

 東京弁護士会所属。新潟県出身。
 破産してしまうかもしれないという不安から、心身の健康を損ねてしまう場合があります。
 破産は一般的にネガティブなイメージですが、次のステップへのスタート準備とも言えます。
 そのためには、法律上の知識や、過去の法人破産がどのように解決されてきたかという知識が必要です。
 法人破産分野を取り扱ってきた弁護士は、こういった法律・判例や過去事例に詳しいため、強い説得力をもって納得のいく措置をとることができます。
 PROFILE:https://vs-group.jp/lawyer/profile/kawasaki/
 書籍:この1冊でわかる もめない遺産分割の進め方: 相続に精通した弁護士が徹底解説! 

「免責許可決定確定証明書がどこで取得できるのか知りたい」
 「免責許可決定通知書とどう違うのかわからない」
 自己破産をした後、手続きに必要な書類で戸惑うことが少なくありません。
免責許可決定確定証明書が急に必要になり、困っているという人もいるでしょう。
 中には発行したものを紛失した、という場合もあるかもしれません。
今回は、免責許可決定確定証明書についてわかりやすく解説します。
 免責許可決定通知書との違いも参考にしてください。
Contents

免責許可決定確定証明書は、免責許可決定が出たことを証明する書類です。
 免責が確定してから、1カ月程度で発行できるようになります。
 自動的に郵送されてくるものではないため、必要な場合は自分で発行申請をしましょう。
免責許可決定確定証明書が必要になるケースは、以下のような場合があります。
破産後に生活保護を受給する場合、破産手続きが完了し、免責されたことを証明する必要があります。
 また、クレジットカードを発行する場合にも必要です。
自己破産をすると、信用情報機関に事故情報として、破産の事実が掲載されます。
 いわゆるブラックリストに載った状態です。
 事故情報を更新する場合は、債権者が申請をする必要があります。
 債権者は免責決定が出たことを知らないため、そのままにしておくと事故情報が更新されず、破産手続き中のままとなります。
 証明書を債権者へ送り、免責の登録をしてもらわなければなりません。
ちなみに、情報は破産手続き中→免責済に書き換えられますが、事故情報自体は残ります。
 免責決定から5~7年経過しなければ、事故情報は削除されません。
免責許可決定確定証明書は、自己破産手続きを行った地方裁判所で発行してもらいます。
 市役所や法務局で発行できると誤解されることが多いですが、裁判所でしか発行されないことに注意しましょう。
 もし自己破産後に引っ越しをしていたとしても、自己破産手続きの管轄裁判所に申請する必要があります。
裁判所によっては事前予約が必要な場合や、受付時間が限られていることもあります。
 突然訪ねても手続きできないこともあるため、事前に電話などで確認しておくと安心です。
免責許可決定確定証明書の発行手続きは、さほど難しいものではありません。
申請先は、前述したように自己破産を申し立てた地方裁判所です。
 申請方法は以下のとおり、2パターンあります。
 オンライン申請には対応していないため、必ず書面での申請が必要です。
順番に見ていきましょう。
窓口で申請する場合の必要書類は、以下のとおりです。
申請書は裁判所の窓口、または裁判所のHPで取得できます。
 申請手数料150円は収入印紙で支払う必要があるため、あらかじめ準備しておきましょう。
 収入印紙は郵便局、銀行、コンビニ、法務局のほか、金券ショップや酒屋などでも購入できます。
もし免責決定以降に引っ越しをしている場合は、住所の履歴を証明するため、免責決定時の住民票の除票と現住所の住民票が必要です。
 戸籍附票等でもよいでしょう。
場合によって、他にも必要な書類がある場合があります。
 必ず事前に確認し、すべてそろった状態で申請しましょう。
 また、委任状があれば代理申請が可能です。
窓口申請の場合は、基本的に即日発行されます。
窓口に行かなくても、郵送でも発行は可能です。
 しかし郵送の場合、昨今の郵便事情により、手元に届くまで時間がかかることがあるため、余裕をもって申請することをおすすめします。
郵送申請に必要なものは次の通りです。
郵送の場合、切手を貼った返信用の封筒を必ず同封しましょう。
 また、引越しをしている場合は住民票を忘れずに用意します。
申請から手元に届くまで1~2週間程度を目安に見ておくとよいでしょう。
「免責許可決定確定証明書を発行してもらったものの、失くしてしまった」
 「免責決定から時間が経っていて、証明書がどこにいったかわからない」
 このような場合でも心配はいりません。
免責許可決定確定証明書は再発行することができます。
 証明書を紛失したからと言って、免責が取り消しになることも、破産の効力がなくなることもありません。
 再発行を申請するのも、自己破産手続きをした管轄裁判所です。
ただし、再発行にも事件番号が必要です。
 わからない場合は、破産手続きを依頼した専門家に確認してみましょう。

免責後に発行される書類には、免責許可決定確定証明書と免責許可決定通知書の2種類があります。
 名前がよく似ているため、同じものと混同されることが少なくありません。
 ここでは、2つの違いについて解説します。
免責許可決定確定証明書は、第三者に対して免責が確定したことを証明するために用いる書類です。
 自動的に発行されるものではなく、必要であれば自分で申請をして発行します。
ただし証明書は、免責許可後すぐには発行できません。
 裁判所が免責の決定を下した後、2週間程度で官報に免責の事実と、破産者として氏名が掲載されます。
 さらに掲載後2週間は、債権者からの不服申立てを受け付ける期間とされ、この間に異議がなければ正式に免責が確定します。
免責許可決定確定証明書が発行できるのは、免責確定後であるため、免責決定から1カ月程度たってからということになります。
免責許可決定通知書は、裁判所から届くお知らせのようなもので、免責を許可するということを通知するものです。
裁判所が免責許可の決定を下してから、およそ1週間で郵送されてきます。
 もし手元に届かない場合は、自己破産手続きを依頼した専門家のもとに届いている可能性があるため、確認してみましょう。
あくまでも免責許可決定通知書は、裁判所が免責の許可を出したという事実を、本人が確認するためのものです。
 この時点では自己破産手続きが終了していないことに注意しましょう。
免責許可決定通知書が発行された後、官報に掲載され不服申立て期間を経て正式な免責確定となり、自己破産手続きは終了します。
また、免責許可決定通知書は、免責許可の証明書としての効力は低いことにも注意が必要です。
 クレジットカードなどの審査が通らなかったという事例もあります。
2つの違いをしっかり理解しておきましょう。
免責許可決定確定証明書は、自己破産後の様々な手続きで必要になることがあります。
 提出先から証明書が必要と言われて慌てる前に、取得方法や手続きについて確認しておきましょう。
 また、紛失しないように細心の注意を払うことをおすすめします。
手続きについてよくわからないときや、自分で手続きをすることが不安な場合は、専門家に相談することをおすすめします。