

東京弁護士会所属。新潟県出身。
破産してしまうかもしれないという不安から、心身の健康を損ねてしまう場合があります。
破産は一般的にネガティブなイメージですが、次のステップへのスタート準備とも言えます。
そのためには、法律上の知識や、過去の法人破産がどのように解決されてきたかという知識が必要です。
法人破産分野を取り扱ってきた弁護士は、こういった法律・判例や過去事例に詳しいため、強い説得力をもって納得のいく措置をとることができます。
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履行テストとは、個人再生の計画に沿った返済が本当に継続できるかを、認可前に一定期間を使って確認するための制度です。
個人再生を検討している方にとって、この履行テストのしくみや期間、失敗時の影響などが気がかりになのは自然なことでしょう。
制度を正しく理解することは、無理のない返済計画を立てる上でも欠かせません。
この記事では、履行テストの概要や支払い方法、開始のタイミング、テスト期間の目安を解説します。
また、失敗した場合の対応策や返金されたお金の扱い方についても詳しくお伝えします。
個人再生を進める際に迷わないためにも、制度のポイントを事前に押さえておきましょう。
Contents
個人再生の履行テストとは、申立て人の返済能力を確認するために設けられている制度です。
履行テストをクリアできない場合は、返済能力に問題があると判断され、個人再生手続きの認可を受けられなくなる可能性があります。
申立て人は毎月指定された期日までに、決められた金額をテスト用の口座へ振り込むことが求められます。
振り込み先は、個人再生委員が指定した専用口座や申立て人自身で用意した口座のいずれかです。
月々の支払い額は、再生計画案で定めた返済額をベースとして、圧縮された借金総額を3年間(36回)で分割した金額が目安になります。
履行テストの開始時期は、申立ての直後から1週間以内に設定されるケースが一般的です。
最初の支払い期日が、その後の月々の支払日として設定され、支払いスケジュールが確定します。
初回の支払いは、申立て手続きの開始決定を左右する重要な判断材料となるため、特に注意が必要です。
履行テストの継続期間は、裁判所によって運用が異なりますが、一般的には3カ月や6カ月の期間が設定されることが多いです。
申立て人に返済能力が十分あると判断された場合、期間を待たずに早めにテストが終了する場合もあり得ます。
ただし、基本的には、定められた期間の履行テストが完了するまでは、支払いを継続する必要があると考えておくとよいでしょう。
履行テストに失敗した場合、個人再生の認可が下りない可能性が高まります。
その理由は、申立て人が3年間にわたり安定的に返済を続けることは難しいと判断されやすくなるためです。
このような失敗リスクを回避するためには、事前に専門家へ相談し、無理のない計画を立てて個人再生を検討することが重要です。
なお、履行テストは毎月の支払い能力を確認する目的で実施されているため、一括での支払いは認められません。
支払いが困難になった場合でも、無断で支払いを止めてしまうと個人再生案が認められない可能性が大幅に高まります。
どのような事情であっても、連絡せずに支払いを止める行為は避けなければなりません。
病気や事故など、やむを得ない理由がある場合は、申立てを依頼している弁護士や個人再生委員に連絡しましょう。
支払いが困難な事情を詳しく説明することで、裁判所が配慮してくれる可能性もあります。
履行テストは個人再生の申立て直後に始まるため、申立て前から継続的な支払いが可能かを見極めて計画を立てておくことが重要です。
経済状況や家計管理に不安があるなど、履行テストの支払いが難しいと感じる段階で申立てに踏み切るのは避けましょう。
申立て時期や支払い能力に不安がある場合、弁護士に相談することで、自分に合った最適なタイミングや方法を提案してもらえます。
適切な準備と計画が、履行テストの成功と個人再生認可の第一歩につながります。
どうしても履行テストの支払いが継続できない場合は、再生計画そのものに無理があるかもしれません。
状況によっては、計画案を見直して個人再生の手続きを進め直す方法もあります。
しかし、その一方で根本的に返済が難しい場合は自己破産を検討することが有力な選択肢となるでしょう。
自己破産は裁判所に申立てることで返済義務が免除される法的手続きであり、経済的に再生が困難なときには有効な救済策です。
最善の判断をするためには、自身に最も合う方法を、弁護士などの専門家と一緒に検討することが重要です。

履行テストで積み立てたお金は原則として、テストが完了した後に返還されます。
ここでは、履行テストの積立金がどのようなしくみで返金されるのか、具体的なルールや注意点について解説していきます。
個人再生委員が選任されている場合、履行テストで積み立てた資金は報酬を差し引いた後に返還されるしくみとなっています。
この報酬額は裁判所ごとの運用で幅がありますが、一般的には20万円から30万円程度が目安です。
弁護士が申立て代理人として対応している場合は、個人再生委員の報酬が15万円程度に下がるケースも見られます。
返金時の詳細は申立て先の裁判所や個人再生委員の指示に従って確認することが大切です。
返金された資金は、個人再生計画が認可された後の返済資金として活用することが望ましいです。
ある程度の金額をいつでも返済に充てられる資金として確保しておくことで、計画的な返済が継続しやすくなります。
返金されたお金は、しっかり管理して返済計画に沿った運用を意識しましょう。
個人再生の手続きに進む際は、生活設計を現実的に見直し、履行テストを無理なく乗り越えられる準備を心がけることが大切です。
返済に対する不安や収支バランスの悩みがある場合は、一人で抱え込まず、弁護士など専門家に相談して必要な支援を受けましょう。
履行テストの段階でつまずくと選択肢が大きく狭まってしまうため、申立ての前には十分に準備を整える必要があります。
自分に合った解決策を早期に見つけることで、安心して新たなスタートを切ることができるでしょう。