東京弁護士会所属。新潟県出身。
破産してしまうかもしれないという不安から、心身の健康を損ねてしまう場合があります。
破産は一般的にネガティブなイメージですが、次のステップへのスタート準備とも言えます。
そのためには、法律上の知識や、過去の法人破産がどのように解決されてきたかという知識が必要です。
法人破産分野を取り扱ってきた弁護士は、こういった法律・判例や過去事例に詳しいため、強い説得力をもって納得のいく措置をとることができます。
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書籍:この1冊でわかる もめない遺産分割の進め方: 相続に精通した弁護士が徹底解説!
自己破産すると、そのことが他の人に知られてしまうのではないか、不安になることがあるかもしれません。
自己破産をしたという情報は、債権者にとっては非常に重要な情報であるため、常にチェックできるようになっています。
ここでは、自己破産したことを他人が調べるための方法となる、官報についてご紹介します。
また、自己破産した人が自身の状況を確認するために利用できる信用情報機関についても解説します。
Contents
自己破産した人の情報は、非常に重要な個人情報であるため、簡単に他人が知ることができないようになっています。
しかしそれと同時に、貸したお金が回収できなくなることを意味するので、債権者にとって自己破産はとても重要な情報です。
また、自己破産した本人が、自身の情報を確認することもあります。
具体的に、自己破産の情報を確認する方法についてご紹介します。
自己破産した人は、免責許可決定を受けると、債務の支払義務が免除されます。
その結果、債権者は債権代金を回収することができなくなり、そのほとんどを回収することが難しくなります。
しかし、自己破産したという情報を知っていれば、債権代金の一部を回収できる可能性があります。
自己破産した人の財産を換価処分し、そのお金を債権者で分配する配当に参加できるからです。
そのため債権者は、常に自己破産の手続きを開始した人がいないかをチェックしています。
そして実際に、自己破産手続きを開始した人に対する債権を有する場合、その手続きに参加することとなります。
自己破産した人を知るには、国により発行されている機関紙である官報を利用する方法があります。
自己破産した情報は、金融機関やカード会社などが設立する信用情報機関に登録されます。
信用情報機関に自己破産した情報が登録されている間は、ローンを組むことやクレジットカードを作ることはできません。
自己破産した人は、自身が信用情報機関に登録されているかどうかを確認することができます。
もし自己破産の情報が登録されていなければ、ローンやクレジットカードの契約ができるようになります。
逆に、自己破産の情報が登録されているのであれば、まだ契約をすることはできません。
自己破産後に一定期間が経過して、クレジットカードを作りたい時には、信用情報機関に照会してみましょう。
第三者が自己破産した人の情報を調べる唯一の方法となっているのが、官報です。
官報とはどのような制度で、どのように内容を調べることができるのか、ご紹介していきます。
官報とは、政府が公にすべき情報を国民に知らせるため、1883年から発行されている機関紙です。
現在では、行政機関の休日を除いたすべての日に官報が発行されています。
官報が公表されているのは、すべての国民に関係する情報を、すべての人に知ってもらう機会を作るためです。
もし国会で決まったことが誰にも知らされなかったとしたら、国民は大きな不利益を被ることとなります。
そこで、すべての人に関係する情報を誰もが知ることのできるよう、官報が毎日発行されています。
ただし、官報を毎日のようにチェックしている人はごく限られた職業の人だけです。
一般的には、官報自体を見たことがないという人の方が多いでしょう。
それでも、国民が必要な情報を得ることができるよう、官報の制度はこれまで守られてきました。
官報に掲載される主な情報には、以下のようなものがあります。
この他にも、官報に掲載される情報には多くの種類があります。
かなり膨大な量の情報が掲載される中に、自己破産に関する情報も含まれています。
自己破産に関する情報が官報に掲載されるのは、自己破産の手続きが進められる中で2回あります。
1回目は、破産手続開始決定が裁判所から下された時です。
自己破産しようとする人は、裁判所に破産手続きを開始できるように申立てを行います。
ただ、申立てを行っても、必ず破産手続きを開始できるとは限りません。
裁判所の裁判官は破産申立人の状況から、破産手続きを開始していいか判断を下します。
裁判所が自己破産の手続きを開始していいという判断をしたら、正式に破産のための手続きに進むこととなります。
このタイミングで、官報に掲載されます。
2回目は、破産手続きがすべて終了した時です。
破産手続きの開始が決定すると、裁判所において様々な手続きが進められます。
すべての手続きが終了したら、そのことが広く公表されます。
官報は、休日を除く毎日発行されており、古いデータも厳重に保管されています。
一度発行された官報は、その後廃棄されるわけではないので、官報のデータは半永久的に残ることとなります。
一定期間が経過したら、自分の名前が掲載された官報がなくなるというわけではありません。
官報に掲載された自己破産に関する情報を調べる方法には、どのようなものがあるのでしょうか。
誰でも簡単に利用できるのが「インターネット版官報」です。
これは、インターネットで官報に掲載されている情報を閲覧することができるサービスです。
直近30日分の官報について無料で、掲載された情報を検索することができます。
また、日付やキーワードを入力して検索することもでき、非常に利用しやすいものとなっています。
ただし、インターネット版官報は、掲載日について制限があり、古い情報を調べることはできません。
そこで、より古くの官報を調べる方法として利用できるのが、「官報情報検索サービス」です。
こちらは有料のサービスとなりますが、30日より前の情報も検索することができます。
また、官報は書面を購入することができ、こちらも古い情報まで幅広い官報が対象となります。
信用情報機関は、自己破産した人の情報を、金融機関などの業界内で横断的に管理するための機関です。
どのような情報がどれくらいの期間登録されているのか、その内容を確認していきます。
信用情報機関とは、金融機関やクレジットカードなど、お金に関する情報を管理するための機関です。
日本には全部で3つの信用情報機関があり、それぞれの機関で様々なお金の利用に関する情報が管理されています。
信用情報機関が設けられているのは、重要な情報をすべての金融機関などで共有できるようにするためです。
自己破産した人がいる場合、直接的に被害を受けた金融機関だけでなく、その他の金融機関でもその情報は重要なものとなります。
しかし信用情報機関がないと、その情報はスムーズに他の会社に共有されることはありません。
そこで、すべての金融機関が加盟する信用情報機関を設立し、自己破産やそれ以外の情報を共有できるようにしています。
信用情報機関には、金融機関で行った取引などの情報の他、過去の契約や滞納に関する情報が登録されています。
自己破産した事実は金融機関にとって重要な記録であり、信用情報機関に必ず登録されます。
前述したように、自己破産すると信用情報機関にその情報が登録されます。
自己破産した状態というのは、具体的には裁判所から破産手続開始決定が出された時と考えられます。
ただ、金融機関に対しては自己破産の手続きを受任した弁護士が選任された時点で、受任通知が送付されます。
この時点で、金融機関は自己破産しそうだという情報を得ていることとなります。
自己破産の情報は、信用情報機関に5年~10年登録されます。
そのため、この間は直接利用していた金融機関以外の金融機関でも、新たな契約はできなくなります。
また、クレジットカードを作成することもできません。
信用情報機関に登録されているかを知るには、本人が信用情報機関に照会して確認することができます。
以前、自己破産した人の情報をまとめた「破産者マップ」というサイトが存在していました。
このサイトでは、官報に記載された情報をリスト化し、破産者の住所氏名が閲覧できるようになっていました。
しかし、個人情報の保護の観点から問題が指摘され、2019年3月にこのサイトは閉鎖されています。
その後、類似のサイトが開設されたこともありましたが、やはり閉鎖されています。
その結果、現在では官報以外に自己破産した人をインターネットで直接検索することはできなくなりました。
自己破産すると、その後しばらくはローンやクレジットカードの契約ができなくなり、日常生活に支障が出ます。
そのため、誰が自己破産しているのかを知りたいというニーズがあります。
また、自分が自己破産したという情報がどのように登録されているのかを知りたいという人もいるでしょう。
自己破産した記録は、第三者からは官報で、本人からは信用情報機関で照会することができます。
取り扱いに配慮が必要な重要な情報なので、気になる方はこれらの情報を確認するようにしましょう。