東京弁護士会所属。新潟県出身。
破産してしまうかもしれないという不安から、心身の健康を損ねてしまう場合があります。
破産は一般的にネガティブなイメージですが、次のステップへのスタート準備とも言えます。
そのためには、法律上の知識や、過去の法人破産がどのように解決されてきたかという知識が必要です。
法人破産分野を取り扱ってきた弁護士は、こういった法律・判例や過去事例に詳しいため、強い説得力をもって納得のいく措置をとることができます。
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書籍:この1冊でわかる もめない遺産分割の進め方: 相続に精通した弁護士が徹底解説!
自己破産をすると、保有している財産の大半を失うことになります。
退職金も例外ではなく、自己破産により処分されるものの一つです。
しかし退職金の全額を失うわけではありません。
また、自己破産のために退職する必要もありません。
今回は自己破産における退職金の取り扱いについて解説します。
Contents
自己破産手続きにおける退職金の取り扱いは、破産手続き開始時の状況を基準に決まります。
退職の有無に関わらず処分対象となることがポイントです。
3つのパターンに分けて解説します。
自己破産以前に退職金を受け取り、現金や預貯金として保有している場合は、すでに退職金という概念ではありません。
その他の現金・預貯金と同じ扱いになります。
現金であれば99万円以上、預貯金であれば20万円を超えるものは処分対象です。
すでに退職を決め、自己破産手続き中、もしくは後に退職金を受け取ることが決まっている場合はどうでしょう。
退職金は自己破産後の生活を支えるものとして、法律によりその4分の3は差押さえ禁止財産とされています。
そのため、残りの4分の1が自己破産により失うものということになります。
ただし4分の1が20万円未満であれば、処分されることはありません。
自己破産時に退職の予定がない場合でも、退職金は処分対象財産となります。
しかし実際に退職する必要はありません。
今退職すると仮定して退職金の金額を算出し、その金額の8分の1を評価額に加えて処分します。
たとえば退職金が1000万円と仮定すると、8分の1の125万円が自己破産手続き開始時の財産とみなされます。
自己破産において、財産はすべて換価され、債権者へ平等に分配されなければいけません。
そのため退職金の4分の1、8分の1も、現金で納める必要があります。
しかし実際に退職しない場合、退職金を受け取るわけではないため、8分の1を支払えないこともあるでしょう。
その場合は、積み立てて支払うことが認められています。
裁判所ごとに運用は異なりますが、おおむね1年間で積み立てを認められることが多いでしょう。
自由財産の拡張とは、裁判所が個別の状況に応じて、破産者の手元に残す財産を柔軟に認める制度です。
拡張が認められると、本来は処分されるはずだった財産を残すことができます。
退職金における自由財産の拡張とは、以下のような場合です。
勤続年数が長く退職金が積み上がっている場合、8分の1が相当額におよぶことがあります。
その場合、積み立て期間が長期化することを鑑みて、8分の1全額を納めなくてもよいと判断されることがあります。
退職金は、自己破産により処分される財産の一つです。
退職の有無や、退職金の受け取り時期により扱いが異なるため、納める金額に差が出ます。
中でも退職予定がない場合、退職すると仮定して算出した金額を支払う必要があります。
実際に退職金を受け取るわけではないため、支払いが難しいこともあるでしょう。
そのような場合、裁判所に申立てを行えば、積み立てて支払うことが認められる可能性があります。