この記事でわかること
- 50代で遺族年金を受給するための要件
- 50代で受給できる遺族年金の期間や金額
- 50代で夫を亡くした妻が受け取れる遺族年金・お金
- 50代の夫婦が老後に備える方法
生計を維持していた夫または妻が亡くなったとき、配偶者には遺族年金が支給されます。
万が一、50代で夫または妻が亡くなった場合、自分がどれだけの期間、どれぐらいの金額を受給できるのかわからない方は多いのではないでしょうか。
この記事では、50代で配偶者が死亡した場合の遺族年金について解説します。
受給するための要件や受給金額、老後に備えた資産形成の方法についても詳しく説明するのでぜひ参考にしてください。
目次
50代で配偶者が亡くなると遺族年金は受給できる?
50代で妻または夫を亡くした場合、亡くなった人に生計を維持されていた配偶者は遺族年金を受け取れます。
遺族年金には、「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の2種類がありますが、それぞれ受給できる要件や金額が異なります。
ここからは、それぞれの年金について事例を挙げて解説します。
遺族基礎年金
遺族基礎年金は、国民年金に加入していた人が亡くなったときに、子どものいる配偶者と子どもが受給できる年金です。
ここで言う「子ども」とは、18歳になった年度の3月31日までの子ども、または20歳未満で障害年金の障害者等級1級または2級の子どもを指します。
ただし、子どものいる配偶者が遺族基礎年金を受け取っている期間は、子どもは遺族基礎年金の受給対象になりません。
たとえば、50代の自営業を営む夫、50代の専業主婦の妻、22歳の子どもの3人家族で、夫が亡くなった場合、子どもが18歳を超えているため妻子ともに遺族基礎年金を受け取ることができません。
遺族厚生年金
遺族厚生年金は、厚生年金保険に加入している人(会社員や公務員)が亡くなったときに、子どものいる配偶者、子ども、子どものいない配偶者、父母、孫、祖父母が受給できる年金です。
ここでいう「子ども」も遺族基礎年金と同義で、18歳になった年度の3月31日までの子ども、または20歳未満で障害年金の障害者等級1級または2級の子どもを指します。
上記の順番で受け取ることができ、子どものいない配偶者なども受給対象となる点で遺族基礎年金と異なります。
たとえば、先ほどと同じく50代の会社員の夫、50代の専業主婦の妻、22歳の子どもの3人家族で、夫が亡くなった場合、妻が遺族厚生年金を受け取ることができます。
ただし、遺族基礎年金と違い、遺族が子どものいない30歳未満の妻の場合は受給期間が5年間に限られたることや、遺族が子どものいない夫の場合は夫が55歳以上でなければ受給できないなど、遺族の年齢などによって制限が設けられる点には注意しましょう。
遺族年金の受給要件
50代で遺族年金を受け取るには、一定の要件を満たす必要があります。
まず、遺族年金を受給するには、亡くなった人に「生計を維持されていた」ことが必要となり、遺族は前年の収入が850万円未満(所得が655万5千円未満)でなければなりません。
ここからは、遺族基礎年金と遺族厚生年金を受給するための要件を詳しく解説します。
遺族基礎年金の要件
50代で遺族基礎年金を受け取るには、以下の要件を満たす必要があります。
- 亡くなった人が国民年金に加入していたこと
- 亡くなった人が死亡日の前日の時点で、死亡日が含まれる月の前々月までの直近1年間に国民年金保険料の未納がないこと
万が一長期間の未納があると、受給要件を満たさない可能性があるので注意しましょう。
遺族厚生年金の要件
50代で遺族厚生年金を受け取るには、以下のいずれかの要件を満たす必要があります。
- 会社員や公務員で厚生年金に加入している間に亡くなったこと
- 厚生年金の加入中に初診日のある傷病が原因で厚生年金被保険者の資格を失い、その初診日から5年以内に亡くなったこと
- 1級または2級の障害厚生年金を受給している間に亡くなったこと
- 亡くなった人が死亡日の前日の時点、死亡日が含まれる月の前々月までの直近1年間に厚生年金保険料の未納がないこと
会社員や公務員の場合は、基本的に厚生年金保険料が給料で天引きされるので、亡くなるまで会社に勤めていれば要件を満たしていると考えられます。
遺族年金の受給金額
実際に、配偶者を亡くした場合、遺族は遺族年金をいくら受け取れるのでしょうか。
ここからは、遺族基礎年金と遺族厚生年金の受給金額や計算方法について、事例を挙げて詳しく解説します。
遺族基礎年金の受給金額
2024年度の遺族基礎年金の受給額は、一律81万6,000円で、これに18歳未満の子どもの人数に応じて加算されます。
子どもが2人までは1人当たり23万4,800円、3人目以降は1人当たり7万8,300円が加算されます。
具体的には、以下のように変更されます。
- 子どもが1人の場合:81万6,000円+23万4,800円=105万800円・子どもが2人の場合:81万6,000円+46万9,600円=128万5,600円
- 子どもが3人の場合:81万6,000円+46万9,600円+7万8,300円=136万3,900円
以降、子どもの人数に応じて加算されます。
遺族厚生年金の受給金額
配偶者を亡くした人の遺族厚生年金の受給額は、老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3の金額です。
老齢厚生年金とは、厚生年金に加入していた会社員や公務員が受け取れる年金であり、報酬比例部分は、亡くなった人の厚生年金の加入期間や収入などによって決まります。
報酬比例部分は、以下の計算式で算出できます。
計算式
- A = 平均標準報酬月額(※1) × 1000分の7.125 × (平成15年3月以前の加入月数)
- B = 平均標準報酬額(※2) × 1000分の5.481× (平成15年4月以降の加入月数)
- 報酬比例部分 = A + B
- (※1)平均標準報酬月額とは、平成15年3月以前の加入期間の計算の基礎となる各月の収入の総額を、平成15年3月までの加入期間の月数で割った額
- (※2)平均標準報酬額とは、平成15年4月以降の加入期間の計算の基礎となる各月の収入と賞与の総額を、平成15年4月以降の加入期間の月数で割った額
また、報酬比例部分を計算する際、厚生年金の加入期間が300カ月(25年間)未満の場合は、一律300カ月とみなします。
基本の計算式は上記のとおりですが、遺族厚生年金の加入期間や収入、その他の条件によっては計算が複雑になります。
正確な遺族厚生年金の受給額を把握したい場合は、年金事務所や社会保険労務士などの専門家に確認するのがよいでしょう。
夫を亡くした妻が受け取れる遺族年金・お金
ここからは、50代で夫が亡くなった場合、妻が受給できる遺族年金やお金について詳しく解説します。
遺族基礎年金
先述したとおり、夫が国民年金に加入している間に亡くなり、18歳未満の子どもがいれば、妻は遺族基礎年金を受給できます。
たとえば、亡くなった夫(自営業)と妻に16歳と22歳の子どもがいる場合、先述した遺族基礎年金の要件や計算式にあてはめると、81万6,000円+23万4,800円で、妻子は105万800円を受給できることになります。
遺族厚生年金
夫が厚生年金に加入している間に亡くなった場合、妻は遺族厚生年金を受給できます。
たとえば、平成10年から会社員として働いていた夫が令和6年に亡くなったケースで考えてみましょう。
平均標準報酬月額の期間(平成15年3月まで)は72カ月、平均標準報酬額の期間(平成15年4月以降)が252カ月となります。
仮に、亡くなった夫の平均標準報酬月額は30万円、平均標準報酬額は40万円だった場合、先述した遺族厚生年金の計算式にあてはめると、以下のような計算となります。
計算
- 平成15年3月まで:30万円 × 1000分の7.125 × 72カ月 = 15万3,900円
- 平成15年4月以降:40万円 × 1000分の5.481 × 252カ月 = 55万2,484円
- 15万3,900円 + 55万2,484円 × 4分の3=52万9,788円
つまり、このケースでは、妻は年間52万9,788円の遺族厚生年金を受け取れるのです。
中高齢寡婦加算
夫が亡くなったとき、40歳以上65歳未満で子どもがいない妻は、遺族厚生年金に加えて中高齢寡婦加算を受給できます。
ちなみに、2024年度の中高齢寡婦加算額は、年額61万2,000円です。
ただし、遺族基礎年金との併給はできず、亡くなった夫が厚生年金に20年以上加入していたことが要件となります。
たとえば、会社員の夫を亡くした妻が50歳、子どもが15歳のケースで考えると、以下のようになります。
- 子どもが18歳になるまでの3年間、妻は遺族基礎年金と遺族厚生年金を受給
- 子どもが18歳になった後、妻は64歳まで遺族厚生年金と中高齢寡婦加算を受給
死亡一時金
亡くなった夫が自営業者などの国民年金加入者であった場合、遺族である妻は死亡一時金を受給できることがあります。
ただし、亡くなった夫が国民年金保険料を3年(36カ月)以上支払っていることと、夫が年金を受け取らずに亡くなったことが要件となります。
死亡一時金の受給額は、亡くなった夫が国民年金保険料を支払っていた期間にもよりますが、12万円~32万円となります。
50代の夫婦が老後に備える方法
生計を維持していた配偶者が亡くなった場合は遺族年金を受給できますが、家賃や住宅ローン、日々の生活費がかかる中、遺族年金だけでは生活が苦しくなるでしょう。
万が一の事態に備えるおすすめの方法として、以下の2つが挙げられます。
- 毎月決まった額を貯金する
- NISAやiDeCoなどの投資を行う
ここからは、それぞれの方法について詳しく解説します。
毎月決まった額を貯金する
まず1つ目は、毎月決まった額を貯蓄することです。
将来十分な資産を形成するには、毎月決まった額を積み立てるのがおすすめです。
生活に余裕のある人は積立金額を増やすことで、将来十分に蓄えることができるでしょう。
子どもが大学生になれば、学費や家賃、生活費の仕送りなどで数百万円必要になることがあります。また、子どもの独立後に豊かな老後生活を送るためには、さらに余裕をもって蓄えておく必要があります。
少額であっても何年も積み立てを継続していくことで、将来的には大きな金額を蓄えられるでしょう。
NISAやiDeCoなどの投資を行う
2つ目は、NISAやiDeCoなどの少額投資を行うことです。
投資といっても、NISAやiDeCoは個人が老後資金を形成できるようにと政府が考案した制度です。
この少額投資には、以下のようなメリットがあります。
- 通常は運用益(株を売却したときの利益)に20%課税されるところ税金がかからない
- 商品によっては100円からでも投資ができる
- 運用が好調であれば、将来受け取れる金額が増える
ただし、NISAやiDeCoはあくまで投資なので、運用で損をするリスクがある点は認識しておく必要があります。
万が一、損失が出ても困らないよう貯金と並行して投資することをおすすめします。
まとめ
50代で夫や妻を亡くすと、配偶者には遺族年金などのお金が支給されます。
しかし、亡くなった人の収入・加入期間などの条件によっては十分な金額を受け取れない可能性があります。
そのため、万が一の事態に備えて、できるだけ早い時期から貯金や投資などで蓄えを作っておくことが大切です。
豊かな老後生活を送るためにも、夫婦ともに元気なうちに資産形成を行うことをおすすめします。
相続専門税理士の無料相談をご利用ください
ご家族の相続は突然起こり、何から手をつけていいか分からない方がほとんどです。相続税についてはとくに複雑で、どう進めればいいのか? 税務署に目をつけられてしまうのか? 疑問や不安が山ほど出てくると思います。
我々ベンチャーサポート相続税理士法人は、相続人の皆さまのお悩みについて平日夜21時まで、土日祝も休まず無料相談を受け付けております。
具体的なご相談は無料面談にて対応します。弊社にてお手伝いできることがある場合は、その場でお見積り書をお渡ししますので、持ち帰ってじっくりとご検討ください。
対応エリアは全国で、オフィスは東京、埼玉、千葉、横浜、名古屋、大阪、神戸の主要駅前に構えております。ぜひお気軽にお問い合わせください。