最終更新日:2025/12/17
週末起業の注意点とは?副業として始めやすいアイデア例や税金について解説

ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
近畿税理士会 北支部所属(登録番号:121535)
1977年生まれ、奈良県奈良市出身。
起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネルを運営。
PROFILE:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_writing/#p-mori
YouTube:会社設立サポートチャンネル【税理士 森健太郎】
書籍:プロが教える! 失敗しない起業・会社設立のすべて (COSMIC MOOK) ムック

「今の会社に勤め続けながら、副収入を得たい」「将来のために、自分のビジネスを持ってみたい」と考え、副業に興味を持つ会社員の数は年々増えています。
しかし、いざ始めようとすると「会社にバレたらどうしよう」「税金や確定申告の手続きが難しそう」といった不安が先立ち、なかなか第一歩を踏み出せない方も多いのではないでしょうか。
本記事では、会社員が副業を始める際に必ず知っておくべき「会社バレ対策」や「税金の基礎知識」を、税理士が分かりやすく解説します。
さらに、低リスクで始められる15の具体的な起業アイデアや、事業を軌道に乗せるためのロードマップまで網羅しました。
この記事を読めば、抱えている漠然とした不安が解消され、安全かつ着実に副業をスタートするための具体的な道筋が見えてくるはずです。


目次
副業が勤務先にバレる全パターンと回避策
副業を検討する多くの会社員が心配することが、勤務先への副業の発覚です。
副業が発覚する原因の大半は、本人の不注意か、税金のしくみによるものです。
ここでは、税務上のしくみから生じる発覚リスクとその具体的な回避策、そして日常的な行動における注意点を解説します。
就業規則の「副業禁止規定」は法的に有効か?
まず前提として、就業規則に「副業を禁止する」といった内容が記されていたとしても、その規定がすべてのケースで法的に有効となるわけではありません。
憲法で保障されている「職業選択の自由」に基づき、原則としてすべての労働者には、勤務時間外の時間で副業を行う権利があります。
しかし、副業が本業の会社に損害を与える可能性がある場合には、会社の禁止規定が有効と判断される可能性があります。
具体的には、以下のようなケースが該当します。
- 競業避止義務違反:本業と競合する他社で働く、または競合する事業を自ら立ち上げる場合
- 情報漏洩のリスク:本業で知り得た機密情報を副業先で漏洩する恐れがある場合
- 本業への支障:副業による長時間労働や過労が原因で、本業の業務遂行に支障をきたす場合(遅刻、欠勤、業務効率の著しい低下など)
- 会社の信用失墜:副業の内容や方法が、本業の会社の社会的信用を傷つける場合
過去の裁判例でも、上記のような具体的な実害やリスクが認められない限り、一律の副業禁止は無効とされる傾向にあります。
もっとも、法的に有効とされないとしても、副業禁止の会社に勤めながら、こっそり副業を行うことは大きなトラブルのもとになります。
会社との信頼関係を損なわないためにも、就業規則を十分に確認し、不安な点は事前に人事担当部署や上司に相談することをおすすめします。
副業がバレる最大の理由:「住民税」の特別徴収
会社員の場合、副業が勤務先に発覚する最も一般的な原因は「住民税」です。
通常、会社員の住民税は、勤務先が毎月の給与から天引きして代わりに納付します。
これを「特別徴収」と呼びます。
市区町村は、前年のすべての所得(本業の給与+副業の所得)を合算して住民税額を決定し、毎年5月ごろに勤務先へ「住民税決定通知書」を送付します。
副業による所得があると、本業の給与のみから計算される本来の住民税額よりも、通知される税額が高くなります。
勤務先の経理・人事担当者がこの通知書を見た際に「給与に対して住民税が不自然に高い」という点から、給与以外の所得があること、すなわち副業の存在が推測されてしまうのです。
副業バレを回避する対策「普通徴収」とは?
住民税による発覚を防ぐ最も有効な手段は、副業分の住民税を自分で納付する「普通徴収」を選択することです。
確定申告書には、「住民税・事業税に関する事項」という欄があり、住民税の徴収方法を選択できます。
ここで「自分で納付」(普通徴収)を選択すると、副業所得にかかる住民税の通知は自宅に届き、自身で納付することになります。
勤務先には本業分の住民税額のみが通知されるため、金額の違和感から発覚するリスクを回避できます。
ただし、この方法が有効なのは、副業が「事業所得」や「雑所得」(報酬形式)の場合です。
アルバイトやパートのように「給与所得」として報酬を得ている場合は、原則として主たる勤務先の給与から合算して特別徴収されるため、普通徴収を選択できないケースが大半です。
自身の副業がどの所得区分に該当するか、事前に確認しておく必要があります。

これに伴い、一部の自治体では、たとえ副業が「事業所得」や「雑所得」であっても、原則として本業の給与からまとめて特別徴収する運用を行っている場合があります。
不安な方は、あらかじめお住まいの市区町村の住民税担当部署へ、電話などで直接確認しておきましょう。
よくある発覚ケースと注意点
税金以外の要因でも、日常の些細な行動から副業が発覚するケースは少なくありません。情報管理と行動には細心の注意が必要です。
副業が勤務先に発覚してしまう際の、よくあるケースと注意点についてまとめました。
| 発覚ケース | 具体的な状況と原因 | 回避するための注意点 |
|---|---|---|
| 社内での会話 | 同僚への不用意な発言が噂となり、上層部の耳に入る。 | 信頼できる同僚であっても、社内では一切口外しないことを徹底する。 |
| SNSの特定 | 実名や顔出しでの活動、または匿名でも投稿内容(勤務地の写真や業務内容の記述)から個人が特定される。 | 副業用アカウントは本業と完全に切り離し、個人が特定される情報を一切掲載しない。 |
| 作業現場の目撃 | 本業の勤務時間中やオフィス周辺で副業を行い、関係者に目撃される。 | 副業は完全にプライベートな時間と場所で行い、本業のパソコンやスマートフォンを絶対に使用しない。 |
副業で「損しない」ための税金・確定申告ガイド
副業を始めるにあたり、税金の知識は欠かせません。適切な申告を行わないと、追徴課税などのペナルティーを受けるリスクがあります。
ここでは、会社員が副業を行ううえで理解しておくべき税金の基本と、確定申告の流れについて解説します。
年間いくらから必要?「所得20万円の壁」の正確な理解(住民税申告の要否)
副業の所得が年間20万円を超えると、原則として確定申告が必要です。
ここで重要なのは、「収入」ではなく「所得」が基準となる点です。
所得とは、売上から経費を差し引いた金額を指します。
たとえば、副業の年間売上が100万円、かかった経費が30万円の場合、所得は70万円となり、確定申告が必要です。
一方、売上が30万円でも経費が15万円であれば、所得は15万円となり、所得税の確定申告は不要となります。
ただし、所得税で20万円以下の申告不要制度を利用した場合でも、住民税については自治体の案内に基づき、別途「住民税申告」が必要となる場合があります。
住民税は、所得の金額にかかわらず、前年の所得に基づいて計算され、各市区町村の役所で申告を行う必要があります。
この手続きを怠ると、住民税の納付漏れとなり、延滞金が発生する可能性があるため注意が必要です。
会社員が行う「確定申告」の基本的な流れ
確定申告とは、1月1日から12月31日までの1年間の所得を計算し、翌年の2月16日から3月15日までの間に税務署へ申告・納税する手続きです。
主な確定申告の流れは、以下の表のとおりです。
| ステップ | 内容 | 時期・備考 |
|---|---|---|
| 1・準備 | 源泉徴収票、支払調書、経費の領収書などを準備する | 年明け~2月中旬 |
| 2・作成 | 国税庁の「確定申告書等作成コーナー」などを利用し、申告書を作成する | 2月中旬~3月中旬 |
| 3・提出 | 作成した申告書を管轄の税務署へ提出する。e-Tax(電子申告)も利用可能 | 2月16日~3月15日 |
| 4・納税 | 算出された所得税を納付する。振替納税を利用すると便利 | 3月15日まで (振替納税は4月中旬) |
確定申告書の作成には、副業の収入や経費を証明する書類が必要です。
日頃から領収書や請求書を整理・保管しておくことで、申告時期の作業負担を軽減できます。
また、青色申告を検討している場合は、事前に「青色申告承認申請書」を提出する必要があるため、早めの準備が肝要です。
青色申告と白色申告のどちらが有利?
事業として副業を行う場合、確定申告には「青色申告」と「白色申告」の2種類があり、どちらを選ぶかによって税金の負担額が変わります。
節税メリットが大きいのは「青色申告」ですが、事前の申請が必要です。
また、より大きな節税メリットを受けるためには、複式簿記による帳簿付けや、e-Taxでの電子申告、優良な電子帳簿の作成などの条件を満たさないといけません。
副業の所得が年間数十万円程度で、手間をかけたくない場合は白色申告でも問題ありません。
しかし、将来的に事業を拡大したい、あるいは少しでも税金を減らしたいと考えるなら、会計ソフトなどを活用して青色申告に挑戦することで、大きなメリットを得られます。
青色申告の詳しいメリットについては、以下の記事で解説しています。
「開業届」提出のタイミングとメリット・デメリット
開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)とは、事業開始の事実を税務署へ知らせるための届出です。
提出期限は開業日から1カ月以内(2026年以後に開業した場合は、その年の確定申告書の提出期限まで)ですが、遅延に対する罰則規定などは公表されていない書類でもあります。
開業届を提出する最大のメリットは、青色申告が可能になる点です。
青色申告を行うには、開業届とは別に「青色申告承認申請書」の提出が必要です。
この申請書は原則として3月15日まで、ただしその年の1月16日以降に新規開業した場合は開業日から2カ月以内が提出期限となります。
また、屋号付きの銀行口座の開設が可能になり、事業としての社会的信用が得やすくなる効果もあります。
しかし、雇用保険受給中に自営を開始すると、原則として失業の状態を満たさないと判断され、支給対象外になります。
もっとも、起業後に廃業した場合に備え、受給期間を最大3年、先に延ばせる「事業開始等による受給期間の特例」もあります。
参考:離職後に事業を開始等した方は雇用保険受給期間の特例を申請できます|厚生労働省(PDF)
また、配偶者の扶養に入っている場合も注意が必要です。
健康保険組合によっては、開業届を出した時点で個人事業主とみなされ、扶養から外れる規定を設けているところもあります。
自身の状況に合わせて、提出時期を慎重に検討しましょう。
開業届のメリットとデメリットについては、以下の記事で詳しく解説しています。
インボイス制度への登録は必要か?
2023年10月から開始されたインボイス制度は、個人事業主だからといって必ずしも登録しなければならない制度ではありません。
インボイス制度に登録するかどうかの判断基準は「主な取引先が誰か」という点です。

これに登録して「適格請求書発行事業者」になると、取引先にインボイス(適格請求書)を発行できます。
取引先が課税事業者(主に企業)の場合、インボイスがないと消費税の控除ができず、取引先の税負担が増えます。
そのため、取引相手にもインボイス制度への登録を要求し、それに応えられない事業者とは取引を取りやめたり、税負担分の値上げを要求することがあります。
一方、取引先が一般消費者や免税事業者であれば、インボイスは不要なため、登録の必要性は低くなります。
また、副業の年間売上が1,000万円以下であれば、本来は消費税の納税が免除される「免税事業者」でいられます。
しかしインボイス制度に登録すると、登録者自身も「課税事業者」となり、売上規模にかかわらず消費税の申告・納税義務が発生します。
インボイス制度に登録するか検討する際には、登録による事務負担や消費税の納税負担の増加と、取引維持のメリットを比較検討する必要があります。
サラリーマンの副業でのインボイス制度への対策については、以下の記事で詳しく解説しています。
副業における「経費」の判断基準
副業で得た収入から差し引くことができる「経費」は、正しく計上すれば節税につながります。しかし何でも経費にできるわけではありません。
基本的な判断基準は「その副業での収入を得るために直接必要だったか」という点です。
事業に必要だったと証明しにくい支出は、経費にしたとしても、税務署から否認される可能性があります。
| 経費にできる可能性が高いもの | 経費として認められにくいもの |
|---|---|
| 仕入・材料費 | 私的な飲食・旅行費 |
| 業務用PC・ソフト代 | 事業と無関係な衣類・美容費 |
| 打ち合わせや出張のための交通費 | 事業内で発生した駐車違反の反則金などの罰金・過料 |
| スキルアップのための書籍代・セミナーなどの参加費 | 健康診断の費用 (従業員がいる場合は福利厚生費として経費算入できる) |
個人事業主が経費にできるものについては、以下の記事で詳しく解説しています。
また、自宅で副業を行う場合、家賃や電気代、インターネット通信費の一部を経費にできる「家事按分(かじあんぶん)」という考え方があります。
家事按分では、1日のうち8時間を副業に使っている、自宅の床面積の30%を仕事専用スペースにしているといった合理的な基準から、事業に使用した分だけを経費に計上します。
税務調査が入った際になぜこの割合で経費にしたのかを説明できるよう、計算根拠を記録しておくことが重要です。
会社員向け「低リスク」副業・起業アイデア15選
会社員が副業から起業を目指す場合、本業への支障を最小限に抑えるため「低リスク」「在宅完結」「スキマ時間の活用」といった条件が重要となります。
ここでは、これらの条件を満たす15のアイデアを、以下の3つのモデルに分けて紹介します。
- サービス提供型モデル
- メディア運営型モデル
- タスク完結型モデル
それぞれのモデルの特徴や、ピックアップしたアイデアの詳細についても詳しく解説します。
【サービス提供型】経験やスキルを「堅実な収益」に変えるアイデア5選
クライアントの課題を解決することで報酬を得るモデルです。
契約のとおりに業務を行えば確実に報酬が得られるため、週末起業のなかでも収益の見通しが立ちやすいのが特徴です。
- Webライティング
- SNS運用代行
- オンライン秘書
- 資料作成代行
- スポットコンサル
これらのアイデアのなかから、Webライティングの特徴について詳しく見てみましょう。
| 概要 | 検索エンジン(SEO)を意識した記事や、取材記事などを執筆する |
|---|---|
| 初期費用目安 | 0~1万円(関連書籍代など) |
| 週稼働目安 | 約5時間~(納期を守れればペース配分は自由) |
| スキマ時間対応 | ◯(スマートフォンでの構成案作成や下書きも可能) |
| 必要なスキル | わかりやすく伝える文章力、正確な情報収集(リサーチ)能力 |
| あると望ましい経験 | ブログ運営経験、特定の専門分野(金融・不動産・医療など)の知識 |
| メリット | 案件数が豊富で即金性が高い |
| デメリット | 初心者向け案件は文字単価が低い傾向があるため、専門性を磨いて単価アップを目指す必要がある |
Webライターなどサービス提供型のモデルは、特別な初期投資を必要とせず、PC1台から始められるものが多い点も、リスクを抑えたい会社員の副業として適しています。
一方で、自分が動かなければ収入が0になる「労働集約型」の側面が強く、本業が多忙な時期は両立が難しくなるといったリスクも伴います。
【メディア運営型】労働時間から脱却し「将来の資産」を作るアイデア5選
自分が働いていない間も収益を生み出す「コンテンツ(資産)」を積み上げていくモデルです。
初期は無収入の期間が続きますが、軌道に乗れば労働時間に比例しない大きな収益が見込めます。
- 特化型ブログ運営
- デジタルコンテンツ販売
- YouTube配信
- ストックフォト・イラスト
- 音声配信(ポッドキャスト)
たとえば特化型ブログ運営の特徴は、以下のとおりです。
| 概要 | 読者の悩みを解決する記事を書き溜め、検索からの流入を集めて広告収入を得る |
|---|---|
| 初期費用目安 | 月額1,000円程度(レンタルサーバー代、ドメイン代) |
| 週稼働目安 | 5~10時間(自分のペースでOK) |
| スキマ時間対応 | ◎(場所や時間を選ばずに作業可能) |
| 必要なスキル | 読者ニーズの分析力、SEOライティング、継続力 |
| メリット | 初期費用が安い、在庫リスクがない、不労所得に近い収益源になる |
| デメリット | 収益化まで半年~1年ほどかかることも多く、魅力的なコンテンツを作成できないと収入源にならない。 |
このモデルの本質は、労働時間と収益が切り離される「事業の拡張性」にあります。
クライアントワークは「1時間の労働=1時間分の対価」ですが、デジタルコンテンツは1人に届けるのも1万人に届けるのも、制作にかかる手間は変わりません。
一度制作したコンテンツが、24時間365日休まず稼働する優秀な営業マンとしての役割を果たすため、個人の労働時間の限界を超えた大きな収益を目指すことが可能です。
また、将来的に収益化したメディア自体を売却(M&A)する「出口戦略」が描ける点も、単なる労働とは一線を画す「事業」ならではの特徴です。
【タスク完結型】特別な知識不要で「月数万円」を目指すアイデア5選
マニュアル化された単発の作業を行うモデルです。
高度な専門スキルは求められないため、誰でもすぐに始められるのが最大のメリットです。
- データ入力・リスト作成
- 文字起こし(テープ起こし)
- Web・アプリのテスト(デバッグ)
- ECサイト商品登録代行
- 不用品販売(フリマアプリ)
データ入力・リスト作成の特徴は、以下のとおりです。
| 概要 | クライアントから指定されたフォーマットに従い、文字やデータを正確に入力する。 |
|---|---|
| 初期費用目安 | 0円(PCとネット環境があれば可) |
| 週稼働目安 | 約5時間~(案件単位のため調整しやすい) |
| スキマ時間対応 | ◎(10分単位の細切れ時間でも進めやすい) |
| 必要なスキル | 基本的なPC操作、タイピングスピード、正確性 |
| メリット | 専門スキルが不要で採用されやすい、人間関係のストレスがほぼない |
| デメリット | 誰でもできる作業のため単価が低く、大きく稼ぐには長時間の作業が必要となる |
このように、タスク完結型のモデルは副業として始めやすいだけでなく、稼働時間が調整しやすく、初期費用もあまり必要としないものが多い点が特徴です。
スキルが要求されない分、単価も安くなりがちではありますが、本業が忙しいサラリーマンの副業として、まずはなにか始めたいという人に適したモデルです。
副業を「事業」へ移行するためのロードマップ
副業からスタートし、将来的にそれを本業(事業)とするためには、段階的な成長戦略が必要です。
最初から完璧を目指すのではなく、小さく始めて徐々に拡大していくステップを踏みましょう。
事業に至る道のりは人それぞれですが、大きく分けて以下の3つのステップで、事業を成長させます。
- 最初の収益を上げる
- 収益を安定化させる戦略を立てる
- 3つの客観的基準をもとに「本業化」を検討する
それぞれの流れについて詳しく解説します。
Step1:最初の収益を上げる
副業の第一歩は、月に1,000円でもいいので「会社からの給与以外で、自分の力で稼ぐ」経験をすることです。
多くの人が準備に時間をかけすぎ、完璧な状態を目指して足踏みしてしまいます。
「まだスキルが足りない」「失敗したらどうしよう」という不安は自然なものですが、ビジネスにおいて最も価値があるのは市場からのフィードバックです。
まずはクラウドソーシングサイトに登録してみる、知人にモニターになってもらう、不用品を1つ売ってみるなど、すぐにできる小さな行動から始めましょう。
この段階では、個人事業主になるための「開業届」の提出を焦る必要はありません。
税務上、開業届を出さなくても罰則はなく、収益が発生した時点で実質的に事業は開始しているとみなされます。
まずは売上を作ることに集中し、事業が軌道に乗って継続が見込める段階、あるいは青色申告のメリットを受けたいタイミングで提出を検討すれば十分です。
ただし、たとえ少額でも収益が発生し始めたら、金銭管理の習慣は必須です。
事業用の銀行口座(既存のものでもOK)を1つ決め、入出金をプライベートのものと明確に分けてください。
また、将来の確定申告に備え、売上の記録はもちろん、経費精算で必要な領収書やレシートは必ず保管しておきましょう。
Step2:収益を安定化させる戦略を立てる
最初の売上が立ったら、次はそれを「継続的な収益」に変えるフェーズに入ります。
単発の案件をこなすだけでは、常に次の仕事を探さなければならず、疲弊してしまいます。
収益安定化の鍵は「リピート率の向上」と「単価アップ」です。
クライアントワークであれば、一度の取引で終わらせず、質の高い仕事で信頼を獲得し、継続契約を打診しましょう。
メディア運営であれば、定期的な更新でリピーターを増やし、アクセスを安定させます。
また、自身の作業時間を切り売りするだけでなく、一部の業務を外注化したり、ツールを活用して自動化したりすることで、稼働時間を減らしながら売上を維持・拡大するしくみ作りも意識し始めましょう。
Step3:3つの客観的基準をもとに「本業化」を検討する
副業が軌道に乗り、「会社を辞めて独立したい」と考えたとき、感情だけで判断するのは危険です。
以下の3つの客観的な基準をクリアしているか、冷静にチェックしましょう。
- 半年以上の継続的な「粗利」が、本業の手取りを超えているか
- 半年~1年分の生活費を貯蓄できているか
- 事業拡大の見込みがあるか
なお、この段階まで来れば、事業拡大のために資金調達を検討するのも有効な手段です。
事業の実績があれば、「日本政策金融公庫の創業融資」や「小規模事業者持続化補助金」といった、国や自治体の支援制度を活用しやすくなります。
これらの制度をうまく活用することで、リスクを抑えつつ事業を一気に加速させることが可能になります。
適切な「撤退基準」の設定
副業や週末起業において、「始め方」と同じくらい重要なのが「やめ方(撤退基準)」です。
特に本業を持つ会社員の場合、ずるずると続けて時間や資金を浪費し、本業や私生活に悪影響が出ては本末転倒です。
感情的な判断を避けるため、あらかじめ客観的な「撤退ライン」を設けておきましょう。
以下の3つの観点から上限を設定することをおすすめします。
- 期間の上限
- 金銭的損失の上限
- 時間的・精神的負荷の上限
それぞれについて詳しく解説します。
基準その1:期間の上限
副業を始めるにあたり「まずは半年間やってみる」といった期限を設けます。
そして、その期限内に月1万円の利益の達成など、目標とする成果を決め、それを達成できなかった時点で一旦立ち止まるという基準をあらかじめ定める方法です。
こうした場合、ビジネスモデル自体が合っていないか、方法が間違っている可能性があるため、潔く撤退するか、アプローチを根本的に変える必要があります。
基準その2:金銭的損失の上限
「赤字が累計10万円を超えたら撤退する」といった明確な金額基準を決める方法です。
副業や週末起業は低リスクで始めるのが鉄則ですが、広告費や仕入れなどで予期せぬ損失が出ることもあります。
生活防衛資金には絶対に手を付けず、余剰資金の範囲内で許容できる最大損失額を事前に決めておくことが、経済的な致命傷を避ける命綱となります。
基準その3:時間的・精神的負荷の上限
「本業で遅刻が増えた」「家族と過ごす時間がゼロになった」「体調を崩した」といった事態を想定し、そうなってしまった時点で撤退することを決めておく方法です。
副業はあくまで人生を豊かにするための手段であり、心身の健康や本業、大切な人間関係を犠牲にしてまで続けるべきではありません。
こうした兆候が現れたら、たとえ収益が出ていても、勇気を持って休止または撤退する決断が必要です。
まとめ:副業・起業への安全な第一歩を踏み出すために
本記事では、会社員がリスクを抑えて副業や週末起業を始めるための重要なポイントを解説しました。
まず、多くの会社員が懸念する「勤務先への発覚」は、住民税の徴収方法を普通徴収に切り替えることで回避できる可能性が高まります。
税金については、副業の年間所得が20万円を超えた場合に確定申告が必要となりますが、20万円以下であっても住民税の申告は必須である点に注意が必要です。
副業として取り組む場合の職種は、初期費用がかからず在宅で完結するものが適しています。
自身の状況に合わせて、確実な収益が見込める「サービス提供型」、将来の資産を作る「メディア運営型」、すぐに始められる「タスク完結型」から適したものを考えてみましょう。
そして、本業や私生活を守るため、あらかじめ期間や損失額といった「撤退基準」を設けておくことが、健全な事業継続の鍵となります。
不安要素を正しく理解し対策すれば、週末起業は決して怖いものではありません。まずはリスクの少ない小さな一歩から、行動を起こしてみましょう。
起業について悩みや疑問があれば税理士に相談しよう
副業が軌道に乗り、売上が大きくなってくると、「自分の確定申告はこれで合っているのか?」「そろそろ法人化したほうが節税になるのでは?」といった、新たな悩みが出てくるものです。
税金の取り扱いや事業の方向性で迷った際は、専門家である税理士に相談するのが最も確実な解決策です。
ベンチャーサポート税理士法人では、個人事業主の方へ向けた税務相談や、確定申告のサポートを行っております。
税理士だけでなく行政書士や司法書士、社労士も在籍しているため、さまざまな内容の案件にもワンストップで対応が可能です。
事業をより発展させるための「会社設立」や、創業計画書の作り方、融資を受けるためのサポートなども行っています。
レスポンスの速さにも定評があるため、初めての方もお気軽にご相談ください。




















