私の父親はかつて従業員30名ほどの中小企業を経営していました。
すでに10年ほど前に経営から退いて、その後は部下にその経営を任せていました。会社の株式を少しずつ今の経営者に譲渡していたのですが、まだ大部分は父親が保有したままとなっておりました。
ところが先日、その父が体調を崩して急に亡くなってしまいました。
預貯金や不動産などの財産については、おおよその金額を把握していたためそれほど不安は感じていないのですが、会社の株式についてはいくらくらいの評価額になるのか、相続税はどれくらいになるのか、全く分からないため不安です。
また、株式の評価額があまりに高いと、相続税を納税できなくなるのではないかという不安も感じています。このような場合には、何らかの救済措置があるのでしょうか。
有価証券を相続した場合は、その株式の相続税評価額を計算し、相続税の計算を行います。
その株式が上場株式である場合には、亡くなった日の時価をベースにして相続税評価額の計算を行うこととされています。
一方、非上場会社の株式を相続した場合には、原則としてその会社の純資産額あるいはその会社の利益金額や配当額を同業他社と比較して評価する方法によって計算します。
いずれの評価方法によるかは、会社の業種や規模などによって決めなければならないため、正しい相続税評価額を算出するため、専門家の方やその会社の方に相談されるといいでしょう。
長年会社を経営してきて利益が積みあがっていると、株価がかなり高くなっていることが予想されます。
このような場合、相続財産はたくさんあるのに現金があまりないため、相続税の納税ができないということが起こるかもしれません。
そのような事態を防ぐため、現金を増やす方法と、すぐに納税できない場合の対処法について説明いたします。
(1)現金を増やすには
株式の相続税評価額が高すぎて相続税が払えないのであれば、その株式を現金に換えることができないか考えてみましょう。
一番いいのは、相続した株式をその発行会社に買い取ってもらう方法です。この場合、会社側では自己株式の取得という手続きを行うこととなります。会社にはそれほど大きなメリットがないうえ、株式を取得するための資金がなければ買い取りを行うことができないため、思いどおりにいくとは限りません。
また、第三者に株式を譲渡することが可能な場合もあります。ただし、非上場株式の多くは勝手に株式を売買することはできず、会社の了承を得る必要があるため、こちらも思惑どおりに売却できない可能性があります。
将来的にはいずれかの方法で手放すという形になると思いますが、相続した株式をすぐに現金化するのは難しいといえるでしょう。
(2)相続税をすぐに支払えない場合の対処法
相続税を相続開始から10か月以内に、一度に支払うことができない場合は、延納制度を利用できる場合があります。
延納が認められれば、最大20年程度まで分割で相続税を支払うことが認められます。
また、不動産など現金以外の財産で税金を納める物納制度もあります。
非上場株式も物納が認められる財産であるため、会社の株式で相続税を支払うことも選択肢に入れておく必要があるでしょう。
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