

東京弁護士会所属。新潟県出身。
破産してしまうかもしれないという不安から、心身の健康を損ねてしまう場合があります。
破産は一般的にネガティブなイメージですが、次のステップへのスタート準備とも言えます。
そのためには、法律上の知識や、過去の法人破産がどのように解決されてきたかという知識が必要です。
法人破産分野を取り扱ってきた弁護士は、こういった法律・判例や過去事例に詳しいため、強い説得力をもって納得のいく措置をとることができます。
PROFILE:https://vs-group.jp/lawyer/profile/kawasaki/
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企業破産における債権には優先順位があり、財団債権、優先的破産債権、一般破産債権の順に弁済されます。
中でも税金・社会保険料・従業員の未払給与は優先的破産債権として一般債権より先に配当される対象です。
ただし、優先されても全額回収が保証されるわけではなく、独断での弁済は偏頗弁済として否認されるリスクもあります。
従業員の負担を減らすためには優先的破産債権について理解し、独断での弁済をせず、弁護士と共に誠実で正確な仕分けを行う姿勢が求められるでしょう。
本記事では優先的破産債権について、経営者が押さえるポイントとともに解説します。
Contents
破産手続きにおける債権は、財団債権と破産債権に大きくわかれます。
財団債権は手続きの進行中に随時弁済される一方、破産債権は配当手続きを経て弁済されます。
破産債権は優先度によってさらに分類されており、優先的破産債権はその中の一区分です。
優先的破産債権とは、破産法第98条[注1]に基づき、一般破産債権に先立って配当を受ける債権です。
税金・社会保険料・未払給与などが該当します。
これらが優先される背景には、国家の徴税権の確保や、労働者の生存権保護などの法的要請があります。
順位は債権者同士の交渉や破産者の意向で決まらず、法律によって一律に定められています。
経営者個人の判断で優先順位を変えられるわけではない点を理解しておく必要があるでしょう。

破産手続きにおける弁済は、以下の順序で行われます。
| 順位 | 債権の種類 | 具体例 |
|---|---|---|
| 1位 | 財団債権 | 手続き費用・破産管財人報酬・手続き開始後の未払給与 |
| 2位 | 優先的破産債権 | 税金・社会保険料・手続き開始前3カ月分の未払給与 |
| 3位 | 一般破産債権 | 金融機関への借入金・買掛金・未払いの取引代金 |
財団債権は手続き中に随時弁済される最上位の債権であり、破産管財人が最優先で管理します。
優先的破産債権はその次に配当され、一般破産債権への配当は最後です。
いかに弁護士が財団債権を適切に管理できるかが、円満な解決へのカギとなります。
[注1]破産法/e-Gov
破産法第98条(優先的破産債権)
優先的破産債権に該当する債権は、法律によって種類が定められています。
主に税金・社会保険料・従業員への未払給与の3つが該当し、それぞれ配当における扱いが異なります。
ここではそれぞれの負債がどの債権に該当するか、種類ごとに解説します。
租税債権とは、法人税・消費税・固定資産税などの税金に関する債権です。
税金は公共性が高く、一般破産債権である売掛金や借入金より優先して配当されます。
滞納がある場合は、優先順位の高さを把握しておく必要があるでしょう。
また、税金の未払い分は消えない債務の代表格です。
個人破産の非免責債権として扱われるため免責されず、破産後も支払い義務が続く点に注意が必要です。
社会保険料債権とは、健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料などに関する債権です。
従業員の生活保障を支える公共性から、一般破産債権より優先して配当されます。
滞納が生じている場合、徴収機関による差し押さえは税務署以上に強硬になるケースがあります。
破産手続き開始後は強制執行が停止されますが、開始前の対応も非常に重要です。
早期に弁護士へ相談し、法的に手続きを静止させる対応を取りましょう。
未払給与は従業員の生活保障に直結するため、一般破産債権より優先して配当されます。
ただし、未払給与・退職金は一律に同じ扱いではなく、財団債権と優先的破産債権にわかれます。
破産法第149条[注2]に基づき、破産手続き開始前3カ月分の未払給与・退職金は財団債権として随時弁済の対象です。
一方で、それ以外の部分は破産法第98条[注1]に基づく優先的破産債権として配当手続きを経て弁済されます。
自分で独断で全額を支払うと偏頗弁済とみなされるリスクがあるため、弁護士による正確な切り分けが不可欠です。
民法第306条[注3]の一般先取特権に基づく債権も、優先的破産債権に該当します。
葬式費用・食料品・日用品の購入代金など、生活維持に不可欠な債権が対象です。
社会的保護の観点から一般破産債権より優先されますが、あまり知られていない類型でもあります。
債権者から不当に優先主張がなされるケースもあるため、弁護士による精査が欠かせません。
各債権の根拠規定を一つひとつ確認し、正当な優先順位を守る法的判断が求められます。
[注2]破産法/e-Gov
破産法第149条(使用人の給料等)
[注3]民法/e-Gov
民法第306条(一般の先取特権)
優先的破産債権の種類を理解したうえで、経営者として正しい判断が重要です。
どの債権が優先されるかは、支払いの順序や対応の可否に直接影響します。
特に給与の全額支払いや独断での弁済は、深刻なリスクを招く場合があります。
「従業員の給与や社会保険料を払えないまま会社を畳むのか」と不安を抱える経営者は少なくありません。
しかし、未払給与・社会保険料は一般破産債権より優先して配当されるしくみになっていて、法人に財産がある限り先順位で弁済されます。
支払いを行うのは経営者本人ではなく破産管財人です。
手続き開始前に経営者が独断で特定の債権者へ弁済すると、偏頗弁済として否認されるリスクがあります。
優先的破産債権であっても、全額が支払われるとは限りません。
配当はあくまで破産財団の範囲内で行われるため、財団が枯渇していれば優先債権者への弁済も滞ります。
同順位の債権が複数ある場合は、債権額に応じた按分配当となり、結果として一円も回収できないケースもありえます。
「優先」とは配当の順序を指し、全額回収の保証ではありません。
破産財団の規模と債権総額を早期に把握し、現実的な回収見込みを弁護士と共に見極める姿勢が重要です。
破産手続き開始前に特定の債権者だけへ弁済を行うと、偏頗弁済として破産管財人に否認される可能性があります。
「従業員には給与を全額払いたい」「税金だけは先に納めたい」など経営者の誠実な気持ちであっても、法律上は不法行為となります。
否認権が行使された場合、支払った金銭は返還請求される可能性があるでしょう。
さらに、偏頗弁済は免責不許可事由に該当する恐れがあり、経営者自身の再起を阻む深刻なリスクとなります。
優先債権だからといって独断で支払う前に、必ず弁護士へ相談し、法的に許容される範囲を確認しましょう。
優先的破産債権は種類や発生時期によって扱いが異なり、経営者が独断で判断するには限界があります。
適切な処理には弁護士の関与が不可欠であり、破産管財人が各債権を精査したうえで法的に正しい順序で配当を進めます。
破産管財人は、債権の調査・分類・配当を一貫して担います。
たとえば未払給与・退職金は、破産法第149条[注2]に基づく財団債権と優先的破産債権に区分されますが、その判断には発生時期や金額の精査が必要です。
配当順位の計算を正確かつ迅速に行えば、債権者の不満を最小限に抑え、手続きを円滑に完結させられます。
複雑な実務処理こそ、弁護士関与が不可欠な理由です。
弁護士に相談した場合、債務者は弁済順位の判断や偏頗弁済リスクの回避、免責の確保などのメリットがあります。
一方で債権者には、回収見込みの明確化や公平な配当などの安心を得られるでしょう。
弁護士は法に基づく中立な整理役として機能し、双方にとって平穏な解決を実現します。
優先的破産債権とは、税金・社会保険料・未払給与など、一般破産債権より先に配当される債権です。
「従業員に迷惑をかけたくない」と願う経営者にとって、未払給与・退職金が優先的に扱われる点は一定の安心材料となります。
ただし、優先されても全額支払われる保証はなく、破産財団の範囲内での配当に限られます。
手続き開始前の独断による弁済は偏頗弁済として否認され、免責不許可事由に該当する恐れもあります。
優先的破産債権の扱いは破産実務の縮図であり、判断ミスが再出発を阻みます。
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