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最終更新日:2025/10/27

特別代理人とは?相続で必要なケースと選任の手続きを解説

田中 千尋 (司法書士)
この記事の執筆者 司法書士 田中千尋

VSG司法書士法人 司法書士 昭和62年生まれ、香川県出身。

相続登記や民事信託、成年後見人、遺言の業務に従事。相続の相談の中にはどこに何を相談していいかわからないといった方も多く、ご相談者様に親身になって相談をお受けさせていただいております。

PROFILE:https://vs-group.jp/sozokuzei/profiletakana/

記事の要約

  • 特別代理人は、相続人のなかに「認知症」や「未成年」の方がいる場合に選任が必要になることがある
  • 特別代理人には「おじ・おば」などの親族や、「弁護士・司法書士」といった専門家が選ばれる
  • 選任のための手続きは、家庭裁判所で行う

相続人のなかに「認知症」や「未成年」の方がいる場合、相続手続きを進めるために「特別代理人」の選任が必要になることがあります。

この記事では、相続において「特別代理人が必要となるケース」と「選任の手続きの流れ」をお伝えします。

ご自身の状況で特別代理人が必要なのかわからない方は、ぜひ参考にしてみてください。

なお、VSG相続税理士法人では、相続に関するご相談を無料で受け付けておりますので、ご不安なことがあれば、下記からお気軽にご連絡ください。

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特別代理人とは?

特別代理人とは、本来の代理人(成年後見人・親権者など)と、代理される人(認知症の方・未成年者など)の間で利益が対立(利益相反)する場合に、家庭裁判所によって一時的に選任される代理人のことです。

相続の手続きで、特別代理人が必要になる主な場面は「遺産分割協議」です。

たとえば、父親が亡くなり、相続人が「認知症の母親」と「子ども」の2人だったケースを考えてみましょう。

このとき、子どもが母親の「成年後見人」も務めているとします。

成年後見人が相続人のケース

このケースで、子どもは次の2つの立場を兼任することになります。

立場

  1. 父親の子どもとしての「相続人
  2. 母親の成年後見人としての「代理人

このまま子どもが母親の代理人として遺産分割協議をすると、子ども一人の考えで遺産の分け方を決められてしまいます。

このとき、子どもの取り分を増やせば、母親の取り分が減ることになり、このような状況を「利益相反」といいます。

利益相反しているなか、子どもが母親を代理して遺産分割協議を行っても、法的には「無効」です。

そこで、母親の利益を守りながら、法的に有効な遺産分割協議を行うために、家庭裁判所によって一時的に選任されるのが「特別代理人」です。

このケースでは、母親のために特別代理人が選任され、遺産分割協議は「子ども」と「母親の特別代理人」で行われることになります。

特別代理人が遺産分割協議するイメージ

相続で特別代理人が必要なケース

相続が開始されたとき、特別代理人の選定が必要になる主なケースは、次の2つです。

それぞれのケースについて、詳しく見ていきましょう。

ケース1:相続人に「認知症の方」がいる

成年後見人が相続人のケース

相続人のなかに「認知症」などで判断能力が十分でない方がいて、その方の「成年後見人」も相続人の場合、特別代理人の選任が必要です。

これは、「成年後見人の取り分」を増やせば、「認知症の方の取り分」が減るような利益相反の関係になっているからです。

ケース2:相続人に「未成年の方」がいる

親権者が相続人のケース

相続人のなかに「未成年の子ども」がおり、その子どもの「親権者」も相続人の場合も、特別代理人の選任が必要です。

このケースでも、「親権者の取り分」が増えれば「未成年者の取り分」が減る、利益相反の関係になっています。

なお、未成年の相続人が複数いる場合は、それぞれ別の特別代理人を選任しなければなりません。

それぞれ別の特別代理人が選任されるイメージ

例外的に特別代理人が不要になるケース

ここまで紹介したような、相続人に「本来の代理人(成年後見人や親権者)」と「代理される人(認知症の方や未成年者)」の両方がいるときでも、特別代理人が不要になるケースがあります。

それは、亡くなった方が遺言書を残していたときです。

遺言書で財産の分け方が指定されている場合は、遺産分割協議が不要なことから、特別代理人を選任する必要がありません。

また、本来の代理人(成年後見人や親権者)が相続放棄をしたときも、その方は遺産分割協議に参加しなくなるため、利益相反が解消されます。

これにより、特別代理人を選任する必要はなくなります。

ワンポイント

認知症の方が相続人になっているケースでは、「後見監督人」がいる場合も特別代理人の選任は不要です。

特別代理人を選任する手続きの流れ

特別代理人を選任する手続きは、次の5ステップで進めます。

ここでは、それぞれのステップについて詳しく見ていきます。

ステップ1:裁判所へ申立てができる人を確認する

ステップ1

まず、誰が「申立人」となって、家庭裁判所で手続きができるのかを確認しましょう。

特別代理人が必要な人ごとに、基本的には次の方が申立人になります。

特別代理人が必要な人 申立人
認知症の方 成年後見人
未成年者 親権者

なお、成年後見人や親権者がなかなか手続きを進めないようなときは、ほかの相続人などの「利害関係人」が申立人となることもあります。

ステップ2:特別代理人の「候補者」を決める

ステップ2

続いて、特別代理人になってもらう候補者を決めましょう。

特別代理人になるために特別な資格は不要ですが、ほかの相続人と利害関係のない、中立的な立場の方でなければなりません。

よく候補者として挙げられるのは、次のような方です。

代理される人 候補者の例
認知症の方 認知症の方の兄弟姉妹など、成年後見人とは生計を別にする親族
未成年者 未成年者の「祖父母」や「おじ・おば」など、相続人ではない親族

なお、相続人と関係が近すぎる方は、特別代理人として認められない可能性が高まるので、候補者として選ぶのはおすすめできません。

たとえば、認知症の方の成年後見人が「子ども」になっているとき、特別代理人として「子どもの配偶者」を候補者にするのは、避けたほうが無難です。

候補者として不適切な例

もし、適切な候補者がいない場合は、裁判所に相談すれば弁護士や司法書士を選任してもらえるので、そのまま次のステップに進みましょう。

ステップ3:「必要書類」の準備をする

ステップ3

次に、家庭裁判所に申し立てるために必要となる書類を準備します。

必要書類※1

  • 申立書
  • 代理される人(認知症の方・未成年者)の戸籍謄本
  • 代理人(成年後見人・親権者)の戸籍謄本
  • 特別代理人の候補者の住民票(または戸籍附票)
  • 遺産分割協議書の案
※1
成年後見人・親権者以外の「利害関係人」からの申立ての場合は、その方の戸籍謄本などの「利害関係を証明する資料」も必要

このうち「申立書」は、裁判所のWebサイトで記載例が公開されているので、それを参考に作成してみてください。

申立書の記載例

申立書の記載例

引用元 裁判所Webサイト

この申立書には「特別代理人候補者」の欄もあるため、ステップ2で決めた方の氏名や連絡先などを記入しましょう。

もし適当な候補者がいない場合は、空欄のままで構いません。

また、「遺産分割協議書の案」は裁判所に提出した際に、下記の点をチェックされます。

チェックポイント

  1. 代理される人(認知症の方・未成年者)の取り分が「法定相続分以上」になっているか?
  2. もし法定相続分以下の取り分になっている場合、合理的な理由はあるか?

この案を作成する際に大切なことは、「代理される人の利益が守られる」ような分割方法にすることです。

ご自身のケースでどのような分割案にすべきか迷ったら、当事務所までお気軽にご連絡ください。相談は無料で承っております。

ステップ4:裁判所に「選任の申立て」をする

ステップ4

書類の準備が整ったら、「代理される人(認知症の方・未成年者)の住所地」を管轄する家庭裁判所に申し立てます。

管轄の家庭裁判所の所在地は、裁判所のWebサイトでご確認ください。

なお、申立てをする際には、下記の費用がかかります。

費用

  • 収入印紙:800円分
  • 連絡用の郵便切手:数千円程度※1
※1
金額は裁判所によって異なるため、事前に確認しておくとよい

収入印紙と郵便切手は、「郵便局」のほか「裁判所の売店」でも購入できます。

また、申立ては「裁判所の窓口に持参」以外に「郵送」でも可能です。

ステップ5:裁判所から「審判」が下される

ステップ5

申立てから2〜4週間後に、家庭裁判所から「候補者が特別代理人として適任か」などを確認するための「照会書」が、候補者のもとに郵送されてきます。

手続きをスムーズに進めるためにも、照会書が送られてくることは、あらかじめ候補者の方に伝えておきましょう。

候補者が照会書に回答すると、家庭裁判所で審議が行われ、問題がなければ特別代理人を選任する旨の「審判」が下されます。

このとき、通常は書面でのやり取りのみで完結しますが、裁判所から直接問い合わせがくることもあります。

審判後、申立人と特別代理人に「特別代理人選任審判書謄本」が郵送で届いたら、選任の手続きは完了です。

この審判書謄本は、後の相続手続きで必要となるので、大切に保管しておいてください。

【選任後】特別代理人と相続手続きを進める

無事に特別代理人が選任されたら、その方と一緒に相続手続きを進めます。

まずは、「遺産分割協議書」を完成させましょう。

基本的には、申立ての際に裁判所に提出した「分割案」のとおりに、正式な遺産分割協議書を作成します。

その際は、「誰の特別代理人か」を明記したうえで、「特別代理人の実印」を押してもらう必要があります。

特別代理人の実印が押された遺産分割協議書

こうして遺産分割協議書が完成したら、「銀行口座の解約」や「不動産の名義変更(相続登記)」などの手続きを行います。

これらの相続手続きでは、「特別代理人の印鑑証明書」の提出などを求められることから、引き続き特別代理人に協力してもらいながら進めるとスムーズです。

なお、一連の相続手続きが完了し、特別代理人の役割が終わっても、裁判所にその旨を報告する必要はありません。

特別代理人に関するよくある質問

最後に、特別代理人に関する次の質問にお答えします。

Q1:特別代理人は誰にお願いすべき?

相続人ではなく、利害関係のない中立的な立場の方であれば、どなたでも特別代理人の候補者になれます。

よく候補者になるのは、代理される人の「おじ・おば、祖父母、いとこ」などの親族です。

Q2:候補者として挙げた人は、そのまま特別代理人に選ばれる?

申立てのときに挙げた候補者が、次の条件を満たしてさえいれば、そのまま特別代理人に選ばれるケースがほとんどです。

条件

  • ほかの相続人と利害関係がないこと
  • 遺産分割協議の内容を理解し、本人の利益を守れること

たとえば「ほかの相続人の配偶者」など、相続人と関係が近い方は中立性に欠けると判断され、候補者として認められない可能性があります。

Q3:特別代理人の候補者がいない場合、どうすればいい?

特別代理人の候補者がいない場合は、裁判所に適任者を選んでもらえます

その際は、「弁護士」や「司法書士」などの法律の専門家になることが一般的です。

Q4:申立ての手続きにかかる時間は?

一般的に、特別代理人の選任の申立てから審判まで、「1~2カ月ほど」かかります。

ただし、書類に不備などがあると、さらに時間がかかることもあります。

Q5:特別代理人に報酬を支払う必要はある?

裁判所が専門家を選任する場合、申立ての際に報酬の見込額を「予納金」として裁判所に納めるよう指示されることがあります。

その後、手続きが終わってから、裁判所が事案の内容に応じて報酬額を決定し、予納金から特別代理人に支払われます。

この報酬は、最終的に「代理される人」が相続する財産のなかから負担することになります。

金額は、遺産の額や事案の複雑さによって異なりますが、10~20万円程度になることが一般的です。

一方、親族が特別代理人になった場合は「報酬」というよりも、「引き受けてくれた感謝の気持ち」として、お礼金や品物を渡すことが多いです。

金額としては、1~3万円程度を目安としてはいかがでしょうか。

Q6:遺産分割協議のほかに、特別代理人が必要な場面は?

相続放棄」をするときにも、特別代理人が必要となることがあります。

まず、「代理人(成年後見人・親権者)」は相続放棄せず、「代理される人(認知症の方・未成年者)」のみ放棄するときには、特別代理人の選任が必要です。

これは、「代理される人」が相続放棄をすることで、「代理人」が受け取る遺産が増える可能性があり、利益相反の状態になるからです。

一方、「代理人」と「代理される人」の両方が相続放棄するのであれば、利益相反にはあたらないため、特別代理人を選任する必要はありません。

特別代理人は、円満な相続のために必要

この記事では、相続の場面で「特別代理人」が必要なケースや、選任の手続きの流れを紹介しました。

特別代理人を選任するためには、家庭裁判所で時間のかかる手続きをしなければなりません。

身近な方が亡くなり、それほど時間が経っていないなかで、手続きのための書類を用意したり、特別代理人の候補者を探したりすることは、精神的な負担になります。

もし特別代理人の選任に関して、ご不明・ご不安なことがあれば、当グループまでお気軽にご相談ください。

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