給するためには、コースごとに細かく決められた要件を満たさなければなりません。

また、仮に不正受給と判断されると、大きなマイナスとなることも考えられます。

必ず適切・適正な申請を行い、申請後の手続きにも誠意を持って対応するようにしましょう。

特に注意すべき注意点について、以下にまとめました。

提出書類の差し替えや訂正はできない

一度提出した申請書類については、申請者側で差し換えを行ったり訂正を申し出たりすることはできません。

また、一度申請した後にその申請を取り下げるといったこともできません。

提出した書類は、そのまま審査にかけられると思っておく必要があります。

そのため、審査書類については、提出前に何度もその内容を確認しておくようにしましょう。

申請書類の追加提出や実地調査への対応が求められる

必要なものはすべてそろえて、申請書類を提出していることでしょう。

しかし、中には書類が不足している場合や、提出した書類だけでは必要な項目が確認できない場合も考えられます。

そのような場合には、提出先から追加の書類を提出するように求められることがあります。

追加の書類がある場合は、あと少しで助成金が受けられるという状態とも考えられます。

追加で提出する必要がある場合は、しっかりと対応するようにしましょう。

また助成金を受ける前、あるいは受けた後に実地調査が行われる場合があります

助成金の種類によっては、必ず実施されるものもあります。

もし実地調査が行われることとなった場合も、きちんと対応するようにしましょう。

不正受給があった場合はペナルティが科される

助成金が欲しいために、不正をはたらくようなことをしてはいけません。

もし不正受給があったと認められた場合、その後少なくとも5年間は助成金を受給できなくなります

また、不正受給した助成金については返還しなければなりませんし、遅延利息に相当する違約金が科されることもあります。

さらに悪質な場合には、刑事事件となることも考えられます。

絶対に不正受給をしてはならないのです。

まとめ

キャリアアップ助成金は、新たに従業員の雇用を行った場合に支給される多くの助成金とは異なります。

労働者のスキルや能力を高めて、収入のアップにつなげるとともに、事業者としても優秀な人材の育成を図る狙いがあります。

1つ1つの要件は簡単にクリアできるものばかりではありませんが、実施すれば労働者・事業者ともにメリットがあります。

ご紹介した各コースの内容を理解し、事業者の実情にあった形で利用できるものを利用していきましょう。

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