東京弁護士会所属。新潟県出身。
破産してしまうかもしれないという不安から、心身の健康を損ねてしまう場合があります。
破産は一般的にネガティブなイメージですが、次のステップへのスタート準備とも言えます。
そのためには、法律上の知識や、過去の法人破産がどのように解決されてきたかという知識が必要です。
法人破産分野を取り扱ってきた弁護士は、こういった法律・判例や過去事例に詳しいため、強い説得力をもって納得のいく措置をとることができます。
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書籍:この1冊でわかる もめない遺産分割の進め方: 相続に精通した弁護士が徹底解説!
自己破産を検討しているが、ご家族や親族に迷惑をかけないか不安に思っている方も多いのではないでしょうか。
自己破産は原則として借金の支払いがすべて免除されますが、信用情報機関に事故情報が登録されます。
ローンやクレジットカードの利用ができなくなるため、日常生活に不便を感じる場合もあるでしょう。
クレジットカードには、本会員の他にご家族が家族カードを発行できるサービスもあります。
家族カードを発行している場合、自己破産による影響が破産者本人だけでなくご家族にまで及ぶケースもあります。
ここでは、自己破産をした場合に家族カードがどのような影響を受けるのか、詳しく解説します。
自己破産をした場合に「本会員のカード」と「家族カード」がそれぞれどうなるか、ケースごとに確認していきましょう。
家族カードとは、カード会社と契約をしている本会員だけでなく生計を同一にするご家族も同じカードを利用するためのしくみです。
ご家族は、本会員と同じカードを追加で所持し、ご家族の利用分も同じ口座から引き落としされます。
カード会社によりますが、一般的にはご家族の利用分も本会員と同様にポイントが貯まるメリットがあります。
通常は「生計を同一にする家族」が条件となっているため、離婚などで家族関係が解消された場合は使用できません。
自己破産をすると、信用情報機関に事故情報が登録されるため、いわゆるブラックリストに載った状態になります。
ブラックリストに載ると、原則としてクレジットカードの新規発行や利用ができません。
家族カードを発行している場合は、本会員が「破産者本人」と「ご家族」のどちらなのかによって取り扱いが変わります。
まとめると、以下の表のようになります。
本会員 | |||
---|---|---|---|
破産者本人 | ご家族 | ||
カード発行 の有無 | 発行済 | (①) ・本会員のカード(破産者) ・家族カード(ご家族) →両方とも継続不可 | (②) ・本会員のカード(ご家族) ・家族カード(破産者) →両方とも継続可能 |
未発行 | (③) ・本会員のカード(破産者) ・家族カード(ご家族) →両方とも発行不可 | (④) ・本会員のカード(ご家族) ・家族カード(破産者) →両方とも発行可能 |
表の①~④のケースについて、詳しく確認していきましょう。
ブラックリストに載った後は、破産者本人のクレジットカードは解約されます。
家族カードは本会員の契約に基づくものであるため、ご家族が所持している家族カードも同時に利用できなくなります。
自己破産による事故情報は破産者のみ記録されるため、ご家族がクレジットカードの発行や利用をするときは原則として影響しません。
ご家族がカード会社と契約して本会員となり、破産者が家族カードを所持している場合、両方のカードは利用を継続できます。
破産者本人は、原則としてクレジットカードを新規発行できません。
本会員のカードを発行できないため、本会員の契約に基づく家族カードも同様に発行できません。
ご家族は、本会員としてクレジットカードを新規発行できます。
同時に、破産者本人が所持する目的で家族カードを発行するのも支障はありません。
前述の通り、破産者本人が受ける破産による制限は、原則としてご家族に影響しません。
その理由や対応方法について確認していきましょう。
家族カードを利用したときの支払義務は、使用したご家族ではなく、契約している本会員にあります。
そのため、カード会社と契約している本会員がご家族の場合、破産者本人が所持している家族カードは利用を継続できます。
一方で、破産者が本会員の場合は、家族カードも解約しなければなりません。
家族カードを所持しているのがご家族であっても、支払義務は契約をしている破産者本人にあります。
カード会社としては、家族カードの利用についても契約者である破産者本人の信用情報を照会するため、家族カードも解約されるしくみです。
もし破産者本人が本会員だったためにカードが解約されてしまった場合、ご家族が新たに本会員となり、破産者が家族カードを所持すれば代用できます。
ご家族によるクレジットカードの発行が難しい場合、破産者本人によるデビットカードの発行もおすすめです。
デビットカードを利用すると、登録している銀行口座から自動的に引き落とされます。
デビットカードは後払いのような信用取引ではないため、通常は破産手続き後であっても発行に支障はありません。
ポイント付与などのサービスは異なりますが、キャッシュレスによる支払いという点ではデビットカードでも代用可能です。
クレジットカードの発行や利用ができないのは、破産による事故情報が記録されている期間に限られます。
一般的に、事故情報の記録が抹消されるまでの目安として、以下の期間が必要といわれています。
信用情報機関名 | 主な加盟期間 | 事故情報の登録期間(目安) |
---|---|---|
CIC | カード会社、信販会社 | 5年 |
JICC | カード会社、消費者金融 | 5年 |
KSC | 銀行 | 7年 |
自分の信用情報の事故歴は、各信用情報機関に照会可能です。
破産による事故情報が残っているか調べたい方は、各信用情報機関のHPから照会をしてみるとよいでしょう。
自力返済が困難になった場合、自己破産は借金問題を解決するための手段として大きなメリットがあります。
一方で、免責を受けるためには様々な制限を受けなければならず、家族カードのようにご家族にまで影響が及ぶケースもあります。
自己破産で受ける制限については、破産手続きの前に弁護士へ確認しておくのが望ましいです。
弁護士事務所によっては、初回無料相談を実施しています。
自己破産を検討されている方はできるだけ早く弁護士と相談し、破産後の生活にまつわる不安を解消しておきましょう。