東京弁護士会所属。
交通事故の程度によっては、入院が必要になったり、定期的な通院、精神的にも疾患を負ったり、PTSDとして現れることもあります。
こうした状況の中で、交渉ごとを被害者本人でまとめようとすることは非常に大変です。
弁護士に示談交渉を依頼することで、直接示談交渉をしたり、資料を準備したりする精神的負担が軽減できます。
つらい事故から一日でもはやく立ち直るためにも、示談交渉は弁護士に任せて、治療に専念してください。
目次
交通事故が発生すると、加害者・被害者の過失に応じて過失割合を決めますが、加害者に一方的な非があれば「加害者10、被害者0」の過失割合になります。
ただし、実際の交通事故では被害者にも何らかの過失があるケースが多く、「加害者8、被害者2」や「加害者5、被害者5」となる例も少なくありません。
過失割合は双方の保険会社によって決定されますが、基本的には過去の判例をもとにするため、どの保険会社であってもほぼ同一の過失割合となります。
なお、事故の発生状況によっては加算・減算もあるため、以下の修正要素も考慮されます。
信号機がなく、一方の道路に一時停止の標識・表示がある交差点で事故が起きた場合、加害者70、被害者30の過失割合になるケースがあります。
信号機のない交差点では双方のドライバーが十分な注意を払わなければならないため、一時停止の規制がなくても過失0とはなりません。
信号機があり、加害者側が赤、被害者が青だったときは10対0の過失割合ですが、信号機がなければ道路交通法第36条による注意義務が問われることになります。
一時停止を無視して交通事故が発生した場合、基本的に被害者と加害者(違反車)は20対80の過失割合になります。
また、信号機のない交差点では被害者と加害者の位置関係が重要となり、お互いを見たとき、過失割合が高くなるのは左側に位置する車両です。
ただし、道幅(幅員)や車両の進行方向、速度などの修正要素を考慮するため、被害者であっても過失割合が加算される可能性があるので注意してください。
次に過失割合の加算・減産が考慮されるケースを解説しますが、まず基本的な考え方を押さえておきましょう。
東から西へ直進する車両Aと、北から南へ直進する車両Bが衝突した場合、左側車両となるAの過失割合が高くなりますが、減速の有無も考慮されます。
信号がない交差点での衝突事故は上記を過失割合の基本としますが、事故の発生状況等により、判例の過失度に以下の加算・減算を反映させます。
Aが左側車両だったときの加算・減算要素
交通事故が発生した場合、著しい過失と重大な過失(重過失)が過失割合に大きく影響しますが、具体的には以下のような違いになっています。
著しい過失
重大な過失
著しい過失や重過失があったときは、被害者・加害者を問わず、過失割合に5~25%の加算があるので注意が必要です。
一時停止を無視したことで事故が発生した場合、当然ながら加害者(違反車)の過失割合は高くなりますが、被害者にも何らかの過失があるケースがほとんどです。
優先道路を走行していた車が被害者となった場合、加害者との過失割合は10対90ですが、被害者にわき見運転などの過失があれば、20対80になる可能性もあります。
一時停止などの規制がある場合、規制を受けない側にも十分な注意義務が発生するので注意しておきましょう。
優先道路を走行していたAと、一時停止が必要な道路を走行していたBが事故を起こした場合、交差点に信号がなければ減速の有無が過失割合に影響します。
上記を基本として、さらに車両の大きさや先入の状況が考慮されます。
優先道路を走行中の車両Aが交差点で一時停止したものの、一般道から進入した車両Bと衝突した場合、基本的な過失割合は10対90ですが、以下の要素も考慮します。
優先道路を走行している場合、徐行の規制がない交差点でも十分な注意を払う必要があるため、被害者側の車両Aにも一定の過失が認められることになります。
車両Aが一時停止した後で交差点に進入し、その後車両Bと衝突(追突など)した場合、A・Bの基本的な過失割合は40対60になります。
さらに加減要素を考慮するため、Bのわき見運転であればBに+10%、Aに重過失(無免許運転など)があればAに+20%の修正を行います。
車両Aが交差点内で信号待ちしていたところ、交差する道路から直進してきた車両Bに側面衝突された場合、A・Bの過失割合は0対10になります。
ただし、信号が切り替わるタイミングも考慮するため、被害者となるAの過失割合が加算されるケースもあります。
著しい過失には酒気帯び運転や脇見運転、ブレーキやハンドルの著しい操作ミス、時速15km以上30km未満の速度オーバーなどがあり、5~10%の加算要素となります。
交差する道路が同じ幅員であり、一時停止の規制やセンターラインがなく、信号機もない交差点の場合、左側車両Aと右側車両Bは以下の過失割合になります。
優先の区別がない道路では、左側車両というだけで過失が決定されるわけではなく、さらに以下の加減要素も考慮して過失割合を決定します。
Aが左側車両だったときの加算・減算要素
一時停止を無視した場合、バイクや自転車、歩行者と衝突する可能性もあります。
状況によっては刑事罰の対象となりますが、運転免許証の違反点数にも大きく影響します。
なお、人身事故に至らなくても、一時停止を無視した交通事故では2点の減点となります。
交通事故の過失割合は双方(加害者と被害者)の保険会社が交渉する、または自分で直接相手方の保険会社と交渉して決定するケースがあります。
ただし、保険会社は自社の顧客(相手方)を優先するため、自分で直接交渉するときは、相手の言葉をすべて鵜呑みにしないように注意しておかなければなりません。
過失割合が9対1から8対2に変わるだけでも、賠償金や慰謝料に大きく影響するため、基本的な過失割合や、加算・減算要素は理解しておく必要があります。
不利な過失割合になると十分な賠償金を受け取れないことや、高額な慰謝料を支払う可能性もあるでしょう。
交渉に自信のない方は早めに弁護士へ相談することをおすすめします。
交通事故の多くは交差点で発生しているため、信号の有無や優先道路かどうかに関わらず、十分な注意を払って運転しなければなりません。
自分が被害者となるケースでも、酒酔い運転や居眠り運転をしていれば過失割合は加算されるため、無理な状態での運転は絶対に避けるべきです。
また、事故が起きてしまった場合は警察や保険会社に連絡しますが、事故直後は冷静さを欠いているため、相手方の保険会社に主導権を握られる可能性もあります。
納得できない過失割合になりそうであれば、必ず交通事故問題に強い弁護士へ相談しておきましょう。