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自己破産をすべきタイミング5つ!検討・手続きを早く始めるメリットを紹介

弁護士 川﨑公司

この記事の執筆者 弁護士 川﨑公司

東京弁護士会所属。新潟県出身。
破産してしまうかもしれないという不安から、心身の健康を損ねてしまう場合があります。
破産は一般的にネガティブなイメージですが、次のステップへのスタート準備とも言えます。
そのためには、法律上の知識や、過去の法人破産がどのように解決されてきたかという知識が必要です。
法人破産分野を取り扱ってきた弁護士は、こういった法律・判例や過去事例に詳しいため、強い説得力をもって納得のいく措置をとることができます。

PROFILE:https://vs-group.jp/lawyer/profile/kawasaki/
書籍:この1冊でわかる もめない遺産分割の進め方: 相続に精通した弁護士が徹底解説!

この記事でわかること

  • どのタイミングで自己破産をすべきか
  • 自己破産の検討・手続きを早く始めるメリット
  • 自己破産以外の債務整理

自己破産を検討している方の中には、このような悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。

「手続きを始めるタイミングがわからない」
「今の段階で自己破産に踏み切るべきか判断できない」

自己破産をする際は、手続き後の生活再建を見据えた上で、適切なタイミングを見極める必要があります。
できるだけ早期に自己破産の検討を始めれば、債務者の負担を軽減できる可能性が高まるでしょう。

この記事では、自己破産をすべき5つのタイミングや早めに検討するメリット、自己破産以外の債務整理を解説します。

自己破産をすべきタイミング5つ

自己破産をすると、どんなに多額の借金を抱えていても、その返済を免除してもらうことができます。
ただし、債務者・債権者に与える影響が大きいため、気軽にできるものではありません。

自己破産をすべきタイミングとしては、下記の5つが挙げられます。

  • 返済が難しくなったタイミング
  • 差押えを受ける前のタイミング
  • 毎月の収入が減るか、固定支出が増えたタイミング
  • 生活保護を受給する前のタイミング
  • 不動産を任意売却した後のタイミング

ここからは、それぞれのタイミングについて詳しく解説します。

返済が難しくなったタイミング

自己破産をすべきタイミングとして一般的なのが「返済が難しくなったタイミング」です。

借金返済額と収入のバランスが崩れていると、日々の生活が借金に圧迫されてしまいます。
中には、毎月の収支が赤字で、貯金を切り崩しながら生活せざるを得ない状況になっていることも考えられます。
住居費や光熱費などの固定費を除く自由に使えるお金がないと、精神的にも追い詰められてしまうでしょう。

また、月々の返済額が少なく利息しか返済できていない場合も、自己破産をすべきだと言えます。
借金の元本が膨らんでしまっていると、それに応じて利息も増えていきます。

元本の返済が進まなければ、一生かけても借金完済は難しいといえます。
元本を減らすには毎月の返済額を増やすしかありませんが、収入とのバランスを考えると難しいことが多いでしょう。

このため、「継続した返済ができない」「借金の元本が減らせない」と考えたタイミングで、自己破産を検討することをおすすめします。
実際に借金の返済ができなくなり、滞納が発生してしまう前に手続きを行うのが理想的です。

差押えを受ける前のタイミング

借金の滞納が発生している場合、債権者から財産や給料の差押えを受けてしまうリスクがあります。
自己破産手続きには差押えを防ぐ効果があるため、差押え前の検討がおすすめです。

借金の返済が滞ると、債権者はまず債務者に対して、電話や書面などで取り立てをします。
取り立ては支払いができるまで何度も続くため、債務者の精神的な負担が増してしまうでしょう。

滞納が数カ月続いた場合、債権者は強制的に借金の返済をさせるため、裁判所に法的措置を申し立てる可能性があります。
債権者は支払督促や民事調停、民事訴訟の手続きを踏み、最終的には差押えなどの強制執行がなされます。
差押えの対象は給料だけでなく、ボーナスや退職金にも及びます。

差押えを受けるとさらに生活が圧迫されるため、事前に阻止するのがベストです。
もし、すでに差押えを受けているのであれば、差押えを止めるためにも早急に自己破産を申し立てましょう。

毎月の収入が減るか支出が増えたタイミング

毎月の収入が減ったタイミング、もしくは、固定支出が増えたタイミングでも自己破産をすべきだと言えます。
収入に占める支出の割合が増えてしまい、生活を圧迫することが考えられるからです。

新型コロナウイルスが猛威をふるった2020年以降、会社都合による失業や給与カットにより収入が減った方も多いのではないでしょうか。
他にも、突発的な怪我や病気・介護・育児など、やむを得ない事情で収入を失うことがあります。

また、医療費や教育費などカットできない支出が増えると、これまでと同じペースでの返済が困難になることが予想されます。
こうした場合には、現在の収支と返済額を照らし合わせて、継続的な返済が可能かどうかを判断しましょう。

ただし、自己破産を申し立てるには、借金返済できない状態が継続する必要があります。
冠婚葬祭など一時的な出費で当月の支払いができない場合、収入は途絶えたものの預貯金が十分にある場合などは、自己破産が認められない可能性が高いでしょう。

生活保護を受給する前のタイミング

借金問題を抱えているにも関わらず、失業や災害・怪我・病気・障害などの突発的な事情で収入がなくなった場合には、自己破産と生活保護の両方を同時に検討することが考えられます。
基本的には、自己破産により借金を免除してもらってから、生活保護を受給するようにしましょう。

生活保護とは、世帯収入が最低限の生活をするのには不足する場合に、その困窮の程度に応じて生活費を支給する制度です。
社会的な支援を必要とする方々のセーフティーネットとして機能しています。

ただし、生活保護はあくまで生活のための費用であり、借金返済に充てることは認められていません
このため、借金がある状態で生活保護を申請しても、受理されない可能性が高いでしょう。
先に自己破産を行い、借金を帳消しにしてから生活保護を検討することをおすすめします。

不動産を任意売却した後のタイミング

不動産を任意売却した後も、自己破産を検討するタイミングとして最適です。
不動産を持っていない状態で自己破産をすることで、手続きにかかる費用や時間を抑えられる可能性があるためです。

自己破産を申し立てた債務者が一定以上の財産を持っている場合、裁判所が選任する破産管財人がその財産を処分し、債権者に配当することになります。
こうした手続きが行われる事件を「管財事件」と呼び、最低でも20万円以上の裁判所費用と半年〜1年ほどの手続き期間を要します。
不動産を保有している場合には、管財事件となるのが一般的です。

一方、不動産を任意売却し、それ以外の財産を持っていない状態で自己破産をすれば、そもそも破産管財人を選任する必要がなくなります。
裁判所費用を20万円以上節約でき、手続き期間も3カ月〜半年ほどと大幅に短縮可能です。

自己破産の検討・手続きを早く始めるメリット

自己破産の検討・手続きを早く始めると、次のようなメリットがあります。

  • 債権者からの取り立てが止まる
  • 給与などの差押えを防止・中止できる
  • 遅延損害金や利息を最小限にできる
  • 自由財産を確保できる可能性が高まる

ここでは、それぞれのメリットについて詳しく解説します。

債権者からの取り立てが止まる

自己破産を早めに始めると、早い段階で債権者からの取り立てから解放されることができます。

取り立てを止める方法は主に2つあります。
1つは裁判所に自己破産を申し立てて、債権者に通知されるのを待つ方法です。
もう1つは弁護士に正式に依頼して、債権者とのやり取りを任せる方法です。

裁判所の通知は申立て後も時間を要しますが、弁護士に依頼すると自己破産の申立てを行う前から債権者からの取り立てを止めることができます。
自己破産によって免責が認められれば、それ以降債権者からの取り立てを受けることはありません。

給与などの差押えを防止・中止できる

自己破産手続きには、給与などの差押えを防ぐ効果があります。
これは債務者の財産を保全し、すべての債権者に対して平等に配当するためです。
借金の返済が滞って差押えを受けそうな場合には、迅速に自己破産に踏み切ることで差押えをストップできます。

すでに差押えを受けている場合、一時的に差押えを中止、あるいは、失効させることが可能です。
給与や財産を差し押さえられると、自己破産の手続き費用の支払いが難しくなる恐れがあるため、早めの対処が肝心です。

遅延損害金や利息を最小限にできる

借金の返済ができなくなると、自己破産をするか迷っている間にも、滞納に伴う遅延損害金や利息は増え続けます

もちろん、自己破産手続きにより免責許可が出れば、遅延損害金や利息を含む借金の全額が免除されます。
ただし、万が一免責を受けられない場合には、借金はそのまま残り続けてしまいますが、結果が出るまでの遅延損害金や利息は膨らむことはありません。
早めに自己破産をすることで、手続きが失敗した場合のリスクを最小限に抑えられます。

自由財産を確保できる可能性が高まる

自己破産を早めに申し立てれば、自由財産を確保できる可能性が高まります

自己破産手続きでは、一定の資産価値を持つ財産は処分の対象となりますが、生活に必要な財産は手元に残すことができます。
一般的には、20万円以下の財産や99万円以下の現金は自由財産として、債務者が自由に処分できるとされています。

財産が処分されるか、自由財産となるかは、自己破産申立て時点の評価額で決まります。
自己破産の手続きが遅れ、ボーナスや退職金などを受け取ってしまうと、処分される財産の範囲が広がる可能性が高まります。
結果的に手元に残る財産が減ることになるため、できる限り早めの自己破産が望ましいでしょう。

他の債務整理もあわせて検討できる

借金の負担を軽減する方法は、自己破産だけではありません。
借金で首が回らなくなる前に検討を始めれば、他の債務整理も視野に入れることが可能です。

自己破産は債務整理の中でも特に強力な手続きですが、債務者本人や周囲への影響も大きくなってしまいがちです。
個別の事情によっては、そもそも自己破産の申立て条件を満たしていない場合や、手続きをしても免責が受けられない可能性があることも考えられます。
さらに「残したい財産がある」「家族にバレたくない」などの特別な希望がある場合には、他の債務整理の方が適していることもあります。

個別の事情や希望に応じた最適な選択ができるよう、できるだけ早期に検討を始めるようにしましょう。

自己破産以外の債務整理

自己破産以外の債務整理には「任意整理」「個人再生」があります。

いずれも自己破産とは違って借金の返済義務は残るものの、借金の全体額を減らす、将来の利息や遅延損害金をカットできる可能性があります。
月々の返済負担が軽減できるため、生活に余裕が生まれ、無理なく返済を続けられるでしょう。

ここでは、2つの債務整理の特徴や自己破産との違いを解説します。

任意整理

任意整理とは、債権者と債務者が直接交渉して借金の返済負担を減らす裁判外の手続きです。
裁判所の介入がないため、柔軟な返済プランを設定できるのが特徴です。

自己破産と違って、持ち家や自動車などを手元に残すことができ、家族にバレるリスクも低くなります。
ただし、借金の元本自体は減らせないため、大幅な減額は期待できないことに注意しましょう。

個人再生

個人再生とは、借金額を大幅に減額してもらう代わりに、3〜5年以内に残った借金を返済する計画を立てる手続きです。
任意整理よりも借金負担を軽減できる上、住宅ローンが残っている持ち家を残せる可能性もあります。

まとめ

自己破産は影響が大きな制度であるため、適切なタイミングを見計らって手続きを行うことが大切です。

債務者の事情によって、自己破産をすべきタイミングは異なりますが、できるだけ早めに検討を始めるのが望ましいでしょう。
他の債務整理にも目を向けつつ、最適な借金問題の解決法を見つけるためにも、あらかじめ弁護士に法的相談をすることをおすすめします。

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