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自己破産後にクレジットカードを作れるようになるまでの期間は?使えない期間の対策と破産後にカードを申し込む際の注意点

弁護士 川﨑公司

この記事の執筆者 弁護士 川﨑公司

東京弁護士会所属。新潟県出身。
破産してしまうかもしれないという不安から、心身の健康を損ねてしまう場合があります。
破産は一般的にネガティブなイメージですが、次のステップへのスタート準備とも言えます。
そのためには、法律上の知識や、過去の法人破産がどのように解決されてきたかという知識が必要です。
法人破産分野を取り扱ってきた弁護士は、こういった法律・判例や過去事例に詳しいため、強い説得力をもって納得のいく措置をとることができます。

PROFILE:https://vs-group.jp/lawyer/profile/kawasaki/
書籍:この1冊でわかる もめない遺産分割の進め方: 相続に精通した弁護士が徹底解説!

この記事でわかること

  • 自己破産後にクレジットカードが作れない理由や期間について理解できる
  • 自己破産によってクレジットカードが使用できない期間の対策方法がわかる
  • 自己破産後にクレジットカードを申し込む際の注意点がわかる

自己破産によって、クレジットカードにも一定期間において影響が出てくるのをご存じですか。

自己破産をすると、これまでのクレジットカードが使用できなくなるだけでなく、新たに作成することもできなくなります。

今回は、自己破産後のクレジットカードの作成ができない理由や期間について解説した上で、その期間中の対策についてご紹介していきます。

また、自己破産後にクレジットカードを申し込む際の注意点についてもご紹介しますので、参考にしてみてください。

破産後にクレジットカードを作れない理由

自己破産した後、クレジットカードが作れないのはどうしてなのでしょうか。

クレジットカード会社は通常、信用情報機関に加盟していて、クレジットカードを新規発行する際には、その信用情報機関が提供する申込者の個人信用情報に基づいて審査を行っています。

個人信用情報とは、個人の年収、住宅及び勤務先の情報、ローンや公共料金の支払い履歴などのことをいい、信用情報機関という国の法令に基づく機関によって、すべて管理されています。

自己破産したという情報は、この信用情報機関で管理されている個人信用情報に記録されることになりますが、このような自己破産経歴がある個人信用情報の場合には、クレジットカード会社は返済されない恐れがあるとして、ある一定期間はカードの新規発行を認めないのです。

破産後にクレジットカードを作れない期間

自己破産後にクレジットが作成できないのは、個人信用情報に破産した事実が記録されている期間中ということになります。

この期間は、クレジットカード会社が加盟している信用情報機関によって異なりますが、一般的には約5年~10年です。

日本における信用情報機関は、KSC(全国銀行個人信用情報センター)、CIC(株式会社シー・アイ・シー)、JICC(株式会社日本信用情報機構)の3つで、自己破産の記録が残るのはKSCが約10年、CICとJICCが約5年です。

このうち、基本的にクレジットカード会社のほとんどはCICに加盟していて、破産した事実は最低でも約5年記録として残ることになるので、その期間を過ぎないとクレジットカードを作ることが難しいと言えます。

また、金融機関の多くが加盟しているKSCにおいては約10年、破産の記録が残されます。

そのため、金融機関系のクレジットカードの場合には、CICに加盟しているクレジットカード会社よりもさらに、クレジットカードを作れるようになるまで時間がかかることになります。

破産後にクレジットカードを申し込みする場合の注意点

前述の通り、信用情報機関が管理する個人信用情報に残された破産した事実の記録が消滅すれば、新しくクレジットカードを作成できるようになります。

ここでは、自己破産後にクレジットカードを申し込む際に必要な条件と注意点について解説してきます。

まず、自己破産後にクレジットカードを新規作成する場合、その審査を通過するためには、次のような条件が整っている必要があります。

具体的には、主に次のような条件です。

  • ・安定的かつ継続的な収入があること
  • ・居住環境がきちんと整っていること
  • ・クレジットヒストリ―(過去のクレジットカードやローンなどの返済履歴)に問題がないこと

クレジットカード会社において、返済が確実に見込まれるかどうかというのは非常に重要な点です。

クレジットカード作成の際には、安定的かつ継続的な収入があることによって返済能力があるとみなされ、審査が通過しやすくなります。

定職があり、勤続年数が長いような場合には、通過しやすいと言えるでしょう。

また、きちんした居住環境が整っていることも、審査を通過するためにはとても重要になります。

持ち家や社宅のような場合には、銀行や会社など本人以外の第三者の存在が信用を高めるので、審査が通りやすいのです。

さらに、クレジットヒストリーに問題のない場合にも審査が通りやすくなります。

これまでクレジットカードやローンなどについて、しっかりと返済してきた過去の実績がきちんとある場合には、その分信用が高くなるためです。

自己破産したことが個人信用情報から消された後には、このクレジットヒストリーをまた一から築き上げていくことが必要になります。

クレジットヒストリーに傷をつけるような行為、たとえば、携帯などの端末の分割購入料金やリース契約の料金、家賃の滞納しないように注意しましょう。

上記の条件が整ったうえで、クレジットカードを申し込む際の注意点は、次の通りです。

  • ・本当にクレジットカードが必要なのか慎重に検討する
  • ・クレジットカード作成の申し込みは1社ずつ行う
  • ・これまでに利用していないクレジットカード会社に申し込む
  • ・銀行などの金融機関で扱っているクレジットカードは避ける

それぞれの注意点について、このあと順を追ってご説明します。

本当にクレジットカードが必要なのか慎重に検討する

まず、初歩的な注意点としては、これから作成しようとしているクレジットカードが本当に必要なものなのかどうか検討するということです。

特に、破産に至った理由が、過去にクレジットカードを利用しすぎてしまったことによるものである場合には、ことさらに注意して検討するべきでしょう。

自身が、これから作成するクレジットカードの支払いについて、きちんと管理できるかどうか慎重に検討することが必要です。

クレジットカード作成の申し込みは1社ずつ行う

自己破産した後にクレジットカードを申し込む際には、複数のクレジットカード会社に同時に申し込むのは避け、1社ずつ申し込みを行うようにしましょう

一度に複数のクレジットカード会社に審査を申し込むと、その旨が個人信用情報に記録されてしまいます。

そのような記録があると、クレジットカード会社が申込者の経済状況に対して懸念を抱くようになり、結果として審査に通りにくくなる可能性があるためです。

これまでに利用していないクレジットカード会社に申し込む

自己破産以前に利用していたクレジットカード会社については、新たにクレジットカードを作成するのは避けた方が無難です。

過去に利用していて任意整理をしたり、破産手続きによって返済の免責を受けたりしたクレジットカード会社には、その際の記録が会社内の顧客情報として保管されるため、個人信用情報から破産した事実が消滅したとしてもクレジットカードを作成できない可能性があります。

そのため、クレジットカードを新規作成する場合には、過去に利用したことがないクレジットカード会社を選択するのが得策です。

銀行などの金融機関で扱っているクレジットカードは避ける

新規のクレジットカードをなるべく早く作成したいという場合には、銀行などの金融機関が提供しているクレジットカードは避けましょう。

前述しましたが、通常のクレジットカード会社はCICという信用情報機関に加盟していて、そこで管理されている個人信用情報の保管期間は通常約5年です。

その一方で、銀行などの金融機関が加盟している信用情報機関はKSCという機関で、そこで管理されている個人信用情報の保管期間は約10年となっています。

CICの方が、KSCよりも個人信用情報の保管期間が短いことから、より早くクレジットカードを作成できるようになります。

クレジットカードが使えない期間の対策

自己破産をした後、約5年~10年はクレジットカードを作って、使用することができないことになりますが、実際にクレジットカードが全く使用できないという事態となると、現実問題として生活上様々な不便が生じるのも事実です。

クレジットカードを使えない期間は、どのようにして対応すべきなのでしょうか。

ここでは、クレジットカードが使用できない期間中の対策方法をご紹介します。

対策としては、次のような方法があります。

  • ・家族名義のクレジットカードを使用する
  • ・デビットカードを使用する

それぞれの方法について確認していきましょう。

家族名義のクレジットカードを使用する

自己破産後に自身の名義のクレジットカードが使用できなくなったとしても、家族名義のクレジットカードは使用することが可能です。

自己破産によって影響が出るのは自身の財産のみ、クレジットカードでいえば自身の名義のクレジットカードだけなので、家族名義のクレジットカードは使用することが制限されないというわけです。

ご家族がいる方で、クレジットカードを作って使用できない期間中には、応急措置として家族名義のクレジットカードを使用するのがおすすめです。

デビットカードを使用する

自己破産でクレジットカードを作成できない期間中であっても、デビットカードであれば新たに作成することができます。

デビットカードは、自身の指定する銀行口座と連結して、支払いの際にはそこから自動的に引き落としがされるという仕組みになっているため、クレジットカードのような借り入れを行う必要がないからです。

また、このデビットカードは、新規発行する際の審査がない場合が多いため、基本的にはどなたでも気軽に作成することが可能という利点があります。

自己破産時に持っているクレジットカードについて

ここからは自己破産したときに、持っているクレジットカードがどうなるのか説明します。

契約中のクレジットカードは使えなくなる

契約しているクレジットカードは使えなくなります。

普段からクレジットカードを使って支払いをしている場合は注意してください。

自己破産を行う場合に、弁護士依頼すると、弁護士が債権者に「破産します」と通知を行います。

この通知を受け取った債権者やクレジットカード会社は、その時点で強制解約を行います。

自己破産の手続きの中で、通知を送った時点で、クレジットカードは解約されます。

契約しているけど普段使ってないカードも解約

「契約しているけど、全然使ってないカードはどうなるの?」と思うかもしれません。

カードの利用頻度に関わらず、自己破産が始まると、すべてのクレジットカードは強制解約されます。

もし間違って利用してしまった場合は、「意図的に借金を増やした」と認識されて、自己破産手続きが認められない可能性もあります。

自己破産手続きを行う場合は、持っているすべてのクレジットカードを使わないように気をつけてください。

貯まっていたポイントも消滅する

クレジットカードを利用していると、ポイントが貯まっているかもしれません。

クレジットカードのポイントは、解約のタイミングで消滅します。

貯めたポイントが消滅するともったいないので、自己破産が始まる前にポイントを利用しておきましょう。

ただしポイントの範囲で収まる買い物にしてください。

例えば2,000円分のポイントが貯まっているなら、2,000円以内の買い物をしましょう。

もし2,500円分の買い物をして、2,000円分のポイント+500円のクレジットカード払いを行えば、自己破産手続きにおいて不利になる可能性もあります。

クレジットカードの利用は「クレジットカード会社への借金を増やす行為」になるため、破産手続き前にもできるだけカードの利用は避けましょう。

ECTカードは利用しない方がいい

クレジットカードとETCカードを両方使っている場合もあるでしょう。

クレジットカードが解約された場合でも、ETCカードが利用できるケースがあります。

クレジットカードの解約手続きと、ETCカードの解約手続きまでに一定の期間が空いてしまうカード会社もあるからです。

もしETCカードが利用できる状況だったとしても、ETCカードの利用はおすすめできません。

なぜならカードの利用で「意図的に借金を増やした」と認識されて、自己破産が認められないかもしれないからです。

自己破産を行う場合は、ETCカードを取り出して、間違って利用しないように気をつけましょう。

まとめ

今回は、自己破産後にクレジットカードが作れなくなる理由や期間について解説した上で、クレジットカードが作れるようになるまでの対策方法をご紹介してきました。

自己破産した後にクレジットカードが作れるようになるのは、信用情報機関によって異なりますが、約5年~10年です。

その後にクレジットカードを新規作成する際には、本記事で紹介した審査を通過するための条件や、申し込みの際の注意点を参考に、慎重に検討してみてください。

クレジットカードが作れない期間中は、家族名義のカードやデビットカードを使用するのも、対策としておすすめです。

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